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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
最終章 最強決定戦
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かち割り御免

かち割りメンゴ




「盾術の次に厳しいのは斧術だよな」


「だな。斧に特化したトッププレイヤーは、大抵がSTR2万はあるしな」


「高いなぁ。ってかどう考えても斧に必要なのはDEXだろ」


「仕方ねぇよ。敵の頭をかち割れなきゃ存在意義が無くなるし、そもそも魔法より火力の出るスキルだからな? 

STRに特化させて、長所を伸ばすスタイルを取らねぇと無理なんだ」



ガーディ君と遊んだ次の日。俺はマサキを誘い、現状で解放されているエリアの最前線である、『モリス鍾乳洞』に来ている。


ここではら異様なまでにVITが高い敵が出現し、基本的には戦闘をせずに逃げた方が良いと言われる場所だ。


まぁ、逃げてもボスを倒せなきゃ意味が無いから、逃げる意味なんて殆ど無いがな。



「ルナ」


「もう足止めしてる」


「ナ〜イスっ!」



俺はマサキが名前を呼ぶ直前に、サーチにずっと引っかかっていた『スタラクティ・オーク』の手足を糸で縛った。


そしてマサキが突撃したタイミングで『桜器』で斧を錬成し、マサキの後ろを追いかけた。



「どっっっせい!!」



ガンッ!!!!!!



マサキが叩き込んだ大剣による強烈な一撃は、見事にオークの上腕二頭筋に弾かれた。



「スイッチ!」


「了解。『桜器』」



前線を交代し、俺は斧を錬成しながらマサキと入れ替わるような形でオークの元へと走った。



「ここだな」



俺は、オークの皮膚が薄い瞼に攻撃を入れるべく、身長3メートルはあるであろう高さに跳躍した。


そして斧を横に持ち、絶望のおまじないと共に一閃する。



「おやすみ。【軍神】」



超強化された俺の一撃はオークの瞼どころか頭を貫き、急所判定にプラスしてクリティカルも出たので、一撃で仕留めることが出来た。



「ヒュ〜♪ コイツを一撃で倒したヤツ、初めて見たぜ」


「ビビってズルもしたからな。本来のステータスで倒せるか分からないし、まだ確定で一撃じゃないぞ」


「それでも、だ。あのルヴィでさえ、初見は5分もかかってたからな」


「へぇ〜」



そのタイムが早いのか遅いのか、俺には分からない。

基本的に一撃か苦戦するかの2択が多い俺に、長期戦と言わせたいなら6時間は戦わないと伝わらない。


このゲームで戦う時の感覚が、もうバグってるんだ。

俺の頭の戦闘時間感覚は死んだよ。



「ボブ、俺の魔法が効くか試しても良いか?」


「いいぜフランク。ファンタスティックなヤツを見せてくれよ」


「あぁ、任せろ」



次にオークが出たら魔法を使うことを宣言し、俺とマサキは鍾乳洞の攻略を進めた。


そして20分ほど褐色のゴブリンを2人で薙ぎ倒していると、遂にお目当てのオークが現れた。

褐色の肌に豚の顔を持つ巨大な姿で、先の尖った鍾乳石を振り上げて威嚇してきた。



『ブォォオオオ!!!!』


「ツルツルお肌にしてやるよ、岩石オーク。『クロノスクラビス』『イグニスアロー』『アウラ』」



一瞬だけオークの動きを止め、オークが再度動き出すと同時に30本のイグニスアローがオークへと突き刺さった。



『ブモッ!!』


「え〜? 刺さるのに死なないのか? HP高すぎんだろ」


「そんなもんだろ。ここは高防御、高HPが基本だからな。スキルレベリングにはちょうど良いだろ?」


「まぁな。『滅光』『グレイシア』『テンペスト』」



俺の魔法を見て、鍾乳石を盾のようにして構えで近付くオークに、俺は高火力龍神魔法3連コンボを叩き込んだ。



バキバキバキバキバキ!!!!



