約束と返信
部屋の掃除をしていたら10円見つけたので投稿しました!
「こんにちは〜」
「らっしゃい!ルナ!どうしたんだ?」
フェルさんの店に来た。弟子の話と、メンテナンスをお願いせねば。
「まず、俺とソルの武器のメンテナンスをお願いします」
「お願いします」
「おう! 任せろ!」
では武器を出しますかな。...ボロボロの。
「えっルナ君!?」
「おいおい......何したらこんなボロボロになるんだ?」
そう、耐久値がかなり減っているのだ。
愛剣のは2割、貰った剣は4割、弓が1割しかない。
「ちょっと幻獣と戦いまして、俺のステータスに耐えられませんでした」
「幻獣っておいおい......マジか?伝説上の生き物だぞ......」
「ステータスに耐えられなかったって......ルナ君、今どんなステータスしてるの?」
「今はSTRが2,610あって、DEXが2,140だな」
「狩りが始まる前のフラグ、回収したんだね......」
「確かにそんなこと言ってたな~」
あのフラグ通りにSTRだけに振った訳では無いが、剣が壊れる手前までいくステータスになったんだ。回収したと言っていいだろう。
そんな事を考えていたらフェルさんが、
「なるほどな。そのステータスなら耐えられねぇのも分かる。と言うより今まで良く無事だったな」
まぁ、それもそうだ。普通は緩やかに強くなる所を急激に強くなったからな。そこが気になるのだろう。
「はい、幻獣と戦ってる最中にSPを振ったので、その前は弱かったんですよ。『最弱』の称号が着くくらいには」
「そうだったのか......ルナが『最弱』とは思えねぇな。前に来た語り人の方が弱そうだったぞ。で、幻獣との戦いはどうなったんだ? やっぱり負けたか?」
ふっふっふ!! フェルさん、聞いて驚け!!
「倒してテイムしました。その幻獣がこの子です」
そう言ってリルを抱っこした。
「リルです。『フェンリル』やってました」
リルよ、その自己紹介はどうかと思うぞ。
まぁ、俺が抱っこしてるせいなんだろうけど。
「おいおい。冗談はよせ。その子、どう見ても普通の子じゃねぇか」
あるぇ? 信じてない??
「フェルさん、あなたの弟子になる人の話は、信じられませんか?」
「ぐっ......ってようやくか! 弟子になってくれるか!」
「はい。お金稼ぎのバタバタがそろそろ片付くので、ちゃんと弟子になりますよ。
それと、フェンリルの話をしますので聞いてください」
それから俺は、あの後アルトム森林へ狩りにいき、夜にフェンリルと戦ったことを話した。
「っかぁ! 満月の時はモンスターが強くなるのは知ってたが、まさか幻獣が出るなんてな!驚いたぞ!! よく頑張ったな、ルナ」
「ありがとうございます」
「じゃあメンテナンス始めるか。弟子になったらそこら辺のことも教えるぞ」
ま! じ! か!
「ありがとうございます! 早く用事を終わらせますね!」
「おう!」
そして数分でメンテナンスが終わった。
「そういやリル嬢ちゃんの武器はあるのか?」
確かに。リルの武器がないな。
「リルの武器、確かにありませんね。戦闘系スキルは取れるようなので、後で教えるとします」
「それじゃあ、リル。武器は何がいい? 好きなの選んでくれ」
「はい! 父様」
俺がそう言うと、リルは武器を見に行った。
「いいの? ここで『鋼糸』とか選んだら、私達は教えられないよ?」
ソルが尤もな疑問をぶつけてきた。
「その時は俺が『糸術』を覚えよう。ギルドで聞いたり、開発すればいいしな。それとな、俺の予想じゃリルはここの武器は選ばないと思うぞ」
だって......ステータスが高すぎるんだもん。
武器が耐えられん。
「どうして?」
「見てたら分かるぞ」
リルが戻ってきた。そして―
「父様、ここの武器では私のステータスに耐えられません」
やっぱりな。予想通りだ。
「えっ!? リルちゃんどんなステータスしてるの!?」
「STRが約7千、DEXが約5千だな。剣も弓も、多分数回使ったらゴミになる」
「「た、高すぎる......」」
ソルとフェルさんがハモった。ま、それだけ幻獣は強いってこった。多分、リルは最初の幻獣だろうからな、これでも弱い方なんじゃないか? 知らんけど。
「そういう訳なんでフェルさん、ちゃんと武器の作り方教えてくださいね? リルに耐えられる武器を作りたいので」
リルの武器は俺が作ろう。俺がテイムした子だしな、それぐらいはやりたい。
「分かった。俺の技術全てをお前に教える。
俺の作れる物で、リル嬢ちゃんに耐えられるのは、多分『聖剣』や『魔剣』くらいだろうからな」
えっ!!!!!
