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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第11章 星塔の輝石
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階段で待つ者

私は階段の先でGに待たれた事があります。




「よ〜し、99階到達〜!」


『やりましたね!あと1階層だけですね!』


「だな!」




ボスモンスターを次々に蹴散らす事15時間。ゲーム内時間で22時になっていた。


相変わらずダンジョン内だと言うのに月が輝き、俺に『月光強化』の効果を発動させてくれる。



「もうさ、プレイヤースキルが磨かれすぎて、ボス戦よりエリア探索の方が時間かかるんだよな」


『仕方ありませんよ。ルナさんが人海戦術を使えば良いものの、頑なに拒否するからですよ?』


「......仕方ないだろ。ここら辺になると、リル達では俺の動きを阻害してしまうんだから」



俺がここまでリル達を連れて来なかった理由。



それは『邪魔になるから』だ。



というよりも、攻略速度が落ちるから、の方が正しいかな。


俺は今回、今までのゲームプレイ経験からリル達を呼ばない事にしているのだ。


これまで様々なゲームをしていて、ボスのタイムアタックなどの『速度』を求める時、自分以外のプレイヤーやキャラクターが居ると、どうしてもヘイトを買ってしまうシーンがある。


そうなると、必然的にモンスターと自分との距離が生まれ、攻撃手数が減るのだ。


今はスピード重視で星塔を攻略している故、戦闘中のリル達に動きを邪魔されては困るし、何よりもボス撃破後にリル達をモフってしまいそうだから連れて来れない。



......自制心、最近緩くなってきてんだよな。



「帰ったらモフろう。お疲れ様のモフをしよう」


『また変な事言っちゃって。サーチの方はどうです?』


「引っかかんない。このエリア、これまでの階層と比べるとバカみたいにデケェ」


『どれくらいですか?』


「......街がある、と言えばこの大きさは伝わるか?」


『......』



運営よ。どうして99階をこんなに大きく作ったのだ。

ボスエリアより先に、人の住んでいる街をサーチが捉えたぞ。



「ま、帰りに寄ろう。ここはエリアの南西側っぽいし、端から順々にマップを埋めるぞ」


『頑張ってください』



他人事みたいに言ってるけど、フーも付き合うんだからな?これに時間がかかれば、俺は晩ご飯で強制終了コースもあるんだからな?


リアルでは夕方なんだ。そろそろソルに呼ばれるかもしれん。




◇◇




「プリン〜♪プリン〜♪マンゴープッリン〜♪」


『よく空を飛べながら食べられますね』



99階の南側の探索が終わり、北へ向かってマップを埋めながら俺はソルの手作りマンゴープリンを食べていた。


セレナが面倒を見てくれている白銀マンゴーは、野生の白銀マンゴーより5倍は美味しく感じる。


そしてソルがその白銀マンゴーを使って料理する事により、マンゴーは更なる次元の旨みを秘めているのだ。



知らんけど。



「凄いだろ?行儀は悪いが、かなりの時間短縮になってる」


『今はスピード勝負ですもんね......あ〜、私も何か食べたいです』


『シリカもお腹空いた〜!狐ちゃんのご飯が食べた〜い!』


「2人とも、悪いが我慢してくれ。終わったら街で何か食べるしかない」



武器の状態だと何も食べなくていいと、前に聞いたからな。食糧的にも俺1人分しか持ってきていないし、あと20時間がタイムリミットと言ったところだろう。


というか、街が俺達を受け入れる前庭で考えてるが、何か強力なモンスターが形成したコロニーとかだったらもうしよう。



ま、いっか!




「──ん?あぁ、見付けた見付けた。ご丁寧に99層のド真ん中に階段がある......階段があるぅ!?」



『1人で騒がしいですね〜』


『お兄さんはずっとそうだけどね!』


『ですね〜!あはは』



あははじゃねぇよ。何で階段があるんだよ。ここまでの流れ的に、ボスを倒してから階段が現れるものだっただろう?



「......う〜わ、そういう事か」


『どうしました?』


「門番みたいな感じだ。階段の前に一体、人型の何かが居る」


『あら〜、ルナさんの得意な人型ですか〜』


「得意じゃねぇよ。大好きなんだ」


『言ってる事、かなり黒いですよ』


「真っ黒ルナ君だ。レアだぞ?」




こんな空中で話していても何も始まらない。コミユニケーションが取れるかもしれないし、取り敢えず階段の近くに降りよう。




あれ?これ、空飛んで階段にダイレクトで行けんじゃね?




