孤軍奮闘
某スマホのバトロワじゃK/D5.8あるのに、某頂点伝説(PC)のバトロワじゃK/D0.8しかないの、バグだと思います。
いや、プレイ時間の差だとは思うんですけどね?(8200時間vs150時間vsダー○ライ)
◇ ◆ ◇
「ワァオ......見渡す限り砂の海ィ......」
父さんから借りたVRヘッドセットでユアストに入ると、前もって言われた通り、カリディの砂漠からスタートした。
取り敢えず出来る事と出来ない事を判別する為に、インベントリとステータスを開いた。
「ふ〜ん、ステータスはまぁまぁ良い感じじゃん。知らんけど。それと流石にアイテムは使ったら可哀想だし、魔法と技術で何とかするか」
魔法は基本の5属性とバフデバフはそこそこ使えるみたいだし、武器もそれなりに高品質な物があるから、俺の表層の意識では『生き残れる』と判断した。
だが、深層意識では『死ぬ』と思っている。
何せ広大な砂漠で孤独で生き残り、更には砂漠から出るのはかなり難易度の高いアクションだ。
最悪は死んでどこかの街でリスポーンだが、せっかく父さんが俺に託してくれたんだ。全力で取り組もう。
「まずはどうしよっかな〜。方角はミニマップで分かるし、生存に必要な火は魔法で作れるし、何か良い方法は無いかな〜」
俺はインベントリに何故かあった、ビーチパラソルを取り出して日陰を作り、あまりの暑さによるスリップダメージを軽減させてから思考を始めた。
まずはフレンドリストを全て表示し、俺と共通のフレンドを探した。
「お、おや? 本体のフレンドはほぼラキハピもフレンドになってる上に、当然の事ながら本体の知らない人もフレンドに居る......か、完全上位互換......?」
コキュートス君や犬子さん、ヴェルテクスのメンバーは勿論のこと、マサキや茜さんともフレンドになっている。
「SOSは最終手段にしようか。他に何か調べられるのは......あ、テイムモンスター!」
ふっと湧いたアイディアを元にテイムモンスターのリストを見ると、アルミラージやロックゴーレム、更にはトレントがリストに記載されていた。
「どの子もこの状況じゃ大変だよな。よし、1人で頑張ろう!」
出していたウィンドウを閉じながら瞬時にパラソルを仕舞い、俺は東に向かって歩みを進めた。
取り敢えず、東へ進めばロークスに着くはずだからな。
徒歩で何日かかるのか分からないが、時間を考慮しなければ確実に街に着く。
それに、途中で食料調達をしないといけないから、歩ける時間はそれ程長くないと考えるぞ。
「おっと、モンスターとエンカする可能性を捨ててた。ラキハピの得意武器は......剣か。『剣王』になってるみたいだし、サンドリザードマンくらいなら余裕か?」
ここの敵はそこまでレベルは高くないから、多分負けることは無いだろう。もし負けたら、それは俺の技術不足だな。
「うわぁ、これ、本体が量産してる『ルナちゃん特製』シリーズか。嬉しいけど悲しいな」
まさか巡り巡ってこの手に帰ってくるとはな。
いや、俺の体じゃないから、厳密に帰ってきたとは言えないけど。
「ま、これならよゆ〜よゆ〜。お手手に馴染む形だも〜ん」
そんな独り言を繰り返して歩いていると、遂に求めていたものと出会ってしまった。
「あ、人だ。勝ったなこれは」
開始地点から15キロ東に進んだ場所で、北から数人のプレイヤーが走っているのが見えた。
多分レアモンスターか何かを追いかけているのだろう。
戦闘が終わったくらいで、街まで同行させて貰えないか聞こうか。
「に、逃げろぉぉぉぉ!!!! 死ぬぞぉぉぉ!!」
「なんでこっち来んねん。あっち行きぃや」
集団の先頭を走っていた男が、俺目掛けて全速力で走ってきた。
その男の後ろに着いている人物も、南の方角を指して走っている。
俺は男の指示を無視して集団を見送ると、後ろから砂煙を上げて大量の何かが走ってきた。
『『『ギャギャ!!!!』』』
「わぁ、大量のリザードマン。あの子らトレインして来たのかな? それとも偶然?」
トレインの可能性が高いよな。逃げるだけなら俺を避けるように、斜めに走れば良いんだから。
「全く、マナーのなっていないプレイヤーと言うか、配慮が足りないプレイングをする子達だ。全部片付けてあげよう」
