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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第11章 星塔の輝石
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全面戦争・前編

最近は雨に濡れて帰る事が増えました。(梅雨)





「3階層に来た訳だけどさ、俺、第2階層の探索してない事に気付いた。えらい」



ミアとソルと共に、難なく鳳凰を倒して第3階層にやって来たが、最初に火山に出たせいで第2階層が未探索だと言うことに気付いた。



「2階は言うてだよ。1階と殆ど構造が同じで、ちょっと敵が多くなって、更に強くなったくらいだから」


「そうなのか。ミアはどうする?戻るか?」


「いえ、このまま進みます。生産に使えるアイテムが欲しいので、品質的に上の方が良いかな、と」


「了解だ」


「......うん、頑張ろう!」


「はい!」



おっと、今、一瞬だけソルが俺の手を握る力が強くなったな。

ソルが2人で行きたい気持ちも分かるが、今はパーティプレイを楽しまないとな。


最初から2人の時に、いっぱい遊ぼうぜ?



まぁ、翔とアテナを置いていった俺が言える事じゃないけど。









『──待たれよ』




「じゃあそろそろ行くか。3階層目は草原に出たし、ボスエリアはまた暑い所だろ?そこまでヨチヨチと歩いて行こう」


「うん!」




『──そこの男、待たれよ』



「何か幻聴聞こえるんだけど。誰か俺のこと呪った?」


「呪術とかあるんですか?」


「ん〜、俺の知る限りは無い。だから、個人的に?」


「それなら分かりませんね......」




『──ねぇ、ちょっと待ってくんない?』




「鬱陶しいなぁ。サーチにも引っかからないから、余計に腹が立つ。魔力的な何かを持っていない辺り、そこそこ厄介で面倒で意地汚い奴かもしれない。2人とも気を付けろ」


「「は〜い」」




そして草原から小さな丘に移動しようとした瞬間、それは現れた。




「貴様!何故吾輩の警告の悉くを無視した!?普通は聞かんか!!」




草原が見渡せそうな丘に足を踏み入れた瞬間、丘の上から1人の甲冑を着たプレイヤーが現れた。



「──でさぁ、そこでマサキが言ったんだよ。『俺はパーティメンバーを見捨てない。例え死んでも守る!......1度だけ』ってな。それがもう、絶妙にダサくて好きなんだよ」


「ふふっ、最後がマサキ君らしいね!」


「あの人、そんなにカッコイイセリフが言えたんですね。見直しました」


「まぁ、そう言った瞬間に死んでたけどな。ガーディ君以外」


「「あはは!!」」


「あの時ほど、『コイツおもしれぇ』って思ったことは無いな。俺のベストフレンドだわ」




「キンッき、きっ、貴様らァ......!」



「あ、何か居る。邪魔しないように避けよう」


「だね」



3人で甲冑のおじさんの横を通ろうとした瞬間、おじさんが腰に提げている刀を抜き、俺の左側に居るソルを斬ろうとした。



パチン!



俺は小さく右手で指を鳴らし、おじさんにクロノスクラビスを掛けて動きを止めた。


だが、このおじさんは相当レベルが高いのか、動きを止める事が出来たのは10秒程度だった。



『ルナ君、殺るの?』


『遂に対人戦ですか?』


『殺る気は無いな。今の剣も、ソルというより俺を狙っていた剣筋だし......害が及ぶまでは友好的に接する』



2人からのボイスチャットに小さく返事をし、おじさんが本格的に攻撃するか否かで判断する事にした。



「......貴様、何故戦わぬ」


「貴方と戦うメリットが無いじゃないですか。あぁ、貴方にとっては俺から星屑を奪えますが、俺にとってはそこまで重要視してないので。小さく稼ぐのはギルドメンバーに任せてますのでね」


