メイドさんは心配性
つまり.....何です?
◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇
『Your story』運営チームです。12/25 19:40
12月24日
20:00〜20:10までメンテナンスを行います。
◆メンテナンス内容◆
・現在開催中イベント『星塔の輝石』の詳細情報の訂正
・イベントダンジョンモンスターの出現率の調整
19:59時に全ユーザーを強制ログアウトさせますので
ご注意ください。
◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇
「んぁ......?」
暖かい陽射しを浴びながら昼寝をしていると、運営からのお知らせが届いた。
やはりあの説明はクレームが多かったようだ。明らかに情報不足だし、当然だな。
それとモンスターの出現率に関しては、疑問に思っていたので納得出来た。
だって、今まで目にしたモンスターは犬子君のフェンリルだけだもん。
「お目覚めですか?」
「フー......あれ、他の皆は?」
「セレナさんとイブキさんはまだ採取していますよ。シリカさんは隣で寝てます」
フーは膝枕をしながら俺の顔を覗きこみ、皆の事を教えてくれた。
「リル達は?」
「分かりません」
「ちょっと連絡取る」
俺は起き上がり、草原の上で胡座をかいて座った。
そしてリル達に念話を送る。
『もしもし。3人とも大丈夫か?』
『父様、大丈夫です。今は敵を倒して星屑を拾っている最中です』
『私も。この人間達、沢山持ってたから集めるの面倒臭い。パパ、手伝って』
『我の方も倒しましたが、残念ながら星屑は持っておりませんでした。今戻ります』
『分かった。リルはピギーと共に行動してくれ。メルは頑張れ。帰ってきたらジュースあげるから』
『ん。頑張る』
『じゃ。皆気を付けてな。こっちは少しトラブルがあったが、ちゃんと倒せたよ』
念話を切ると、アルスが光となって帰ってきた。
俺はマップを見てリル達の位置を確認しようとしたが、未踏破の場所に行っているせいで地形が分からない。
「仕方ないか......皆、集まって!」
それから俺は、北の雪山エリアに行く事を話し、4人を武器に戻してから歩き出した。
◇◇
「陽の光〜♪あっかるっく照っらす〜や〜みの〜中〜♪」
「雪を〜溶かし〜♪春を〜呼〜ぶ〜♪」
『何ですか?その歌』
「ソルの歌。今考えた」
『その割にはハッキリとしたリズムで、ちゃんとした意味を持ってそうな歌詞でしたが......』
「そりゃそうじゃん。俺がソルを想う気持ちを込めてるんだから、意味は大アリだぞ」
『......なるほど。私の歌はありますか?』
「ない。作る気もない」
『ちくしょう!』
俺は下駄を脱いで裸足で草原を歩き、草の感触を直に味わっていた。
ダンジョン内だと言うのに明るく俺を照らす太陽を見て、急に歌いたくなったから歌ったのだ。
『何だか普通の女の子みたいよね。今のルナ』
「だって、テスカですから。第2の自分の体、性別が違うならちゃんと楽しまないと」
『変態ね』
「大丈夫。ソルとイチャつく時は体を戻すから」
そんな雑談を挟みながら歩くこと数分。俺の体にメルが光となって帰ってきた。
そして直ぐに出てきて、俺に終末の星屑を沢山渡してきた。
「はい、パパ。星屑34個。私、眠いから寝るね」
「あぁ。ジュースは帰ってからにするか?」
「うん......」
「ありがとう、お疲れ様。ゆっくり休んでな」
俺がそう言うと、メルは真っ赤な髪からいつもの銀髪に戻り、眠たげに目を擦りながら俺の中に戻って行った。
「ふわぁぁあ。俺も眠くなってきたな〜」
『ダメですよ。ここで寝ても、膝ま......助けませんからね!』
「分かってるよ。それに、リンカ達はレベリングで頑張っているんだし、俺だけ寝てたら悪い気もするからな」
『さっき思いっ切り寝てたけどね。お兄さん』
「お前もだろ。それにアレは寝なきゃ倒れてたからな。紫電涙纏の反動が......あ、そうだフー。紫電涙纏の使い方を教えてくれよ」
前から聞こうと思って忘れていた。紫電涙纏の痛すぎる反動を何とかしたい。有識者であるフーに聞きたい。
『紫電涙纏は魔刀術の奥義です。特に、『霹』は奥義中の奥義、秘奥義とも言えます』
「ふんふん」
『それで紫電涙纏に関してですが、ルナさんの紫電涙纏はまだ完全なものではありません。理由は予想が出来ると思いますが、スキルレベルが足りてないからです』
「電磁魔法は......82ぐらいだっけ」
『それでは全然です。スキルレベル80から紫電涙纏が使えるので、まだまだペーペーですよ』
「やめてよぉ、そんな風に言うのぉ。泣いちゃうよ?」
足を止めずにフーの話を聞き、俺はステータスを開いた。
◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇
名前:ルナ
レベル:442
所持金:9,114,037L
種族:人間
職業:『ヴェルテクスギルドマスター』
称号:『一級の変人』
所属ギルド:魔法士・S(E)ランク冒険者
Pギルド:『ヴェルテクス』
所持因子:『稲荷』他6柱
所持技術:『魔力打ち』他多数
《ケリドウェンの叡智・学問》
HP:22,060
MP:22,060
STR:22,060
