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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
最終章 最強決定戦
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誕生日は初恋と共に

久しぶりに毎日更新を辞めてみました。

いつぶりでしょうか? お休みしたのは。




◇ ◆ ◇



「陽菜。誕生日おめでとう」


「ありがとう! 私、もう18歳になっちゃったよ〜」



チマチマとリル達に俺の持つ技術を与えていると、もう陽菜の誕生日が来てしまった。


今日は4月の4日。陽菜が産まれた日だ。


ちなみに俺は、4月の7日産まれだ。つまり、3日ほど陽菜が年上になる期間がやってくる。



「さて、ガキンチョ」


「......一個下の男をガキンチョって言う人、初めて見たんだが」


「いいの! この3日間、私はお姉さんになるから!」


「そうか。でさぁ陽「敬語を使いなさい!」......仕方ないなぁ」



我儘である。だが、そんな陽菜が可愛くて仕方がない。

俺の出来ることなら何でもしてあげたいし、極限まで叶えてあげたいと思ってしまう。



「陽菜さん。デートに行こうと思うのですが、本日の予定は何かございますか?」


「......ごめんね。いつも通りに接してもらっていい? なんか、凄く距離感を感じて......泣きそう」



改まって陽菜をデートに誘ってみたが、予想よりも100倍ほど早く、自分のやった行いについて反省し始めた陽菜。


俺はこうなる未来が見えていたので敢えて距離を取ったが、まさか涙目になるとは思わなかった。


堪らず俺は、陽菜を抱きしめた。



「気を付けろよ? それで、今日はどうだ?」


「大丈夫。ずっと暇」


「それはそれで悲しいが......行こうか。陽菜に誕生日プレゼントもあるしな」



陽菜の頭を撫でた俺は、外に出る為に部屋に鞄を取りに行った。



「すぅ......はぁ。よし、どんな返事も『はい』で答える。心の準備はOKなの。よし、よし!」



リビングから何かの気合いを入れる陽菜の声が聞こえてくるが、俺は陽菜の想像通りに行かない未来を選ぶことに、少々申し訳なさを抱いた。



「じゃ、行くか。何にも予定は決めてないし、散歩の延長線上だと思って歩こうぜ」


「うん! 一緒に居るだけで楽しいから、それでも満足!」



可愛い。いつも笑顔で隣に居てくれる陽菜の、嬉しい本音の言葉を聞けて俺は嬉しくなっちゃった。

俺も陽菜と一緒に居るだけで楽しくて、毎日が色に溢れていて、最高なんだ。


そんな陽菜の誕生日に、感謝のプレゼントを。



「昼ごはんは家で食べたし、ぶらぶら買い物でもするか。そう、アレだ。ウィンドウショッピングってヤツだ」


「分かった。手、離さないでね。はぐれちゃうから」


「お前は凄まじい速さで逃げていく子犬か何かか? そんな、ちょっと手を離したくらいで逃げる女じゃないだろう」


「いや、逃げるよ。今の私は緊張してるからね。ちょーきんちょーしてるから」


「ちょーきんちょーしてたか。ならば仕方ない」



お互いに適当な理由を付けて手を繋ぎ、都会のコンクリートのサーフィンを楽しんだ。


新作ゲームの情報やユアストのアップデート情報などを頭にぶち込み、俺は陽菜と楽しい時間を過ごさせてもらった。


さぁ、ここからはお返しの時間だ。こんなに楽しい時間をくれたのも、そんな陽菜が産まれたのも、今日という日があったからだ。


誕生日という、特別な日が。



「もう夜だね! 1日って、短いなぁ」


「だな。それじゃあ陽菜、これを受け取ってくれ。俺からの誕生日プレゼントだ」


「これは......」



俺は鞄から誕生日プレゼントを取り出し、陽菜にとある箱を渡した。



「......ネックレス?」


「そう。星のネックレス。陽菜に似合うと思って、2分くらいで選んだんだ」


「短っ!!!」


「一目惚れだったからな。ビビッと来たんだ。『これは陽菜に似合うッ!』ってな」



陽菜に告白した時にプレゼントした、月と太陽のネックレスの別バージョンだ。

親指の爪ほどの大きさの星と、その周りに可愛く付けられている小さな星の装飾がされている、銀色のネックレスだ。


誕生日プレゼントに何が良いか迷った結果、告白した時の日を思い出したのが、アクセサリーという選択をした理由だな。



「えへへ、嬉しい。ありがとう。それと......着けて」


「はいよ、姉御」



俺は陽菜の首に手を回し、数秒ほどでネックレスを着け終えた。



「うん、似合ってる。可愛いよ」


「えへへ」



可愛く照れる陽菜の頭を撫で、俺はまた手を繋ぎ直した。


そして帰り道を歩いている途中に、俺は陽菜が1番気になっていたであろう事について触れた。



「指輪はもう少し待て。武術大会が終わるまで、あと1ヶ月だけ待ってくれ」


「......うん。待ってるね」


「おう、待っててくれ。もう後には引けないからな。愉しみにしているといい」



