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奥さん強いっすね!

昼寝の素晴らしさを全人類に伝えたい柑橘類





「あ゛ぁ゛ぁ゛疲れたぁ」


「疲れましたぁ」


「疲れたねぇ......」


「よゆー」




道中に出現する全ての幻獣を倒し、俺達はボス部屋の前でグッタリしていた。


俺は基本的にフェニックスを担当していたのだが、ダンジョン用に不死の力が無いとは言え、数で責めてくるフェニックスは本当に脅威だった。


本当に大変だった。この疲れ、本物をテイムして発散してやろう。イヒヒ!



「はぁ......そろそろ行くか。多分、ボスより道中の方が強いぞコレ」


「だね。でも気を引き締めなきゃ」



そう言って俺と一緒に立ち上がったソルの狐耳を撫で、少し気になる事が頭に浮かんだ。



「そうだな。あ、気になったんだけどさ」


「な〜に?」


「ソルってこのダンジョン、クリアしてるのか?」


「してないよ。情報だけまとめて、攻略は今度やろうと思ってたから」


「そっか」



ならタイミングが良かったな。俺はちょっとだけ嬉しいぞ。



「父様。私とメルちゃん、悪魔と戦うのは初めてです」


「そうだっけ?......そうだな。まぁ、アイツらは何かしら1つはえげつない攻撃を持ってるから、それに気をつけてくれ」


「分かりました」


「りょうかい」



サタンなら魔力吸収エリア。マモンなら魔法・武器奪取の様に、アイツらは何かしら性格の悪い攻撃を持ってるからな。


それ以外の行動については、当たらなければどうということはない戦法で大丈夫だ。


自分を信じて立ち回ろう。




そしてボス部屋の扉を開けると、水で作られたドームの中に居る様な空間が広がっており、その中心には巨大な緑色の蛇が待ち構えていた。




『ギシャアアアアアァァァァ!!!!!』




◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇

『嫉妬の悪魔・レヴィアタン』との戦闘を開始します。◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇




「おー、完全なモンスタータイプだ。初めてだな」



人型じゃない悪魔である事に感心していると、ソルにグイッと腕を引っ張られた。



「ルナ君、初手は回避に専念しよう。蛇の動きに慣れるまで、攻撃しない方が良いでしょ?」


「ん? あぁ、そうだな。そうするか」



何かおかしいな。ソルの表情が......少し硬い? これはもしかして......もしかするのでは?



