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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第11章 星塔の輝石
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状況・経験・判断

ぴぴーん!




「ピピーン。ルナ君センサーに敵反応あり。直ちに殲滅します」



「「「逃げろぉぉぉ!!!!」」」



「──はい、ごちそうさまでした。あ、ピピーン。漁夫の利にやって来た敵を感知。直ちに殲滅しま〜す」




リアルでは元日の昼。ゲーム内では年明けから4日目の夜、俺は殺戮マシーンと化していた。




数人で固まっている敵を誘導し、倒し、また誘導し、倒し......この流れをずっと繰り返していた。


結果、俺の足元には大量の『終末の星屑』が転がっている。


数は......分からない。ふた昔前くらいのパソコンなら、表示した瞬間に処理落ちしそうな量だと言っておこう。



「うむ。そろそろ回収して撤退するか。俺の勘だと、マサキやストレリチア辺りが来そうだ」


『そのまま狩られるオチの方が面白いですよ』


「やだね。6,000個以上の星屑を持って死ぬのはただのバカだからな。よっ、と......重いな」



俺は糸術を使ってオリハルコンの糸を網状に組み上げ、そこら中に散らばる星屑を一気に上空へ持ち上げた。



「おぉ〜、昔に見た漁業の番組で見た、アジが大量に捕獲されているあみみたいだな」



雫の様な形に広がる網に、大量の光る球体が入っている。


俺は糸をインベントリに入れると同時に、大量の星屑も一緒にインベントリに入れた。



「よし、収納完了。アップデートが入る前で良かったな。アプデ後だとインベントリから溢れかえるぜ」



ちなみに、運営からの情報によると、アップデートは1月1日の23時から24時の間を予定しているらしい。


1時間のメンテナンスは珍しいが、新要素もあるから妥当だと言えるだろう。



「さ、おサラバおサラバサラダバー。お野菜フィーバー待ったなし」


『......?』


「気にすんな」



いつも通り、反射的に口から出る言葉に困惑するフーを連れて、俺は魔法を使って上空へと飛んできた。


ちょっと大変な相手がやって来たからな。その相手をしなければならない。



「よ、ルナ」


「よ、マサキ。あけおめ」


「あけおめ!今年もよろしくな」


「勿論。こちらこそよろしく頼む」



空を飛んで来たのは、ワイバーンのリュウキ君に乗ったマサキだ。



「さて、覚悟はいいか?今日こそは勝つぞ」


「待ってくれよ。4桁も失いたくないんだが?」


「4桁?......お前のギルド、ルナが全部の星屑を持ってる訳じゃないんだな」


「あぁ。さっきまで俺が1番所持数が少なかったくらいだぞ。今は......3番目くらいか?」


「ルナより稼いでいる奴が居るのか......」


「そりゃあな。大晦日からログインしてなかったし。じゃ、マサキ。地上戦と空中戦、どっちがいい?」



俺もこのまま何事も無く帰れるとは思っていない。せめてマサキが持っている分の星屑は回収させて貰うぞ。




「ごめんなルナ。答えられねぇわ」




マサキがそう言うと、俺の周りに凄まじい数のワイバーンに乗ったプレイヤーが現れた。



『あら、大ピンチですねルナさん』


「まじぃ事になった」



まさか、もうこんな沢山のプレイヤーが集まっているとは。大規模な俺の討伐隊が組まれたのか?



「今日こそはお前にデスペナを与えてやろうと思ってな」


「なるほど、デスペナで動きを封じる訳か。頭良いな〜」


「だろ?......って事で、やられてくれ!!」



マサキが右手に持つ赤い剣を振り上げると、周囲のプレイヤーが一斉に俺に攻撃してきた。



「『不死鳥化』」



ピンチです。不死鳥化を使って死を免れたものの、大量のデバフのアイコンで視界が悪いです。


全く、どこから毒、麻痺、MP吸収なんかの魔法を用意したのか......あ、MP切れた。



俺は綺麗な炎の跡を残しながら地面に落ち、ゆっくりと立ち上がった。



『ルナさん、これ大分不味くないですか?』


「結構ヤバい。デバフのせいで歩けねぇもん」



今も尚かけられるデバフと大量の攻撃魔法。

中には毒矢などの遠距離攻撃も飛んできており、体が栗みたいになるまで矢が刺さっている。



「酷いよこの子達。か弱いルナちゃんをこんなに痛めつけるなんて......」



『先程まで無数の語り人を痛めつけていたのはルナさんですけどね』



「デバフのせいで1歩歩くのに5秒かかるなんて、ここまでする必要ある?」



『相手を煽りに煽った上に、足を切断してた人間が言える事では無いですね』



「さっきから正論パンチするの辞めてくれる?割とマジでピンチなんだからさ」


『本当にピンチの時のルナさんって、何も言わずに行動に移すんですよね〜』


「分かってらっしゃる。流石メイド長」


『ふふんっ!』



残念ながら正解だ。だがピンチなのも本当だ。もし不死鳥化が解除されたら、一瞬にして俺は城で目を覚ます事になるだろう。


というかさ、ピギー達は気付いてないのか?


アレだけ掲示板を利用するアイツらなら、今の俺の状況くらい知ってそうだけど。



「いや、ハブられてんのか。アイツらだけ見れないようにしてたら気付く訳無いもんな」



これが本当なら酷い話だ。ヴェルテクスだけ除け者にするなんて......やり返しちゃうぞ?



