報酬確認ターイム!
「ん......暑い......」
「だろうな。寝てる間、ずっと俺に抱きついていたんだし」
「あ......えふふ」
1月2日の朝。ユアストのアップデートが終わり、クリスマスから始まったイベント『星塔の輝石』も終了したのだが、俺はイベント結果を見れないでいた。
理由は単純。陽菜に捕まっていたからだ。
「陽菜の寝相は素晴らしいな。足まで絡めてくるとは思わなかった」
「うぅ......すまぬぅ」
謝りながらも俺の胸に頭を擦り付ける辺り、反省しておらんな?
まぁ、可愛いからいいや。これで学校に遅刻するって状況なら何か言ったかもしれんが、今は冬休みだしな。
休日の楽しみ方の1つにしよう。
「じゃ、用意したらログインしますかね」
「あ、そうだ。月斗君、おせちは私とおばさんのと、どっちが好きだった?」
「陽菜。俺の舌に完璧に合う料理を作れるのは陽菜だけだからな。もう俺に『おふくろの味』は無い」
「やったぁ。ありがとう。じゃあ、私は二度寝する......」
「マジかよ。まぁいいけど」
陽菜がグータラさんになってしまった。可愛い。好き。
◇ ◆ ◇
「という訳でソルは暫く来ません。先にイベント報酬とか貰うぞ〜」
「「「お〜!」」」
「お、お〜!」
城の会議室に、既にユアストへログインしている、リンカ以外のメンバーを集めた。
丁度ソルが来れない理由を説明し、リンカも同じ様に二度寝しているという情報を手に入れたところだ。
「じゃあ早速......はいボンッ!」
◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇
『星塔の輝石』イベントPtランキング
1位『ヴェルテクス』・・・190,102Pt
2位『敗北者マサキとその仲間』・・・69,213Pt
3位『ストレリチア』・・・69,002Pt
あなたのギルド『ヴェルテクス』(1位) ◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇
「ハイッ!俺達の優勝です!」
「「「「知ってた」」」」
2位のマサキ達との差は2倍以上あるな。
まぁ、途中から俺以外はPKじゃなくて採取で星屑を集めていたしな。ウチは星屑を『減らさない』作戦で動けたのが大きいだろう。
それに対し、マサキ達は星屑を『増やしに行く』作戦、つまりはPKを狙ったからこそ、減ったり増えたりする事で、プラスマイナスの差が小さかったのだろう。
これはアレだな。ランクポイントのあるFPSゲームをやった人間なら得意な奴だな。
「皆、終盤はよく死ななかった。すンばらしイ」
「FSのレート上げよりは簡単だったしね。私達なら余裕でしょ」
「ですね。皆さんのランキング維持に比べたら私は生温いでしょうが、レート稼ぎに比べたら簡単でしたね」
「そこまで変わらんだろ。それより、終盤にルナがバカみたいに星屑を持って帰ったのがデカかったな。アレが大差を作った要因だろ」
「「「確かに」」」
あ〜、マサキのせいでとんでもない数のプレイヤーと戦うことになったアレか。
あの戦いは美味しかったなぁ。二度とやりたくないけど。
「じゃあ振り返りもここまでにして、そろそろ報酬を受け取ろうか。ギルマスの人間にだけ出てるからな。報酬受け取りボタン」
「早くポチーして!」
「中身なに〜?」
「まぁ待てガキンチョと子豚ちゃん。今押すから」
受け取りボタンを見せつけていると、翔とピギーが我慢出来なさそうなので早速押させてもらおう。
はい、ポチー
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【星塔の輝石】1位報酬
ギルド『ヴェルテクス』メンバー(7)
イベント順位・・・【1位】
個人イベント順位・・・【1位】
総合獲得ポイント・・・190,102
個人獲得ポイント・・・99,233
▼獲得リテ(各メンバー)
『100,000,000リテ』
▼獲得称号(各メンバー)
【星塔の輝石・一等星】
・モンスターから受けるダメージが10%減る。
・HPが1%以下なると、HPを最大まで回復する。
イベント『星塔の輝石』の優勝者に送られる。
▼1位限定品(各メンバー)
【神器:アステリアの涙】
『スキル書:上級属性魔法』
▼個人獲得ポイント1位限定
『スキル書:月魔法』or『スキル書:星魔法』
◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇
「「「「個人獲得ポイント1位?」」」」
やべ、勢い余って個人報酬まで見せちゃった。
「気のせいだ。忘れろ」
「4人が見た時点で気のせいではないな」
「だね。僕もバッチリ見たし」
こんっの犬ゴリラとガキンチョめぇ!見んなよ!!
