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金と銀のフィデム旅行 2

短めです。




「ねぇルナ君、本当に村に泊まらなくて良かったの?」


「泊まれる訳無いだろ? 村人の99割は『アイツらおっぱじめるわ』って思ってるからな」


「990パーセントは凄いね。それは村に居られないや」



2人っきりのフィデム旅行、1日目の夜は草原で野宿することに決まった。



俺達は適当な木の根元に、簡易的なキャンプを作った。

石で囲んだキャンプファイヤーと、万が一を想定して持ってきていた寝袋を用意して、リスポーン位置を変更しておいた。



「寝袋のリスポーン位置変更機能って、知ってる人少なそうだよね」


「確かに、街に帰ることが前提で動くなら知らない人も多いだろうな」


「まぁ、1回しか機能しないから、コスパが悪いのかもしれないね。死ぬ人は死ぬし」



そういや以前、ペリクロ草原のはぐれワイバーンに焼かれてイニティまで戻されていたプレイヤーを見かけたな。


当時は運が悪いとしか思わなかったが、今となれば『寝袋でリスポーン位置をアルトム森林にしておけば良かったじゃん』と思う。



「さぁ、食料を探さないとな。近くに川があるから魚もいると思うが......最悪、虫でも我慢しろよ?」


「......虫はキツいよ」


「ダメだ。食べなきゃ死ぬんだから我慢しろ。口移しでも何でもしてやるから、食べろ」


「うぅ、そうならないことを祈るよ......」



俺はインベントリから糸を取り出して魚取りに向かい、ソルには拠点の守りと調理設備を整える任務を出した。


上手く役割分担が出来たと思う。ソルの為にも頑張ろう。




「えぇ......? 全ッ然魚いねぇ。これは『昆虫の昆虫サンド 〜昆虫を添えて〜』を作るしかないのか?」



サーチで全力で広げて食べられる物を探したが、川には魚が泳いでおらず、引っかかるのは虫だけだ。



「う〜む、いくらソルでも、口移しした所で虫は食べないだろうし、どうしたものか......」



家に帰って食料を持ってくるなんて、そんな風情の無いことはしたくない。

何とかして、ここで食料を確保せねば......!



「ん? これ、ワイバーンの反応か? よし、ヨシヨシヨシ! 倒して肉を頂くぞ!『フラカン』!」



俺はサーチに引っかかった空を飛ぶ魔力反応に向かって、全力で飛行を開始した。


これを倒せば肉が得られる。肉ならソルも食べられるし、魔法で乾燥させてジャーキーにでもすれば、明日のご飯にも出来る。


街に着くまでのサバイバル生活、楽しませてくれ!




『ガァァァァ!!』



「な、なんだお前!? 白竜!?」



俺と対峙したワイバーンは、今までに見た事がない、真っ白な鱗に覆われていた。


もう沈みかけている太陽の光を吸収し、その鱗は淡いオレンジ色に染められていく。



「テイムしてぇ......だが肉が......くそう、また会えると信じてるからな!『滅光』!」


『ガギャッ!』


「避けられるのかお前!? 素晴らしい、知能が他のワイバーンより断然高い。ドラゴンと良い勝負だ」



白竜は俺の魔法を避けながら更に上空へ飛行すると、滑空しながら鋭い牙を見せ付けながら噛み付いてきた。


俺は移動して回避し、再度白竜と顔を合わせた。



「セレナ......はダメだ。フー......もダメだ。あ、そうだ。エリュシオン!」



付喪神が宿っていない神器を探して顕現させ、俺は1本の槍を右手で構えた。



「アー手ガスベッター」


『ガァァア!!!』



俺はフラカンを切って自由落下を始めると、白竜は俺を追うように滑空してきた。



「はい、ありがとう。『穿(せん)』」


『ギャ......』



俺が空中で投げたエリュシオンは白竜の全身を貫き、白い鱗を赤く染めながらポリゴンとなって散った。



◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇

『ワイバーン変異体』を討伐しました。

『幼体聖竜の肉』×40入手しました。

『幼体聖竜の白鱗』×120入手しました。

『幼体聖竜の神秘翼』×2入手しました。

◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇



「美味しいドロップ量だ。流石『希少変異体討伐者』と言ったところか」



お肉が大量にドロップして嬉しい反面、聖竜なんて優しそうな響きの名前を倒しても良かったのだろうかという、2つの気持ちにサンドイッチされた。



「まぁいいや。帰ろ。サバイバルご飯、楽しみだ」



白竜、惨敗ッ!


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