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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
最終章 最強決定戦
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甘くとろけるプレゼント

毎日朝までゲームやってると、生活リズムって壊れるんですね。


「そろそろかな。皆、準備はいいか?」


「バッチリです!」


「ん。このときをまってた」


「準備お〜け〜」


「大丈夫です。兄さんこそ、張り切りすぎて疲れてない?」


「大丈夫に決まってんだろ?......と、言いたいところだが、俺のは物が物だけに、緊張してる」



ソルが帰ってくる3分くらい前に、俺達はリビングに豪華な飾り付けをし、沢山の華やかな料理を準備してソルの帰りを待っていた。



「フー達はどうだ?......って、聞くまでもないな」


「はい! バッチリです!」


「なら後は待つだけだな。待機!」



そうして5分程度、皆でソワソワしながら待っていると、遂に本日の主役が帰ってきた。


ガチャリ、と音を立てて玄関の扉を開け、ソルはそのままリビングへとやって来た。



「たっだいま〜!!!」


「「「「「ハッピーバースデイ!!!!!」」」」」



クラッカーが用意出来なかったので、それぞれが大きな声で祝いの言葉を上げた。



「わぁ......! 凄く豪華! 皆、ありがとね!」


「ちゃんとプレゼントもありますからね! 期待してください、母様!」


「うん!」



そうして主役が揃い、楽しい誕生日パーティが始まった。



「ではでは、母様へのプレゼントを渡しましょう! 私達からは、コレを贈ります!」



フー達が作ってくれた料理を食べ終えたタイミングで、リルが声高々に皆へ伝え、その手には小さな箱を持っていた。



「これは......イヤリング?」


「はい! 4人で考えて選びました。母様の高い器用値を、更に伸ばせるようにと、良い宝石が使われている物です!」


「ありがとう。大切に使わせてもらうね!」



ソルは早速イヤリングを着け、一緒にプレゼントを選んだ4人を抱きしめた。


良い絵面だ。見ていて心が癒される。



「では、メインディッシュはルナさんなので、先に私達から。私達からは、こちらの誕生日ケーキを贈ります!」



フーが合図を出すと、ワゴンに乗った大きなケーキをイブキが運んで来た。


ケーキには『お誕生日おめでとう』とテンプレのデザインクッキーと共に、ソルを象った金色の狐のデコレーションクッキーも付いていた。


こちらは素直に凄いと言える品だ。


狐のアイディアを出したことも凄いし、何と言ってもそれを実際に行える技術が素晴らしい。



「これ、俺のプレゼント霞んでね? メインディッシュどころか、オードブルだろ」


「ルナ君は何にしたの?」


「俺は──」



インベントリからソルへのプレゼントを取り出し、ソルの手に収めた。



「......え〜っと、『お願い1つ何でも聞く券』?」


「あぁ。そうだ」


「これ、許容範囲は?」


「......無い」


「無いの!? つ、つつつまり......え、本当に?」


「本当だ。期限も無いし、好きな時に使ってくれ。あっでも、『大会で負けろ』とかは聞かないからな」


「その辺は大丈夫だけど......うへへ」



悪い顔をしてらっしゃる。


この券は、本当に俺が何でもお願いを聞き、叶える券だ。

リアルでも、ゲームでも、彼女が思い、願ったことを俺が叶えるだけの物だ。

使用回数は1度だけ。但し、『負けろ』以外のお願いは何でも聞く。


そう、何でも。



「じゃあ、これは大切に取っておくね。本当にお願いしたい時に使わせてもらうよ」


「そうしてくれ。それじゃ、ケーキの時間だ」



大事そうに券をインベントリに仕舞ったソルは、俺に抱きついてからケーキを切り分ける作業へ取り掛かった。




◇ ◆ ◇




「いや〜、楽しかった。あの狐のクッキー、シンプルに完成度が高かったな」


「だね! 月斗君の誕生日も、派手に祝わなきゃ!」



ユアストでの誕生日パーティが終わった俺達は、明日が始業式ということもあるので、早めにログアウトさせてもらった。



「質素でいいよ。はぁ......陽菜がもう、18歳かぁ」


