指輪と約束
遅くなりました!ちょっと眠かったり、リアルで忙しかったり、眠かったり、ゲームしてたり、寝てたら遅れてしまいました!すみません!
それと、次回予告通りには行きませんでした!私の文章力だと、多分2万文字超えそうだったので分けました!
指輪のデザインを考えよう。
今の俺の全力を以て作る。
期限は夕方にソルが帰ってくるまで。材料は真鍮と鉄のみ。
少し、考えよう。
そして20分後──
「よし、イメージ出来た」
指輪のデザインは『蔦』だ。
真鍮と鉄を、捻れている蔦のようなデザインにする。俺の『木魔法』から着想を得た。
それに、蔦の花言葉は確か、『勤勉』『誠実』とかがあったはずだ。ソルの生産に役に立って欲しいと、願いを込めて作ろう。
イメージが出来たら後は作るだけだ。
まず、鉄から入ろう。今回はかなり凝りたいからな、時間をかけよう。
そして鉄には、花言葉の『勤勉』から、『頑張れ』と願いを込めて作ろう。
まず、鉄のインゴットを魔道具で熱して、魔力打ちで板になるまでハンマーで叩く。そうして出来た板を、また熱して半分に畳むように叩く。
この時、魔力打ちをやめない。...というか、今回の指輪で魔力を込めない加工はしない。
そして半分に畳んだ鉄を、また熱して延ばす。そしてそれをまた、畳む。これを何回も何回も繰り返した。
そうして出来た、魔力の塊とも言える程の、紫のオーラを纏う鉄の板ができた。
ここで一旦、魔力を回復させよう。
魔力打ちの効率がどんどん上がって、消費MPがかなり少ないのに、もうMP切れ直前まで使ったようだ。
うん。ポーションは美味くも不味くもないな。
よし、作業の再開だ。
次の工程は、鉄を細い円柱状にする。これは『金細工』スキルで出来るから、神匠に進化しても使えるだろう。
━━━━━━━━━━━━━━━
『魔鉄の板』に『円柱形成(消費MP1)』を使いますか?
━━━━━━━━━━━━━━━
なんかツッコミどころ満載だが、放置だ。俺はスキルを使用した。
そうして出来た細い円柱状の鉄は一旦置いておく。
「次、真鍮」
鉄を放置したのに理由がある。
それは鉄と真鍮の輪を捻りたいからだ。蔦のように、絡め着くイメージだな。
その再現のために、まだ輪っかにしないで置いておくのだ。
真鍮の作業も同じようにする。
真鍮には、『誠実』の花言葉から、俺の心を込めよう。...何の心を込めるかは秘密にしておこう。
――そして後で、この時に込めた心が、とても大きくこの指輪に影響することを知る――
真鍮も熱して、叩いて、畳んでという作業を行う。真鍮の方が柔らかい為、鉄よりも多く、叩いて延ばす。
大体鉄の4倍くらいの回数を叩いたら、真鍮からは金色のオーラを纏うようになった。
そしてやっぱり、ここら辺で魔力が切れかける。
またマナポーションタイムだ。
......王都に着いたら、ポーションも自分で作ろう。そしてその時は味を変えよう。美味しく、効果の高いポーションを作ろう。そう決意した。
そして休憩が終わったら、真鍮も円柱状にする。
━━━━━━━━━━━━━━━
『聖真鍮の板』に『円柱形成(消費MP1)』を使いますか?
