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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
最終章 最強決定戦
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一閃の試合

4☆本☆目ッ☆




『これにて、テイマー部門の予選試合を終了します!』



「あぁ〜、リル〜!」


「父様〜!」



レイジさんが予選終了を告げ、俺の楽しい楽しいモフモフタイムが終了した。



「ルナ、予選通過おめっとさん。俺は無事に2回戦敗退だったわ」


「おう、ありがとうマサキ。残すは魔法と総合だけだ」


「総合は3つの本戦の後に予選があるから、楽しみだな!」


「あぁ」



テイマー部門の控え室から魔法部門の控え室に飛ばされた俺達は、またしても音魔法で部屋を作って話し合っていた。


すると今回は、戦闘系スキル部門では合わなかったプレイヤーとも同室のようだった。



「ル〜ナ〜君っ! 来たよ!」


「おっと、ソル。今回は同室だな」



俺を後ろから抱きしめてきたソルに、周りの男性プレイヤーが『本当だったんだ......』みたいな声を上げて驚いていた。



「テイマーの予選、観てたよ。リルちゃん達を出さなかったのは出し惜しみ?」


「そんな訳あるか。例えオークでも、ゴブリンでも、ゴーレムでも、ドラゴンやフェンリルとかの強いモンスターと渡り合えるシーンを見せたかっただけだ」


「おっ、エンターテイナーだね〜!」


「強さを自覚している以上、見ている人を楽しませるのも強者の仕事だからな」



ソルは俺の隣に座る前に魔女っ子衣装に着替えると、その大きな帽子を仕舞ってから隣に座った。



「シード権、羨ましいぜ。俺は2回戦で負けた以上、本戦に出たとしても負けるのは分かってるが、それでもあの運は羨ましい」



マサキは感情を強く込めて、ソルの運を羨ましがった。



「私としては戦いたかったんだけど、くじ運が爆発しちゃったからね。こんな事なら宝くじでも買えばよかったかな」


「金に困ってねぇのに宝くじとは、流石未来のお嫁さん。頼りにしてるよ」


「ふっふっふ。夫を支える者として、あって困らない物だからね! 例え貧乏生活でも、私はルナ君と一緒なら別にいいし」



「あちぃ〜! この2人、めっちゃあちィ〜!」



2人が楽しそうで良かった。マサキも落ち込んでる様子は見えないし、ソルは......ちょっとだけ甘えん坊モードに入ってるか? それぐらいだ。



「あっ、魔法の予選、始まるってよ」


「形式は戦闘系と一緒みたいだね。どうする? 被せる?」



そう聞いてきたソルに、マサキはブロック選択をしながら答えた。



「勿論パス。初戦敗退だけは嫌だからな。俺は遠いブロックに行くぜ」


「じゃあ俺はいつも通りBブロックに」


「じゃあ私もB〜。一緒に暴れようね」



そう言って腕に抱きついてきたソルに、俺は笑顔で──



「嫌だ」


「なんでぇぇぇ!?」


「ンなもん、最悪俺が死ぬからに決まってんだろ。ソルさぁ、INTやDEXに限っては俺よりステータスが高いの、忘れてねぇか?」


「......ソンナコトナイヨ」



忘れてたな。白狐が『人間』より尖ったステータスになるのは当然の事なんだ。ソルがそれを自覚してないとなると、俺の立つ瀬がない。



「はいダウト。俺は予選でソルと被せる気は無いから、別のブロックに行け」


「む〜!」



可愛く頬を膨らませて抵抗するソルの頬を両手で挟み、中の空気を押し出してやった。



「もし俺がソルを倒しちまったら、本戦で戦えないだろ?」


「......ムフっ。そういう事ならいいよ! Dに行く!」


「チョロい」



本音を言うなら、俺の自衛の為だ。

わざわざ予選で最強格と戦いに行くのはアホとしか言えないからな。



「2人とも、次に会うのは戦闘系の本戦ということで。じゃあな」


「バイバーイ」


「おう、またな!」



俺は一足先に控え室へ転移し、戦略の構築に時間を使った。




◇◇




『これより、魔法部門予選Bブロックの試合を始める! それでは......試合開始ッ!!!』



ナレーションが変わり、カズキさんの声で魔法部門の予選が始まった。



「本当にごめんなさい。『滅光』『滅光』『滅光』」



試合開始直後、俺は3門の巨大なドス黒い魔法陣を出し、MPを全て注いで発動させた。



ピカッッッ!!!!!!!



