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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
最終章 最強決定戦
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日進月歩

ニンニン!



「──という事がありまして、昨日はお騒がせしました。ごめんなさい」


「ごめんなさい!」



破局寸前状態になった次の日。無事にこれまでの関係の維持、及び向上が出来ると見たので、双方の両親へ謝罪した。



「いいよいいよ。久しぶりにお母さんらしい事も出来たし、これからも何かあったら相談しなさい」


「父さんも同じかな。2人が無事で良かった」


「うんうん。陽菜が飛び出したと聞いた時は焦ったよ。しかも、あれだけ関係の良かった月君との問題だ、って言うから、尚更」


「廊下を走る月斗君を見たけど、『青春』って感じがして良かったわ。陽菜も見付けて貰ったし、言うことは無いね!」



温けぇ......本当に居心地が良い。ありがとう。だが陽奈さんの意見が1つ飛び抜けてるの、違和感が強い。



「ホント、ごめんなさい。これからは2人でひっそりと生きていきますんで」


「すんですんで」


「心配はかけると思いますが、迷惑はかけないようにします」


「しますします」


「......陽菜?」


「んぐっ......だって、何言ったら良いか分からないから......」



その気持ちは分かる。両親には申し訳ない気持ちと感謝でいっぱいだし、その殆どを俺が喋っちまったからな。


でも何か、一言くらいは言えるんじゃないか?



「まぁ、フライングで色々な情報を月斗君から貰ったから、今度はハッピーな報告が出来ると思うよ! だから楽しみにしててね!」


「良い報告を、待ってるよ」



太一さんのこの言葉で話し合いが終わり、それからは各々がリビングで雑談やらテレビ鑑賞やらを始めた。



「じゃあ俺は道場行ってくる」


「私も〜」


「行ってらっしゃい。気を付けてね」


「「は〜い」」



俺達は母さんに道場へ行くことを伝え、着替えや飲み物を入れたリュックを背負い、2人で手を繋いで家を出た。



「月斗君。足、大丈夫なの?」


「大丈夫だと思うぞ。一応薬を塗って寝たから傷は塞げているし、朝にもチェックして問題無かった」


「そう? でも無理しちゃダメだからね?」


「無理はしないさ。どうせ師匠にバレるだろうしな」


「そっか。それもそうだね」



あの人の目を舐めてかかってはいけない。人が弱っている部位を見抜くなんざ、師匠にとっては造作もないことだ。



「それより、陽菜の心は大丈夫か? 昨日一緒に寝たけど、抱きついて離れなかったぞ?」


「ふっ......嬉しかろ?」


「控えめに言って最高だったな。で、大丈夫か?」


「大丈夫じゃなかったら月斗君が気付くでしょ? そんな月斗君が何も言わないんだから、だいじょ〜ぶ」


「可愛いなぁ」



俺に信頼を寄せてくれてありがとう陽菜。



「えへへ、最近気付いたんだけどね」


「おう、どうした?」


「私ね〜、月斗君に頭を撫でられるの、すっごく好きみたい」


「......帰ったらずっと撫でてやるよ」


「そうじゃなくて、ちょっとした時間に撫でて欲しいの。こう、ふとした会話の合間とか、のんびりしてる時に」



くっ......! 何だこの可愛い生き物はァ!!!!!


いつも撫でられていると、その行為に対する価値が薄れるからって、ふとしたタイミングを狙って欲しいだと!?


アカンよ、それは。俺が意識しちゃうもん。アカン。



「もう撫でれねぇわ」


「どうして!?」


「俺の心が変わった。これから陽菜の頭を撫でる時は、覚悟を決めてその髪に触れるようにするわ」


「もう! 好きに触っていいんだよ? ほら、ユアストでモフモフする時みたいにさ」


「......いいのか?」


「いいよ。私が求めてるもん」


「じゃあそうする」



あ〜ダメだ。死ぬ。陽菜が可愛すぎて俺が死ぬ。心臓ポーンッ!!! ってする。



そんなこんなで道場に着くと、いつも通り師匠が木刀を振って体を温めていた。



「ちわ〜」


「こんにちは!」


「おう、来ると思ってたぞ。今日は陽菜もやるんだな?」


「はい! 3年ぶりにお願いします!」


「あぁ。準備してこい」



そうして道場から続いている更衣室で着替えようと思い、陽菜と一緒に歩いて行くと──



「ん? お前ら一緒の部屋で着替えんのか?」


「「ん?......あっ」」



危ねぇ、普通に一緒に着替えようとしていた。俺の家じゃあ、しょっちゅう一緒の部屋で着替えるが、こうして再認識してから同室で着替えるとなると、少し緊張する。



「まぁ別にいいけどよ。ただ部屋は汚すなよ?」


「汚しませんよ。何言ってんのですか」


「そうですよ。汚しても掃除すればいいんですから」


「ん?」


「は?」


「え?」



陽菜......さん?



「よし、先に着替えてきていいぞ、陽菜」


「いやいやいやいや!! 冗談だよ!? 陽菜ちゃんジョークだよ!?」


「知ってるか? 冗談って、相手に伝わらなければ冗談で済まないんだぜ」


「ぶー!!」



可愛く抗議する陽菜に、俺は鼻で笑った。



「ハッ、冗談にしたいなら普段の言動を改めることだ」


「......分かった。もっと積極的に行くね」


「そうじゃないんだよなぁ」



犯行宣言とも取れる言葉を口にした陽菜は、最後にニヤッと不敵な笑みを浮かべてから更衣室に入って行った。



「なぁ、お前の彼女危なすぎねぇか?」


「いや〜......でも可愛いから仕方ないんですよねぇ」


「お前も相当にバカだった。戦い方や守り方は教えたが、女については教えてねぇもんなぁ」



俺、嫌だよ。師匠にそんなこと教わりたくない。



「まぁ、師匠に教えられたところで後から陽菜が塗り替えてくれると思いますよ? 積極的な陽菜って、マジで女の子じゃないですから。狼です」


「彼女相手にそこまで言えるとは、お前も成長したな。いや、成長させられたのか?」


「よくご存知ですね。今の俺を構成してるの、7割くらい陽菜ですよ」


「お前消えかけてんじゃん」


「心が弱いですからね、俺」


「そこも陽菜に成長させてもらえ。肉体は俺が育ててやるよ」


「肉体も陽菜に頼みますわ」


「は?」


「ん?」


「ンだお前。これまで散々鍛えてやったろうが」


「師匠だけの力ではないですがね。陽菜も含めて、2人に鍛えてもらいましたね」


「いや、いやいやいや! 明らかに9対1で俺が育てたと言っても良いだろうが!!」


「いやいや、6対5で師匠ぐらいですよ」


「1オーバーしてんだよバカが!!」


「誰が『10が上限』って言ったんですか! あぁ!?」


「おう!? やんのか!?」


「やってやりますよ、えぇ!!」





「2人ともうるさい!!!」





「「ごめんなさい」」



やはり、陽菜は強いな。可愛くてカッコよくて優しくて賢くて強いとか......もう、陽菜がこの世で完璧な存在と言える。



「じゃ、着替えて来ますかね」



退散だ退散! 危険な場所は直ぐに離れろ〜い!

何とかいつも通りの2人に戻ったみたいで、ほっとしてます。



次回『強すぎるんですけど!』お楽しみに!

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