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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第11章 星塔の輝石
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不可視の街ウルク

そろそろ健康とは言えなくなる体重になってきました。

身長に対する標準体重を調べたところ、私は標準体重より21キログラムほど軽いようです。


ご飯を食べているはずなのに、どうしてなのでしょう?

検査するしかないですね(´;ω;`)



「父様、本当にこんな所に街があるのですか?」


「あるぞ。ほら、目の前に」


「......私には草原にしか見えませんが」


「奇遇だな。俺も草原にしか見えん」


「父様?」



リルだけを連れて星塔の99階層目の街に来たが、俺達2人の目にはただの草原が映っていた。



「痛い痛い痛い。リル、そんなゴリラパワーで俺の手を握るな」


「ではギューっと抱きつきましょうか?」


「そのままジャーマンスープレックスする気だろお前」


「よく分かりましたね......で?どうしてここに街があると言うので?」


「だってぇ、サーチにはガッツリ街が映ってるんだもん。どうせイニティの噴水みたいな、幻影か何かが見えてんだろ?」



俺は目の前の空間に向けてクロノスクラビスを使ってみたが、反応が無かった。



「何も起きませんね」


「困ったな。ここら辺の地形をボッコボコに破壊したら出てくるかな?」


「そんな事したら母様に怒られますよ」


「だいじょぶだいじょぶ。ソルには秘密にしとけばいいだけだから」



「あー、なんだか母様とお喋りしたくなってきましたー(棒)」



「酷いわリルちゃん!パパ、リルちゃんをそんな子に育てた覚えはありませんっ!」



死んだ魚の目で俺を見てくるリルを抱きしめ、何とか生気を取り戻させた。



「全く......これからどうするんです?」


「どうするって言ってもなぁ」




サーチには映るのに目では見えない。ミニマップには映らないのにサーチには映る謎の街。

これを放置するのは、何だか気が引けるんだよなぁ。



あ、そうだ。階段の番人さんなら何か知ってないかな?



「こういう時は人に聞こう。モンスターに聞くよりかは信じられるだろう」


「私はモンスター相手に街の場所を聞こうとする父様の思考に驚いています」


「驚きは良い刺激になる。これからも沢山驚かされてくれ」


「心臓に悪いビックリは辞めてくださいね」


「あいあい」




俺はリルと手を繋ぎ、適当な事を喋りながら階段のお嬢さんが居た場所へ向かった。




「やぁ、お嬢さん。ご機嫌いかが?」


『貴方は先日の......』



100層への階段の元で女騎士が立っていたので、俺達はふら〜っと歩いて来た。



「ちょっと聞きたいことあるんですけど、この階層にある街ってどうして見えないんですか?」


『......答えるのは構いませんが......あの方に勝ちましたか?』


「あの方......あぁ、アステリアか。勝ちましたよ。ほら」



俺は戦利品の『星剣アステリア』を見せた。これで信じてくれるよな?



『ほ、本物......』


「で、あの街は何なんですか?魔法を消そうとしても消せないし、どんな力で隠されてるんですかね?」


『質問に質問で返して申し訳ないのですが、どのようにしてあの街、『ウルク』を見付けましたか?』


「魔法です。こんな広いエリアを直接目で見て探索するのは骨がポキポキなので、魔法で探したんですよ。そうしたらあの街が見つかりました」


『あぁ......なるほど』



いや〜、良かった良かった。このお嬢さんならあの街の事を知ってるみたいだし、あの街限定のアイテムとか買えるかもな。


あ、ウルクだっけ?次からは名前で呼ぼうか。



『実はですね......ウルクは滅びました』


「「はい?」」


『貴方が来る、1週間ほど前に滅びました』


「えっ、つまりウルクには......」


『行けません。ウルクの町長の娘である私が言うんですから、信じてください』



お前、マジでお嬢さんだったのか。っていうか約1週間前と言うと、多分元日に入った瞬間辺りか?


