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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
最終章 最強決定戦
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頂点の争い


『弓術部門決勝戦は、ルナ選手とソル選手による対決となります!! 両者、ここまで1ダメージも負うことなく登り詰めた、正に頂点の争いです!!!!』



リングへ上がってソルと目を合わすと、ソルはいつものようにニコニコと明るい笑顔をしていた。



「ルナ君とこうして戦えるの、楽しみにしてたよ!」


「俺もだ。でも、こんな大人数に俺達の日常を見せるなんて、少し恥ずかしいけどな」


「ふふっ、そうだね! あ、今回こそは負けないから!」


「そこまで言うほど負けてないがな。お前、弓は得意なんだから胸を張れ」


「......うん、ありがとう。えへへ」



昔からソルの弓は美しかった。

一撃で目標を射抜く凛々しい姿に、俺は憧れていた......いや、憧れている。


今も尚、俺はソルの弓に憧れ、強く尊敬している。



『両者、構え!......始めっ!!!』



「ふぅ......50パーセント。50パーセント」



俺は長期戦になることを想定し、最低限の力で最大限のパフォーマンスが出来るよう、思考に集中のバランスを傾けた。



『来るわよ』


「迎撃する」



ソルの放った4本の矢は、俺の放った4本の矢と真正面からぶつかり、双方の矢がポリゴンとなって弾けた。



「嘘ぉーん!?」


「へぇ、矢同士が当たると消えるのか」


「ね! 初めて知った!」



そう言えばFSの弾丸もぶつかり合えば消滅したな。

......なるほど、あの時のサナ対インドラは、この時の為の練習台だったか。



ドパンッ!!! ドパンッ!!!



「12本だ。堕としてみろ」



俺の放った2回のセクスタプルショットは、例え必中効果が無くても、綺麗な放物線を描いてソル目掛けて飛翔した。



「ふふっ、甘々だね」



ソルはそう言うと矢を手に取り、風属性の魔弓術を使い、その矢で俺の12本もの矢を切り払った。



「上手いな。流石だ」


「そっちこそ。1本だけ敢えて急所を外したでしょ」


「あは、バレて〜ら」



矢を使って撃ち落とすことは想定していたから1本だけ足を狙ったのだが、まさかそれがバレるとは思わなかった。


とんでもない動体視力と反射神経だ。素晴らしい。



「そうだ。ガンマン宜しく、早撃ち勝負でもするか?」


「いいよ。必中は無しね」


「当たり前だ。必中があるとつまらないからな」



俺はアルテの形状を短弓に変え、左手の小指と人差し指と親指だけで水平に構えた。

そして残った中指と薬指を使い、高速でインベントリから矢を取り出して番え、ソルに向けて放つ。


まるでアサルトライフルの様な音を立てながら、お互いの矢が高速で飛び交った。



「痛てっ」


「ふにゃっ!」



双方早撃ちと言えど射撃精度が高すぎるせいか、結構なダメージを受け、与える結果となった。



「もう! お洋服破れちゃった!」


「巫女服にしないからだろ。自動修復に弓術補正あるんだからさ」



呆れた感じの声で俺が言うと、ソルは首を横に振って答えた。



「......ううん。あれは総合部門でしか使わないって決めてるから。巫女服はルナ君に貰った、最初のプレゼントだから」


「......そうか」



ラッキーーー!!! 自分から提案しといてアレだが、これ以上補正が掛かると俺の勝率がどんどんと下がるところだったんだ。


気持ちの面で勝ったソルだが、戦闘の面では敗北だ!



「そろそろ決めるか。巫女服を出し惜しみしたこと、後悔すんなよ」


「出し惜しみじゃないもん! 愛だもん!」


「残念だが戦闘に相手の愛もクソもない。強いて言うなら、全ての対戦相手に敬意という愛を向けるくらいか」


「む〜! もういい! 指輪、全開で使うもん!」



良いね。そう来なくっちゃ。

ソルの本気モードとも言える、ヘラの指輪の力を解放した時と戦いたかったんだ。だって、第2形態のあるボスみたいで、凄くワクワクするからな。


あぁ、強いプレイヤーとの戦い......楽しい!

最近は得られなかったギリギリの戦闘を演じられるこの大会が、本当に楽しい!



「最ッ高!」


『良い笑顔ね。後は任せたわ』



セレナが必中に介入しなくなったので、これで色々な戦略でソルと戦える。


まずは......上に撃つか。



バシュゥ!!!!



次はソルへ、そしてその次はまた上空へ。



「......何してるの?」


「儀式」


「儀式?」


「そう。俺の勝利を願う儀式」



無論嘘だ。全て計算した地点への射撃だ。

これがソルにバレていたら俺の敗北が確定するが......幸いにもバレていないようだ。このままソルの矢を迎撃しよう。



「いや〜、楽しいなぁ。こうしてお前と戦えるのをずっと楽しみにしてたんだ」


「私も。剣術では負けちゃったけど、得意な弓だと決勝までは来れるよね」


「俺達は特殊だからな。お前はスペシャル、俺はイレギュラー。正反対すぎて逆に綺麗だと感じる」


「私はスペシャルの自覚が無いけどね。普通に産まれて普通に生きてきた女の子だし」


「......それはどうだろう。お前の強さは明らかに普通じゃないからな。特別だろ」



俺の目は腐ってるからな。ソルを見れば、何でも特別だと思うフィルターが掛けられている。

料理を見ても、会話を聞いても、戦闘をしても。


何もかもが特別で、眩しく見える。




「じゃあな、ソル。俺の勝ちだ」



「え? まだ終わっ......」




俺が儀式と称して放った矢がソルの脳天に刺さり、ソルはそのままポリゴンとなって散った。




『そこまで!! 勝者、ルナ!!!!』




「あ〜、勝った勝った。実に危ない試合だったな」



俺は自分のHPゲージを見てみると、もう2割程しか残っていなかった。

減った内の3割は、本気モードのソルの矢に反応できなかった俺のミスだ。悲しきかな。


総合部門は最初から全開で来るだろうから、矢の速度を見れて良かったと捉えよう。



『それでは、次は槍術部門の本戦ブロックトーナメントとなります。選手の方は控え室にてお待ちください』



レイジさんのアナウンスで、俺は控え室へと飛ばされた。




次回『痴話喧嘩』お楽しみに!

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