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最強の女の子

紅茶とクッキーの組み合わせは最強だと思います。




「フリット。レベルは?」


「75だ。お前のお陰で、以前とは比べ物にならないほど強くなったぞ」


「あっそ。ワイバーンには怯えてた癖に」


「し、仕方ないだろ!」



フリットとの旅が始まり、3日もする頃には戦闘面がかなり安定してきた。


まず相手の行動を見て、動きの癖を読んでから動けるようになったので、人間相手に1対1なら、苦手武器を使っていても勝てるだろうと、そう俺は判断した。


ただ、最近はフリットの様子が変なのだ。変に動きがぎこちないというか、緊張している小学生みたいな行動を取るようになった。


理由は知らんが、直すように言っておかねばな。



「今日中に80レベルに上げて、早く帰りたい。温かいお布団が私を待ってる」


「......お前の家はどこにあるんだ?」



俺がソルとのモフモフ生活を夢見ていると、フリットが急に家の場所を知りたがった。



「場所を言って、どうするの? 遊びに来たいの?」


「そ、そんな訳ないだろ! ただ、純粋に気になっただけだ」


「ふ〜ん。私の家はここから南西に何時間も飛んだ先にあるよ。でも、フィデム程度の力じゃ私の家には辿り着けないけど」


「どういうことだ?」


「単純。家の近くに湧くモンスターのレベル、平均で500もあるから。そんなのがウジャウジャ出てくる場所に、君は来たいの?」



俺なら行きたくないね。島は広いし物資は潤沢にあるけれど、強い敵が永久的に湧き続ける特殊な島だし、空間魔法が無いとロークスに戻るのも命懸けだからな。


本当、ソルとの暮らしを考えてなかったらもっと安定した土地に住んでるわ。



「レベル500......そんな島が......あ、危なくないのか?」


「安全。お父さんのテイムしたモンスターが常に倒してるから。フリットが見たドラゴンだって、ウチの警備員兼ペットの1人だし」


「そうなのか」



そうなのだよ。特にヒカリは、ペットの中でも一二を争うレベルで優秀な子だ。


頭は切れるし力は強い。周りとのコミュニケーションも上手く、何よりも俺を恐れない。

ソルをドラゴンにしたら、ヒカリみたいな子になると思うぞ。知らんけど。



「ほら、そろそろ行こ。ララバジリスクが出るまではヴリトラとの連戦だから。死にたくないなら着いてきて」


「あぁ」



クトネシリカを適度なサイズに変形させて装備すると、フリットは俺の後ろにピタッと着いて来た。


そうして索敵をしながら裏・ドゥルム鉱山を進んでいると、シリカが声を掛けてきた。



『ねぇねぇテスカちゃんテスカちゃん』


「どうしたの?」


『フリット君なんだけどさ〜、テスカちゃんに惚れてない?』


「何言ってんの?......マジで何言ってんの?」



確かに、今の俺は超絶美少女だとは思うが、フリットが惚れる要素があるのか?



「フリット。好きな子のタイプは何?」


「はぁ!? な、なんだよ急に!」


「いや、気になったから。で、どんな子が好きなの?」


「えっと、あの......その......」



『あはは! その聞き方だと、好きな男の子のタイプになろうとしている女の子だと思われるよ? テスカちゃん、傍から見れば両想いだよ?』



「オエー、気持ち悪。襲われそうになったらリルちゃん呼ばなきゃ」


『あはははは!! それも良いね!』



俺の好みの女の子はソルです。ソルという名前で、レベリングのが250を超えた白狐の、ヴェルテクスのサブギルドマスターの女の子しか興味がありません。



「あ〜あ。ソルの事を考えたら、会いたくなってきた。早く帰りたい......」


「ソルとは誰だ?」


「え? う〜ん」



フリットよ、何故そこに食いつくんだよ。説明が面倒臭いだろうが。



「ソルはねぇ、私のこ『ギュギュ!!』......ララバジ来た!!」



っし、タイミング完璧ィ! サーチに引っかかった時から、ずっと会話を切るタイミングを伺ってたんだよ!


というかこのララバジ先輩、お肌が黒いな。日焼けした?



「フリット! 私が守るから一撃与えて!」


「あ、あぁ。了解だ!」


「コイツに限っては観察したら死ぬ! 早く!」



流石にララバジ先輩の光線は俺でも耐えられるか分からないからな。クロノスクラビスで動きを封じているうちに、チャチャっと一撃入れてくれ。



「はぁぁ!!」



ガギンッ!! 


案の定の城之内。フリットの攻撃はララバジの岩石の皮に弾かれたが、1ダメージは入った。



「引いて!」


「了解!」


『ギュ......』



おっと、マズイですわよ? おでこの光線石からピッチュンビームを出されると、オイラごと真っ二つになりますわよ?



