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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第11章 星塔の輝石
328/492

土俵違いの経験値

バロォル.....ファイッ!


「......」


「......」



試合が始まると、俺とリンカは3分程動かなかった。


俺としてはリンカのもう1つの武器が分からないので、それがどのような武器でも対応出来る立ち回りを模索している。


極限まで公平に近いこの勝負に於いて、無策に攻撃するのは悪手だからな。



「すぅ......ふっ!」



リンカが左脚を引いて駆け出し、俺に突貫してきた。



大丈夫。剣速は見切れる。体もステータスに合わせて動いてくれる。避けながら『見て』、確実な勝利を掴みに行こう。



『多分6秒後です』



リンカからの突き、切り払い、振り下ろしなど、全ての攻撃を避けているとフーから合図が来た。


6秒後、リンカに動きがあるのだろう。



「..................ハァッ!」



ガンッ!!!



6秒後、リンカは振りかぶった剣を大剣と入れ替え、強力な一撃を浴びせようとしてきた。

だが十分にその可能性を考えていたため、俺は布都御魂剣で受け止めた。


腕が折れそうなくらい重いが、気合いで耐える。



「......気付いてたの?」


「まさか。予想と報告だよ」



まぁ、フーの呼び掛けは飽くまで保険だ。俺としては、どのタイミングで奇襲をかけられても対処出来るように備えていたからな。


付喪神はサポートだ。それだけだ。




重い一合の後、リンカは数歩だけ後ろへ下がった。




「次は俺から行く......ぞっ!」


「えぇ......ッ!」



喋りかける事で生まれた0.2秒の隙に、俺は思いっきり布都御魂剣をリンカに投擲した。


結果は残念ながら、リンカの凄まじい反射神経で避けられた。



『お兄さん。顕現出来ないこと忘れてない?』


「忘れてない」



俺が何の為に投げたと思ってるんだ。地面に刺さった後の布都御魂剣を使うんだよ。



『抜刀術主体で行こう。あの子、速いからね』


「あぁ」



あの反射神経じゃあ、殺陣の様な抜刀した状態で戦う事は不利だろう。ここは一撃の速度に全力を注いだ、今出せるギリギリの抜刀術が最善手だろう。


手加減は一切しないぞ。



「1本じゃ、厳しいんじゃない......のっ!」



今回は、最初から大剣を持った横薙ぎの攻撃だ。

真っ直ぐに横に振るのではなく、軽く下から上に切り上げる攻撃なので、狙うは俺から見て右下だな。



リンカの攻撃が繰り出される直前に俺は右足を引き、右手で鯉口を切りながら、一気に左手で抜刀した。



「マズっ」


「左脚......貰った」



俺の攻撃は、リンカの左脚の太腿に直撃し、そこから下の部分をポリゴンに変えた。


ダメダメだ。本来の俺なら、今のでリンカを斜めに真っ二つにしてるはずだ。それが何故、脚を斬るに終わったのか......



