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嫉妬と尊敬は似て非なるもの

この話が投稿された時、ゆずあめは寝ていることでしょう。

友人に深夜2時からゲームに誘われ、気が付いたら朝日がハロー.....夜更かしは宜しくないですね。

気を付けるとします。


「ルナさん......昨日はすみませんでした!」



スーパーお昼寝タイムを終えて、ゲーム内では翌日。リアルでは夕方に差し掛かった頃。俺は城のリビングでステラノヴァの手入れをしていると、フーが謝罪に来た。



「俺こそ悪かった。これからはもう少し、我慢することを覚えるよ」


「い、いえ。アレは流石に私が100パーセント悪いので......ごめんなさい」



やめてくれ。これ以上は無限に同じ事が続いてしまう。


そうだ、何か話題を変えようか。



「フー。リルとメルと一緒に、買い物にでも行ってきたらどうだ?年始だし、語り人も色々な物を売っているだろう?楽しんで来いよ」


「えっ......ルナさんは?」


「俺はダンジョン攻略。次は嫉妬のダンジョンに行く」


「な、なら私が必要なんじゃないですか?ほら、私、強いですし......」



何コレ。この前ネットで見た、メンヘラ彼女の行動を書いた呟きであったヤツと同じ状態なんだけど。



「強いのは知ってるよ。だけど今回はステラノヴァの感覚を確かめる為でもあるんだよ。第一にお前、知ってるだろ?俺が刀を握れば、そう簡単には離さないのを」


「まぁ......はい」


「だからだよ。今日は2人を連れて遊んでこい」


「分かりました。土産話、聞かせてくださいね」


「はいよ」



良かった。フーは病んでなかった。ありがとう。



ホッと息を吐き、俺はラフな格好でリビングを出ようとした所、フーに腕を掴まれてしまった。

あぁ、俺、死ぬのかな。お腹を包丁で刺されるのかな......



「ルナさん。外に行くのなら、せめてもう少しちゃんとした服にしましょう。ルナさんの威厳が消えちゃいます」


「えぇ?」



そう言われて確認してみると、特段変わった服を着ているという訳では無いことを確認した。


魔糸で作られた白い生地に、可愛い猫さんがプリントされているシャツだ。ちゃんと『にゃーん』と文字まで書かれてある。

別に何もおかしくないだろう。


ソルが上げまくった裁縫スキルの賜物だと、そう感じるシャツだろう?



「ルナさんを尊敬する人、減りますよ?」


「いいよ。俺を尊敬している人物なんて少ないし、大半は嫉妬だろ」


「そんなことありません。少なくとも私は尊敬しています」



そりゃあフーが数少ない俺を尊敬してくれる人物だからだろう。

はぁ......まぁいい。ちゃんとした格好で行くとしよう。


俺は花鳥風月に着替え、かなり洋風に近い和服に見た目を変えてから扉を開けた。



「じゃ、2人をよろしく」


「はい。行ってらっしゃいませ」




俺はフーに見送られ、庭からインフィル草原のダンジョン前へと転移した。




「ステラ。今の内に太陽光を集めてくれ。満タンになったらダンジョンに入ろう」



インフィル草原に幾つか点在する洞窟型ダンジョンの前に来ると、俺は少し離れた場所で草原に寝転がった。


ステラのチャージをしないと、ダンジョン内で新しい効果や特殊技が使えないからな。

ついでにリラックスする為に、草の上で寝転がっただけだ。



『あの......最大まで溜めるとなれば、その......』


「どしたん?」


『時間がですね。40時間ほどかかるのです』



絶句した。


ステラノヴァよ。君はステラの時、10分も待たずに満タンまでチャージ出来ていたよな?神器となった瞬間、何倍まで容量増えてんの?


ってか40時間て......40時間て!!!



