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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第2章 アップデートと仲間
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その銀狼、満月に笑う 6

魔法作成のレクチャーですわよ。

 



 アルトム森林での狩りが始まって数時間。


 お昼になったので、ソルにマネーレトレントがいた場所の近くに集まろう、とメッセージを送った。



「さ、ソルが来るまで茨ちゃんの練習だな」



 俺は一足早く、マネーレトレントのいた場所の近くに来ていた。


 何を報告しようか。茨ちゃんは絶対だ。後はそうだな、魔法の使いすぎでMPが0になった時の症状の辛さとかかな。



「『茨よ』ここにおいで」



 詠唱をして茨ちゃんを出す。MPを50食うが、大体30秒で1MP回復するので問題ない。自然回復でMP上限を増やすとか、何年かかるんだ?



「あぁ、茨ちゃん。俺はMPにSPを振り合いよ。もっと君や蔦ちゃんを使ってあげたいんだ......」



 この子達はかなり便利だ。MPがあればな。


『MPさえあれば』戦闘後の矢の回収も格段に楽になるし、『MPさえあれば』敵の拘束や、棘のダメージもそこそこ期待できる。そう、『MPさえあれば』



「はぁ......レベルを上げるしかないな」



『最弱無敗』めぇ......!!


 見た目は大きく、中身は小さな悩みを抱えつつ、ソルを待った。




 そして数分後──




「やっほ〜、お待たせ、ルナ君」


「おう、お疲れさん」



 ソルが来た。どれから報告しようか。



 あっそうだ



「なぁソル、魔法は使ったか?」


「魔法? いや、全然使ってないね。作ろうと思ったけど私の知識が足りなくてイメージが出来なかったよ。それについてルナ君に聞きたいこともあるんだ」



 俺が今から言おうと思ったことにクリーンヒットだな。



「そうなのか。俺は魔法を使ってみてな、便利なんだが、足りないと思ったんだ、色々と。それで、蔦の魔法は力が弱すぎる事に気づいてな、魔法を新しく作ったよ」


「えっ! ルナ君魔法作ったの? 教えて教えて!」



 めっちゃキラキラした目で見てくる。ふふふ、期待に答えて進ぜよう。



「まず何から教えるか......あっ、魔法の作り方は覚えてるよな?」



 そもそも作り方を忘れていたら話す内容が半減だからな。



「うん! バッチリ覚えてるよ! だから私も作ろうと思ったんだけどね......」



 おう......目に見えてションボリしてる。可愛いやつだ。



「それはすまない事を聞いたな」



 頭を撫でちゃった。キャー! 耳が! モフい!



「ううん! いいの!」



 うんうん。ソルは笑顔でいてくれ。



「じゃあまず、俺も魔法の作成に失敗した話からだな」


「えっ!? 失敗したの?」


「あぁ、成功してから気づいたが、最後の最後でミスってた」


「どんなミスだったの?」


「簡単だ。『魔法の名前』だよ」


「え? 魔法の名前って、そこまで大きなミスに繋がるの?」



 だよな。俺もそう思ったよ。



「俺もそう思ったんだがなぁ、成功したらこれは大事だなって感じたよ」



 消費MPを無視するなら別に気にしなくて良いんだろうけど。



「まぁまず、魔法を作るに至った経緯からだな」






 そこから蔦をゴブリンに使った話までした。






「──でだな、魔法を作ろうと思ったんだ。イメージは出来てたから後は名前だけだった」


「初めは名前を『ソーンバインド』にしたんだ。するとどうなったと思う?」



 クイズ形式で行ってみるか。



「う〜ん。拘束に特化して、棘が弱かったとか?」



 残念、違います。そもそも使っていません。

 ごめんな、前提を話していなくて。



「違うな。答えは『魔力切れになった』だな」


「魔力切れ? どうして? もしかして作るのに大量のMPがいるとか? それなら私、魔法作れないや......」


「少し違うぞ。魔法を作った時、確かに少しMPが減ったが本当に少しだ。そしてそれと同時に、その作った魔法が発動するんだが、その時に切れたんだ」

 

「さて、ここで問題だ。俺の最大MPは520。この時、『ソーンバインド』に持っていかれたMPは幾つでしょ〜うか? ちなみにキリがいい数字だ」



 ソルは20秒ほど考えてから、答えた。



「確か、事前に蔦を使って30減って居たんだよね? それならその時のMPを490として、魔法作成に90、魔法発動に400とかかな? 400ならキリがいいし」




 マジか。




「正解だ! すごいぞソル!」



 ソルの頭をわっしゃわっしゃと撫でた。


 素晴らしい、良くこのクソみたいな問題で正解を導いたな。



「えへへ〜ありがとう!」


「うんうん。それでな、次はかなり重要な事だ。ソルは魔力切れになった事はあるか?」


「なったこと無いね」



「そうか。なら絶対に魔力切れにならない方が良いかもな。メチャクチャしんどいぞ。MPの説明には『目眩や倦怠感を引き起こす』って書いてあるが、度合いがやべぇ。フラッフラになるぞ」