答えはスキルレベルだな。



低過ぎるスキルレベルが、クトネシリカの本来の攻撃力を下げているんだ。


強い武器というのは強い者が使ってこそ生きる物。


職人の道具を素人が使ったところで、それはその道具の本来の力を全て扱える訳がないのだ。



「次」


「待っ」



倒れ込んだリンカの右腕を切り落とし、最後に胸を一刺し。



これで俺の勝ちだ。



◇━━━━━━━━━━━━━━━◇

決闘が終了しました。勝者『ルナ』

◇━━━━━━━━━━━━━━━◇



『女であろうと容赦なし。流石お兄さん!』


「当たり前だろ。敵である以上、性別なんて関係ない」



俺が遠くに刺さっている布都御魂剣を引き抜いていると、シリカが揶揄ってきた。



『私にも容赦なかったですもんね』


「いや、フーの位置に誘導しようと思ったんだがな。リンカが詰めてきたから出番を取られたんだよ」


『ドンマイ!』


『......悲しい』



布都御魂剣に付いた土を振り払い、優しく納刀した。

せめてもの報いだ。そっと鞘を撫でておいた。



『この人変態です!私の体を触ってきました!』


「ほぉん?お礼のつもりだったんだがセクハラと言うか。別にいいぞ?ずっと家に置いといてやるから」


『嘘ですすみません』


「チョロいなぁ」


『相手がお兄さんだからね。シリカも逆らえないよ』


「おっと、今度はパワハラか。俺もクビかぁ」


『『ドンマイ!』』



ひどいよ君達......僕の心は泣いているよ。目から雨粒が落ちるよ。酸性雨だよ。



そんな感じで2人と雑談していると、リンカとミアが近寄ってきた。



「対戦ありがとうございました」


「......そうね。でも次は負けないから!ありがとう!」


「ルナさん、本当に私もギルドに入れてくれるんですか?」


「勿論。というより本当に入ってもらってもいいんですか?一応、断る事も出来るんですが......」


「断りませんよ!寧ろ入れて欲しいです。ルナさんの相方さんも、経験豊富な方なんですよね?それならこのチャンス、逃がす訳にはいきませんから」



饒舌だな。それに入りたがってくれるのは有難い。ソルもユアストの経験は豊富だし、2人の分からない事を色々と教えてくれるだろう。



「取り敢えず冒険者ギルドに行きますか。そこで手続き出来るので」


「はい!」


「分かったわ。ねぇルナ。私、これからも貴方に挑んでいいかしら?」


「いいですよ。寧ろ歓迎します。俺の技術向上にも繋がりますし、何よりも楽しいですからね。暇な時に沢山遊びましょう」


「え、えぇ。そうね!」



俺はリンカの前に手を出し、リンカと握手をした。

謝罪と感謝、そしてギルドメンバーとしての歓迎の握手だ。



「あ、私に敬語は要らないわ。そこまで歳も変わらないでしょうし、何よりも居心地が悪いから」


「それは私もです。私は使いますが、ルナさんは使わないでください」


「あ、そう?なら楽にする。んじゃあ広場まで飛ぶぞ」



「「飛ぶ?」」



「飛ぶ。『転移』」




俺は空間魔法で語りの広場まで2人を送り届けた。



「何それ!ズルくない!?」


「ズルじゃない。使えるプレイヤーは一定数いる」


「でも便利すぎないですか?転移って」


「消費MPがバカみたいに多いから、その辺はバランス取れてる。空間魔法は高燃費なんだよ」



まぁ、マナ効率化とケリドウェンの効果で簡単に使えるがな。


消費MP4分の1で使えるから、普通のプレイヤーより遠くに飛ぶ事も出来る。その点に限っては、ズルとも言えるだろう。




◇◇




「レイナさん。ギルド加入ってここで出来ますか?」


「出来ますよ。そちらの......リンカさんとミアさんを入れるんですか?」


「はい。手続きお願いします」


「任せてください!」



冒険者ギルドに来た俺は、レイナさんに2人のギルド加入をお願いした。



「ルナってあの子と仲良いの?」


「友達だ。このゲームで最初に作った友達」


「へぇ〜」



コミュ力が高い時代のルナ君が残した、数少ない財産だぞ。

友人は財産という言葉もあるし、その『友人』という存在が、俺にとって大切なものなんだ。



「手続き、完了しました!」



◇━━━━━━━━━━━━━━━━━◇

『ヴェルテクス』に『リンカ』『ミア』

が、メンバーとして加入しました。◇━━━━━━━━━━━━━━━━━◇



「じゃあ、改めて宜しく。ルナだ」


「リンカよ。貴方を倒すために来たわ」


「ミアです。エンジョイ勢です」



ミアの挨拶が終わると、俺はリンカに目を合わせた。



「ウチのギルドは全員エンジョイ勢だ。リンカもこのゲームを楽しんでくれ」


「勿論よ。ゲーマー足るもの、ゲームを楽しまずに辞めるのは忍びないもの」



よし。色々と問題があったが、何とかギルドメンバーを増やす事が出来た。2人とも、それぞれの考え方で動いてくれる上に、急な連携作業にも慣れている面が嬉しい。


......本当に色々とあったけど。





「それじゃあまず、王都に行くか。ソルにも合わせたいし、アテナ達にも連絡取りたい」



次回『ヴェルテクス』お楽しみに!

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