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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第11章 星塔の輝石
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ゴリラと銀髪




「よぉルナ。クリスマスはお楽しみだったか?」


「よぉアテナ。楽しかったぞ。ソルと朝までずっとよ」


「大人になったなぁ、お前も」


「あぁ。朝までゲームをするなんて、大人の楽しみだよな」


「は?」


「ん?」



ユアストにログインすると早速と言った感じにアテナが話しかけてきた。


俺はアテナの言いたいことを全て理解しながら事実を話し、良い感じに誤解を与える事に成功した。



「なんだよ。クリスマスなのにゲームかよ」


「当たり前だろ。あの伝説のトイレットペーパー、プロガンのルシコ倒したんだぞ」


「お前マジかよ!ゲーム史に名前残せるぞそれ!?」


「フッ、あれは陽......ソルとの思い出だ。身内でしか語らんよ」


「そうか......でもすげぇな。何回やり直した?」


「知らん。それに気付いたら朝だった」


「朝までソルを付き合わせてたのか......」


「途中で俺の膝の上で寝てたからな。4時くらいからはソロだった」


「偉業なんだよなぁ」



アテナと話しながらウィンドウを操作し、別荘の収納に余計なアイテムを入れた事により、かなりスッキリしたインベントリを整理していた。



「そういや年始のアプデ情報見たか?」


「見てない。重要そう?」


「超重要。批判と称賛の嵐だった」


「翔さん!?」


「アイツは今イニティで武器買ってるわ」


「あ、そう。で内容は?」




「デデン......『インベントリの上限が100になる』」




「ふ〜ん」



謎に溜めを入れて教えてくれたが、正直そこまで重要だとは思えない。


別荘に無限の収納があるし、神匠の木工スキルを持っている人間にはそこまで痛くない仕様変更だからな。



「お前、今インベントリの枠幾つ使ってるんだ?」


「え〜っと、35。お弁当込みでだな。お弁当抜いたら28だ」


「少な!モンスターの素材とかどうしてるんだ!?」


「暖かい我が家に収納してる。だから俺とソルにインベントリの仕様変更は痛くも痒くもない」


「こんっのプレイヤーはぁぁ!!」



机に置いた拳に頭を打ち付ける犬ゴリラを見つつ、俺はアップデート内容の詳細を確認した。



「ほ〜ん。システムアシストの追加と?あと何だ。エリア解放に関しては俺はチマチマやるし......あぁ、元日からコンテストやるんだ」


「あぁ、アイテムコンテストと写真コンテストか。お前、出るのか?」


「アイテムに関しては出ない。でも写真は......面白そうだから出ようかな。テーマは自分で決めれるっぽいし、ちょっと狙いたい」


「多芸なこったぁ」



俺の出したモスベリーのお茶を口に含み、アテナは腕を頭の後ろで組みながら言ってきた。



「写真なんぞ全然撮らんわ」


「嘘つけ。お前がマサキに送った神界のどっかの写真、アレすんげぇ綺麗に撮れてたぞ」


「マジ?なら殊更やる気が出るわ」


「本当に初心者かよ。まぁいい。ルナ、人間狩りに行こうぜ」



アテナからのお誘いだ。有難く受けるとしよう。



「はいよ。武器縛る?」


「縛らん。流石にプレイヤー相手に舐めプ出来るほど俺は強くない」


「それもそうだな。マサキ達に出会ったら流石に負けそうだし......適当に野郎2人で蹴散らしに行こう」


「おうよ!」




そうしてアテナと星塔に来た訳だが、なんと出待ちを喰らってしまった。




「来たぞ〜!!!やれぇぇ!!」


「「「「おぉぉぉ!!!」」」」




「何これ」


「お前のファンだろ。握手してこいよ」


「厄介オタクだぁ......」



俺は10人単位で飛んでくる魔法を捌きながらアテナと雑談を交える。


空が赤、青、黄色と綺麗に輝くが、その全てが途中で消えていく様はどんな魔法戦よりも美しいだろう。



「肉、行ってこい」


「ごめん俺プロデューサーだから前出ない」


「お前この嵐の中アイツらを殺れと?正気か?」


