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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第11章 星塔の輝石
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焼き鳥

寝起きからゲームしたのに生きてる。なぜ。




星塔の第2階層。最初のエリアは火山エリアだった。


近くを熱く煮え滾る溶岩が流れ、その熱でHPがジワジワと減っていく。



「お前達はリジェネ系の効果持ってんのか?」


「僕は持ってるよ。ソル女王から賜った」


「私もソルさんから頂きました」


「了解だ。このダメージは俺の魔法でも防げないから、もし回復がなかった時の為に一応聞いておいた」



サーキュレーションは外気からの影響を完全にシャットアウトするが、地面からの物理的な熱には一切対処が出来ない。



「それにしても、鉱石採取ポイント多いな〜」


「鍛冶師の方にとっては天国みたいですよね」


「......そうだといいな」


「え?ルナさんは違うんですか?」


「違う」



先程から見える採取ポイントと、サーチで見付けられるポイントは全て採っているのだが、ここで取れる鉱石の意味が分からないのだ。



「だってさ、『溶岩プレート』とか、最早料理にしか使わないような物が出てくるんだぞ?これをどう武器にしろと?」


「それ、皆は火属性武器の材料として使ってるみたいだけど」




「あっ......スーッ......ごめん」




そう言えばそうじゃん。ガッツリ火属性要素を備えているんだから、武器に使えるじゃん!


あ〜もう、バカやっちゃったなぁ。



「君、昔からおっちょこちょいと言うか、案外簡単に分かることを見逃すよね」


「すぃあせん」


「そういう所を支えてくれる人が、ソルちゃんなのかな?」



その通りですよ翔君。いや、翔酸カルシウム。お前はなんて良い事を言う奴なんだ!



「そうだぞ。ソルは俺に無いものを持っているんだ。そしてその全てを俺にくれるんだ。しかも超可愛いんだぞ。こっちに駆け寄ってくれる時のあの表情は、もう......純度100パーセントの、幸せの感情に満ちているんだ。俺は男として、いや、人としてソルを支え、幸せにしたいと。そう思うんだ」




「めっちゃ語るじゃん」


「正に語り人ですね。ソルさんだけの」




「そう!ソルだけの「私だけの?」おぉい!......ビックリしたぁ」



火山で熱く語っていると、後ろからソルに抱きつかれた。



「や、ソルちゃん。こっちも追い付いたよ」


「お疲れ〜。虫は大丈夫だった?」


「僕とミアは無理だったけど、そこの男が殺ってくれたよ」


「おぉ〜!」



ソルは背伸びをしてまで俺の肩に顎を置き、後ろから翔達に話しかけた。


と言うか、何故ソルは後ろから来たのか。ソルは今、城で生産してたんじゃなかったのか?



「ソルはどうして火山に?」


「私は焼き鳥を作りに来たの」


「焼き鳥?」


「そう、焼き鳥。正確には3階層目に上がる為のボスを倒しに、ね。そういやルナ君達、もしかしていきなりここに飛ばされたの?」


「あぁ。もしかしてラッキーボーイ?」


「スーパーラッキーボーイだよ。火山スタートって、報告数がとっても少ないからね。ルナ君も一緒に焼き鳥作る?」



背中からギューッと抱きしめてくる辺り、断れない気がするなぁ。翔達も一緒に来てくれるなら別に良いのだが......


ってか、焼き鳥って何?



