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壇上の談笑ダンスショー

400話が近くなってきましたが、完結はいつになるのでしょうか。

一応、完結を決めてから書いてるので、エタることはないと言っておきます。(n度目)




「そうなんですよ! ルナさんってばそこそこの頻度で死んで帰るので、心配で心配で......私の心が泣いてますよ!」


「あぁ、私のウルっちも同じこと言ってたわ」


「ホントに! 当の本人はあっちでソルさんと話してますけどね! もう!」



会話を初めてから5分。何故か女子グループと男子グループに分かれていた。


先程まで戦闘していたボス部屋の中は、いつの間にかお茶会の場へと変貌を遂げていた。



「やはり、読みは経験で積んだものと?」


「ほっほっほ。そうですよ。ルナ様は時間がある時は私ともう1人の執事、そしてテイムしたドラゴンの方達と遊んでますからなぁ」


「「あ、遊ぶ......」」


「大丈夫です。死ぬ前に終わりますよ」


「「それは大丈夫じゃない!!」」



イブキと犬子さん、そしてテインさんの会話に、俺は着いていけなかった。


だってこの人ら、ずっと戦闘の話をしているんだもん。

折角の機会なんだし、戦闘じゃなくてオススメの銭湯の話でもしてくれたらいいのに。


だから俺は、1人壁際でソルとボイスチャットをしているんだ。



『う〜ん、どうしよう。凄くそっちに行きたくなってきた』


「来ても大丈夫だとは思うが、リル達が多分......」


「うん。私に着いてくると思う」


「だよなぁ。メルは戦えると思うが、今のリルには荷が重すぎるからな。それを口に出せば、多分リルは悲しむだろうし......」


『ふふっ、優しいね』


「ソル程じゃないよ。じゃ、そろそろ行くとするわ」


『気を付けてね? 死んで帰ってきたら、私が突撃するからね?』


「分かってるよ。不死鳥化は残してある」


『それならオッケー。じゃあ、頑張ってね。愛してるよ』


「ありがとう。俺も愛してるよ、ソル」


『えへへ、じゃあね............きゃ〜!! う〜れし〜〜い!!!』


「って切り忘れてるし」



最後にソルの声を聞いてから、ボイスチャットを切った。


そして壁から振り返ると、俺のすぐ後ろまで女子グループが近付いていた。




「今の、聞きましたか?」


「「「「うんうん」」」」


「あれがソルさんとルナさんなんですよ」


「「「「きゃ〜!!!」」」」



どうやら会話を聞かれていたようだ。

危なかったな。もう少し気が緩んでいたら、普通にリアルの話をする所だったぞ。


情報漏洩を防げてよかった。



「あの〜、ルナさ〜ん。私は辞めた方がいいと言ったんですけど、皆さん聞く耳持たなくて......」


「いいよ、ステラ。別に聞かれてマズイ話はしていないし。それに、会話に夢中になって後ろの警戒をしていなかった俺が悪い。だから気にするな」


「はい......」



ひょこひょこと涙目で出てきたステラの頭を撫でてから、付喪神達を武器に戻した。



「そろそろ行きましょう。2層の情報は無いんですよね?」


「無いですね。ここからは完全初見です。慎重に行きましょう」


「えぇ。隊列を変えますか?」


「そうですね。僕とルナさん、テインを前にして、カーナさんとチュチュさんを後ろに回しましょう」


「了解です」



典型的な前衛、後衛の別れ方だが大丈夫なのだろうか。

一応オールラウンダーである俺を真ん中にして、縦3列にした方が良いのでは?