「フェルさん、そんなものまで作れるんですか?」
「おうよ! これでも元々は国で一番の鍛冶師だったんだぜ? ま、俺は王都が嫌になったからこっちに来たがよ」
そういやリンさんが言ってたな。『性能が高すぎて売れないのがある』って。そういう事か。
そしてその技術を習えるのか!! 国一番の! 鍛冶師の!
頑張ろう! 俺。
「じゃ、また来いよ!!」
「はい! ありがとうございました!」
「「ありがとうございました!」」
フェルさんのお店を出て、俺達はリンさんの服屋に向かう。
「リルの服を買おうか」
今のリルの服は白いワンピースだ。
獣人に変身した時に来ていたやつだな。中々に可愛い。
「そうだね! 今の服も可愛いけど、バリエーションを増やしたいね!」
「良いのですか?」
「もちろんだ。ソルにだけ服を贈るってのは俺が嫌だからな。リルにもちゃんとした服を買ってあげたい」
可愛いんだもの。良い服を着て更に可愛くなってくださいな。
「リルちゃん、強くて可愛いとかそれもう最強だよね」
「何を今更、俺は出会った時からリルが最強だと思ったぞ」
ソルと俺ではニュアンスが違う。俺のはただのパワーやスピードの、戦闘面オンリーだからな。
「もう、そっちの意味じゃないよ!」
「ははは! わかってるよ」
「ありがとうございます。父様、母様」
キャー! もう最高! このゲーム、神ゲーだな!
あとはもう、家を買ってのんびりしながら全スキル極めたい!!家あるのか知らんけど!
こうして、俺の中の目標が少しずつズレた。
「こんにちは〜リンさん」
「ルナ君! いらっしゃい! 彼女さんと......子ども!?」
そういやリンさんはそういう人だった。
ちゃんと訂正しないとな。
「そうですけど違いますよ」
どっちやねん。
「どいうこと?」
「俺達の子どもという事ですけど、本当はテイムした子です。幻獣って知ってますか?」
「分かるけど......もしかして?」
イェス!!
「はい、リンさんの予想通りだと思いますよ。この子、リルは元々『フェンリル』です」
「ほんとに!? 凄い!! 伝説の生き物だよ!? どこで会ったの!? 知りたい!」
「リルです。よろしくお願いします」
おっとこのタイミングで自己紹介を挟むかリル。
「私はリンだよ! よろしくね?」
凄い。よく対応できるなリンさん。
それからフェンリル談義をした。
「リンさん、リルに似合う服はありますか?出来れば魔糸製で。巫女服の方はもう少しで大金が手に入るので問題ないです」
服の事はリンさんに聞こう。
大金についてだが、運営はあの報酬を飲むはずだ。きっと、それほど幻獣を倒すというのはデカいことなんだろう。だってリルのレベル、150だし...PSとスキルレベルのゴリ押しだった。
「まっかせて! 最高に可愛いのを選ぶわ!」
そう言ってリンさんは店の奥に行った。
「いや〜それにしても早くソルの巫女服姿を見たい。きっとその時、俺は死ぬほど舞い上がるだろうな」
リルの服が楽しみだな。
あれ?
「あ、言ってる事と思ってる事が逆だ」
「ちょ!? ルナ君!?」
顔が真っ赤だな、ソル。多分俺もだが。
ここでリルが爆弾発言をした。
「ふふふ! 父様と母様はラブラブですね!」
「うぇお!? な、何を言ってんだリル!」
ちょ待て待て待て!!!!
「えふぁい!? リルちゃん!?」
と、そこで
「お待たせ! ってあれ?どしたの?」
「何でもありませんよ、リンさん」
リル!! お前確信犯か!!