「はぁ。そろそろ反撃するか。来い、夜桜ノ舞、アルテ」


『ここに』


『ようやく呼んだわね!さぁ、早く倒しましょ!』



俺は腰の左側に布都御魂剣と夜桜ノ舞を提げ、右手にはアルテを持った。



「イブキは地上の索敵をしろ。フーもな。セレナはトカゲ共の照準を」


『御意に』


『任せてください』


『トカゲ程度、任せなさい』



頼もしい限りだ。俺が死ぬ前にさっさと片付けるぞ。



俺はインベントリから矢を3本取り出し、アルテに番えた。



『フッ、手前の3匹を殺ると見せかけて後方の10匹を殺るわ。そのまま撃って』


「了解だ」



ゆっくりとした動作で引かれた弦は、3本の矢に風を切る音を立てさせた。


数秒後、セレナの言った通りに奥の方に居るプレイヤーのワイバーンに命中し、上に乗っていたプレイヤーが落下してポリゴンとなった。


そしてポリゴンが散る頃には、終末の星屑も落ちていた。



『楽勝ね。弱い奴から狙うから、ルナは暫く3本ずつ撃つのよ?』


「あぁ」



そうして俺は、セレナに止められるまで3本ずつ矢を放った。




俺が今回、アルテを使って戦ったのには理由がある。


それは『固定ダメージ』だ。


今の俺は無数のデバフがかけられており、DEXやSTRの値が2桁にまで落ちている。

そんな状態で布都御魂剣やクトネシリカで攻撃しても、マトモなダメージにはならないだろう。


そんな時に役に立つのが、アルテの能力である固定ダメージだ。


この固定ダメージは、基本的にクリティカルによる上振れ補正しか乗らないので、最低5,000ダメージは保証されている。


クリティカル上昇量は2倍。つまり、HPが1万以下のモンスターは確定で一撃お陀仏なのだ。



『もういいわ。ルナはロックドームで回復しなさい』


「いい。ここでドームを張れば、マサキ達に詰められる。そうなると部位欠損して終わりだ」


『......それもそうね。なら貴方の判断に任せるわ』


「あぁ」



大丈夫。案はある。今は月が出ているからな。この月光を浴びている間は、俺のステータスは3倍近く跳ね上がる。


月、大好き。



『ルナ様。地上は援軍が来ましたぞ。数は150ですな』


『ちなみにほぼ全員がテイムモンスターを連れてるので、総合的に500くらいです』


「報告ありがとう。500なら、何とかなるかな」



地上の索敵をしてくれた2人に感謝をしつつ、俺はテイムモンスターの画面を開いた。



「ラースドラゴン、カラフルドラゴン。来い」


『『『はい!』』』


『『『は〜い』』』



合計27体のドラゴンを呼び出した。この子達に戦ってもらおうか。



『ルナさんは戦わないんですか?』


「あぁ。俺が戦うより、コイツらの方が良い仕事をすると判断したからな。さ、君達。地上の語り人と上空の語り人。全員殺って来い!」



『『『はい!!』』』



俺はステラを取り出し、ドラゴン達に『鼓舞の光』をかけた。



月光により俺のステータスは跳ね上がるが、俺は戦わない。その理由はやはり、数にある。


例えどれだけ1人の力が大きかろうと、27と1ではどうしても出来る仕事量に差が出来る。


今回は致し方なく、ドラゴン達に頼るとしよう。






◇◇






「お前......ドラゴンはずりぃぞ......」


「ワイバーンに乗ってきた奴が何を言う。それよりさ、何百人も集めたのに俺1人殺れなかった気持ち、どう?」



「最っ高だよ......親友」



ゲーム内で朝日が昇る頃、最後に取っておいたマサキがポリゴンとなって散った。



「いや〜、疲れましたね〜!」


「私達は索敵しかしておりませんがな」


「私も仕事出来たのは最初だけね。後はドラゴン達に取られちゃった」



俺がせっせと糸を使って星屑を集めていると、後ろの方で付喪神ズが雑談を始めた。



『あるじ〜!』


「ん?ヒカリか。お疲れさん。ありがとうな」


『ううん!敵が沢山いて、すっごく楽しかった〜!』


「それは良かった」



空を飛んでいたヒカリが俺の元に降りてきた。が、俺はずっと糸を張り巡らせて回収作業をする。



『......ヒカリも手伝おっか?』


「いいよ。今日は頑張ってくれたんだ、ゆっくり休んでていてくれ」


『分かった!じゃあね!』



ヒカリは俺の中へ戻り、俺は作業を再開した。






「──ふぅ。イベントランキング、どんなもんだ?」



◆ギルド戦・イベントPtランキング◆


1位『ヴェルテクス』・・・181,458Pt

2位『勇者マサキ(笑)と愉快な仲間たち』・・・65,825Pt

3位『ストレリチア』・・・65,802Pt





「よし......よしっ!!後は維持すれば完璧だ!!!!」



マサキ達が2位に居るのは、単純に戦闘不参加のメンバーに星屑を持たせているからですね。

あらかじめ失う物を減らしとるとは.....やるにゃあ。


次回『星塔を駆け上がれ』お楽しみに!

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