まさかの時間制限付きの街だったのか。



「もっと早く来てれば良かった」


『フフッ、気にしないでください。あの街の事は忘れて頂けると幸いです』



多分お嬢さんの思っている『早く来れば良かった』とは違う意味で俺は言ったのだが、まぁいいか。


じゃあ、やる事も無くなったしアステリアと連戦して帰ろうかな。


あと99層の素材集めもしなきゃならんな。



『あ、お待ちを。貴方、私と戦いと仰っておられませんでしたか?』


「──ん?あぁ、確かに言いましたね。星塔から落ちて帰ったから忘れてた。やりますか?」


『えぇ。あの方を倒した実力、肌で感じたいです』



「オッケーオッケー。リル、ちょっと待っててな」



「はい!」



俺はリルの為に椅子とテーブルを作り、適当にお菓子と飲み物を置いてあげた。



『あら?その子と共に戦うのではなくて?』


「俺1人ですよ。それに、リルじゃお嬢さんに勝てませんからね。リルと戦うにしては、お嬢さんは少し強すぎる」


『いや、どうして1人で戦う事が前提なのですか?過去に来た語り人は、普通に大人数で挑んで来ましたよ?』



うわぁお。マサキと犬子君、リンチみたいな事をしたのか。

まぁ、今までの階層で言うとボス扱いな訳だし、気持ちは分かるんだけどさ......流石に大人数は可哀想じゃん?



うん、全然可哀想じゃないね。ゲームとしては。




「俺はそもそも、一緒に戦ってくれる人が少ないのでね。寂しい男とでも思っていてください」


『そう......ですか。ではやりましょう』


「あぁ」



お嬢さんが武器を構えると、戦闘開始の合図であるウィンドウが出てきた。



◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇

『フラテス・ウルク』との戦闘を開始します。◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇




さてさてさ〜て?どうやって戦ったものか。俺は未だに武器を1つも出していないし、行動詠唱にセットしている魔法も無い。


完全に拳オンリーな戦闘状態な訳だが、どうしたものか。



あ〜やっぱりお嬢さんの手には、あの真っ黒な槍『ニグレオス』が握られている。アレで刺されたら1発天国コースだからな。気を付けよう。



『ハァッ!』



先攻はお嬢さんだ。


俺はニグレオスによる真っ直ぐな突きを躱し、続く2撃目が薙ぎ払いである事を確認してからしゃがんで避けた。



『おぉ、速いですね』


「それは俺のセリフなんですがね」


『フフッ、さぁ、貴方も武器を構えなさい。美しく戦いましょう』


「......サタンみたいな事を言うじゃん。まぁいいけど」



俺は小声で呟いてから布都御魂剣とクトネシリカを顕現させ、両腰に装備した。



『やはりその刀を使うのですね』


「愛刀だからな。例え他の武器の方がお嬢さんに有効でも、俺はコイツらを使いますよ」



敬語とタメ口がゴッチャゴチャになっているが、別にいいよね?

戦っている最中に、相手へ敬語を使う暇なんてないし。

いや、それは心の余裕が無い証拠か。


もっと広く、大きく、遠くの視点から戦場を見よう。




それから俺は、15分ほど後手に回って戦闘を続けた。




このままお嬢さんの動きを研究するのも良いが、それでは観戦しているリルが暇になるからな。


動き出そうか。




『フッ!......フンッ!』



「危ない危ない。そう言えばお嬢さん。お嬢さんは槍が得意なんですか?」


『そうですよ。見れば分かるでしょう?』


「いや〜、分かりませんねぇ。槍を使うにしては、お嬢さんは歩幅が小さい」


『それが何か?』




「ニグレオス......本当に槍ですか?」




戦っていて、『見て』いて思うのだ。


『本当にこの人は槍使いか?』とな。


俺は槍使いの人間を見た事がある。それも、現地人の最強の槍使いである『ランザ』の動きを。

俺がランザの動きを見た時の記憶と、お嬢さんの動きを比べてみると、お嬢さんは些か槍を扱うに適していない動きをしているのだ。


ランザは『自身による』動きで戦う為に、体を大きく動かし、スピードとパワーを最大限に活かして戦うのに対し、お嬢さんは『武器による』攻撃に重視しているのか、体の動きが小さく、スピードはあるがパワーが無い。


これではまるで、槍というよりレイピアを扱っている様だ。




『フフッ、気付きましたか。ニグレオス、真価を発揮しなさいな』




俺の考察を読み取ったのか、お嬢さんはニグレオスに話しかけた。

するとニグレオスは形状変化の時に似たエフェクトを出しながら、槍の姿から『レイピア』へと形を変えた。




『見破られるとは思っていませんでしたよ』


「こっちこそ、まさか予想通りだとは思いませんでした」




俺、洞察力も鍛えられたなぁ。星塔を攻略して良かったよ。うん。





『さぁ、ここからが本番ですよ。ルナ』





うわ!いつの間にか名前バレてる!!!

今回の好き好きワード「骨がポキポキなので」


毎話毎話、作者の好き好きワードがあるのですが、心の余裕がある時にあとがきにでも書きましょうか。

頭がブッ飛んでる話とか、好き好きワードが多いですからね。



では次回『最後の戦い』お楽しみに!

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