「なぁソル。お前もしかし「来るよ!!!」



確定かな。ソル、蛇が嫌いなんだ。


いや〜、ソルが蛇嫌いなんて、10年近く一緒に居て初めて知ったよ。

可愛いというか、珍しいというか......新たな一面を見れて嬉しいな。



ダメだニヤけそう。抑えろ俺。




『ギシャシャァァ!!』




レヴィアタンが口を大きく開けると、如何にも毒がありそうな緑色の粘液の塊を吐き出してきた。


標的はメルみたいだな。大丈夫だろうか。



「リルちゃんはよけてね」


「!? め、メルちゃんは!?」




「コレがある。『オービストーレント』」




メルが片手を突き出して魔法を使うと、メルの前方に滝の様な勢いで水が流れる、激流の壁が現れた。


レヴィアタンの出した粘液が水に触れた瞬間、一瞬にして粘液が水に分解されていった。



「凄いな。龍神魔法って、極めたら何でも出来そうだ」


「でもアレ、相当燃費悪いと思うよ。メルちゃんの特性が活きてるから使えるのであって、あの魔法を私が使おうとすると......」


「まぁMPが足りんわな」


「うん」



最近知ったのだ。メルの『神龍人族』の種族補正を。


効果は単純明快『龍神魔法の強化』と『全魔法の消費MP90%カット』そして『ステータスの超強化』だ。


最後のステータス強化に関しては龍核覚醒の時に適用される効果で、普段はシンプルに高いステータスとなっている。



いや〜、プレイヤーが神龍人族になれたらどれ程のバランスブレイカーになる事か。


今でも十分おかしいが、より頭がおかしい事になるだろうな。



「ソル。できるだけレヴィアタンを見ないようにしろ。サーチを使えば補足は出来るから、それを頼って攻撃してくれ」


「う、うん。ごめんね」


「気にすんな。じゃあ行ってくる」



地上でリルとメルが戦っている間に、俺はレヴィアタンの尻尾付近まで飛んできた。


レヴィアタンの尻尾は、先端が槍の様な形をしており、その部分だけ深緑色の液体が滴り落ちている。


これは明らかに猛毒だ。コイツ、『ぼくのかんがえたさいきょーのどくへび』をモンスターにしたみたいだ。




「せーのっ!『斬』!」



『グシャァァァァア!!!!』



布都御魂剣で居合切りの様に抜刀すると、スパッと斜めに尻尾が斬れた。


これは報酬が増えること間違いなしだ。今日の晩御飯にしてやる。



「メル! リル! 頭には近付くなよ!」


「はい!」


「わかってる〜!」




『ギシャァァ!!! ジシャァァア!!!!!』




尻尾を斬られて興奮状態のレヴィアタンは、俺やメル達に噛み付こうと必死に暴れ回っている。


クロノスクラビスで動きを止めようとしてみたが、0.1秒も止められず断念した。




「みんな、引いて!!!」




上空で待機していたソルがそう言うと、俺達は素早く後ろへ飛び退いた。




「『狐式(こしき):(あやかし)』『焔呪爆円陣』!!」



ソルが紫色をした炎の塊を飛ばすと、レヴィアタンの全身を包むように炎が円状に広がり、凄まじい熱と爆発と共にレヴィアタンを炎で包んだ。


数秒後に魔法の跡を見てみると、爆発の衝撃で体が短くなったレヴィアタンがソルに顔を向けていた。



「あれはマズイな。怯ませないと」



ソルの方はまだ爆発の煙が残っており、気付いていないはずだ。

ここでレヴィアタンを止めないと、もしかしたらソルが死ぬかもしれない。




レヴィアタンは体を青紫色に光らせると、口の前で何かを溜めるモーションをした。



『ギィ............シャァァァァ!!!!』



そして、黒と緑色が混じったレーザーの様なブレスを吐いた。



「間に合え!『(かみなり)』!!」



クトネシリカに魔刀術をかけ、ソルに向かって飛ばされるレーザーを真っ二つに斬ろうとした。

だが......



「ぐぅぅぅ......重いぃぃぃ!!!」


「父様!」


「わぁお。パパすご」



最速で最強の攻撃を出しているが、レーザーを完全に斬る事が出来ない。

あと少し。あと少しだけ時間があればソルは助かるはずだ!



ギャリギャリと嫌な音を出しながら耐えていると、遂にその時が来た。




「ありがとうルナ君。『狐式:稲荷』『虚空』」




背後からソルの声が聞こえると、次の瞬間にはレヴィアタンが黒い塊に押し潰されていた。


ゴリゴリと骨を砕く音が聞こえ、5秒もすると完全にレヴィアタンが消滅した。



◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇

『嫉妬の悪魔・レヴィアタンLv320』を討伐しました。


『悪魔の礼装・嫉妬』×1入手しました。

悪魔の魔杖(ペル・ルクス)』×1入手しました。

悪魔大蛇(レヴィアタン)尾槍(びそう)』×1入手しました。


称号『断罪者』を獲得しました。◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇




「あっ......やば......」



ウィンドウが消えると同時に、後ろから弱々しいソルの声が聞こえた。


俺は急いで後ろへ振り向くと、箒から落下しているソルをお姫様抱っこでキャッチした。



「お疲れ様。仕留めてくれてありがとう」


「ううん......あれは、消費が......多い............」



話している最中にソルは気絶してしまった。

パーティメンバーの詳細からMPの値を見てみると、背理の太刀を使った後の俺と同じくらい、ソルのMPが上限を超えて減っていた。


今のソルの感覚、凄く分かるぞ。しんどいよな。



「ありがとうソル。大好きだぞ」



よし、報酬確認は後だ。今はソルを安全なところで眠らせよう。

俺はソルの額にキスをすると、リル達に宝箱を開けてもらってから家に帰った。



新しい称号もゲットしたし、次の『色欲』のダンジョンに役立つ事を祈ろう。



ここで初めて、2人以上生存してクリア出来ましたね!



次回『戦利品とご褒美・前編』お楽しみに!

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