「ってかルナが1位か〜。マサキのせいだよね?」
「ですね。彼がルナさんを襲撃しなければ、個人1位の座は他の誰かでしたでしょう」
あら、見なかったことにするなんて女性陣は優しわね。私嬉しいわ!うふふ!
っとと、そうじゃないそうじゃない。言わなきゃならない事があるんだった。
「そう言えば残念なお知らせがあるんだけどさ、皆
聞く覚悟はあるか?」
俺が真剣な顔で言うと、全員が静かに頷いた。
「この『アステリアの涙』なんだけどさ。100層ボスのドロップ品なんだよな」
「「「......なるほど」」」
「え?......それだけ、ですか?」
「ミアちゃん。よく考えて。あの銀髪イケメンクソ野郎がどこで戦ってきたか。そして、何故ドロップ品だと知っているかを考えてみて」
この場でミアだけが分かっていなかったのを、翔が上手く立ち回ってくれた。
さぁ、理解できるかな?限定品がそこまで特別じゃない事を。
「......ッ!もしかしてルナさん......」
「そう、そのもしかしてだ。アステリアを怯みハメで連戦していたらな、2個ほどポロッと落ちたんだわ。あと、神器以外のドロップ品もな」
俺はインベントリを開きら机の上に『星剣アステリア』を9本、『星銀の神鎧』を5セット、月、太陽、金星、冥王星の輝石を全部出した。
「で、最後にコレ、と」
神器である『アステリアの涙』を翔とアテナ側に1つ、ミアとピギー側に1つ置いた。
「穴のあるイヤリングか。ってか効果強すぎだろ」
「ホントだ......でもピーキーだね。最早ピギーだ」
「あ、俺効果見てないわ。どれどれ?」
イベント報酬の方で貰ったアステリアの涙を取り出し、詳細を開いてみた。
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『神器:アステリアの涙』
Rare:──
製作者:──
付与効果:【真価発揮】【輝石増幅】
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【真価発揮】
・輝石を装着する事で、
輝石に秘められた力を発揮させる。
・『月の輝石』
日没後、全ステータスが1.5倍になるが、
太陽光を浴びると全ステータスが0.5倍になる。
・『太陽の輝石』
日出後、全ステータスが1.5倍になるが、
月光を浴びると全ステータスが0.5倍になる。
・『金星の輝石』
半径100m以内の植物を探知出来る。
また、毎秒HPを1回復する。
・『冥王星の輝石』
半径100m以内の鉱物を探知出来る。
また、モンスターを倒すとHPを100回復する。
【輝石増幅】
・【真価発揮】によって発動した効果を2倍にする。◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇
......微妙だ。輝石はいつでも付け替えられるから、4種を1つずつ持つだけで全効果を体感出来るのだが......如何せん効果が微妙だ。
正直に言って、月と太陽の輝石はピーキーだ。
一定時間で付け替えなければならないのだが、それを乗り越えれば超強力なアイテムになるだろう。
次に金星の輝石。コイツはブリーシンガメンとサーチがあれば事足りる。イヤリングより首飾り。三度の飯よりソルモフり。この2つで十分だ。
最後に、冥王星の輝石。この子も微妙すぎる。
これが『モンスターを攻撃時』とかなら、強い効果として認識出来るのだが、『モンスターを倒すと』となると、相手が雑魚モンスターでない限りは効果が薄い。
だが、大量のモンスターに囲まれている状況なら輝く効果だろう。
「じゃ、剣を2本と輝石を20個ずつだけ貰って、あとはあげるわ。効果的に使ってくれ」
「防具は要らないんですか?」
「要らない。というか、この防具の防御力ならソルの作る服の方が圧倒的に強いぞ。着心地も良いし」
「なるほど」
「じゃあ、皆イベントお疲れ様。俺はちょっと、ダンジョン攻略にでも行ってくるわ」
「「「「ダンジョン攻略?」」」」
「おう。ばいば〜い」
俺は皆が首を傾げて聞いてくるのを無視して、星剣アステリアを2本だけ持って会議室から出た。
「ルナさん。どちらへ?」
部屋の外でスタンバイしていたフーに止められたので、短く答える。
「罪の宴に行く。新しい魔法の練習だ」
「分かりました」
フーは綺麗に一礼すると、刀となって俺の腰に提げられた。
それに合わせて俺は初めて装備する防具、『悪魔の礼装・憤怒』を装着した。
これはサタンも着ていた、真っ黒なコートだな。
端から効果は期待していないので、見た目重視で外に出よう。
「さ、新しいおもちゃ、『月魔法』で遊ぶぞ〜!」
ということで、11章『星塔の輝石』は以上となります。
正直、年末年始だけやりたかったなんて口が裂けても言えません。
あっ
さてさて、12章は残してたアレを中心的にやるので、お楽しみに!
では、また次回に!サラバですっ