 それからMPポーションの話や自然回復の話、後は出てきた魔法陣の予想や音について話した。




「――それで、名前を『茨よ』にしたら『カチッ』となってな。消費MP50の茨ちゃんが出来たんだ」


「なるほど。名前だけでそんなに変わるんだね」


「あぁ。だからソルも魔法を作るなら音を目安に気にしてみてくれ」


「うん! 分かった! ありがとう! ......それで、聞きたいことがあるんだけどいいかな?」



 なんだろう。答えられることなら何でも答えるぞ。



「いいぞ。どうしたんだ?」


「あのね、『聖属性』がそもそもどんな属性なのか、分からないの」





 それから光は含まれるのか、とか。聖属性で攻撃する方法は無いんじゃないか、とか。色々話した。





「そっか、それもそうだね」


「ってかさ、聖属性ってバフが掛けられるんじゃ無いのか? 今使ってるの、3つだけだろ? 確かバフは無いとのことだし......」


「確かに! 私、回復やバフを掛けるって言ったのに、バフの魔法が使えない!」


「なら作ろう。本来なら誰かから教えてもらうことも出来るんだろうが、作るのも面白いだろう」




 そうしてソルはバフの魔法を作ることになった。




 俺の中のバフのイメージは、STRのバフなら『体に魔力を纏わせる』イメージだな。魔力が何なのかは知らんが、それでも行けると思う。



「......よし、イメージできた。名前はどうしよう」



 名前は大事だ。それだけで消費MPが8倍になったりするからな。



「決めた。『テクニカルアップ』!」



 そう唱えるとソルの前に黄色の魔法陣が出てきた。



「さぁ、どうなるかな?」


「ドキドキだね!」



 1つ目、『カチッ』

 2つ目、『カチッ』

 3つ目、『カチッ』

 そして4つ目、『カチッ』


「名前だな」


「うん!」




 最後に5つ目、『カチッ』



「やった!! やったよルナ君!」


「あぁ! おめでとうソル!」



 そうしてソルはDEXを強化する魔法、 『聖属性』『テクニカルアップ』の魔法を作った。



「それ、消費MPはどれくらいなんだ?」


「えっとね、掛ける時間で変わるみたい。1分で10MPだって。上昇値は1.2倍」



 ヤバいな。ソルが自身に使ったらとんでもねぇDEXになる。



「すげぇなそれ。生産の時や弓での狩りで大活躍だな」


「そうだね! まぁでも、獣人補正でMPと威力半分だし、あんまりかな」


「補正を忘れてた。って事はこのバフはデバフになるのか?」



 もし、そうだったら不味すぎるだろ。



「いや、違うみたいだね。(獣人補正時1.1倍)って書いてあるよ」


「良かった。まぁ、それでも1.1倍は高いな」



 なんせ100が110に、1,000が1,100になるんだぞ。



「そうだね! 私が自身に使ったら3,100とちょっとのDEXになるもん」



 うっわぁ。


 もう、『うっわぁ』だよ。



 高すぎるだろ3,000て。俺の約7倍じゃん。そんなんで弓使ったらマジで銃になるんじゃね?



「これからもSPはDEXに振るのか?」



 興味本意で聞いてみた。



「うん! レベルアップでも増えるし、SPもガッツリ振るよ!」



 あぁ......もう弓だとソルが最強だろ。他のプレイヤーを知らないから、なんとも言えんが。



「頑張れ。というかそのSPなら弓が壊れる事もあるんじゃないか? 『その弓では弱すぎます』って感じでな。ははっ!」



 冗談めかして言った。



「それね、気になってたんだ。私の予想だと多分、本当に壊れるよ。弓術レベルのおかげで今日の狩りは大丈夫だけど、このままメンテナンスせずに明日も使ったら壊れるね」



 マジかよ!!



「マジか。そうなると俺のアイアンソード君も心配だな」


「ふふ、大丈夫だよ。私はSPや獣人の補正で高くなってるからこうなってるけど、ルナ君のステータスなら大丈夫だよ」



 ディスりとも取れるが、ソルはそんなこと言わないからな。多分。ただアドバイスを貰ったと捉えよう。



「そうだな。俺が残りSPを全部STRに振ったりしない限りは大丈夫だろう」



 フラグじゃないぞ。間違ってもそんな事はしない。



「それ、フラグじゃない?」


「ちがーう! フラグではない! それにな、フェルさんに命をかけてこの剣を守ると言ったんだ。それを『あ、俺のステータスに耐えられませんでした。てへぺろ』とか言えねぇよ!!」


「ふふっ! そうだね! じゃあ、狩りに戻ろっか? 夜はどうする? どれくらいに集まる?」



 切り替えが早いなぁ。



「......そうだな、24時くらいでいいんじゃないか?」


「分かった! なら、それくらいにメッセージを送るね!」


「あぁ。それじゃ、頑張ろう!」


「おー!」





 お昼の報告が終わり、俺達は狩りに戻った。



















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 ―なるほど......だから――はあんなに............


 ――と――の邂逅は近い―

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少し関係ない話をしますが、掲示板のコテハン考えていたら、力作が生まれまして。掲示板3か4辺りで出せたらなと思います。


次回、午後の狩りですね。


ゴブリン、いや、トレントやオークも、君達はどれだけ倒されるんですかね?

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