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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
最終章 最強決定戦
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次元を超える技術 1

更新が遅れた理由:ゲームが楽しすぎるのと、1話書くのに今までの3倍くらい時間がかかったから。

そして某バトロワの大会(的なヤツ)に出るので、シンプルに時間が足りないからです。


◇ ◆ ◇



「だぁ!!! 1対3は無理!!!!」


「ダメですよ父様。父様が言い出したんですから」


「がんばれパパ。じごくをのりきって」


「死なないように殺すって〜、難しいね〜」



陽菜と一線を超えかけた日から少し経ち、俺達は春休みに入った。

クラスの全員が進級できるとの事で、2年生の内に抱え込む問題はかなり少なくなったと思う。


そんな中で俺は、ひたすらにユアストでプレイヤースキルを磨いていた。


アイテムの高速切り替えからパリィのタイミング、攻撃にかかる準備時間の計算から実行までのプロセスを洗い直したり、とにかく色々と手を出している。



そして俺が1日1度、戦闘訓練と称して行っているリル、メル、ベルの3人との戦いで、これまでにないくらい激しい戦闘を繰り広げていた。



「リルが抜刀したタイミングで背後に転移したベルを抑えて、上空から降ってくるメルの魔法を避けながらリルの刀を受け止め、更にそこから反撃?......頭おかしくなりそう」


「ふっふっふ。私達三姉妹の連携力は日々向上しているのです!」


「です!」


「です〜!」


「知ってるよ。俺の体がそう言ってる」



ちなみに今の戦闘の答えは、糸を出して予めベルの転移する場所に罠を張り、メルの魔法をクロノスクラビスで無効化しながらリルの刀をパリィし、リルがノックバックした瞬間に反撃するのが正解だろう。


頭でイメージするのは簡単だ。だが、これを実践するとなると......地獄なんですわ。



「もう1戦やるぞ」


「はい!」






そして朝から夕方まで戦い、遂に理想の答えが出た。






「うん。リアルで練習せなあかんわ」


「あちゃ〜、遂にその域に来ちゃったか〜」


「師匠に鍛えてもらおう。今の俺じゃあ総合部門優勝は確実に無理だ」



魔境の島の開けた場所で、疲労により倒れていた所をソルに見付けてもらった俺達は、家のベッドにて1人1本、ソルの尻尾を枕にしながら寝転がっていた。



「父様の師匠......どんな方なのでしょう」


「「化け物」」


「パパたちがそこまでいうの?」


「「本当に化け物」」


「そんなこと言ってるけど〜、本当は優しかったり〜?」


「「凄く優しい」」



山の鬼ごっこが終われば冷たいお茶をくれたし、怪我をしたら直ぐに駆け付けて処置してくれたからな。

師匠は本当に優しいぞ。優しく、厳しい人なんだ。そして物凄く強い。



「春休みの間、実家に帰るか?」


「そうしよっか。お父さんと進路の話もしたいし、タイミング良いかも」


「じゃあ決まりだな。取り敢えず今は、回復するまでモフらせてくれ」


「どうぞ。優しくしてね?」



枕にしてる時点で毛に優しくないと思うが、出来る限り優しく触るとしよう。


あ〜、この毛の柔らかさと肌触り、最高だ。

毛の1本1本がしっかりとしているのに塊として纏まっており、指を通せばサラサラと流れる毛並みは至高のモフ・タイムだ。


このモフモフはワシが育てた。異論は認める。



「本当に綺麗だ、ソル」


「えへへ、ありがとう。嬉しい」


「俺も、ソルが喜んでくれたなら嬉しいよ。こんなに綺麗な体とモフモフを持って......もっと誇れ」



ゴロゴロと寝転がってソルの頭を撫でていると、ガチャっと寝室の扉が開いた。



「私の時は『誇るな』って言いましたがね」


「あ、フー。ご飯か?」


「そうですよ。にしても、皆さんでソルさんの尻尾を共有するとは、中々シュールな光景ですね」



ソルを中心にして、四方を俺達が囲んでいるからな。

謎の儀式をしていると思われてもおかしくない絵面だろう。



「じゃあそろそろ終わりますかな。3人とも、俺のソルから離れなさい」


「「「いや!」」」



くっ! 皆して尻尾に抱きつきやがって......許さぬ!



