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真の強欲は人の心

音ゲーとFPSを交互にやっていたら、おめめが疲れてしまいますね。これからはちゃんと、10時間ごとに休憩するようにします。




『お前、悪魔にならないか?歓迎するぜ?』


「結構です。人間で満足しているので」


『いやいや、人間なんて弱っちぃだろ?ある程度の強さにならないと進化も出来ず、獣人や悪魔の様に特殊な能力も無い......お前は本当に、そんな種族で満足しているのか?』



マモンは顎を上げて、(あたか)も人間が劣っているかの様に説明をしてくれた。


でも、俺は人間が劣っているとは思わない。獣人にはある、MP減少のデメリットは無いし、何よりリアルの自分と同じ感覚で生きられるのだ。


一点特化した性能が無い故に、オールラウンダーとして活躍出来る。


だから、俺は人間が劣っているとは思わない。




「あぁでも、確かに人間は劣っていますよね」


『だろう?』




「えぇ。モフモフがありませんから」




『......は?』



マモンは瞼を上げて驚いた表情を作った。



「モフモフですよ、モフモフ。あの耳と尻尾が(もたら)す、幸せの力」


『お前頭大丈夫か?』


「大丈夫な人間がここに居る訳無いでしょう?そちらこそ頭、大丈夫ですか?

人間はモフモフが無いことを抜きにすると、この世界に生きるのに1番適正の高い種族ですよ?

悪魔の様に聖属性に対してのデメリットも無いし、天使の様に闇属性へのデメリットも無い。

更には獣人にあるステータスの特化もMPの低下も無いので、1番自由度の高い種族なんですよ?」



おっと、つい語ってしまった。これぞ語り人クオリティ。


取り敢えず、俺は悪魔にはならないし悪魔の招待にも応じない。ただ楽しむ事に命を懸けている、普通の人間なんだ。


今のところは。




『そうか。ならいい。消えろ』




マモンはそう言って左手の人差し指から黒い雷を生成し、俺の心臓目掛けて飛ばしてきた。



「──へぇ、面白い雷ですねぇ。何の魔法ですか?」



俺は雷をキャッチし、【雷神】の効果で自由に触って遊んでみた。



『へ〜え、そう来たか』


「どう来たかは知りませんが、教えてくれないなら良いです。返しますね」



マモンがやった様に、俺も人差し指から黒い雷を飛ばして返してあげた。バチィィィ!!と、けたたましい音を立てながら。




『グフッ!......いいねぇ』




ちょっとライトニングブレスを混ぜてみたのだが、ちゃんと全部食べてくれたらしい。


マモンさん。胸に穴が空いてますけど大丈夫ですか〜?



『いやぁ、痛い痛い。お前の力は些か強すぎる』


「それはどうも。頑張った甲斐があるというものです」




『あぁ、とても強い。強いから......欲しくなる』




卑しい笑みを浮かべながら、マモンは俺に向かって右手の平を広げてきた。


俺は何かあったら困るので、行動詠唱でピョンピョンとエリア内を転移しまくった。



『なっ!?クソッ!察しの良い奴め!』



「やっぱり何かする気だったんですね。貴方の性質から考えるに、俺の力でも奪おうとしてましたか?」


『......』


「はい、図星ですね。残念ながら、それは初見の相手、それも初心者じゃないと引っかかりませんよ?」


『うるせぇ!!!』



何だよ。事実を言ったまでじゃないか。


大体なぁ、相手の力を奪う系の敵って、力を奪わせなければただの雑魚っていう定石があるんだぞ?

だから、対策すれば簡単に戦えちゃうものなんだ。



「そいっ、『滅光』」


『貰った!』


「残念!途中で消しま〜す」


『クソがぁ!!!』



予想だがコイツ、自分の身に喰らった魔法を使ったり出来そうだな。

一時的だとは言え、強力な魔法をアイツに使われるのは厄介極まりない。



如何にヒット数を減らして大ダメージを与えるか、それがこの戦闘の鍵となるだろう。



『お兄さん。物理攻撃はしないの?』


「それでシリカが盗られたらどうする気だ?」


『顕現させればいいんじゃないの〜?』


「そう上手く行けばいいがな。あ、拳くらいは挑戦してみる価値はあるだろう。そっちはやるぞ」



俺は腰の右側に装備していたクトネシリカを左側に変え、雷纏を発動させて待機した。




『オイオイオイオイ!闘争を求め、愛を求め、強さを求めたのはお前だろう!?どうして攻撃しねぇんだ?あぁ!?』



「うわ、なんかヒステリックになってらぁ」



『黙れぇ!!』



おやおや。王様がお怒りだ。誰かが冷静にさせてあげないと。


あぁ、こんな時に議論なんて時間のかかる事は出来ない。やはり暴力だ。この拳が、この拳こそが、マモンの怒りを鎮めてくれるだろう。



「『氷拳』『(いなずま)』」



俺は右手でクトネシリカを抜刀し、技による高速移動でマモンに急接近したところを、氷でガッチガチに武装した左手で拳を振り抜いた。



ドガァァァァン!!!!!




「ヒュー!えげつねぇ威力だ」



口笛を吹いて左手を褒め称えていると、シリカが反応してきた。



『普通は斬る動作なのに、よくパンチに切り替えられるね?』


「全てはイメージさ。自分の理想の動きを強くイメージして、それを行動に投影するのが大事なんだよ」


『ん〜、うん。何となく分かった!』


「それは良かっ......おっ」




殴り飛ばされ、壁にめり込んでいたマモンの様子を伺っていたのだが、ようやく動き出したらしい。


遅いよ!早くしてよねっ!




『う、あぁ......痛ェ。クソ痛ェわ』



「おはようございます。調子はどうですか?」



『ん?あぁ......最高だよ』




ニヤリと笑みを浮かべたマモンに違和感を感じ、マモンが差し出した右手を見てみた。


すると俺の頭の中は、一瞬だけ真っ白になった。




「......死ね、クソ野郎」


『お〜お〜、怒ってんねェ?いいぜ?サタンを倒したんだろ?ほら、かかって来いよ』


「黙れ」



俺はクトネシリカで自身の左腕を深く切り、夜桜ノ舞にたっぷりと血を吸わせた。そして血を吸わせている間に紫電涙纏を発動させ、震える左手で大量の雷霆を出現させ、クトネシリカに過剰な程吸わせてやった。


この間僅か、3秒である。



「『戦神』『アクアスフィア』」



◇━━━━━━━━━━━━━━━◇

『守護者の加護』が発動しました。

『最弱無敗』が発動しました。

『死を恐れぬ者』が発動しました。

◇━━━━━━━━━━━━━━━◇



久しぶりのオケアノスブーストを使い、ステータスを数倍に上げてから、俺はクトネシリカを抜いた。



「返して貰おうか、俺の()()。『神雷』」





マモンが右手に付けていたのは、俺の左手の薬指に付けていた、ソルから貰った指輪だった。

ルナの語り人特性:好きなものはとことこん語る。


みたいな事を、番外編用に作っている登場人物紹介に書きそうでした。



次回『背理の太刀』お楽しみに!

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