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銀髪の集い

新章だと思った? ねぇねぇ思った?


残念、まだ12s.....はい、すみません。舐めた事言いました。ハイ、ごめんなさい。


ええと、12章の最終話です。楽しんでください!




2月に入り、2週間が経とうとしている頃。

月がモンスターを蹂躙するドラゴン達を照らす魔境の島。

その中央付近にひっそりと建つ、大きな木造の家にて。


カーテンを全て閉められたリビングには、蝋燭の灯りが3人の銀髪を照らしていた。



「リル、メル。これから重要な話をする」


「......はい......」


「......ねむい」


「ちゃんと聞いてくれたら腕枕で寝かせてやろう」


「「聞きます! / きく!」」


「よし」



この空間は、俺達3人以外には誰にも声が聞こえない。

音魔法で周囲との音を完全にシャットアウトし、サーチによる観測を常に続けているので、目視することすら許されない。


そんな完全防音のリビングにて、俺はとある話を持ち出した。



「俺のユニーク称号、『悪魔崇拝者』について話す」


「悪魔崇拝者......まさか父様......」


「違うぞ。入手した原因も分かるから、取り敢えずこれを見てくれ」



◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆

ユニーク称号【悪魔崇拝者】


悪魔に好かれ、悪魔を嫌った者。

悪魔に好かれ、悪魔を友とした者。

悪魔に嫌われ、悪魔を殺した者。

悪魔に嫌われ、悪魔に悪魔と言われた者。

そして悪魔に崇拝されし、悪魔を超えた者。


『悪魔に崇拝され』『悪魔を友に出来る』

『悪魔を呼び出し』『悪魔を操る』


これはたった一つの称号です。

◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆



「「......?」」



ウィンドウを見た2人が、同じタイミングで首を傾げた。

可愛い娘達だ。腕枕は確定だな。



「これ、なんと供物を捧げることで悪魔を呼び出せます」



俺はホープダイヤモンドを5つ取り出し、机の上に置いた。



「2人とも、よ〜く見てろよ?......アホ悪魔、来い。『ベルフェゴール』」



ホープダイヤモンドの上に手をかざしてMPを2万使うと、俺の手の中から黒い手が伸び、ダイヤモンド達を粉々に砕いてしまった。


そして塵になったダイヤモンドから、銀色の髪をした、眠たげな緑色の目をした女の子が現れた。



「ね〜む〜い〜」


「「あ!!」」



床にトンっと降り立った女の子......ベルフェゴールは、のそのそと俺の膝の上に乗ってきた。



「邪魔だ」


「え〜? 呼び出しといてその態度は何なのさ〜。君には人の心が無いの〜?」


「無いな。だからこうして......お前を殺す準備をしている」



俺は行動詠唱のクロノスクラビスで、ベルフェゴールが出した黒い魔法陣を破壊した。

そして首に糸を巻き付け、いつでも首を斬り落とせる事を暗示した。



「ご、ごめんってば〜」


「じゃ、さようなら。実験的に呼び出しただけだから、もう死んでもいいぞ」


「待って! 私を殺すつもりなの? テイム......しなくていいの?」


「あぁ。じゃあな」


「ちょちょちょちょ! そこの2人、止めてよ〜! このままじゃ私、死んじゃうよ!?」



糸によってジワジワと首からポリゴンが滲み出ているルフェゴールは、2人に助けを求めた。



「まぁ、父様を攻撃しようとしたなら、死んでも問題ありませんよね」


「ん。じんめいゆうせん」


「そんな〜! うぅ......ぐすん......折角良質な供物で呼び出されたのに......ひどい......」



2人に見捨てられたベルフェゴールは、その緑の瞳からポロポロと涙を零した。



「死にたくないか?」


「うん......死にたくないよぉ......」


「じゃあ、そうだなぁ。俺の事、どう思う?」



俺がそう聞くと、マジギレしたリルとメルが、凄まじい目力で俺を睨んできた。



「「父様? / パパ?」」


「2人は静かにしてなさい。で、ベルフェゴール。お前はどう思う? 正直に言ってみろ」



2人に構わずベルフェゴールに聞くと、震えた声で呟いた。



「あ、悪魔。悪魔より、悪魔......」



よし、完璧だ。これで残りのプロセスは1つだけだ。



「じゃあ、これに応えてくれるよな?『テイム』」


「うん......」



◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇

『怠惰の悪魔・ベルフェゴール』をテイムしました。

◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇



テイムが完了すると、ベルフェゴールの首に緑のチョーカーが付けられた。