「質問:焼き鳥とは」


「解答:第2階層のボス『鳳凰』の事です。追記:今日の晩ご飯は焼き鳥です」


「久しぶりだな。タレ?塩?」


「どっちでもいいけど、ルナ君はどっちがいい?」


「う〜ん、タレかな。甘いヤツがいい」


「分かった。楽しみにしててね」


「あぁ」




「おい、バカタレとアホタレ。イチャついてないで行くよ」




「「は〜い」」



ちょっとソルと話していただけなのに、翔に怒られてしまったお。僕ちん何も悪いことはしてないのに。


いや、時間を使ったな......悪いな。



そうして鉱石の話は何処へ行ったのか、俺はソルと手を繋いで火山の攻略にシフトチェンジした。




◇◇




「弱いな〜、ここの敵」


「そりゃあルナ君のレベルからしたら雑魚だと思う」


「う〜ん......張り合いが無いと、どうも気合いが入らんな。半呪の腕輪でステータス落とそうかな」



火山に点在する洞窟に入り、4人で敵を倒していたのだが、どうもここの敵は弱い気がしてきた。


溶岩で出来たゴーレムとか、マグマのスライムとか、柔らかいモンスターが多いのだ。



「いや、ステータスじゃなくて武器を縛るか。フー、ちょっといいか?」


『私を縛ろうとするなんて変態ですね!......まぁ、別にルナさんになら「黙れ。霊剣を出してもらおうと思ったが、もういい」


『待ってください!ごめんなさい!ちょっとし』



俺は布都御魂剣を戻し、フェルさんから貰った、俺が初めて入手した刀を装備した。



「この子も懐かしいな。付喪神が宿る前に、良い感じに強化してあげたい」



名前の無い、ただの刀の黒い鞘を撫でていると、ミアが不思議そうな顔をしながら聞いてきた。



「いつもと違う刀ですね。昔に作った物ですか?」


「この子は俺が作ったんじゃなく、俺に鍛冶を教えてくれた人が作った子なんだ。確か、俺がロークスに行く時だったか......あれ、弟子を卒業した時だっけ。まぁ、そこら辺のタイミングで貰ったんだよ。俺が刀術を始めた時の、最初の相棒だな」



本当に懐かしい。リアルで何ヶ月も前だ。確か、俺とソルとリルの3人で貰ったんだよな。



「敵、来たよ。拘束するから3人で仕留めてね」


「「「了解」」」



曲がり道を抜けた先に居る敵を、翔が糸で拘束してくれた。


敵は立派な語り人だ。赤い髪に、犬のような耳を生やしたゴリラだ。



「おい翔!お前なんで俺を拘束するんだ!」


「さ、殺って!」


「じゃあな、犬ゴリラ」


「ま、待て!なんで味方で殺し......」



俺は手も足も出ないゴリラの前に立ち、一気に抜刀した。



一瞬の後、アテナを縛っていた糸がポリゴンとなって散った。



「......あ、ありがとう。助かった」


「いいよ。で、こんな所で何してたんだ?」


「鳳凰の為に作戦立ててたんだよ。全く......そこのクソガキは分かってたのに来やがったがな」



「フッ、ちょっとした挨拶だよ」



翔が顎を上げて、アテナを煽るようにして言い放った。



「そうか。なら後でタイマンしようぜ。闘術オンリーのな」


「え......僕闘術持ってないんだけど」


「残念だが俺も持っていないな。大分前に闘王に進化したんでなぁ?ちなみに80レベな」


「はぁ!?そんなん負け確じゃん!嫌なんだけど!」


「大丈夫だチビッ子。俺は手加減スキルをルナから教えてもらったからな。今のお前を全力で殴り飛ばせる」


「手加減の意味、辞書で調べてきたら?」




翔とアテナの言い合いが始まったので、俺はソルとミアを連れて先に進んだ。


大体2分ぐらい歩いた所で、ボスエリアらしき巨大な空間に出た。



「お、あれが鳳凰か。めちゃくちゃキレイだな」



ボスエリアの中央にある、溶岩の中から生えている1本の青い木に、鳳凰と思われる5色の羽を持つ鳥が立っていた。



「結構強いらしいよ。レベル300くらいあるんだって」


「弱いな」


「めっちゃ強いじゃないですか!!」



ミアと価値観の違いが出てしまった。


仕方ないよな。レベルのあるゲームなんだし、自身のレベルが高ければ高いほど、相手のレベルを見た時の意見が変わるものだ。



「取り敢えず行くか。ゴリラとチビッ子は......まぁ2人で行けるやろ」


「大丈夫だと思う」


「大丈夫......ですかね?」


「大丈夫だって。あぁ見えて相性良いから。じゃ、行くぞ〜」




後続の2人が勝てると信じ、俺達は3人で鳳凰との戦闘を開始した。


次に進むのに必要なのは、次に進もうという気持ちだけ。邪魔されても構っちゃダメなの。


分かってるのに反応してしまう。なぜ。



次回『全面戦争・前編』オタノしみ2

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