「ヘッヘッへ......やるか」



俺は先程までの誠実な精神を胃に押し込み、プレイヤーの悪い顔を前面に出して行動を開始した。




「先手必勝迅速解決!うぉぉぉぉ!!『ブラストボム』ッ!!!!」




俺が魔法を発動させると、空気の爆発音を残して、俺の体は天へと続く階段に急速に接近する。




『ちょいちょいちょいちよい!?ルナさんマジですか!?』



「俺はやるぞぉぉぉぉ!!!!!」




あと2秒で階段と顔面がごっつんこ☆するという時、俺の体にある異変が訪れた。



グサッ!!!





「え?......ぶふぅ」




◇━━━━━━━━━━━━━━━◇

『守護者の加護』が発動しました。

『最弱無敗』が発動しました。

『死を恐れぬ者』が発動しました。

◇━━━━━━━━━━━━━━━◇




階段に激突して失速する瞬間、俺は下から極太の槍で貫かれた。


口から大量の血のポリゴンを吐き出し、腹からは滝の様にポリゴンが流れ出ていく。



『ルナさん!』


『お兄さん!』



おうまいごっど。この槍、悪意たっぷりな事に『全行動不能』の効果が付与されていやがる。


今の俺、フラカンを維持するどころか、声を出すことすら出来なくなっている。




そのまま地面をペロッと舐める事になると、そう思っていたのだが......俺が地面と衝突する瞬間、何者かに体を持ち上げられた。




『面白い人間ね......フフッ』




そんな小さな女性の声が聞こえた。



俺は何者かが受け止めてくれた体を起こし、槍の効果が消えたので声の主を見てみると、銀色に光輝く鎧に身を纏った人間らしき者が立っていた。


多分、女騎士的な奴なんだろう。




「あ、ありがとうございます。助かりました」


『助かりました?私が貴方を貫いたのですよ?』


「そうなんですか?ってそうですよね。その真っ黒な槍を持っている時点で、お嬢さんが俺を貫いたのは一目瞭然ですね」



大丈夫。もう1人の自分を作って対応しろ。ここで会話の選択を間違えれば、せっかく99階まで来たのが全部パーになってしまう。



『お嬢さん......フフッ、貴方。この階段を登る気で?』



「えぇ、そのつもりでしたが......不味かったですか?」



『いいえ?ただ、私を無視して階段へ向かおうとしたのは貴方が初めてでして、つい撃墜してしまいました』



オイオイお嬢さん。興味本位で人間をブチ抜くの、辞めてくれる?




『にしても貴方、本当に人間ですか?私の知る人間とは、空を飛ぶ魔法を持たず、この槍『ニグレオス』に耐えられる筈が無いのですが......』




へぇ、その槍はニグレオスって名前なのか。カッコイイな。

ウチのエリュシオンも中々良いと思うが、そっちもええやん?



『ルナさん言われてますよ。やっぱ戦いすぎたんですって』


「んな訳ねぇだろ。この人はただ、俺の『ガチムチぼでぇ』に驚いただけなんじゃねぇのか?」


『は?』


「ごめん」



筋肉の鎧なんて持ってませんよ。オホホ。俺は昔から細マッチョを維持しているので満足してます。



「えぇと、まぁ俺は人間ですよ」


『そうですか。さて、私が聞きたいことは以上ですので、上に進みたければどうぞ』


「あれ、お嬢さんと戦わなくても良いのですか?」



俺、てっきりこの人を倒さないと進めないものだと思っていたが。



『えぇ。元々、ここを通る時は試練のようにしていたのです。私と戦い、一定の実力があるなら上へ通す、と。貴方は見事に私の槍を受けても生きていますので、その命を以て合格とします』



あらあらあらあら!槍で撃墜されたら、何故か試練をクリアしていたぞ!


豪運ここに極まれり。俺はこの時のために様々な称号を手に入れたのだ!!!



......と言う訳では無いが、有難い。これまでの俺の行動に感謝だな。




「じゃあ行ってきます。帰りに戦いましょう」


『えぇ......え?』


「ではお元気で」



俺はクリア後のお楽しみをゲットしつつ、階段を全力で駆け上がった。


今までの階段の20倍の段数はある階段を駆けるのは、とてもじゃないが骨が折れる。



でも魔法は使わない。せっかく100階層へ続く階段なんだ、一段飛ばしで噛み締めよう。





「さぁ、ラスボスは誰かな?」




最上階が100層なら、ここがラスボスの待つエリアだ。



気を引き締めて行こう。



次回『』.....予告したらネタバレになる気がするので、次回をお楽しみに!

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