そこには今俺が付けた名前、『ベル』の文字が刻まれている。



「とまぁ、こんな感じの経緯を経て、悪魔をテイム出来るようになる称号だ」


「......そういう事でしたか。てっきり、母様を捨てる様な事を言うのかと......」


「俺がソルを捨てる? そんな天地がひっくり返っても有り得ない事を言うと思ったのか?」


「だってパパ、しんけんなかおだった......」


「そりゃあ演技だからな。ふざけた顔で話して、自分すら騙せないなら演技の意味が無い」



敵を騙すなら味方から、というように、演じ切るなら自分の存在ごと変えなきゃならん。

いつもの自分とは違う意識で話すことで、上手く相手を騙すことが出来る。


これが努力を重ねた陰キャの力だ。



「さてさてベルよ。お前はどんな能力を持ってるんだ?」



俺はベルが膝の上から降ろすことを諦め、テイムモンスターのウィンドウを開いた。



◇━━━━━━━━━━━━━━━◇

名前:ベル

性別:メス

レベル:1

種族:大悪魔

崇拝対象:ルナ

テイム主:ルナ(∞)


HP:5,000

MP:320,000

STR:2

INT:110,000

VIT:85,000

DEX:30

AGI:2

LUC:1

CRT:1


『取得スキル』


魔法


【全属性魔法】Lv200

『空間魔法』Lv200

『血魔術』Lv200

『花魔術』Lv200


その他


『睡眠回復』Lv0

『睡眠強化』Lv0

『吸血回復』Lv0

『心臓覚醒』Lv0

◇━━━━━━━━━━━━━━━◇



「なぁにこれぇ」



極端すぎるステータスに、空間魔法以外見たことの無いスキル達。そして知らない種族な上に、崇拝対象が俺になっている。



「私は〜、旦那様の〜、下僕?」


「旦那様は辞めとけ。ソルがブチ切れしてお前を殺しに来るぞ?」


「じゃあ〜、何?」



何って言われても困る。呼び方なんて暴言じゃなければ何でもいいし、そこら辺は自分で決めて欲しいのだが。



「好きに呼べ。というかベル、ステータスを見るにお前、空間魔法が使えるんだよな?」


「うん〜、完璧に使えるよ〜」



有能だな。ベルが居れば好きな場所にテレポートを置けるから、単純に行動出来る範囲が広がる。

ってアレー? この子、俺がテストで使った『血魔術』とか覚えてな〜い〜?



「お前吸血鬼なのか?」


「ううん。悪魔だよ〜」


「じゃあこの血魔術とか花魔術って何だ?」


「それは〜、前に〜、吸血鬼とか〜、アルラウネを食べたから〜、覚えたの〜」


「何だそれは。敵を食ったらスキルを奪うのか?」



チートじゃん。それ、能力コピー系のチートじゃん。

それに『食べたら』って事は、お前は怠惰じゃなくて暴食の悪魔か?



「違うよ〜。私の部下だったんだけど〜、他の悪魔に迷惑かけたから〜、力を強奪してから食べたの〜。美味しかったよ〜?」


「感想は聞いてないんだがな......因みにどんな味だったんだ?」


「えっとね〜、吸血鬼は〜「父様。脱線してますよ」だってさ〜」


「はいはい」



仕方ない。今度聞いておこう。吸血鬼の見た目とか味とか、アルラウネの存在についても気になる。

きっと宵斬桜に通ずる、植物のモンスターだとは思うのだが......戦う時が楽しみだ。



「まぁ、血魔術は知ってるから他は後で聞くか。取り敢えず、もう遅いし寝るか」



俺はベルを降ろし、蝋燭の火を消した。

秘密の会議っぽい演出をありがとう。蜜蝋で作った蝋燭だから、1つ作るのにそこそこの手間が掛かったが、中々に楽しかった。


これからも秘密を演出する時に使おうか。



「早く寝よ〜」


「寝ましょうか。父様、腕枕の約束ですよ?」


「ま〜くら〜」


「はいはい」



机の上を片付けてから、俺達は寝室へ向かった。


普段使っている大きなベッドには、ソルが9本の尻尾を広げて寝ていた。



「ママのしっぽとパパのうで......どうしよう」


「俺とソルの間に来い。両方楽しめるぞ」


「ん。ありがと」



それから全員でベッドに寝転がると、左からベル、ソル、メル、俺、リルと、川の字と言うより州の字に近い形で眠った。


明日はベルの力を試して、ヴェルテクスの皆と遊ぼうかな。

新しい子が出てきましたね!

ベルちゃんはのんびりマイペースな子ですが、やる時はやる子ですので、活躍をお楽しみに!


さて、次回からは13章の『新大陸編』が始まります!

完結が近付いている事に恐怖を憶えますが、最後まで走りきりますよ!


では次回!『三女、最弱を受け継ぐ』お楽しみに!



(小声で少し。登場人物紹介は番外編にぶち込むことにしました。作者マイページから飛べると思うので、もし更新されてたら是非チェックを。では)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 400話おめでとうございます。 これからも頑張ってください。
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