「セレナ。『桜器』」


『任せなさい』



ララ・バジリスクが光線を放つ寸前、桜の花弁で作られた矢が、巨大な蛇の体を貫き、その巨体をポリゴンへと変貌させた。



『......ギュギャァ』



◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇

『ララ・バジリスク変異体』を討伐しました。

『オニキス』×5入手しました。

『白金黒曜石』×1入手しました。

『黒色血晶』×1入手しました。


パーティメンバー『フリット・フィデム』の

レベルが95上がりました。


称号『希少変異体討伐者』を獲得しました。


『希少変異体討伐者』

・レアモンスターとの遭遇率が減少する。

・レアモンスターから得られる経験値が2倍。

・変異体モンスターとの遭遇率が増加する。

・変異体モンスターからのドロップ量が2倍。


レアモンスターの変異体を討伐することで獲得。

◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇



おや、やっぱりただの日焼けしたララバジ先輩じゃなかったんだ。黒ギャルのララバジ先輩だったみたいだ。


にしてもオニキスか。確か、黒く輝く宝石だよな。



「綺麗。これで家族分のアクセサリーを......フリット?」



オニキスを手に取って見ていると、俺の後ろからフリットの呻き声が聞こえてきた。


多分、急激なレベルアップでステータスが体に馴染まないのだろう。倒れたまま蹲っている。



「う、うぅ......大......丈夫だ」


「そう? なら進もう」


「おい待て! どう見ても大丈夫じゃないだろ!?」


「君が大丈夫って言ったんだから相応の反応をしただけなのに、どうして私が怒られないといけないの? 自分の状態もまともに報告出来ないなんて、チーム戦で絶対にやっちゃダメに決まってるでしょ? もう旅も終わりなのに、殆ど学んでないじゃん。バカなの?」


「......すまない。助けてくれ」


「はいはい」



これまでに何度も『状況報告は正直に』と伝えていたのに、実際にピンチになるとすぐコレだ。

強がりと虚偽報告は履き違えちゃダメだ。それはパーティを破滅へと導く、最悪の導火線に火を付けたも同義だからな。


ちなみに俺は、過去にFSで何度もこのミスをしているぞっ!

試合終了後、アテナにぶん殴られた事がある。てへ。



「でも何したら良いか分からないや。立て......ないよね?」


「無理だ。全身が痛くて、特に足に力が入らない」


「ふむふむ。死にそう?」


「あぁ、死にそうだ。お前を下から見上げるのが非常に屈辱的だ」


「スカートの女の子を下から見るとか、君犯罪者の素質あるよ。ここで死んどく?」


「冗談だ。だが助けてくれ。頼む」



コイツ、段々俺に慣れてきやがったな? こんな時に冗談を言えるようになっているとは、お兄さん驚いたよ。


......今は女の子だけど。



「仕方ない。ベル〜、おいで〜」



俺はウィンドウからベルを呼び出すと、ベルが俺の手を握りながら現れた。



「は〜い。どうしたの〜?」


「コイツをフィデムの訓練場まで転移させて。ついでに私も」


「了解なり〜」



ベルはフリットの肩を触ると、超長距離の転移を完璧にこなしてくれた。

俺が使えばMP切れになる距離だが、ベルなら余裕のよっちゃんだ。素晴らしい。



「ありがとう。ソルにあと少しで帰るって、伝えてね」


「は〜い。また呼んでね〜」



ソルに伝言頼んでから手を振ると、最後にギュッとハグをしてからベルは転移して行った。


同じくらいの身長だからか、結構ドキドキした。



「フリット。騎士長呼んでくるね」


「ま、待ってくれ。せめて体を起こさせてくれないか?」


「嫌だ。その惨めな姿を騎士長に見てもらいなさい。強がるなら、せめて演技が出来る程の経験を積んでからやることだね。じゃ」


「そんなぁ!」



俺に手を伸ばすフリットを他所に、俺は騎士長が居るであろう、騎士団の施設に入った。



「お邪魔しま〜す。誰か居ませんか〜? 居ませんよ〜」 



扉を開けると、中は綺麗な寮の様になっており、騎士達の暮らす部屋番号や、座学用の教室など、様々な部屋がある造りとなっていた。


俺は1階を探索して騎士長室が無いのを確認すると、2階に上がった。



「綺麗な廊下だ。ウチの学校と良い勝負してる」



そんな独り言を呟きながら歩いていると、前方から沢山の騎士が1つの部屋から出てきた。



「あの、騎士長の「どうしてこんな所に女の子が居る!」いや、私はフリットの「誰か応接室に連れてけ!」ねぇちょっと、チッ」



小さい俺の体を1人の騎士が軽々と抱きかかえ、歩き始めた。



「『放電』」


「「「「「ぎゃぁぁぁぁあ!!!!」」」」」



人の話を聞こうとしない騎士に苛立ち、俺は手加減を加えた広範囲電撃を騎士達に浴びせた。



「何だ今の声は!?......お、女の子?」


「騎士長。テスカです。フリットが倒れたので、報告に来ました」


「て、テスカだと? いや、誰だお前は」


「それは後で説明するので、とりあえず外に来てください。フリットが倒れてるので」


「フリット様が!? 仕方ない。君も着いて来てくれ!」


「はいはい」



そう言えばテスカが偽名だと勘づいているの、フリットだけだったな。




仕方ないにゃあ。ネタばらしと行きますか。



次回『フラム帝国の使い』お楽しみに!

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