トレインでのキルが目的なら、どうせ後ろの方で見てるか隠れているんだろうし、後で説教してやる。
「さぁ、おいでトカゲ達。訓練初日の温まった思考で、美味しいお肉に変えてやる」
ルナちゃん特製の剣を1本持ち、俺はリザードマンの大群に突っ込んだ。
まずは戦闘に居る黄色い槍を持った、リーダーらしきリザードマンから戦う。
相手の突きに合わせて体を引き、逆に俺が槍を掴んで地面にぶっ刺し、上にビーチパラソルを展開させた。
そして2体目の攻撃が来る前に『手加減』を発動させてリーダーの首を切り、HPを1にした所で2体目の槍による攻撃をリーダーに喰らわせた。
「次はお前だ」
リーダーを殺した事に気付いたリザードマンを蹴り飛ばし、3体目のリザードマン......コイツは大剣使いだな。
俺はこのリザードマンに意識を向け、大剣を振り下ろすのを待った。
『ギジャァ!!』
「はい、パリィ、と。お疲れ」
俺の体に当たる直前に盾を取り出し、パリィを発動させた瞬間に盾を戻して、ノックバックにより体勢を崩したリザードマンの首を斬った。
「さぁさぁ、掛かって来な! 魔法は使わないであげるからさぁ!!」
俺は自らを鼓舞し、合計25体ものリザードマンを相手に1人で戦った。
「君達、私に何をしたか分かってるね?」
「い、いや......そんなつもりじゃないんだ!」
「じゃあどうして戦闘に参加しなかったのかなぁ? 私、君達が参戦出来るように敢えて隙間を作って戦ってたんだけど......あ〜あ。これだからPKはやだねぇ」
「違う!! 俺達はPKじゃ......」
「言い訳も見苦しい。ま、これからは周りをよく見て戦った方がいいよ。じゃないと、今度あのリザードマンみたいに死ぬの、君達だからね? じゃあね」
ボロボロの様子のプレイヤーに説教をした俺は、リザードマンを連れてきた集団にポーションを10個ほど落とし、その場を後にした。
「多分あの様子じゃ無意識だったんだろうな〜。まぁ、失敗をしてこそ成功を掴むんだし、その逆もあるからな〜。彼らには頑張って欲しいね」
俺は普段、モンスターを相手に逃げないスタイルだから、間違って誰かにヘイトを向かわせるような事は無い。
だけどこれは、俺がおかしいからだろう。
普通は多数のモンスターを相手にしたら1歩引いて戦い始めるはずだし、あのプレイヤーみたいなスタイルが一般的なはずだ。
「スペシャルか、イレギュラーか。この違いを理解するのは難しい。受け取り手次第とも言えるし、主観次第とも言える......これからの課題かな」
そんな小さな悩みを口に出して歩いていると、遂に水分ゲージが危険なラインに入り始めた。
「『自然魔法』は......ある訳無いよね。知ってた。仕方ない。『アクアボール』」
MPを込める量を減らし、スーパーボールくらいのサイズで水を作ったので、そのまま口に放り込んでみた。
「......なるほど......なるほどなぁ、そういうことかぁ......
あ〜......うん。なるほど? ふ〜ん」
何だこのクッッッッッソ不味い水は。泥水か? 泥水にカビを生やして、雑菌を繁殖させまくった水か?
一応これで水分ゲージは回復しているが、こんなのを飲み続けていたら舌が死ぬぞ。
断じて言う! これは飲み物ではない!! 人が飲める代物ではないっ!!!
「マサキ、第1回武術大会の時に向けていた本体に対する目......よく理解したよ」
あの時に誰も俺の水を飲もうとしなかった理由がよく分かる。
こんなのを経験した後じゃあ、魔法で作られた水なんて飲みたくないわな。
「はぁ、もうすぐ夜になるけど歩かないと」
幸いにも防寒装備が用意されていたので、夜はこれを着て歩こうか。
でも、その前に......
「晩ご飯はトカゲ肉だ〜! 食料調達が出来て、本当にラッキー!」
今夜の唯一の楽しみである、食事の準備に取り掛かった。
現在のラキハピさんの本体はめちゃツヨさんですからね。
ステータスだけでなく、そもそも戦闘技術が桁違い。
ではでは次回!『配信者のお友達』お楽しみに!
(最近誤字報告を沢山頂きまして、本当に感謝しております。いやもう、本当に。ビックリするぐらい誤字してるのに気付いてなくて、最早気付かない自分にビックリしてます(?)いつもありがとうございます)