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中途半端な王様

番外編も更新してます。


◇ルナside◇



メル達を呼び出し、レヴィアタンとサタン、それからマモンを倒してから数分。偵察に出していたアルスが俺の元へと帰って来た。



「主。この先には1つの扉しかありませんでした」


「そうか。ありがとう。アルスは前衛を任せていいか? 犬子(わんこ)さんと、テインさんと一緒に行動してくれ」


「御意に......主は後衛ですか?」


「え? 違うけど。オールラウンダーだから中衛だな。剣も魔法も、弓も回復もする」


「それは少々、仕事が多いのではないでしょうか。1つに振り切った方が、主の力がより輝くかと」


「心配してくれてありがとう。でも大丈夫だ。俺を信じてくれ」


「はっ」



綺麗にお辞儀をしたアルスは、雷器を用いた雷の剣と糸を手に、前衛組へと入って行った。


後ろから見て思ったが、アルスの身長って結構大きいんだな。

犬子さんとと比べて少し大きく、178センチくらいはあるんじゃないかな?


高身長イケメンとか人生勝ち組かよ。ケッ!



「パパ。パパもかっこいいよ」


「心を読むな愛娘(まなむすめ)。でもありがとう。嬉しいよ」



歩き出しても何故か俺から降りようとしないメルの頭を撫で、感謝を伝えた。


そう言えば、ソルも俺の事をカッコイイと言ってくれるが、他の人には言われた事が無いんだよな。

今回初めてメルに言われた訳だが、どれもこれも、身内贔屓が入っている気がする。


あまり他者に好かれようと思わない俺だが、高校生たるもの、少しは気になるのだ。



「......ダメだな。ソル以外、誰に見られようとしてるんだよ」


「どうしたの?」


「何でもないよ。大好きな人には、良く思われたいと感じただけさ」




そうして雑談を終え、アルスの報告にあった扉の前に来た。


現在、4人が作戦会議をしているのを聞きながら、俺はモスベリーを齧っている。



「──ですので、アルスさんとテインで先手を取りましょう」


「了解だ」


「分かりました」



着々と進行し、緊張が走る雰囲気の中で、俺は抱きかかえているメルと遊んでいた。



「メル、あ〜ん」


「あ〜ん......ん! これすっぱい」


「だろ? セレナが土に含まれる魔力の量で味が変化することを見付けてな。試しに作ったヤツなんだ」


「へ〜。でも、すっぱすぎない? これじゃあたべられない」


「大丈夫大丈夫。お酢とかの調味料に使うから。レモンの代わりとでも思えばいい」


「ふ〜ん」



ちょっと離れたところでメルに食べさせていたら、5人から冷たい視線が突き刺さってきた。



「ルナさん、聞いてますか?」


「聞いてますよ。俺がバフを掛けてからカーナさん達の動きの補正をして、それからメルを後衛に配置してから俺が前衛組に入るんですよね?」


「......そうです」



ちゃんと話は聞いている。その上で緊張しないようにメルと遊んでいるんだ。

皆、ガチガチに固まりすぎだ。そんなんじゃ、プロの大会で本来のパフォーマンスが発揮出来ないぞ?


ちゃんとリラックスしなさいな。




それから5分程話し合いをすると、遂にボス部屋突入の時が来た。




「そうだ。アルス、お前にコレ貸すわ。気を付けて使えよ」


「はっ。有難く使わ......え?」


「どうした? 使い方が分からないか?」


「い、いえ。でもコレ、本当に我が使っても良いのですか?」


「あぁ。雷属性に限っちゃお前の方が強いからな。長所を伸ばしていけ」


「御意に。心して使います」



俺はアルスにある物を渡してから、ボス部屋の中へ入った。




『やはり来たか。我が配下を滅するとは、誠信じられんな』




ボス部屋の中は、サタンの時と同じ様に玉座の間となっており、俺達の前方にある大きな玉座に、左翼が白く、右翼が黒い天使が座っていた。


ボク、これすっごく見覚えがあるな〜!



「むかしのパパみたいだね」


「言うな」



多分ルシファーは『背理の天使』だ。あの特徴的な色違いの羽は、背理の天使の象徴だからな。


人々に力を授ける聖なる天使と、生き物全てに悪影響を與える邪悪な天使。そのハイブリッドと言える天使が、背理の天使だ。


相反するはずの聖と魔を両立させる、少々強すぎる種族。


まぁ、言い方を変えれば『中途半端な種族』なんだがな。



「皆さん、アイツはバフもデバフも飛行も使えるので気を付けてください」


「了解です。でも、それって普通のボスと変わらないんじゃ?」


「そんな奴とはレベルが違いますよ。いいですか、背理の天使は語り人がその種族になれば、聖天使と魔天使の良い所だけを取る種族なんです。

けれどボスが使えば、そんじょそこらの中途半端な奴じゃなくなる。それだけは忘れないでください」


「は、はい」



経験者として言おう。『あの種族は強い』と。

俺からすれば、背理の天使は中途半端ではなく『万能な』種族だ。



『ほう、やはり貴様は知っているか。我が種を』


「当たり前だろ。大体、サタンから筒抜けだったんだろ? 俺が元背理の天使だってことを」



初めてサタンと戦った時、アイツは俺が、以前は背理の天使だと見抜いていたからな。当然ルシファーにも情報が行っているだろう。



『全く、サタンらも無能な者よのう。銀髪の者だけを殺せば良いものを、全員を始末しようとするなど......二兎追うものは一兎も得ず。愚かな事よ』



「あ〜、それには同感っすね。特にマモンなんか、サタンと喧嘩してましたからね。本当に愚かだと思いますよ。えぇ」



俺が軽い口調でルシファーに話しかけると、メルとアルス以外の4人が俺の方を見た。


何? 俺、場の空気を変えるような事を言ったか?



『ハッハッハ! やはり貴様もそう思うか。そこの者よ。名はルナで合っておるな?』


「違いますね。俺はルカです」


『ん? サタンのモノによれば、ルナのはず......貴様は一体......』



プークスクス! 騙されてやんのー! バッカでぇ!


俺は敵相手には平然と嘘をつくからな。騙し合いは得意中の得意なんだ。さぁ、ここからどんどん楽しくなるぞ!


テンション上げてこうぜ!



『メル。龍核覚醒をしろ。属性は任せる』


『わかった』



念話で指示を出しながらメルの頭を撫で、俺はステラノヴァを顕現させた。


当初の計画通り、バフを全員に掛けてからカーナさんとチュチュさんのサポートだ。



「テイン! アルスさん! 行くよ!」


「おう!」


「はい」



3人が仕掛けるのを見て、俺はメルに後方支援と生存優先で動くことを伝え、素早くカーナさん達の元に来た。



「カーナさん、出来ればデバフをルシファーに掛けてください。チュチュさんはこの矢をあげるので、足りなくなる前に俺に言ってください」


「分かったのです!」


「分かったわ。ってかこの矢......」



チュチュさんに桜器の矢、それも神月の花弁を使った矢を500本渡し、俺はアルテを右手に顕現させた。



「ストックはあと2000本です。足りなければその弓の特殊技で何とかしてください」


「何で知って──」



転移でメルの元に戻り、念の為のマナポーションを渡して準備完了だ。


アドリブとして、前衛組に入る前にアルテでルシファーを撃ち抜いてみよう。

果たしてルシファーは、矢を避けるのか、受けるのか。受けたなら、怯むのか、怯まないかで今後の戦略に左右されるぞ。




「開戦だ。『雷槍』」

ルシファー戦、開戦ですね!



次回『ルシファー』お楽しみに!


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