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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
最終章 最強決定戦
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幸せの赤い鳥

ぬぉぉぉん.....あい にーど たいむ。




「ニクス、1戦目はお前が出ろ。2戦目はチェリが。3戦目の決勝でリルに決めてもらう」


「ねぇねぇ、兄さん。私よりもヒカリちゃん達を出した方が良くない?」


「ダメだ。本戦では3人の強さを見せ付ける必要がある。ここまで無敗で勝ち上がった男のテイムモンスターが、そこらの幻獣をテイムした語り人に負けるなんて悲しすぎるからな。3人には悪いが、呑み込んでくれ」



テイマー部門の本戦控え室はかなり大きな造りとなっており、完全な個室かつ、体が大きなモンスターも出せる仕様となっている。


今回のシード権を握ったのは犬子さんだ。予選ではカムイ君を出して暴れていたが、本戦ではマナを出してくるだろう。


だから、決勝ではフェンリル最強決定戦にしようと思う。


如何にウチの子が強いか、白黒ハッキリさせようじゃないか。クックック。



『王よ。本当に全力を出して良いのだな?』


「勿論だ。島では周辺を焦土にするから控えてもらっていたが、ここなら全力でやってもらって構わない。但し、俺を殺すなよ」


『無論、王が立っていなければ意味が無いからな。ではこのニクスに任せたまえ。必ずや王の威光を見せ付けましょう』



ダメだよニクス君。そんなことしたら、また城に殴り込む輩が生まれてしまうだろ? 君の言う威光なんて生易しいものじゃなく、恐怖を抱かせるくらいやってくれよ。


誰にも辿り着けないような、そんな強さを見せてくれ。



「2人はいつもどおりだな。特にメンタル面も大丈夫そうか?」


「大丈夫だよ。相手が兄さんだと思って戦うから、戦術の穴は作らないつもり」


「私は少し不安ですね。チェリちゃんやメルちゃんが優秀なだけに、私へのプレッシャーが少し重いです」


「それはマズイな。こっち来い来い」



リルはきっと、姉としての威厳が弱くなることを恐れているのだろうが、俺からすれば皆一長一短なのだから気にするだけ無駄だと思っている。



「うむ、良きモフモフである。これはリルしか持っていない、癒しの才能だぞ」


「えへ......でも「リルは判断が速い」......?」


「リルはいつも冷静で、ちゃんと戦況を俯瞰して見ることが出来ている」



可愛い可愛い狼の耳をグリグリと揉みながら、俺は1個ずつリルの魅力を口に出した。



「リルには才能がある。努力の才能だ。俺と同じで、好きなことをとことん突き詰めて学び、経験を積んで、高みに至る......俺から受け継いだ才能だ」


「父様......」


「知ってるか? リルってコミュニケーション能力が凄く高いんだぜ。ウチのメンツでも数少ない、人見知りをせずに他人へ話しかけられる、凄い子なんだ」



誰よりも気高く、研鑽を積もうとする姿勢は正に狼。

決して諦めることはなく、常に強く見えるその姿に、憧れない者は居ない。


これがアニメや漫画なら、きっとリルは主人公だ。



「誇れ。お前はフェンリルだ」



俺の言葉を聞いたリルは目に涙を浮かべ、泣くかと思われた......が、決して涙は流すまいと、瞼を開いた状態で俺に抱きついてきた。


温かいリルを強く抱きしめると、本戦が始まる旨のウィンドウが現れた。



「じゃあ、行ってくる」


「......はい! 行ってらっしゃい、父様!」


「行ってらっしゃい」


「あぁ。行ってきます」



最後に2人を抱きしめると、俺は頭の上にニクスを置いて控え室を出た。



『良かったのか? 王よ』


「いいんだよ。俺にテイムされた子は、皆等しく俺に負けた者だ。その中に優劣は無い。オークも、ゴブリンも、アースモールも、ドラゴンも、幻獣も......それぞれ出来ることと出来ないことがある」