滅光で鍾乳石を破壊し、続くグレイシアで体が凍結したオークに、風による不可視の刃で無数の傷をつけることに成功した。


そして傷から血のボリゴンが流れると共に、オークはポリゴンとなって散った。



「いや〜、MPの消費がキッツイな〜」


「どれくらい使ったんだ?」


「え〜っと、スキルで消費か減るから......大体5000くらいか?」


「それは重いな」


「だな。回復に9分かかるから、もっと別の魔法を試さないと」


「......MP回復系のアクセサリー、俺も欲しいぜ」


「残念ながら今持っているコレ以外、ちゃんと上手くいったヤツが無いんだ。多分、相当運が良くないと無理だ」



俺は改めてフレイヤさんに感謝し、ブリーシンガメンの強さを実感した。


本来はもっとMPを使うはずなのに、マナ効率化とケリドウェンの効果で4分の1になっていることの有難さを再認識し、今度はフーに感謝した。


フーがマナ効率化を教えてくれたから、あの時も気力マックスで挑めたからな。



「あ〜ヤダヤダ! 俺はルナの困り顔なんて見たくなかった!」


「なんでだよ。俺だって困る時は多いんだ」


「俺の中でのお前は、『何でも出来る完璧超人』だからな。1度は失敗しても、次には成功してるイメージだ」


「夢見てんなぁマサキ。俺はただ、諦めようとしたらリル達に背中を押してもらってるから頑張ってるだけだぞ? もし俺1人なら、そもそもここまで強くなろうと思わないだろうな」


「ダウトだ。お前はどんなゲームでも最強かそれに近い存在になろうとする。リルちゃん達も理由の1つかもしれんが、ルナは元々、そういう高みを目指す人間だ」



ワオ。まさかマサキにそこまで見られてるとは思わなかった。

確かに、今まで触れてきたゲーム......対人戦もカードゲームも、大量の経験値を積んで高みを目指してきた。


たまたま相性が良かったゲームがFSやユアストだっただけで、俺が確実にどのゲームでも高みに到れるかと言われたら、否定するからな。


でも、マサキは俺の心を見て話してくれた。だから、そもそも否定なんて意味が無い。



「ご名答。俺はハマったゲームに積む経験値が常人の比ではない。だから大抵は強いプレイヤーになれるが、最強とまでは行かないんだよな」


「だろうな。ルナちょっと、情報に疎い部分もあるからなぁ。ルナだけが持つ情報と、それ以外の人物が知っている情報面で俺は心配だ」


「昨日、ガーディ君にも言われたよ。『アプデ情報くらいはちゃんと確認してください』って」


「ハハハ!!! あのガーディに言われるとは、相当無知な状態で話したな?」


「ったりめぇだ。運営からの情報より、現地の人と話す方が楽しく覚えられるからな」



フーやシリカ、イブキ達と喋った内容はよく覚えてる。

アイツらと話す時は楽しくて、記憶に刻みやすいんだ。


それに、ウィンドウを見るという行為自体、俺はあまり好きじゃない。

このゲームのシステム上、大抵の事は現地人が知っているんだ。


そもそものコンセプトとしても、ウィンドウを見るより人と話して聞いた方が、真にこのゲームを楽しめていると感じる。


まぁ、俺の考えがひねくれているだけだと思うが。



「よし、マサキ。久しぶりにワールドアナウンスを流そうぜ」


「だな! 未攻略エリアをたった2人でクリアしたとなれば、また俺の元に情報を求めて金を持ってくる奴が増えるぜッ!!!」


「汚ねぇなぁ。っていうか俺の元にはそんな奴、来ねぇぞ?」


「お前はある意味、触れてはならない人物だからな。フレンドでもない限り、ルナから情報を買おうとする奴はいねぇよ」


「そうなのか」



例のあの人、とか呼ばれてそうだ。いや、銀髪さんの時点でそう呼ばれているのは確実か。



「んじゃ! 行きますか〜!!」


「レッツゴー!」




そうして俺達は、何事もなく『モリス鍾乳洞』のボスを倒し、ワールドアナウンスに名前を流した。




「斧術......良いかもしれんな」

オーノー。


次回『バカップル』お楽しみに!

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