━━━━━━━━━━━━━━━
「やべぇ、更にツッコミどころが増えてやがる」
もう俺は、何も気にしない。これがソルに害をなす物なら全力で破壊するが、利益になるなら有難く使わせてもらう。
そうして真鍮も円柱状にした。
「よし、ここから頑張れ、俺」
まず、どういう風に蔦を再現するか、だ。
元々の考えでは、鉄と真鍮の両方を絡ませる感じだったのだが、少し変えようと思う。
そうしてまた考えること、30分。
「よし」
イメージが固まった。
鉄をリングにして、そのリングに真鍮を絡ませるようにする。そして鉄のリングの上に、真鍮の玉で作った太陽を付けよう。
俺の『木魔法』の『蔦』、込める花言葉は『勤勉』と『誠実』
そしてソルの......いや、陽菜のイメージにピッタリな、『太陽』
この『蔦』と『太陽』を、指輪にしよう。
太陽の部分は最後に作るとしよう。1番美しく見えるところに付けたいからな。
それではまず、鉄をリングにする。
鉄は真鍮に比べて硬く、熱に強い。だから時間をかけて、ゆっくり、ゆっくりと綺麗なリングにする。
魔力打ちで、強く、そして優しく叩いていく。願いを込めるのを忘れてはいけない。
途中、ペンチを使いながら綺麗なリングにしていく。
そして2時間ほどかけて、鉄のリングができた。
「もう昼か。空腹度が無いのをいい事に、作業を続けよう」
ソルがいたら怒られてるかもしれんな。ははっ
次は真鍮の加工だ。
真鍮は鉄に比べると、熱に弱く、柔らかいので直ぐに加工ができる。...だからこそ、細かい装飾ができる訳だ。
真鍮にスキルを使い、更に細くした。
そうして出来た極細の真鍮を、熱しながら鉄のリングに巻き付けていく。
綺麗に、だが不規則に巻き付ける。まるで真鍮の蔦が鉄のリングに絡みついているかのように、見えるようにする。
「......ふぅ」
3時間ほどかけて出来た。
余った極細の真鍮を、魔道具で熱して溶かし、ピンセットの先に付けて、その溶かした真鍮をリングに絡みついてる真鍮に付ける。
すると絡みついた真鍮に蔦の葉が付いているように見える。これが狙いだ。
「よし、最後に太陽だ」
太陽の為の真鍮は、また魔力打ちから始める。
既に心を込めた真鍮に、心と願いの両方を込める。
もう、その2つ以外を考えないレベルで他の思考をどかしていく。
そして2時間ほど真鍮を打ち続けた。
すると、『金色に光る』真鍮が出来た。
「うわぁ......絶対に詳細は見ないぞ。今までで1番やばいオーラを纏ってる。」
纏うっていうか、マジで『光ってる』だけだな。
よし、切り替えてスキルで玉にしよう。
━━━━━━━━━━━━━━━
『神真鍮(愛)の板』に『球状形成(消費MP1)』を使いますか?
━━━━━━━━━━━━━━━
「うっはぁ!」
オレハ、ナニモミテイナイ
とりあえず真鍮を超小さい玉にした。...それでも光るんだな、君は。
インゴット1つ分を玉にしたんだけど、電球が何千個も目の前にあるのか、ってくらいに光ってる。
超眩しい。
使う分は1つなので、それ以外はインベントリに仕舞っておいた。
そして光る真鍮の玉を、鉄のリングに溶接する。
1番美しく見えるのは付けた時に指先側の上面だと思ったので、そこに付ける。
そして太陽の周りの蔦を、太陽すらも絡みつきに行っているように見せる。まるで外敵から、『太陽すらも守る』ようなイメージだな。
縄ではなく、鎧。そんな感じだ。
そしてその作業が終わり、指輪が完成した。
━━━━━━━━━━━━━━━
『聖魔神器:ヘラの指輪』Rare:―― 製作者:ルナ
付与効果
『生命力増強:800』『魔力増強:800』
『全ステータス補正:大』『全戦闘系スキル補正:大』『全魔法補正:大』『全生産系スキル補正:大』
『女神の加護』『感情超強化:愛』『不滅の愛』
『専用装備:ソル』
━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━
プレイヤー『ルナ』が『神器』を作成しました。
━━━━━━━━━━━━━━━
「ほわぁあ!!!!!」
やべぇ! 超やべぇ!! 何これ!!!!
ワールドアナウンスなんかどうでもいい! 指輪の効果が高すぎる!!