「ダメだ。ソルは渡さんからな。欲しけりゃ俺から奪ってみろ」



ベッドの上に座っていたソルを抱きかかえ、俺は糸を出して3人にフェイクの尻尾を掴ませてからソルを持ち上げた。


神鍮鉄は金色の糸だからな。ソルの毛と見分けが付かないだろう。フハハハ!!!



「「大人気ない......」」


「まだ子どもだも〜ん。それよりご飯だ。フー、イブキ達も呼んできてくれ」


「分かりました」




そうして、ユアストでの1日を終えた次の日。

ログアウトした俺と陽菜は、両親に連絡して春休み中に帰ることを伝えた。




◇ ◆ ◇




「刀......持って行った方が良いのか?」


「どうだろうね。重さを重視するなら持って行った方が良いと思うけど、私としては怪我をされたら困るからね」


「だよなぁ。仕方ない、木刀と竹刀にしておくか。『甘えんな』って言われそうだけど、許してくれそうだし」



怖いなぁ。久々に師匠に会うのに、『刀持ってきてませ〜ん』と言った瞬間にぶん殴られそうだ。




◇◇




「甘えんな!!!!」


「はい......ごめんなさい」



実家に荷物を置いて道場に来たのだが、案の定、師匠にお叱りを受けた。



「まぁ、刀は良しとしよう。月斗の事だ、どうせ怪我をすれば不味い事が先にあるのだろう?」


「いえ、別にそこまで影響しませんね」



「ならどうして持って来んかったんやぁぁぁ!!」



道場に響き渡る師匠の声で、とても耳が痛いぜ。この人、大分テンション上がってるな。



「まぁそう怒らずに。久しぶりに来たんですし、お話でもしましょうよ」


「......あぁ。それはお前の顔が変わったことと、何か関係がありそうだしな」


「顔? 整形とかしてませんよ?」


「違う。お前の中にあった、暗い心が見えなくなってると言いたいんだ。月斗、道場を辞めてから何があった?」



そうそう、その話をしたかったんだよ。



「それは──」



それは道場を辞めた話。それは高校1年は何も無かった話。

それは2年になってから、変わった話。

陽菜と再会し、自分の気持ちに気付き、とあるゲームにどハマりした話。


そして、取り敢えずの婚約と同棲をしている話をした。



「......お前......なるほどな。じゃあ陽菜も来るのか?」


「いえ、来ません。花嫁修業と進路について話しているので、ここに来る余裕は無いかと」


「そうか。にしてももう婚約まで行ってるとはなぁ......まだ交際くらいだと思ってたぞ」


「ははっ、10年、11年も一緒に居たのに、交際を長くするのは難しいですよ。普通のカップルよりお互いのことは知ってますし、より深く知ろうとすれば必然的に同棲になります」


「言うじゃないか」



師匠がスっと近付いて俺の頭を撫でて来たが、摺り足の練度が高すぎて、瞬間移動かと思うほどに足音が消えていた。



「師匠、今幾つですか?」


「え〜っと......60......幾つだっけな」


「人間の身体機能の低下って30歳くらいから始まると言われているんですけど、師匠は年々上がってませんか?」


「ンなもん、よく食ってよく寝てよく動けば上がるわ! 歳を取ろうと体がぶっ壊れようと、ずっと上を見て体を動かせば理想の自分に近付けるんだよ」



カッコイイ。年齢にそぐわない青年の様な肉体美と目の輝きを持って、常に前へ、上へと目指す姿は何よりもカッコイイ。


俺もこんな人になりたい。いや、師匠を超える人になりたい。



「よし、やるか! まずは道場でアップと打ち合い、それから山の方で遊ぶぞ」


「はい!」


「月斗。お前は道場を辞めても体は動かしてるか?」


「勿論です。ゲームの休憩や暇な時間に、公園で走ったりトレーニングしてました」


「なら良し。陽菜に好かれる体を目指せ」


「......それを言いたかっただけですか?」


「よく分かってるじゃねぇか」




やっぱり面白い人だな、師匠。

陽菜は可愛くて強いから最強なんだけど、師匠はカッコよくて強いから最強だ。その上、人を想う優しさがあるから素晴らしい。



さて、頑張ろうか。久しぶりの稽古だ。

遂に謎だった師匠が出てきましたね!

楽しんでくれたら嬉しいです!



次回はその2、です。お楽しみに!

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