「そうだよ18歳だよ。エッチなコーナーに入れるよ」


「そう言えばそうだな。まぁ、俺はまだ17だし、縁の薄い所だな」



ええんや。そこに入るのが不健全とは言わないが、一定のルールを守らないのは不健全だと言えるからな。


俺はまだ、純粋な男の子で居たいのさ。



「あんまりそういう話をするなら、襲っちゃうよ?」


「お前から話を振っておいてそれは無いだろう!?」


「冗談冗談、陽菜ちゃんジョークだよ......じゃあ、そろそろ寝よっか」



陽菜が言うと冗談に聞こえないのは何故だろうか。


それはそうと、部屋の電気を消されてしまったので、俺も仕方なしにベッドに入った。

すると陽菜は俺の腕に抱きつき、なでなでを要求してきた。



「よしよし」


「......年上彼女が甘えるシーン、良くない?」


「この場合、年上彼女より幼馴染彼女の方が当てはまると思うがな」


「いやいや、年上だからこそ、普段は甘えられないのに時々見せてくれる甘えた時の表情が良いんでしょ? それに、今は私が年上だもん!」


「......顔、見えないが」



真っ暗な部屋なんだ。隣を見ようとしても、何かがモゾモゾと動く気配しか分からない。



「心眼で見て」


「我はシヴァなり」


「それは第3の目だね」


「ちょっと神社行ってくる」


「それは心願だね」


「これ、ホンモノ?」


「それは真贋......もう!」



素晴らしい。俺のボケに全てツッコミ返すとは、流石は関西の血を引いている者。

こういう、ちょっとしたくだらない事で笑い合える、今みたいな関係を続けたいんだ。


それは例え、結婚した後でも、な。



「ははっ、おやすみ」


「んむぅ〜......おやすみ」



可愛い唸り声を上げた陽菜は、俺の頬を両手で挟み、唇にキスをしてから俺の腕を枕にして眠った。



「っ!......全く」



何とも可愛い反撃をしてくれたことか。少しばかり、目が覚めてしまったではないか。


俺は少し陽菜に近寄り、あやすイメージで頭を撫でた。


そうして数分ほど陽菜に触れていると、いつの間にか俺の意識は深い深〜い、海の底へと沈んでいった。




◇翌朝◇




閉めたカーテンに太陽の光が当たり、部屋が明るくなった頃。俺は陽菜が動く感触で目が覚めた。



「......おはよ、陽菜」


「お、おはよう月斗君」



瞼を開けずに挨拶をすると、陽菜はどこか焦ったように答えてきた。



「何だ?」



俺は不思議に思って瞼を開けると、頭を撫でていたはずの右手が、何故か陽菜の柔らかいお胸へとダイブしていた。



「......うん、柔らかい」



右手で掴むようにイメージして動かすと、指先からは柔らかい反応が返ってきた。



「あは、あはは。月斗君?」


「......なに〜?」


「一緒に遅刻しよっか」


「ハッ!!!」



陽菜の言葉で目が覚めた。ちゃんと脳が働き始め、今しがた自分が何をやったのかも、詳細に情報が送られてきた!


やべぇ、やっちまったぞ!!



「すまん!」


「手はまだおっぱいだけど......」


「ぬおっ! な、ナンダコレハー。手ガ勝手二ー」


「ほう、朝からそういう事をするんだね。いや〜、月斗君は朝タイプってヤツなのね。知らなかったよ。じゃあ学校に遅刻すること伝えよっか」


「いや待て。確かに追加で3モミしたのは悪いと思うが、遅刻はせんぞ。流石に始業式から遅刻すれば、同じクラスになる奴に白い目で見られる」


「急に理性を取り戻したね......続き、しなくていいの?」


「し・ま・せ・ん」


「そっか......」



何故か残念そうな陽菜の体を持ち上げ、俺はクローゼットに入れてある2人の制服を取り出した。



「同じクラスだといいな」


「私は別のクラスがいいな〜」


「えっ......なんで?」


「だって、私の教室から月斗君の居る教室に行って、『お弁当食べよ〜』って言うの、夢だもん」


「あぁ、そういう事か。まぁなんだ。今年もよろしく」


「うん! よろしくね!」




一緒に着替えた俺達は、普段通りに朝の用意をしてから2人で登校した。

でも陽菜さん、本心では隣の席が最強ポジだって分かってる.....よね?


次回『クラスチェンジ』お楽しみに!

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