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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
最終章 最強決定戦
443/492

感動の再会(笑)

久しぶりの予告裏切り。


    ズバッ!

ゆずあめ→→→→予告


予告<や、やるじゃねぇ.....か.....グフッ



「しまった。あの子達に街への同行について聞けば良かった。リザードマンのせいで忘れてた」



折角の案内人を取り逃してしまった。俺の思考の引き出し、鍵が硬すぎるぞ。



「まぁいいや。明日にはロークスに着いていると祈ろう」



リザードマンからドロップした肉を食べ終え、飢えと渇きを満たした俺は、ビーチパラソルとビーチベッドを設置して眠りについた。



◇◇



「よし、今日も元気にやって行こー!!」



太陽が昇る前に起きた俺は、元のラキハピさんらしく元気な声で気合を入れた。



「今日はもう、無の心で歩くぞ! 途中に起きる何やかんやは全部無視! 街に着く事だけを目的にする!」



今日の方針を立てた俺は、ミニマップで方角を確認し、砂まみれになったビーチベッドとパラソルを仕舞い、剣を腰に提げて歩き出した。




◇8時間後◇




「着いた〜! やった〜!!!」



朝から歩き始めて7時間くらいたった頃に、小さな村を見付けたのだが、そこから出る馬車がロークス行きだと言うので乗っていると、1時間かけて無事にロークスへと着いた。



「これで第1の目的は達成だ......第1の」



最初の任務である、『砂漠からの脱出』が完了しただけなんだ。これから俺がやる、『VRでの技術向上』という目的は殆ど達成されていない。


だから、次はこの体で王女と戦って、ノーダメージで勝てるかを検証する。


これでもし、ダメージを受けるようじゃあ......ちょっと、未来の俺に地獄を見てもらおうかな。



「ギ〜ルド、ギルドギ〜ルド♪」


「あれ? ラキハピちゃん?」


「はい?」



馬車乗り場からギルドに向かっていると、通りがかった店の中からラキハピの名前を呼ばれてしまった。


もしかしたらファンの人かもしれないし、どう対応するのが正解なのか分からないぞ。



「やっぱりラキハピちゃんだ〜! 本当にあの砂漠から出れたの〜!?」


「う、うん。何とかね! じゃ、じゃあ私、ちょっとギルドに行くから、また今度ね!」


「あ、私もギルドに行くの! 一緒に行こ!」


「アッハイ」



可愛らしい赤い猫耳を生やした女の子が、俺の手を繋いで歩き始めた。

身長がラキハピさんよりあるせいで、見方によれば姉妹に見え......ないわ。何だこれは。女の子は普通に手を繋ぐのか? いや待て、元は父さんなんだよな?


って事は何だ? 父さん、見知らぬ人間と手を繋いでいるのか?



「どうしたの?」


「う、ううん。何でもないよ」


「本当に? 緊張してるように見えるけど......あ、もしかしてドッキリとか?」


「いやいやいやいやいや! ドッキリとかは仕掛けてないよ? 大丈夫だから」


「そっか!」



ねぇこの人誰なの? 俺、最近の配信者にはかなり疎いから、この人が誰なのか全く分かんないんだけど?


FSのプロとかなら分かるが、流石に父さんが所属してるような事務所の人は......待て、事務所? つまり、事務所関係の話をすれば、もしかしたらこの人が誰か分かるかも......?


いやいや、それこそ待つべきだ。この人が配信していると仮定するなら、もし事務所の話をして情報漏洩を起こすと、父さんだけじゃなく、この人も重い責任を背負うことになるだろう。