「頑張れルナ。君なら出来ると信じている!」


「小心者め。その耳は子犬の耳か」


「キャンキャンワオーン」


「くっそ腹立つぅぅ!!!」



敵側の前衛にも魔法を飛ばして何とか進行を防いでいるが、ちょっとでも手を抜いたら雪崩込むようにしてやって来るだろう。


こんな時、頼もしい味方が居てくれたらなぁ。



「ま、仕方ない。前衛は俺がやるからルナは後衛な」


「ありがとう。一応バフ掛けとくな。『ストレングスエンハンス』『エクステンシオ』」


「わー攻撃力がめちゃんこ上がったー」


「行ってこい」


「おう!」



アテナの前方に置いていたファイアーウォールを解除して、前衛の敵と戦わせた。


さぁ、ここからは集中力との戦いだ。相手の魔法をサーチの反応だけで認識してクロノスクラビスで撃ち落とし、肉眼ではアテナのサポートをする。


満点合格はアテナをノーダメージで勝利させること。



ちょっとだけ頑張ろう。






◇アテナside◇






「よっこい、しょぉぉ!!」



これで前衛は5人。残っている敵は......12人か。相当大きなギルドで出待ちをしていたんだな。



「オラァァ!!」


「よっ、と」



大振りな攻撃だな、兄ちゃん。そんなんじゃ「せいっ!!」


「マズッ──」



ほんの一瞬しかない思考の隙を突かれ、横から新手の槍が俺に刺さろうとしていた。



「ぎゃぁぁぁ!!!」


「え......なるほど」



槍が俺の横腹に刺さる直前に、ルナの奴が殺りやがった。相手に雷のエフェクトが出ているのを見るあたり、多分サンダーか何かだろう。


そして生まれた時間にチラッと後ろを振り向いてみると、ルナは左目を閉じ、右目でガッツリと俺の方を見ながら左手だけで魔法を全部捌いていた。


あの人、強すぎませんかねぇ。



「何だよアイツ。固定砲台かよ」


『前を向け』


「すみません」



全く、頼りになる相棒じゃねぇか。俺も頑張ろう。







◇ルナside◇





出待ちファンモドキから星屑を集め終わると、アテナは地面に手を突いていた。



「あぁ.....キル数少ない.....つらい」


「お疲れ。結局10人しか倒せてないな、アテナ」


「うっせ。片目片手で後衛殲滅させる奴に、俺のこの気持ちは分からんだろ」


「分からん」




「クァ!!俺も強くなりてェ......ッ!!!」



「おいおい。君はどこのギルドに入っていると思っているんだ?強くなりたいなら、強い奴に教えてもらうのが近道だろう?」


「......破滅の道でもあるがな」


「まぁそうだな。でもそれはFPSゲーの話だ。今のところ、ユアストでは強い奴に寄生して破滅した人間を俺は知らない」


「......それはお前が強い奴の部類に入るからな」


「掲示板とかでも、そんな情報は無い」


「......そもそもお前、掲示板とか見ないからな」



「つまり、大丈夫」



俺は地面に這い(つくば)るアテナの肩に手を当て、希望を与えるように語りかけた。



「......はぁ。まぁいいか、今回はお前に甘えるとしよう」


「甘えんな犬ゴリラ」


「えっ、急に態度変えるじゃん。シンプルに悲しくなったんだけど」




「うそうそ。取り敢えず、武器が欲しいならまた作るからさ、今は甘えてもらって問題ないよ。ただ、お前が強くなったら俺と戦ってくれ。まだアテナと戦ってねぇんだよ、俺」



アテナの手を掴み、STRに任せて強引に立ち上がらせた。



「ふっ、じゃあ遠慮なくバブるとするわ。おぎゃ」


「キッッッッモ!!!」


「オギャギャギャァァァァ!!!!」


「うわあぁぁぁぁああああ!!!!」




それから、地面に手を付き、高速ハイハイで追いかけてくる化け物赤ちゃんと化したアテナに追いかけ回された。



「マジで辞めてそれぇぇ!!!」



「オンギャァァァァァァァァ!!!!」

ルナ君が片目を閉じているのは、閉じた目でサーチを使ってるからですね。


それにしても、サーチに映る無数の魔法を撃ち落とし、その上アテナのカバーをするとは.....強い(確信)



ではでは次回『私は強いもんっ!』お楽しみに!

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