お魚食べたい
2本投稿はないだろうって? フッ、甘い。甘いですよ。
なんなら毎秒投稿してやr
「ソル、朝ご飯何にする?」
「お魚食べたい。昨日ルナ君が頑張ってた間に、皆で美味しいお店とか武器屋さんのマッピングをしたの。だから、お買い物からだね」
「了解、マッピングは助かる。というより俺、別にそこまで頑張ってないぞ?」
「いいの。私からすれば、ルナ君は生きてるだけで頑張ってるもん」
「恋人補正が強いなぁ」
昨日、会議が終わった後はソルの待つ宿屋に泊まり、約10時間ぶりに皆と再会した。
リルやメルは半泣きで俺に怪我が無いか確認していたが、逆に俺の相手になった騎士さん達の心配をしてあげてほしいと思った。
リル達は本当に優しい子だ。誇らしいぞ。
「でも、動けねぇんだよな〜」
そんなリル達が今、俺の腕やお腹に乗っているせいで全く動けないのだ。
「ふふっ、パパらしいよ?」
「笑ってないで助けてくれ」
「え〜? 辞めちゃうの? 折角3人が幸せそうに寝てるのに......」
「辞めます。朝ご飯を食べたいのでな」
何故か、俺とソルの間にメルが。その反対側にリル。そして俺のお腹の上にベルという、意味の分からない固定ポジションが生まれている。
ここ最近は気付いたらお腹の上にベルが乗っているせいで、寝起きからお腹が重い。
「ベル、起きろ」
「ん〜?......ん〜......」
「二度寝するのは構わんが、それならお腹の上から退いてくれ」
「や〜だ〜」
「やだじゃない。起きないと朝ご飯無いぞ?」
「いい。お父さんの上で寝る〜............」
ベルは俺の背中に手を回し、落ちないように腕で固定をしながらリラックスし始めた。
どうしようもなくなった俺はソルに目を合わせると、ソルは小さく笑ってからベルの耳元で何かを囁いた。
「の、退く〜。起きるから〜」
「うんうん、それなら良いの」
何かに酷く怯えた様子でベルが退いてくれたが、一体何にあそこまで恐怖しているのだろうか。
「ソルは何を言ったんだ?」
「ひ・み・つ。でもヒントを出すなら、ルナ君が誰のものかを教えただけ」
「あ〜......うん。分かった」
多分、めちゃくちゃ脅されたんだろうな。
俺から見ればソルは独占欲が強いから、少しでも長く俺に触れようとする存在をフルボッコにする考え方を持っている......と、思っている。
......逆の立場なら、俺もソルと同じ対応を取ると思うが。
「よし、なら俺達は買い物に行ってくるから。ベルは二度寝するなり、メル達と遊ぶなり好きにしな。但し、部屋からは出ないこと。いいな?」
「分かった〜」
「うむ。心配だからイブキを置いてく。イブキ、頼んだぞ」
「御意に」
「わたし〜、信用されてな〜い」
「1回で退いてくれなかった罰だ」
「うぅ......ごめんなさ〜い」
反省した素振りを見せながら頭を下げるベルを、俺は許すように頭を撫でてあげた。
「......へへ」
「どうした?」
「何でもないよ〜。行ってらっしゃ〜い」
「行ってらっしゃいませ、ルナ様」
「あぁ。行ってきます」
そうしてイブキに子守りを任せ、俺はソルとデートしに出掛けた。
心做しかいつもより手を握る力が強いが、どうしたのだろう。昨日はそこまで一緒に居た訳じゃないが、それなりに愛を伝えたはずだ。
「ソル、怒ってるのか?」
「別に。怒ることなんてないし」
「はぁ......ちょっと来い」
ツン、とそっぽを向いたソルの手を引き、俺はメインストリートの傍にあるベンチに座った。
隣の席をトントンと叩いてソルを座らせたが、やはり尻尾が少し逆立っており、怒りの感情を示している事を再確認した。
やべぇ、モフりたい。でも我慢だ。自制心を利かせろ。
「話せ。受け入れる」
ソルの肩に腕を乗せて抱き寄せると、ソルは優しく体重を乗せてくれた。
「......さっき、ベルちゃんがルナ君に謝ってた時にね?」
「うん」
「ベルちゃん、ルナ君に見えないように笑ってた」
「ん? あぁ、あれか。先を読んで答えるが、ベルが本心から謝る時は目を見て謝るぞ」
俺が先読みして答えると、ソルの狐耳がピクピクっと動き、俺の首に当たった。
正直、今すぐにでもソルを膝枕してモフりたいが、外ということと周りの目を気にしているので、何とか我慢する。
「ど、どういうこと?」
「あれでもベルは大悪魔なんだぞ? その場凌ぎの謝罪なんか、心が篭っている訳が無い。俺達で言う『小悪魔系』みたいな、ちょっと舌をペロッと出す様な、そんな感覚だろう」