INT:22,060
VIT:22,060
DEX:22,060
AGI:22,060
LUC:11,025
CRT:100(Max)
SP:1,540
『取得スキル』
戦闘系
『剣帝』Lv28
『魔剣術』Lv100
『弓帝』Lv51
『魔弓術』Lv100
『槍帝』Lv18
『魔槍術』Lv100
『闘帝』Lv19
『魔闘術』Lv100
『刀将』Lv72
『魔刀術』Lv100
『操帝』Lv18
『魔糸術』Lv100
『盾術』Lv91
『斧術』Lv15
『走法』Lv0
『手加減』Lv0
『戦神』Lv100
魔法
『獄炎魔法』Lv31
『海魔法』Lv41
『暴風魔法』Lv21
『大地魔法』Lv11
『電磁魔法』Lv82
『極氷魔法』Lv21
『光明魔法』Lv54
『暗黒魔法』Lv38
『空間魔法』Lv19
『自然魔法』Lv100
『龍神魔法』Lv93
『古代魔法』Lv1
『音魔法』Lv100
『妖術』Lv1
生産系
『神匠:鍛冶』Lv200(Max)
『神匠:金細工』Lv117
『裁縫』Lv100
『神匠:調薬』Lv136
『神匠:付与』Lv200(Max)
『木工』Lv96
『料理』Lv100
『神匠:錬金術』Lv198
その他
『テイム』Lv92
『不死鳥化』Lv100
『マナ効率化』Lv0
『植物鑑定』Lv0
『毒物鑑定』Lv0
『動物鑑定』Lv0
◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇
「しまった。魔剣術達の上限解放を忘れていた」
俺は急いでスキルの上限解放を行った。
だが1名、激怒するメイドがいた。
『ハァ!?つまり何です?今までたったレベル100で紫電涙纏を使ってたんですか!?』
「うん」
『バカ!バカバカバカ!!!そんなんじゃ死にますよ!?全く、どうしてもっと前に私に聞かなかったんですか!そんなんじゃ、本当に死んじゃいますよ!?』
おぉう。めちゃくちゃ怒られてしまったぞ......。
俺、今の今まで魔剣術の上限解放の存在を忘れていたし、解放しなくても倒せるから、そこまで考えていなかった。
スキルの最大レベルは200。大切な事を忘れていた。
「心配してくれてありがとう。今日は敵を倒しながら、スキルレベルを上げるとするよ」
『全く......気を付けてください。ルナさんが自分の技で傷付く姿は、見たくありませんから』
俺だって自分の使ったスキルや技でダメージを受けたくない。今回の事態は重く受け止めた方が良さそうだ。
◇星塔・北の雪山にて◇
「寒い。でも我慢」
雪山に1歩足を踏み入れると、強烈な寒さが俺を襲った。
毎秒HPが1ずつ減るが、ブリーシンガメンで毎秒回復していく。
『なんで魔法使わないの?風邪引くわよ?』
「最近、魔法に甘えてる気がしてさ......便利なのは良いが、それが『あって当たり前』の存在になると、魔法が使えない時に事故る気がしてな」
サタン戦でも思い知ったが、俺は魔法が使えない状況になると、かなり深刻な戦力不足になるのだ。
サーチも使えず、サーキュレーションも使えず、攻撃もSTRとDEX、それから武器とプレイヤースキルに頼る事になる。
そんな時、俺を焦らずに行動させてくれるのが付喪神だ。
冷静に状況を分析し、俺に最適解をくれる。そんな存在。
「おろ?そう考えると付喪神も連れて来ない方が『『『ダメ!!!』』』......はいはい」
ダメみたいだ。流石に付喪神のサポートは大きいからな。敵の行動を数秒前に教えてくれたり、一緒に作戦を考えてくれるのは有難いし......仕方ないか。
でも、当たり前の存在にしてはいけない。それは共通だ。
今ある日常を日常と思うなかれ。異常こそが真の通常だ。
この言葉を胸に、これから歩んで行こう。
『お嬢様。山頂付近に何か建物がありますぞ』
「どれ?......ホントだ」
もう山頂と言う時に、イブキから報告を受け取った。
「何だろう。神殿みたいな......」
俺は少し走って山を登り切ると、そこには白い建材で造られた、神秘的な神殿が建っていた。
◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇
『星塔の試練・天狼星』に挑みますか?
注意:この試練は複数人での攻略が想定されています。
『はい』『いいえ』◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇
なるほど。ギルドで力を合わせて攻略しろと、運営はそう言いたいんだな?
いいぜ。真正面からぶつかってやる。
「はい、ドーーーン!!」
俺はウィンドウの『はい』をグーで殴り、選択した。
◇━━━━━━━━━━◇
試練会場に転移します。
◇━━━━━━━━━━◇
小さくウィンドウが出るのを確認し、俺はイベントの試練会場へ飛ばされた。
「......やば」
目を開けると俺は真っ黒な空間に立っており、俺の前方50メートル先に体高8メートルはありそうな超巨大フェンリルが座っていた。
『天狼フェンリル。参る』
GW明けから忙しくて改稿も最新話も書けないくらいで、もしかしたら更新頻度落ちるかも.....です。
と言っても、出来る限り命を削って1話は書きあげるつもりです。
これからもよろしくお願いします。(﹡ˆ-ˆ﹡)
次回『天狼星の可能性』お楽しみに!