「やばいやばいやばいやばいやばい」
「大丈夫ですか! 父様!」
「無理かも。リル、やべぇもん作っちまった」
俺はそう言って出来た指輪をリルに見せた。
「っ!? なんですかこの効果は! 私が過去に見た神器の数倍は強力ですよ!」
「そうなのか? ってか手が震えてやばい」
達成感とか、愛の文字が見えて恥ずかしかったりとかで、手が震えまくっている。
「大丈夫です。誇ってください。それはそうと、父様は『ヘラ』に認められたのですか? あの女神は滅多に人に、というより地上に干渉しないのですが......」
「どうなんだろう。見てみる」
もう、色んな感情がごっちゃになって、逆に落ち着いてきた。
━━━━━━━━━━━━━━━
『神匠:金細工』
-----------------------------
『認めた神』
・『トト』
・『ヴィーナス』
・『イシコリドメ』
・『ラクシュミー』
・『アルテミス』
・『ヘラ』
━━━━━━━━━━━━━━━
「あぁ、なんかヘラが追加されてるわ」
「凄いですね! 最高神の、それも神々の女王に認められるなんて、父様は凄いです!」
「そ、そうか......あまり良く分からないな」
「そういや、『女神の加護』とか『不滅の愛』ってなんだ?」
そう思い、まず、『女神の加護』の効果の詳細を見る。
━━━━━━━━━━━━━━━
『女神の加護』
・加護を付与した女神の力が宿る。
『付与した女神』
・『ヘラ』・・・女神の加護の効果が2倍。また、スキル経験値獲得量が2倍。(この効果は対象外)
・『ラクシュミー』・・・『感情超強化:愛』の効果が2倍。また、アイテムドロップ率が2倍。
・『ヴィーナス』・・・『不滅の愛』の効果が2倍。また、『感情超強化:愛』の効果が1.5倍。
・『ハトホル』・・・『感情超強化:愛』の効果が2倍。また、製作者が装備者を愛している場合、3倍になる。
・『イシス』・・・『不滅の愛』の効果に上限を付与する。『不滅の愛』の効果が2倍。『全魔法補正:大』の効果を1.5倍から2倍にする。
━━━━━━━━━━━━━━━
「はぁ??」
最早呆れたわ。
「いや、マジで何してくれてんの? チートアイテムじゃねぇか......」
『感情超強化:愛』がどんなのか知らないが、やりすぎだ。
まずそもそも、『ヘラ』の加護の時点でおかしいのだ。確かに願いは込めた。だがな? 限度ってものがあるだろ? なんで他の女神の加護を2倍にしちゃってんの? なんでその上にスキル経験値獲得量を2倍にしちゃってんの?
次に、『ラクシュミー』の加護。
こいつも頭おかしいよ。ドロップ率2倍?ヘラの加護が合わさって4倍か? ......何してくれてんの?
次、『ヴィーナス』の加護。
『不滅の愛』の効果をまだ知らないからなんとも言えん。だがな、1つ分かるぞ。『感情超強化:愛』を強化しちゃいかん。
次、『ハトホル』の加護。
こいつも頭おかしいぞ。俺はソルが好きだ。その気持ちはきっと、これからも変わらない。だから永遠に『感情超強化:愛』が3倍だ。それに『ヘラ』のせいで6倍だ。
最後、『イシス』の加護。
あなた、大丈夫? 確か『補正:大』は1.5倍だったな。何でそれを2倍に上げたの? ソルは獣人だから魔法が弱いのに、この指輪だけで人間と同じ威力の魔法になるんだぞ? それと、『不滅の愛』になんか付けたんだね......
「まぁ、感謝はすれど、怒るのはお門違いだな」
女神達、ごめん。
「次に『不滅の愛』か......なんか見るだけで恥ずかしいな」
いいもん! リアルで今週中にはちゃんと伝えるもん!
━━━━━━━━━━━━━━━
『不滅の愛』1/8
・装備者が製作者を愛している場合、HPが0になってもその場で復活する。
・『イシスの加護』により、(ゲーム内時間)1日に1度、復活回数が増える。(上限8)
━━━━━━━━━━━━━━━
「は、ははははは!!」
なぜだかソルだけ残機制になってしまった。
どうせだし、『感情超強化:愛』も見るか。
━━━━━━━━━━━━━━━
『感情超強化:愛』
・装備者が誰かを愛している時、STR、DEX、AGIが2倍。
・『女神の加護』により、製作者が装備者を愛している場合、144倍になる。
あまりに強力な為、オンオフの切り替えが可能。
━━━━━━━━━━━━━━━
ん???
あれ? これ、もしソルが俺のことが好きだったら、ソルのステータスがおかしな数値になる訳だよな。
ソルのDEXは3,536だ。それに144倍?えっと......
あぁ、おかしいな。俺の計算が間違って無ければ、509,184になっちまう。
「これ...ソルに伝えるべきか?」
もし144倍の状態で弓でも使ってみろ。一撃で弓が木端微塵だぞ! それに生産時のレア度はどうなる!? レア度1,697の料理とか恐ろしすぎるんだが!
「まぁ、出来てしまったものはしょうがない。ちゃんと伝えなきゃ」
ん? あれ?
俺、たしか本命に『鈴の簪』を作ろうとしてたよな? なんか今、簪の数倍以上やばい品が出来てしまったし、物そのものが指輪という、簪より渡す難易度が高いものなんだが......