『我儘な王だ。娘という位置付けをしておきながら、優劣は無いなど......』


「それはあの子達が望んだから叶えたまでだ。お前は少し、理解が浅いな。俺とヒカリの関係や、モグラ君との会話を聞いていないからそう言えるんだぞ」



平等に接してきたとは言わない。だが、対等に接してきたと、俺は胸を張って言える。

友人関係を望んだ子には友人としての関わり方を。

家族としての関係を望んだ子には、家族に対する愛情を注いできた。


例外は付喪神ぐらいだろうか。特にステラとか。



『私が悪かった。先程の発言を取り消そう』


「いいよ、別に。お前と話していると、俺が賢くなれる気がするからな」


『ふっ、言っている意味が分からないぞ』


「分かったら怖いわ。ドン引きして焼き鳥にするところだ」


『はっはっは! 私を焼き鳥にするなど100年はや......冗談だ。だからその殺気を収めてはくれないか? チビってしまいそうだ』



頭の上でプルプルと震え出したニクス。

コイツが言う、漏らす物も無いと思った俺だが、こと鳥の飼育に関してはちゃんと糞尿の概念があることを思い出した。



「鳥の飼育は大変だなぁ。余計な言葉を覚えられても困るもんだ」



そう呟いてから意識を外へ向けると、俺は歓声の海を割ってリングへと上がった。



『それでは! テイマー部門準々決勝、第1試合を始めます! 最後の注意ですが、幻獣を出す場合は1体のみで戦闘をしてもらうことになります!! よろしいですね?』



「「はい」」



『では、確認が取れたところで......両者、構え!』



俺は頭の上に赤い鳥を乗せたまま立っていると、対戦相手の真白さんはライトニングドラゴンを1体と、体が鋼鉄で出来たゴーレムが1体。そして真っ白な狐を1体呼び出した。


あの狐、凄く可愛い。超モフりたい。

試合が終わったらモフらせてくれるかな?



『始めっ!!!』



「作戦B。相手は幻獣」


「ニクス。相手してやれ」


『御意』



ゴーレムを先頭に列を生して突撃する真白さんチームに対して、俺は生身のニクスを前線へ放り出した。



「殺って」



鋼鉄のゴーレムの背後から、ライトニングドラゴンに乗った白狐が、青白い雷のブレスと共に真っ青な炎をニクスに放った。



『さらばだ。王よ』



◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇

テイムモンスター『ニクス』が回生しました。(2/3)

◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇



「何で!? 今その子は......ッ! もしかして」



一度、完全にポリゴンとなって散ったのにも関わらず、その肉体を保つニクスに対して、真白さんは恐ろしい物を見る目で俺を睨んだ。



「そそ、フェニックス。可愛いっしょ?」


『灰に()せ。王の凱旋だ』



ニクスは無数の羽根を散らすと、その羽根の全てが白い炎の塊へと変化させた。

これはジュエルゴーレムと始めて戦い、俺の持つ『不死鳥化』を入手した時と同じ、あの白い炎だ。


近くに立っているだけでも俺のHPが消耗されて行くが、可哀想なことに、その炎を直に浴びた3体のモンスターと真白さんは、ポリゴンすら残さず消えてしまった。



『しゅ、終了です! たった1羽の鳥で勝利を掴み取ったのは、ルナ選手ですッ!!!!!!!』


「「「ウォォォォォォォォォオオオ!!!!!!」」」



先程の炎に負けず劣らずの熱意の籠った歓声を浴びながら、俺はニクスを頭の上に乗せて控え室へと戻った。



「ただいま〜」


『戻ったぞ』


「「おかえりなさい!」」



笑顔で出迎えてくれる娘達を抱きしめるた俺は、この場に居ない、もう2人の子どもと1人の執事を呼び出した。



「初戦、勝ったぞ。ベル、メル、アルス」


「「おめでと〜」」


「おめでとうございます。ニクス殿も、素晴らしい活躍、お見事でした」


『ふっ、お前があの場に居ても結果は同じよ。あまり褒めるでない』



意外にも相性が良いアルスとニクスは、俺がのんびり組の2人を撫でていると話し込み始めた。



「さっ、男共は放って置いて観戦するぞ。ソルも出てることだし、きっと面白いぞ〜」





──そう。面白い戦いだと思っていたんだ。何せ、あのソルの戦いなのだから。


だが、現実は甘くなかった。だって──





『テイマー部門、準々決勝2回戦。あのソル選手を抑え、制したのは......!!』


『ラッキーハッピー選手だぁぁぁぁぁあああ!!!!』





「嘘......だろ......」



あのソルに手も足も出さずに倒したのは、俺の実父である、ラキハピさんだった。

ここで思った方も居るでしょう。

「メルちゃん達.....出ないの?」

と。


ご安心を。──で────が、────.....全部ピー音だとッ!? この気配.....ネタバレセンサー!?


仕方あるまい.....次回をお楽しみに!(ヤケクソ)

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