のんびり屋なイメージのあるベルだが、実は頭がよく切れる。
ベルの使うのほほんとした喋り方ひとつ取っても、感情の込め方や、語尾を伸ばす時間から相手に与えるイメージの操作まで、かなり計算された声のトーンを使っている。
ベルは、ソルのように正直に言う子じゃないから、ちゃんと裏の意図を読んであげなきゃダメなんだ。
「そういうことだったんだ......私、何も分かってなかった......」
「俺だって、まだまだベルのことは分からないさ。大事なのは『分かってあげようとすること』と、『分かってあげる意志を見せること』だと、俺は勝手に思っている」
「分かってあげようとする意志......なるほど」
持論だが、これは万人に通ずると思っているぞ。
この考え方はピギー達との出会いでも役立ったし、俺が常にソルへ向けてこの意志を持っているから、ソルが沢山話をしてくれているんだと、そう信じている。
自分を知ろうとしてくれない人なんて、仲良くなる意味が無いからな。
これは、人が好きで、人に嫌われた俺の考えだ。信憑性はそこそこあるぞ。
「私、ちゃんとルナ君のことを分かろうと思ってるって、伝えられてる?」
「あぁ、普段から俺の話を聞こうとしてくれているから、よ〜く伝わっているぞ」
「ホントに?」
「本当だ。そうやって聞いてくるのも、俺の内心が知りたいからだろ?」
「......確かに。気付かなかった」
盲点だった。そう思ったのが分かるくらい、キレイな黄金の尻尾と耳がピーンと立った。
これはモフらずに居られな......いや、耐えろ。
「聞くという行為は、相手を知ろうとしている意志が1番分かりやすい行為なんだ。例えば、何かの発表をしている時、自分の発表に対して『○○なんですか?』って聞かれたら、『あっ、自分の話を聞いてくれているんだ』って思わないか?」
「思う。だから、それに答えたくなっちゃう」
「そうだよな。俺もそう思う。だからこそ、相手を知ろうとする人ってのは、質問上手な人が多かったりするんだが......この話はいいか」
「え〜? 知りた〜い」
「ダメだ。俺は今、ソルのことを知りたい気持ちの方が強いからな」
「えへっ、そういうことなら、まぁ」
可愛いなぁ。今の俺は『分かってあげたい』という気持ちの更に上に位置する、ソルの気持ちを『知りたい』という考えの方が強い。
もう、めちゃくちゃに甘やかせてその本心を曝け出させたいとも思えるが、ここは自制心のルナ。ソルのことを想い、ソルが嫌がるような事はしない。
こうやって相手を想う気持ちもまた、相手を分かってあげようとする考えのひとつだよな。
「さぁ、スッキリした所で買い物を続けよう。久しぶりのデートだけど、目的を忘れちゃいかんからな」
「うん! それとルナ君、今どんな気持ち?」
ベンチから立ち上がってソルの手を引くと、ソルは俺と腕を組みながら聞いてきた。
「そうだな......煽られた気持ちか?」
「あ、煽り?」
「あぁ。ねぇねぇ今どんな気持ち? ねぇ今どんな気持ち? って、昔からある煽りのセリフ......」
「もう! そこは普通に受け取って欲しかったのに! なんてこと言うの!?」
「すまんすまん」
尻尾で背中をバシバシと叩かれたが、俺は本心で答えただけなんだ。許しておくれ。
「そうだなぁ。そのまんま受け取るなら──」
「なら?」
「可愛い。好き。愛してる。この3つの気持ちが浮かんだな」
俺はソルの目を真っ直ぐに見て伝えると、ソルも負けじと真っ直ぐに見つめ返してきた......が、流石に耐えきれないのか、少しずつ目が泳ぎ始めた。
「ちょ、直球すぎて、どう反応したらいいのか......」
「それは俺にも分からんな。だけど、これぐらいならいつでも言ってやる。だから、これから返事を編み出していけばいい」
「いつでも......うん、分かった!」
あぁ可愛い。心からそう思えるよ。本当にソルは俺の彼女でいいの? 大丈夫? 後悔しない?
まぁ、後悔なんてさせないんですけども。
「じゃ、行くか」
「うん!」
そうして、40分ほどソルとのデートを楽しんだ。
お砂糖とお塩を結構な頻度で扱うこの作品ですが、旨み成分はどこなんでしょう?
お砂糖って、旨い?.....旨い!!(錯乱)
そう言えば最近、お砂糖を使わなくなりました。
昔は沢山使っていたのですが、気付いたら量が少なくなっていましたね。
そのせいで体重が減ったのでしょうか。(55kg→51kg)
60kg.....見てみたいなぁ(遠い目)
では次回『フリット・フィデム』お楽しみに!