「吾輩は腕の立つ者との戦いを望む」


「それならストレリチアにでも仕掛けてください。俺な

んかじゃ貴方にボロ負けですよ。多分」



戦わない為の嘘だ。ここで勝っても、難癖付けられてしつこく付きまとわれたら面倒だからな。



「貴様は腕が立つと、吾輩の傘下の者から聞いた」


「あら、出待ち厨の方でしたか。それなら同胞の方に言っておいて貰えません?『出待ち辞めよう』って。アレ、初心者の人が出待ちされたらこのゲーム辞めちゃいますよ」


「吾輩は斯様な下衆とは違う!ただ純粋に強者を望むのだ!」


「......話通じないタイプか」



一昔前の、『はい』を選択するまでイベントが進まないNPCみたいだな。

俺、あの手のシステムは少し嫌いだった。


なんと言うか、プレイヤー自身の意見を蔑ろにされている気分になって、ストーリーに対する興味を失っちゃうんだよな。


この人も、そんな感じの匂いがする。



「貴様、吾輩と一戦交えぬか?」


「交えぬ......と言いたいけど、ここで俺が勝ったらストーカーみたいなの辞めてくれます?」


「無論」


「どっちだよ。付きまとうならリスキルするぞ」




「......追わぬ」




危ないなぁ。この手のプレイヤーは揚げ足取りのように鬱陶しいと、過去のFSで経験したぞ。


あの時助けてくれたアテナには今も感謝してる。



「なら良し。ソル、ミア。先に進んどいてくんない?」


「分かった。何かあったら直ぐに報告してね」


「了解です」


「あぁ。それと2人とも気を付けて。ソルはミアを守ってやってな」


「うん!」



最後にソルの頭を撫で、2人を送り出した。


さぁ、このおじさんとの戦いを楽しもうか。



「ルールはどうしますか?」


「吾輩が決めて宜しいのか?」


「お好きにどうぞ」


「では、此方(こちら)で」




そう言っておじさんから送られてきた決闘申請の内容は、魔法ナシ称号ナシの、刀術オンリーの殺し合いだった。


サラッと読んだ感じ、あまり目立った事は書いていなかった。


あ、それと勝った方が星屑の5割をドロップするという、なんとも保険が掛けられた報酬でもあったが。



「え〜と、『ノブナガ』さんですね。宜しくお願いします」


「あぁ。宜しく頼む。いざ──」



ノブナガは刀を抜いて縦に構えた。


面白いな、この人。ロールプレイを楽しんでいるのが伝わるぞ。


俺も乗るか。



「いざ──」



「「尋常に参る!」」



ノブナガと共に口角を上げ、俺はノブナガの振り下ろす刀を受け止めた。


刀にとっては宜しくないが、この戦いに於いては必要な事だと割り切ろう。



「よっ」



ノブナガが刀に入れる力を抜いた瞬間に俺はもう一振りの刀を取り出し、ノブナガの膝に突き刺した。



「ぐぅっ!」



怯んだ隙に刀を持ち替え、ノブナガが立ち上がるのを待った。



「──何故......斬らぬ」


「斬って欲しいなら斬りますけど。斬りましょうか?」


「いや......やろうか」



足にポーションを浴びせ、傷を回復させてからノブナガは刀を構えた。


しまった。アイテム使用が可能なルールである事を忘れていた。

今までの決闘が殆ど公平なルールでやっていたから、大事な事を見落としていた。


問題文はちゃんと読めという、未来の俺への布石かな?



「俺もポーションつ〜かお」



ノブナガが構えているというのに、俺はインベントリから赤黒いポーションを取り出し、右手に持っている刀に浴びせた。



「何ぞ、それは」


「刀の回復ポーションさ。コイツをかけると、刀は相手を斬る度に耐久値を回復させる」


「斯様な物があるのだな」



まぁ、嘘なんですけど。ただの俺の血を混ぜた劇毒を刀に塗っただけだ。


この血がノブナガに入れば......




「ふんっ!」



相も変わらずノブナガが先攻。今回は突きだから体を横に向けて避け、続けて横薙ぎに振られる刀を俺は片手で受け止めた。



「何っ!?」



左手から滝のようにポリゴンが流れ出るが、ノブナガが驚いた瞬間を狙い、劇毒塗れの刃をノブナガの胸に突き刺した。



「ゴッ......ど......く......?」


「じゃあな。もう出待ちなんか辞めろよ」



俺はノブナガがポリゴンとなって散るのを待ち、ちゃんと倒れた事を確認してからソル達の方へ歩み出した。




「星屑85個か〜、かなり持っていたんだな、ノブナガさん」



機会があれば、また戦ってもいいなと思えた。



それから俺はソルにボイスチャットを繋げた。




「ソル〜、今どこ〜?」


『ル、ルナ君!?単刀直入に言うね。今、ストレリチアのギルドと思いっ切りドンパチしてるの!』


「ほぇ?」


『場所は今送る!それとミアちゃんがリアルでリンカちゃんを呼びに行ってるから、今一緒に居るのはアテナ君達だけなの!ルナ君も早く来て!』


「お、おう。戦況は結構ヤバめ?」


『ヤバい!ピギーちゃんが数秒でHP半分無くしてるもん!』


「......伝わらねェ......!!」


『とにかく!直ぐに来て!』


「分かった。もう少しだけ頑張ってくれ」


『うん!じゃあね!』



何だろう。何があったんだろう。どうしてストレリチアとドンパチやっているんだろう。


沢山の疑問が出てくるが、今はソル達を助けるのが先だな。



「リル、メル、アルス。これから戦う事になるから心の準備をしておけ」


『はい!』


『は〜い』


『御意に』



「じゃあ、位置情報を貰った事だし、全力で行きますかな。シリカ、頼むぞ〜」


『任せな!』



俺はシリカを呼び出し、ソル達の居る位置......それも戦場

のド真ん中の位置まで雷霆を伸ばした。




「ふぅ......『魔刀術:雷纏』」



クトネシリカに眩いばかりの雷を纏わせ、黄金の刀身を前方へ向けた。



『あ、おニューのスタイルだ!』


「突き進むイメージだぞ。ではルナ君、参る。『電』(いなずま)」




俺は一筋の光と同化する様に、轟音と共に魔法の飛び交う戦場へやって来た。





「おぉ、戦場だぁ......じゃあまぁ、取り敢えず......『ネヴァンレイン』」



この猛毒の雨が、俺が援軍に来たことの証となった。

ノブナガさんが話しかけていた方法は、実はソルも使えます。

というヒントだけ置いときます。


次回は中編です。楽しんでくれると嬉しいです!では!

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