まぁ、ミスをしてから発言するか。その方が学びを得やすいだろうし。



『出ましたね〜、ルナさんの黒い所』


『そう? お兄さんの優しさから来てると思うけど』


『確かに見方を変えれば優しさだと思います。ですが、あのルナさんですよ? まだカーナさん達を信じていないはずです。ほら、過去に戦ったじゃないですか。星塔で』


『あ〜、確かにね〜』



シリカよ。フーの考えに呑まれるな。俺、泣いちゃうぞ。いいのか? マジで泣いちゃうぞ。ガチ泣きするぞ。


まぁ、あながち間違ってないから何とも言えんのだが。


事実、俺はまだこの人達を信じていない。



「「敵です / 敵なのです!」」


「どんなモンスターか分かるかい?」


「分からないのです!」


「......マズイですね。宵斬桜が来ちゃいました」


「「「「え?」」」」


「凍らせましょうか」



俺達が進むスピードよりも、宵斬桜が向かってくるスピードの方が速いな。


通路は10メートル近く幅があるから、ここで迎え撃つのが最善手だろう。



『ヒヒッ! 人間だぁ!!』


「止まれ。『戦神』『グレイシア』」



戦神のバフを掛けてから龍神魔法を使ったが、真っ黒な浴衣に身を包む宵斬桜には一切効かなかった。


コイツ、ダンジョン用にめちゃくちゃ強化されてやがる。



『無駄無駄ッ! アハハ!!』


「犬子さんとテインさんは前衛を。俺は後ろの2人を守ります」


「「了解!」」


「カーナさん、出来れば宵斬桜の足元に魔法を撃ってください。頭や胸の位置では避けられますので。チュチュさんも同様にお願いします」


「分かったです!」


「了解ルナっち!」



俺は2人を少しだけ後ろに下がらせた後に指示を出し、犬子さん達とカーナさん達の間に位置取った。


ここならどちらの援護も出来るからな。



「ステラ、練磨の煌めきを。『桜器』」



全員にバフを掛け、俺は神月の桜の花弁を2つ持ち、ひと振りの刀を錬成した。



『あ〜!!! 私の霊剣の出番が!!!!』


「うるさいなぁ。使ってやるから観察しろよ」


『勿論です!』


「【霊剣】」



火属性の霊剣を作り、桜器を右手に、霊剣を左手に持って構えた。


犬子さん達が前線を張っている隙に、たっぷりと準備させてもらったんだ。負けられないぞ。



「犬子さん! 引いて!」


「うん!」


「よし、フンッ!」



俺は指に掛けていた、桜器で作った糸を全力で上に引っ張った。

これは刀を錬成する時に同時に作った物で、既に宵斬桜の手と足に絡み付かせておいたものだ。



「重いぃぃぃ......うぎぃぃぃぃ!!!」


『ぐっ! コイツ......!』



凄まじいパワーで抵抗する宵斬桜を、これまた凄まじいパワーで縛り上げる。

え? 女性に『重い』は禁句だって?


大丈夫大丈夫。大事なのは重さじゃなくて体型だから。



「うぐぐぅ......あ゛あぃ!!」



何とか宵斬桜の両手を縛る事に成功し、ついでに足も糸で縛って拘束した。


これでようやく、煮るなり焼くなり好きにできるぜ。ぐっへっへ。



「ルナさん、いいんですか!?」


「いいので早くしてください!」


「はい!」




完全に動けなくなった宵斬桜は4人の猛攻撃によって傷がつけられ、俺も参戦した頃にはポリゴンとなって散っていった。


倒すのに時間がかかったせいで、俺の指が千切れるかと思ったぞ。




「皆さんお疲れ様です」


「ルナさん、拘束ありがとうございました。お陰で倒せました」



犬子さんがそう言って剣を鞘に納めたが、俺には1つ、懸念事項があった。



「複数体で敵が出た時、どうしますか?」


「どう、とは?」


「戦うのか、逃げるのか。殺すのか、生きるのか。俺が死んだ時の事も考えて話しません?」



俺がそう口にするが、犬子さんはまだ首を傾げていた。



「えっとですね、仮に宵斬桜が3体出現したとしましょう。この時、俺は1人で1体を相手にしますが、残りの2体をどう対処するのか、考えて欲しいんですよ」


「えっ......そもそも、あのクラスの敵が複数体出るんですか?」


「え? 逆に出ないと思ってるんですか?」


「はい。だってそんなの、誰も勝てないじゃないですか。1体ずつの連戦方式だから勝てる相手なのに、それが複数体って......それ、勝たせる気が無いと思いません?」



あ〜、ダメだ。この人と俺は考え方が違う。


俺は常に最悪のパターンを想定しているのに対し、犬子さんはゲームという、限られたカテゴリーの中で考えている。


これは非常にマズイ。こういうタイプの人間とやる時、大抵は悪い結果で終わるんだよな。



『ルナさん、諦めましょう。この人間はダメですよ』


『ダメというか、お兄さんとは相性最悪だね』



どうやら付喪神ズも同じ意見らしい。やはり相性が悪いか。



「はぁ......まぁ、リーダーに任せます。ただ、もしもは考えてください」


「勿論です。さぁ、行きましょう」


「はい」




そんなこんなで、俺の心に小さな芽を出した不安感は、少しずつ成長していった。

ゲーム内でのリアル思考か、一貫したゲーム思考か。

この2つに別れちゃってるんですよね。

犬子君とルナ君、両方とも指揮が出来るタイプだから、どこかでぶつかりそうですね。



では次回『王と帝、示すは大罪』お楽しみに!


あと★評価とブックマークをお願いします。(何故かこれを言うのを躊躇うゆずあめ)

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