「そう? 2人は顔真っ赤っかだけど。あ、はいこれ、リルちゃんの服! どうかな?」
落ち着け。落ち着いて餅つけ。
性能を......! 性能を見るんだ!
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『魔糸製のワンピース 』Rare:10
防御力180
耐久値∞
魔法適正『水』『風』『雷』『氷』
付与効果『魔法適正値:中』『自動調整』『自動修復』『魔法防御補正:中』『物理防御補正:小』『AGI補正:大』
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「つっよ」
高性能な上に、エメラルドグリーンの綺麗なワンピースだ。今の白のワンピースもいいが、こちらも良く似合うだろう。
「これはリルちゃんにぴったりだね!」
「リンさん、これ幾らですか?」
買える値段であってくれ。頼んます。
「40万Lでいいよ! リルちゃん可愛いし!」
神よ!!
「買います。はい、40万Lです」
普通に防具としてみても、とんでもなく高性能だ。
あ、全然防具屋行ってねぇや。どうしよ。
「毎度あり! 早速着てく?」
「お願いします。リル、行っておいで」
「はい! 父様!」
服屋には試着室があるのでそこで着替えるように言う。
そして――
「リルちゃん可愛い!!」
「可愛いね!! 私のセンスはバッチリだね!」
「よく似合ってるぞ、リル」
めちゃめちゃ可愛かった。
これが美少女×可愛い服のパワーなのか!?
「皆様ありがとうございます!」
もうね、こっちがありがとうございますと言いたいよ。
「ではリンさん、また来ますね!」
「「ありがとうございました!」」
「うん! まったね〜!」
そして服屋から宿屋に戻る最中に、
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ルナ様へ
Your story運営です。
条件と報酬の件、全て問題ありません。
・配信サイトは第1回公式生放送と同じ、『You Brown』です。
・配信日程は現実時間で明日(日)の正午です。
・撮影場所はYour story内です。現実時間午前11時頃に『語りの広場』に来てください。特設エリアに転送します。
・出演者は『カズキ』『レイジ』『キアラ』とルナ様です。
・ルナ様が公開する情報は『幻獣狼:フェンリル』戦の話のみです。
報酬に関しては、生放送終了後直ぐにお送りします。
よろしくお願い致します。
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「返信きた」
「どうだった?」
「条件、報酬共に全部飲んでくれたよ」
「まぁ、そこまで難しくないだろうしね。そう言えば報酬に『真鍮のインゴット』を頼んでたけどどうして?確かにまだ、鉱石とか採れるところに誰も行けてないから、価値は高いけど」
「秘密だ。そこそこ長期的な作業になるからな。終わるまで言わないよ」
秘密なのだ。ヒントを出すなら、『狐っ娘』『巫女服』だな。俺はどうしても『アレ』が必要だと思ったから、真鍮を報酬に選んだのだ。
「分かった! 終わったら話してね? 約束だよ?」
「もちろんだ。約束する」
ソルの為に頑張らねば。
そして宿屋に戻って、称号の確認をする事にした。
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名前:ルナ Lv60
所持金: 685,050L→285,050L
種族:人間
職業:『剣士』
称号:『スライムキラー』
所属ギルド:冒険者 (E)
HP:690
MP:690
STR:2,610(200SP)
INT: 510
VIT: 1,120(50SP)
DEX: 2,140(150SP)
AGI: 810(20SP)
LUC:305
CRT:43
残りSP:170
取得スキル
戦闘系
『剣王』Lv50
『王弓』Lv43
『走法』Lv0
『手加減』Lv0
魔法
『木魔法』Lv82
生産系
『鍛治』Lv1
『金細工』Lv1
『裁縫』Lv1
『調薬』Lv1
『付与』Lv5
『木工』Lv1
『料理』Lv5
『錬金術』Lv1
その他
『テイム』Lv2
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リルちゃんの服で1日働いた分が飛んでいきましたね!
リルチャンカワイイヤッター!
あと、どんどんルナ君は甘々のデロデロになりますねぇ
次回、何回目かの確認ですね!
...実は3回目の誤字脱字チェックで、称号の確認について気づきました。元々はそのまま、生放送の日までぶっ飛ばすところでした。てへ。