「どうしようリル。俺、ソルになんて言えばいいんだ?」
「う〜ん......難しいですね......神器が、それも聖魔神器が出来るなんて、神ですら思ってなかったでしょう。そしてそれ程の品物を今日、母様に渡すとなれば、今度父様が気持ちを伝える時、父様へかかるプレッシャーがかなり大きいものになると思います」
「......だよなぁ」
どうしよう。簪計画を一旦破棄するか? ソルに少し指輪を待ってもらって、リアルで伝えてからにしちゃ......ダメかな......
うわ〜ん! どうしよ〜!
そしてそこへ──
「ただいまルナ君!」
タイミング悪く、ソルが帰ってきた。
あ〜やべ、どうしよう。ソルには嘘は伝えたくないしな。......あかん。マジで何も思いつかない。
......この指輪を渡すの、気持ちを伝えてからがいい......よなぁ......
「なぁソル。指輪は、出来たんだけどな? その......あの.......ふぅ」
一旦呼吸を落ち着けよう。
「ソル、この指輪は次の土曜日に渡しちゃダメかな? ちょっと、時間が欲しい」
覚悟を決めろ、俺。
......ここでダメだったら......いや、ダメだった時の事を考えない事にしよう。常に前を、上を目指していくぞ。
「分かった。なら、次の土曜日、待ってるね?」
「あぁ。それと、土曜日は空けておいてくれ。2人でどっかに遊びに行こう」
「うん! 分かった! 楽しみにしてるね!」
「ありがとう。それと、すまんな。指輪を渡せなくて......」
「ううん! ルナ君から貰えるなら、何週間でも何ヶ月でも待つよ!」
女神はここに居た。
「ありがとう。......それで、今日はどうする? 明日は学校あるし、もう落ちるか?」
「そうだね、そうしよう!」
「じゃ、宿に向かうか」
「「うん!/はい!」」
こうして俺たちはフェルさんの店から宿へ行き、そこでログアウトした。
ログアウトした俺は、枕に顔を埋めて叫んだ。
「あああああ!!!! 頑張れ月斗!! お前ならできる!!! 勇気を出せ!!」
そう叫んでから、晩御飯にオムライスを作って食べ、風呂に入って寝た。
「明日、俺は大丈夫かな......」
-----------------------------------------------------
陽菜side
「きゃー! これは、期待していいのかな? いいよね! その時に私も伝えていいよね!!」
私はログアウトしてから、枕に顔を埋めて叫んだ。
「は〜やばい。生まれて1番緊張してる。私、明日の学校大丈夫かな?」
月斗君の席は隣だから、意識がそっちに向いてしまう。
「どうしよどうしよどうしよ! お母さんに聞いてみる? ......いや、ダメだ。これは私の事だ。私が決めなきゃ」
やばいよ。心臓が爆発しそうだよ。もしかしたら、小学一年生になる前のあの時の夢が、叶うかもしれないんだもん!
「よし、落ち着こう。明日は明日の私に任せる。頑張れ、明日の私!」
そうして私はご飯を食べて、お風呂に入ってから寝た。
━━━━━━━━━━━━━━━
名前:ルナ Lv60
所持金: 666,140L
種族:人間
職業:『剣士』
称号:『スライムキラー』
所属ギルド:冒険者 (E)
HP:690
MP:690
STR:2,610(200SP)
INT: 610
VIT: 1,120(50SP)
DEX: 2,140(150SP)
AGI: 810(20SP)
LUC:305
CRT:43
残りSP:170
取得スキル
戦闘系
『剣王』Lv63
『王弓』Lv43
『闘術』Lv71
『走法』Lv0
『手加減』Lv0
魔法
『木魔法』Lv92
生産系
『鍛治』Lv96→99
『神匠:金細工』Lv1→38
『裁縫』Lv54→68
『調薬』Lv1
『神匠:付与』Lv1→38
『木工』Lv1
『料理』Lv10
『錬金術』Lv1
その他
『テイム』Lv2
━━━━━━━━━━━━━━━
やってしまった感ありますが...まぁ、大丈夫でしょう。
何が大丈夫か知りませんが。
もうこれ、ゲームバランス崩壊アイテムなのでは?獣人補正のデメリットがこの指輪単体でカバーできてしまってますね...戦闘をしないソルがどんだけ強くなるのか、楽しみですね!
評価・ブックマーク宜しくお願いします!
作者Twitter
https://twitter.com/yuzuame_narou
くだらないことやユアストのあれこれ(ネタバレ有)を呟いてます!




