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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第11章 星塔の輝石
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神様にご挨拶

後編です。次回からエンジン前回で行きます。


キュキュ.....ギュルン!ボボボボボ(エンジンをかける音)




「......ここも行列、か」


「ルナ君大丈夫?休んでてもいいよ?」


「そうですよ。顔色が悪いです」


「メルといっしょにねる?」


「それはメルが眠いだけだろ?」


「うん」



俺達は初詣をする為に狐国へと来たのだが、なんとゲーム内で初詣をしようとする、俺と同じ思考の人間が大量に居た。


人の波は神社の外まで広がっており、中には現地人も混じっていた。



「あんまり良くはないだろうが、神界から直接行こう」


「稲荷ちゃんのお家に突撃だね!」


「バチが当たりそうですね......」


「しんかいかぁ......まぁいいや」



そうか。神界はメルにとっては居心地悪いのか。

メルに対して影響が大きいようなら帰ろう。無理してまで行く必要は無いし、中止になったらなったで後日、お参りさせて貰おう。


今日は少し、我慢してくれ。






◇神界・お稲荷さんハウス前◇






「こんにちは〜!」


「は〜い〜。ちょっと待ってな〜?」



ソルが大きな声でお稲荷さんを呼ぶと、家の中から返事が帰ってきた。


俺は背後に広がる、冬でもずっと紅葉(こうよう)している紅葉(もみじ)を見ながらお稲荷さんの登場を待った。



「ソルはんにルナはん、さらにリルはんと......メルはんやね。おはようさん。今日はお参りやんな?」


「そうだよ!」


「初詣に行ったんだが、人が多くてな。直接来た」



「ふふっ、そうかそうか。じゃあ今日は元日やし、おせちもあるで?取り敢えず入り〜」



「「「お邪魔します」」」


「おじゃましまうま」



一応神様の住む家だから、一礼してから入らせて貰った。



いやぁ、久しぶりにお稲荷さんハウスに来たが、相変わらず落ち着く雰囲気の家だ。


実家が元になっている故か、単にこの家が好きなだけかは分からないがな。



「はい、お茶。ゆっくりしてってな〜?」


「ありがとう」



お稲荷さんが5人分の緑茶を持ってきてくれた。


俺はメルが火傷しないか心配しながら見ていると、お稲荷さんから話しかけてくれた。



「せやせや、ウチなぁ?家族が増えたんよ〜」


「そうなのか。おめでとう」


「まぁ狐の子なんやけど」


「ペットかよ」


「ペットやないよ?家族っちゅうか、眷属やねんけど。ほら、おいで〜」



お稲荷さんが(ふすま)に向かって手を振ると、スっと付すが開けられ、奥からソルを小さくしたような、可愛い狐獣人の子どもが現れた。




「あ、あの......はじま......はじめまして」




「「「可愛い」」」


「ママにそっくり」



そして可愛らしい狐の子はトコトコと歩いて、何故か俺の膝の上に座った。



「え?」


「あれ?ルナ君?」


「ウチの眷属、取られてしもうた」



眷属ちゃんは俺の膝に座ると、尻尾をゆらゆらと動かしながら見上げてきた。



「おにいさん、良い匂いがします」


「匂い?」


「はい......えふふ」



俺の胸に抱きついて笑う姿は、いつものソルにそっくりだった。



「お稲荷さん。この子どうすれば?」


「あ、あげへんよ!天狐(てんこ)〜、ウチのとこにおいで〜?」



「いやです。主様(ぬしさま)よりおにいさんの方が好きです」



あらあら。何故か好かれてしまった。でも残念ながら俺はソルが大好きなんだ。君がもし、異性として俺を見ているなら、その想いは叶わないよ。



「君は天狐というのか」


「はい!主様に仕える、神に近い狐です!」


「そうか。じゃあお稲荷さんの言葉は聞いた方が良いんじゃないか?」



俺がそう言うと、お稲荷さんは首をブンブンと縦に振った。



「いやです。先程も言いましたが、わたしはおにいさんの方が好きなので」


「え゛っ......嘘やろ......?」



残念だったな、お稲荷さん。ミニソルに偉く好かれてしまったよ。


俺は天狐の頭を撫でながら、お稲荷さんに小さく謝罪した。



「ねぇ天狐ちゃん、私も触ってもいい?」


「いいですよ」


「ありがとう!......うわぁモフモフ〜!」



ソルに触られながらも、何故か執拗に俺の元を離れない天狐。


何故だ。何故君は俺から離れない。



「あ、お稲荷さん。こんなタイミングで悪いけど、去年はありがとう。今年もよろしく」


「あ......うん、ええよ。ルナはんの運気、死ぬほど下げといたるから......」


「辞めてくれる?天狐に関しては、俺はマジで何も知らないからな?」