後のことを考えると、ここは流れで合わせるしかない。



「着いた! ラキハピちゃんは何をするの?」


「えっと〜、王女......様に挑戦しようかなって」


「イベリスちゃんに!? すっごく見たい!」


「見るだけなら別にいいよ。ちょっとした練習だから」


「練習?」


「うん。本気を出さずに本気になれるか、その練習」


「......深い......のかな? 私にはわかんないや! でも頑張ってね! コメント欄の皆と応援してるから!」


「うん、ありがとう」



50パーセントだ。スタミナの消費と思考に割く時間を考えて、常に50パーセントを維持出来る戦いの練習をするんだ。



「あの〜、すみません。王女様と戦いたいのですが」


「かしこまりました。訓練場の方に居らっしゃると思うので、ご案内します」


「ありがとうございます」



そこら辺に居た受付嬢に王女を注文すると、訓練場まで一緒に着いてきてくれた。


そして3人で訓練場へ向かうと、王女が1人の男性プレイヤーをボコボコにぶちのめした後だった。



「イベリス様! 次の挑戦者の方です!」


「分かりました! 直ぐに戦えるので来てください!」


「では、ご武運を」



受付嬢さんにエールを貰い、俺は訓練場の中にある、異様な空気の壁を感じる空間へと足を運んだ。



「貴女......前にも来て下さりましたが、随分と変わられたのですね」


「そうですね。『人が変わった』という言葉を体現出来ているかと思います」


「はい。本当に以前とは佇まいが違います。素晴らしい変化ですよ!」



そりゃあ、本当に中の人が違うからな。ごめんな王女。許せ。


俺は小さく心の中で軽い謝罪をしてからインベントリを開くと、これから使おうと思っていたあの武器が無いことに気付いた。



「あちゃ〜、刀忘れて来ちゃった〜」



「「「「「「「え!?」」」」」」」



え? 何でギャラリーがこんなに驚いてんの? もしかしてラキハピさんって、忘れ物とか一切しないタイプの人なのか?


うわ〜、それなら俺、やらかしたわ〜。ごめん父さん。1回だけだから許して。お願い。



「貴女......私に刀で挑むつもりでしたの?」


「え? はい。それが何か?」



王女の質問に答え、剣しか持っていない悲しみに暮れていると、ギャラリーの方から色んな声が飛んできた。



「勇者になったのかラキハピちゃん! すげぇ!!」

「イベリスに刀とか、お前は命知らずか!?」

「バカだ! ここに今世紀最高のバカが居るぞ!」

「最強NPCに土俵を合わせるの、流石だ!!!」


「刀なら貸しますよ」



ん? ヤジの中に1つ、有難い言葉が聞こえたぞ? しかも聞き覚えがある。誰だ?



「すみません! 刀、貸してください!」


「はい。どうぞ」



騒がしいギャラリーを割って来たのは、金髪に紅い目をした、狐獣人の女の人だった。そしてその人は俺の耳元へ顔を近付けると──



「......頑張ってね、ルナ君」



そう囁いてくれた。



マジか。まさかのソルだった。もしかしてソル、自分のVRヘッドセットだけ持ってきてたのか? 嘘でしょ?


......まぁ、やってしまったものは仕方ない。ソルに貸してもらったアマテラス改ニ.....ではないな。そりゃそうか、あれはソルの専用装備だし。


取り敢えずこの刀、有難く使わせてもらおう。



「ありがとう! 愛してる!」



ソルから刀を受け取った俺は、ハイテンションでソルに抱きついた。



「気持ち悪い。ルナ君以外にそれを言われるの、本当に吐き気がする。辞めてくれる?」


「あっ......はい。ごめんなさい」



そうだった。今の俺はラキハピさんだった。よし、ログアウトしたら死ぬほど言ってあげよう。ここで言えない分、いっぱい伝えよう。



「では王女様、やりましょうか!」


「ソルさんが刀を......? 貴女、何者ですか?」


「分かりません!」


「では、ソルさんとはどのような関係で?」


「分かりません!」


「......本気で答えてますか?」


「分かろうとしてません!」




「いいでしょう。その不誠実な心、叩き切ってあげます!!」




ちょ、ちょっと待てよ! 俺は正直に答えただけなのに、不誠実と認定するのは良くないぞ! 


本当に!! 本気で!!! 分からねぇんだ!!!!




「ふぅ............セイッ!」




ガンッ!!!




王女が放つ、先程までの空気を斬るように放った神速の抜刀攻撃は、ソルの想いが込められた鞘によって弾かれた。




「おっそ。手加減してる?」

急に態度を激変させるラキハピさん。恐ろしや。



次回『3人目』お楽しみに!

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