「行くか」


『はい!』



俺は考える事を辞め、ステラノヴァを握ってダンジョンに入った。




◇◇




「あれ?ダンジョンに続きが無い。おっかし〜な〜」



インフィル草原のダンジョンは初心者向けなので、それはもう簡単に攻略出来てしまった。

だが、肝心な嫉妬のダンジョンには続いていなかったのだ。


困ったなぁ。非常に困った。どれくらい困ったかと言うと、『困ったなぁ』と思うくらいには困った。



『別のダンジョン......とか?』


「それもある。というか、それしか無い」


『では次のダンジョンへ参りましょう』


「勿論だぜベイベェ」



俺は宝箱を開けて効果が高い回復ポーションを手に入れると、魔法陣に乗ってダンジョンを出た。


そして思ったんだ。『これ、もしかして全部クリアしないといけないやつ?』と。



「流石にそれは無いか。うん。無いはず。ある訳ナイナイ」






そうして2時間程が経ち、インフィル草原に存在する、最後のダンジョンにやって来た。







「......」


『大丈夫......ですか?』


「......あぁ」



人間、往々にして嫌な予感は当たるものだ。


アニメでよくある『もしかして......?』レベルで当たるものだ。つまり100パーセントだ。

いや、95パーセントくらいかもしれない。多分。

まぁ、当たるという事なのだよ。嫌な予感はね。



という事で、さっさと表層のダンジョンは蹴散らしましょう。



俺はダンジョンに入り、サーチを展開した。




「ルナちゃん爆速攻略法!ひと〜つ!!!」


『!?』


「敵は無視しろ。『戦神』」



驚くステラを無視して、俺は全力でダンジョン内を走る。



分岐点の多い道も、サーチで完璧に把握しているので迷う事は無い。安心してボス部屋前まで全力ダッシュ出来る。



「ふた〜つ!!!」



入口とボス部屋の距離からして、大体半分くらいか。そこら辺で俺は足を止めた。



『『『ギャギャギャ!!』』』


「イイ感じの所で後続を蹴散らしましょう。背後を取られるのは面倒です。『滅光』」



振り向きざまに魔法を撃ち、ゴブリンやその他諸々が着いてきていた通路全体を攻撃する。


嗚呼、可哀想なゴブリン達。心太(ところてん)の様に通路を押し出され、死んでしまうとは。


ごめんあそばせ?



「み〜っつ!!!」


『あ、続けるんだ......』


「トラップを仕掛けます。『茨よ』」



今居る場所からボス部屋へ続く道以外の通路の床を、茨ちゃんで敷き詰めていく。

MP消費がバカにならない程多いが、そこはまぁ、各自なんとかしてください。


俺の場合はステラノヴァとブリーシンガメンで対応している。

この2つだけで、星芒を取り込んだステラノヴァを持っていれば毎秒30MP回復するからな。



「おしっ!後は悠々と歩くだけだ。もし道中でモンスターが湧いたら、その都度茨ちゃんを呼び出せば良い」


『おぉ......私は今、何を見ているのでしょう』


「仮想現実という名の現実」


『?』


「気にするな」



ステラと雑談を交えつつ、ボス部屋へ来た。



今回のボスは、いつぞやのラキハピさんと戦ったイビルオークだな。

相変わらず気持ち悪い大きさをしている。




『ブモォォォォ!!!!』



「ヒカリ、ヒカル。ライトニングブレス」


『『はい!』』



イビルオークが攻撃に入る前の咆哮をした瞬間、俺はヒカリとヒカルを呼び出し、攻撃命令を出した。


2体のライトニングドラゴンから発射されるブレスは、イビルオークと取り巻きのオークを一瞬にしてポリゴンに変えた。


う〜ん、強い!



『ブモォ......』



「2人ともありがとう。島でまた会おう」


『お疲れ様でした、主。また呼んでくださいね』


『ばいび〜!!』


「おう。ばいび〜」



ヒカリの翼脚と同じ様に手を振ってから、俺は2人を戻した。



『あ、あのドラゴン達は......?』


「俺のペット。可愛かろ?」


『あれ程までに成長したドラゴンは初めて見たので、可愛いと言うより、恐怖を感じましたね。少しだけ』


「え?怖いか?」


『はい。普通の神......例えば、私の様な中級神からすれば、あのドラゴンは少し怖いです。上級神であれば、大丈夫かと思いますが......』


「なるほど」



見事にウチの付喪神は耐性があった訳だ。


というかステラ、もといアンドロメダ。君は中級神だったんだね。知らなかったよ。

今まで上級神しか見てこなかったから、中級神以下は存在しないと思ってたよ。


盛ったわ。存在する事は知ってたわ。っていうかあれ?お稲荷さんって上級神だっけ?忘れちゃった。


多分......あの人も上級神だろう。風格あるし。





◆一方その頃、お稲荷さんハウスでは◆




「へくちっ!」


主様(ぬしさま)?お体が冷えましたか?」


「そんな事あらへんよ?多分、誰かに噂されたんとちゃうかなぁ」


「そうなのですね。噂をしたの、おにいさんだったら良いのですが、それ以外の方でしたら......怒っちゃいますね」


「ふふっ、大丈夫やで。天狐は気にせんとき」


「はい!」




◆◆




「よし、嫉妬の扉が開いてるな。行っくぞ〜!」




イビルオークを倒した事で、裏ドゥルム鉱山と同じ様に扉が開いており、俺はその扉の前に立った。。




「待っとけよ嫉妬の悪魔。手間をかけさせた事を後悔させてやる」


『確かに時間がかかりましたね。いえ、速いですよ?というか、草原のダンジョン全ての攻略を数時間で終わらせ、『手間』程度?あ、あれ?私の時間感覚は何処へ......』


「落ち着きなさいな。ステラは付喪神になった先の人物を間違えただけなんだ。人生......神生(じんせい)?を、鉛筆くらいの太さの棒に振っただけだよ」



前にもこんな事があった気がするな。アルスの時だっけ。今と似た感じだった思い出があるなぁ。


そうして改めて扉の先に進もうとすると、またステラが喋りだした。



『......ペンにしては、太さがおかしいと感じますがね』


「知らん。元々ステラが語り人に死なれなかったら大丈夫だった話だ。こうなった以上、今を楽しんで生きてれば良い」


『なるほど......分かりました。私なりに楽しもうと思います』


「あぁ。『楽しい』は生きるモチベーションだ。生きる事につまらなくなったら、こうして楽しい思いをして生きる事を考えれば良い。まぁ、その......なんだ。よろしく」


『はい!よろしくお願いします!』



理由は分からないが、ステラと仲良くなれた気がする。

本当に『気がする』程度だが、仲良くなれただろう。




「では、レッツゴー退魔師」


次回『感情の並、有名の罪』ヅエルステンバイ!

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