「冗談や。天狐がルナはんを好きな理由は分かるし、少しの辛抱や......」



理由は分かる?どんな理由だ?本人に直接聞いてみるか。



「天狐。何故俺が好きなんだ?」


「わかりませんか?」


「分からないな」


「そうですか......では言いましょう。おにいさんは、わたしの運命の人なんです」


「あぁ、なるほど。思いつきか」


「ちがいます!本当ですよ!」


「えぇ?」



何なんすか、運命の人って。運命なんて自分の意志と行動による結果論なんだし、そんなのアテにならん言葉だろう。


天狐の耳がピコピコと動くの見ていると、お稲荷さんが顔を上げて言った。



「ウチから言うわ、ルナはん。天狐がルナはんを好きな理由は2つ。1つはルナはんの称号、『神に好かれる者』の効果や。もう1つはな、天狐はソルはんを元に創ったんよ......やから、ソルはんが大好きなルナはんが、天狐にも受け継がれとんねん」



「称号......あぁ、これか」



俺は自分とソルの前に、称号のウィンドウを出した。



◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇

『神に好かれる者』

・神々からの好感度が上昇。


5柱の神から『神の因子』を受け取る事で獲得。◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇



「わぁお、入手条件難しい」


「で?ソルを元に創ったって、どういう事だ?」




「言うたやろ?眷属や、って。天狐は『妖術』と神気、あとウチのイメージで創られた眷属やねん。そのイメージをする時に、ウチはソルはんを思い浮かべとってん」


「基本的に誰にでも優しく、1人の人間を愛し尽くし、ただ恩を受けるに足らず、恩を返していく......そんなイメージで創ったんや」



「え〜と?つまりは割と本気でミニソルだと?」


「まぁ、せやね。口調と見た目以外は、9割ソルはんや」


「私の......クローン!?」



クローンか。中々面白い表現をするじゃないか。



「へぇ〜面白い子を創ったなぁ。

......天狐、君はお稲荷さんの子なんだから、ちゃんとお稲荷さんの言うことを聞くんだぞ?」


「わかってます。でも今は、もう少しだけこうさせてください」



俺がそっとお稲荷さんの方に行くように言うと、今度は小さな体で抱きしめられてしまった。


この子、小さい割にパワーが物凄く強い。もしこの子と戦う事になれば、今のステータスじゃ厳しいかもしれん。


そう思える程に強い。



「ルナ君、私以外に抱きしめられたら嫌じゃなかったっけ?」


「嫌だぞ?嫌だけど、この子はソルの雰囲気があるからなぁ。そこまで拒絶しようと思えない」


「そう......帰ったら覚えていてね?」


「え?」



ヤバい。地雷を思いっ切り踏み抜いた。だってソルの目が笑ってないもん。口角だけ上げてるのに目が笑ってないから、めちゃくちゃ怖いんだけど。


俺、ギルド戦の前に何をされるんだ?




さて、そろそろ帰ろうかな。ピギーの代役を務めないといけないし。



「天狐、そろそろ退き。ルナはん達、暇やから来た訳やないんやし、そろそろええやろ?」


「むぅ......仕方ないです。おにいさん、また来てくださいね。待ってますから」


「あぁ。場合によっては行けないかもしれんが、行けたら行くよ」


「それ絶対来ないやつじゃないですか!主様。やはりわたしも......うわぁぁぁ!!」



何としても俺達に着いて来ようとした天狐を、お稲荷さんは謎の力で抱きとめた。



「ほな、皆元気でな。今年も良い年になるよう、ウチからも祈らせて貰うで」



「改めてありがとう。今年もよろしく」


「よろしくね!」


「よろしくお願いします」


「よろしゅう?」



「うん、よろしゅう。メルはんも元気にするんやで?ほな」



「まって!おにいさん、行かないでぇぇぇ!!」


「アンタは黙っとき。ほなな〜!」




最後まで抵抗する天狐を抑えつけ、お稲荷さんは俺達をギルドホームまで転移させてくれた。




「わお、全員帰ってきた。死んだの?」


「いや、初詣の帰りだ」



リビングへダイレクトに転移されたせいで、ピギーやリンカ達が何かを話している所へやって来たようだ。


邪魔するのも悪い、さっさと出ようか。



「じゃ、俺はひと暴れしてきますかな。新年初の大暴れ。全プレイヤーをなぎ倒す気で行くわ」


「頑張ってね、ルナ君。私はピギーちゃん達と生産するから、戦闘は任せたよ!」


「はいよ」


「あと......いや、いいや。気を付けてね」



何かを言おうとして途中で辞めたソルは、優しく俺の唇にキスをしてからピギー達の方へ行ってしまった。




「......めっちゃ意味深じゃん」



次回『状況・経験・判断』お楽しみに!

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