巨大すぎて全方位にばら撒かれた破滅の光は、手前に居る者から順に、ポリゴンすら残さず消滅させていった。


そして数瞬の後、光が消えると、森のフィールドだった予選会場は見るも無惨な荒地となり、俺の前方には4人のプレイヤーが立っていた。



『し......試合、終了。Bブロック予選、5秒で終了だ......』



「大勝利。やっぱ予選は速攻で終わらせるに限る」



そうして予選が終わって戦闘系スキル部門の本戦控え室に行くと、当然ながら誰1人として居なかった。



「これが早く終わらせることの弊害か。悲しいもんだ」



数分後にBブロック予選通過者の4人がやって来たが、誰も俺と顔を合わそうとしないので、いよいよ俺は嫌われ者への歩みを進めたのだろう。



そう思っていると──




「いっちばーん!......じゃない!?!?」




ソルが控え室にやって来た。



「お疲れ、ソル。残念だが1番は俺だ」


「くぅ! やっぱり各個撃破したのがタイムロスだったか〜......お疲れ様、ルナ君」



タイムロスも何も、速度を競う戦いじゃないんだがな。



「ルナ君の所はどんな試合だったの?」


「龍神魔法、手加減、最大出力」


「あ〜......だからあっちの4人は目が死んでるんだね」



ソルに哀れみの目を向けられた4人は少しだけ顔を上げたが、俺を視界に入れるや否や、一瞬にして目からハイライトが消えてしまった。



「嫌われ者ルナ君、誕生だ」


「私は大好きだけどね。ルナ君の事だし、魔法を使う前に謝罪とかしたんじゃないの?」


「......何で知ってるんだ?」


「ルナ君の事をよく知ってるから。私はルナ君のそういう所が好きなの。ちゃんと相手に敬意を払っているのが分かるから」



俺はソルのそういう所が好きだ。俺がどんな意図で言葉を発したか、読み取ってくれるから。


例え小さな小さな気持ちを込めた言葉でも、ソルはそれを丁寧に拾ってくれる。そんな所が、俺がソルに惚れた理由の30個目くらいにある。


好きな人の好きな所は沢山ある。それこそ、数え切れないくらいに。



「ありがとう」


「えへへ、ルナ君は私のどんな所が好き?」


「腕」


「腕!?......それはもしかして、フェチ的なサムスィング?」


「いや、技量とかを指す腕だ。家事、炊事、戦闘、会話......どれに於いても、高度な技量を持つ部分が好きだな」



ちなみに、体の部位の腕も大好きだ。

だが、あまり大っぴらに言うことでもないし、ここで言及してもソルに引かれそうだから辞めておこう。


ただ1つ言えるのは、ソルの全身が好き。



「なるほど。そういうのは初めて言われたかも。今まで家族も友達も、そういう部分は評価してくれなかったから」


「俺はお前の努力を知ってるから言えるんだ。話題作りの為に色んな流行りのネタを探している姿を見た時は純粋に尊敬した」


「......あはは、ちょっぴり恥ずかしいや」



照れくさそうに魔女っ子の帽子を深く被る姿に、俺の胸はドキッとした。そして心の緊張を解していると、つい口から本音が零れ落ちてしまった。



「......そんな努力をしている姿を見て、何度惚れ直s......何でもない」


「え〜!? そこまで来たなら言っちゃいなよ〜!」



危ない危ない。ここは俺達2人だけの部屋じゃないんだ。

2人の空間は作ったかもしれないが、流石に周りへの配慮もしないとならない。



さて、ここは話題を明後日の方向に飛ばすとするか。



「今日の晩ご飯はどうしよっかな〜」


「お肉だよ。ちょっと豪華にするつもり」


「......明日の朝ご飯はどうしよっかな〜」


「お魚があるから、和食だね」


「......昼は「お弁当作るよ?」......スーッ」




我が彼女よ。それは酷いじゃないか。




「俺の逃げ道を尽く潰してくるの、何なんだよ!」


「仕方ないでしょ! 昨日のうちに買ったんだから!」


「ど゛う゛し゛て゛だ゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!!!」


「買い物に付き合った人がそれを言う権利はありません!」


「正論パンチで1発K.O.俺のハートは一撃激ロー」


「急に韻踏むの辞めようよ」


「......好きにしやがれ」



俺の負けだ。今のソルに勝つ術を、俺は持ち合わせていない。



「もう、拗ねないの!」


「拗ねてねぇし。今まで拗ねたことなんかねぇし」


「じゃあ今のルナ君の状態を客観的に言うと?」


「拗ねたクソガk......オイ!」


「私は何も言ってないよ」


「もうヤダこの人......会話させてくんないよぉ......」




悲しいことに、俺は控え室で全敗の敗者として過ごすことになった。


という訳で、本日のスーパー更新タイムは以上です。

次回は戦闘系スキル部門の本戦からスタートします。多分。


それでは、お楽しみに!

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