俺は胸を張って答え、街灯が明るく照らす、少量の星空を眺めて歩いた。




◇ ◆ ◇




「──という事があってな。今日はソルの誕生日なんだが、皆は何かプレゼントとかあるか?」


「母様に......ないですね」


「「な〜い」」


「姉さんの誕生日、もう少し後だと思ってた」


「ソルさんの誕生日なら、今日のご飯は豪華にしましょう! 私達使用人からは、ケーキをプレゼントします!」



ヴェルテクスの城の会議室にて、ソルを除く魔境の島の住人が話し合いをしていた。


内容としては、ソルへの誕生日プレゼントだ。

陽菜へは渡したが、ソルには渡していない。

同一人物だが、確かに違うこの2人に、俺も何か贈り物をしたいと思ったんだ。



「父様、以前は何をプレゼントされたのですか?」


「......プレゼント、してません。渡せなかったと言うか、去年の誕生日に関しては出会ってすらいないからな」


「なるほど。あ、良いこと思いつきました!」


「何だ? 言ってみ?」




「母様に直接聞いてみましょう!!!」




「はぁ......リル」


「「「リルちゃん......」」」


「えっ......え? 良いと思ったのですが......」



正直すぎるぜ、リル。本当に素直で、芯が真っ直ぐで、ちゃんと人に聞こうと出来るのは素晴らしいことだ。


でも、でもだ。ことプレゼントやサプライズに限って、『本人に聞く』なんてことをすれば、サプライズ特有の急なハッピーを味わって貰えないだろう?


だから、今回は俺達が独自で考えねばならない。皆で、ソルに感謝する為に。



「俺はアクセサリーにし......いや、今日ネックレスあげたな。じゃあどうしようか。服とかが良いのか?」


「パパ。ママはじぶんでおようふくつくるよ?」


「デスヨネー。じゃあ、料理とか?」


「それは〜、フーちゃん達が〜、作るよ〜?」


「デスヨネー。それじゃあ、武器とか?」


「姉さんは武器よりも自分の技術が欲しいかと」



俺の持っている4つの案は、それぞれ行き先が全て決められていた道となっていた。



「......助けてリル。皆がいじめてくる〜!」



俺は皆からフルボッコにされたので、涙を流しながら膝の上のリルに顔を埋めた。


モフモフが......気持ち良いです。



「あ! リルちゃんだけずるい!」


「甘いですね、チェリちゃん。父様に抱きつかれるコツというものを、まるで分かっていない。いいですか? 父様は、唯一自分を否定しなかった人の所へ行くのです。つまり、今回みたいな時は──」



俺の頬を優しく撫でる銀色のモフモフが、リルの言葉と共にピコピコと動き、擽ってきた。



「──ということで、父様の惹くコツはッひゃあ!!」


「リルちゃん?」


「父様!!」



話の途中で素っ頓狂な声をあげるリルに、チェリが心配そうに様子を伺ってきた。



「ごめんごめん。つい可愛くて」


「もう!!......今回だけ、ですからね?」


「兄さん、何をしたの?」


「秘密だ」


「え〜」



本当はリルの耳をパクっと咥えたのだが、皆からは普通に顔を埋めているようにしか見えていないだろう。

ちょっとばかり、俺の心を知りすぎているリルへのお仕置きだ。



「じゃ、各自ソルへのプレゼントを用意するように。皆で用意してもいいから、ソルへの感謝を忘れずにな」


「「はい!」」


「「は〜い」」




ということで、リル達4人はイブキを連れて買い物に行ったので、俺は1人寂しく城の鍛冶小屋へ向かった。




「な〜に作ろっかな〜......って、先客が居た」


「やぁルナ。先に失礼してるよ」


「うぃ〜」



珍しいことに翔が小屋を使っていたので、俺は踵を返して魔境の島にある鍛冶小屋へ来た。



「やっぱアクセサリーかn......マジかよ」


「あ、ごめんねルナ君。今使ってる〜」


「あいよ。良い物作れよ〜」


「は〜い」



何だこの気持ちは。

まるで、学校の1階のトイレが満員だから2階のトイレに来たのに、そこも満員だった時の気持ちに似ている。


別に急を要する訳ではないけど、公衆便所にでも行こうかな。



「本日はどのような用件で?」


「鍛冶です」


「鍛冶は......現在満室でございます。30分ほどお待ち頂けると空くのですが、お待ちになりますか?」



なるほど。そこまでして俺に鍛冶関係の施設を使わせたくないのか。ふ〜ん。


そういう事なら別にいいよ。もう、鍛冶しないから。



「......じゃあいいです。帰ります」


「申し訳ございません。またのご利用をお待ちしております」


「はい......」



俺は語り人用の生産所を出た。



「初心に帰って、イニティにでも行こう。もしかしたらヒントがあるかもしれないし」



途方に暮れるでもなく、俺はソルの為に、ソルに感謝する為に、最初に出会った町であるイニティへと噴水ワープした。

にくきうぷにぷに。


次回『甘くとろけるプレゼント』お楽しみに!

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