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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第11章 星塔の輝石
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9割の罪悪感

サイッ!ハッ!




「俺に勝ちたいって、どういう事ですか?」


「そのままの意味よ。私、FSでアルテミスに勝った事が無いもの。これでも世界1位よ?ランキングに載ってる人間には、1度は勝ちたいと思ってるのよ」



ちょっと言ってる意味が分からない。俺、Rinkaと戦った経験は無いはずだが......。



「私のメモにはね、倒したランカーの名前が沢山書かれてるの。2位の『coward(臆病者)』も、3位の『3Shine(サンシャイン)』も、上位のプレイヤーは殆ど載っているの」


「は、はぁ」


「でもね。貴方の名前だけ無いのよ。『アルテミス』。このたった5文字を書く為に、私は何度も何度も貴方に挑んだわ」


「挑んだって......それ、俺負けてるでしょう?」



世界ランキングって、数字だけ見れば1位と2位の差は1つしかないが、実際の経験や動き、練習時間などを含めると、1位と2位の間に、10位から100位までの実力差があるんだ。


それを知っているが故に俺は言う。



「Rinkaさんには勝てません。貴女の方が強いですから」



俺がそう言うと、リンカは拳を握りしめ、プルプルと震え出した。



「じゃあ......じゃあどうして!私は貴方に負けているのよ!!これまでに貴方と戦った回数は32回。その全てが貴方に殺されているわ!

ある時はワイヤーで誘導され、ある時はエイム勝負で負け、ある時は戦闘中のパーティの間にぶち込まれた!それなのに、それなのに......どうして貴方は私に強いって言うの!?」


「貴女と戦った記憶が無いからです。Rinkaさん。貴女は本当に『Rinka』という名前でやってましたか?」



これでも元はランカーな者でな。自分より上の人の名前を見逃すとは思えんのだ。


FSのバトルロイヤルのキルログはとても見やすい。

枠取りもフォントも見やすいから、例え戦闘中でもログに映る名前は目に入るんだ。


そしてそんなキルログの中に、俺は『Rinka』の文字を見た回数は圧倒的に少ない。



それこそ、32回も見ていない。3回くらいだ。



「お姉ちゃん、サブ垢使ってたよね」


「う......うん」


「そんなの、ルナさんに......アルテミスさんに伝わる訳ないよね?」


「......うん」


「それなのに、1位ともあろうお姉ちゃんが6位の人に当たり散らすの?」


「ご、ごめん。ちょっと頭冷やす」



リンカはそう言って、ボス部屋の壁に手を突いて考え始めた。



「あの、ルナさん」


「はい」


「その......これからも、私達と遊んでくれませんか?」


「え?」



嘘だろ?何でミアは俺とまた遊ぼうと、そう思えるんだ?



「下衆な話をするならば、私はルナさんとの繋がりが欲しいんです。困った時に聞ける相手と言うか、強い人と知り合いになりたいな......と」


「あの、嫌じゃないんですか?女の子に変装してた男と一緒にやるのって......キモイとか思わないので?」


「そりゃあ最初はビックリしましたよ?でもまぁ、キモイとか言うより、強さに納得した面が大きかったですね」



や、優しい。というか、ミアってこんなに喋る人だったのか。知らなかった。



『お兄さん、どうするの?青い子とまた遊ぶの?』



まぁ、折角知り合えたFSランカーだし、仲良くはしたい。



「えっと......宜しくお願いします」


「こちらこそ」



9割の申し訳なさと1割の感謝をこめて、俺はミアと握手をした。


そして改めて挨拶をしようと思っていると、リンカが帰ってきた。




「ルナ。私と決闘してくれないかしら。ステータスとかスキルは固定にして。どう?」



まぁそうですよね。元々俺目当てだったみたいだし。

よし、どうせだから色々と話してみよう。



「いいですよ。リンカさんが勝ったら、何を求めます?折角の決闘なんですから、何か賭けません?」


「え?......そうねぇ。ここで勝ったら、FSでも私と勝負してくれるかしら?勿論、1v1よ」



げっ、マジか。俺、強い人と1対1で戦うのは好きじゃないんだよな。


読み合い技術を鍛えるには良いのだが、勝負として活用するのは俺に向かない。



「本当にそれだけでいいですか?ユアストでの事じゃなくて」


「そうだよお姉ちゃん。勿体ないよ?」


「別にいいわ。最初からルナを倒すのが目的だったし」



う〜ん、決意が固そうだ。それに多分、俺に勝ったらリンカさんはこのゲームを辞めそうだ。

俺としてはちゃんと楽しんでもらいたいし、何か良い案を出そう。



「そうですか......では、俺が勝ったら2人とも、俺のギルドに入ってください。ミアさんも巻き込みます」


「え......」


「私がギルドに入って何か得はあるの?」


「えぇ、24日から始まるギルド戦での人数が増えます。

今のところメンバーが俺含めて2人しか居ないので、メンバー勧誘ですね」


「そう」


「はい。それと逆に聞きますが、俺がリンカさんFSで戦ったところで何か得はありますか?」


「......無いわね。ただの自己満足よ」



でしょうね。メモの話から大体は察していた。ただの戦闘狂だと。


さて、どうしたものか。決闘をするにしても話し合うにしても、まずはダンジョンから出ないと。




「決闘はインフィル草原でやりましょう。宝箱を開けて、あっちの魔法陣から外に出ましょうか」


「分かりました」


「分かった」



俺が提案すると2人は直ぐに頷き、行動に出てくれた。



『なんかサッパリしてるね!』


「あの2人は特に、な。国や世界で戦っていた人間だから、指示には直ぐに答えるんだよ。迅速な行動をしないと簡単に負けるからな」


『へぇ〜、でもなんであの2人をギルドに?』


「上手い上に強いからだ。ミアもリンカも、同レベルの人間と戦ったら絶対に負けないと思うぞ。それぐらいには強い」


『まぁ、それは見てたら分かるけど......男の人は誘うの?ハーレム作るの?』


「作る意味ねぇよ。男も勿論誘う。アテナとか翔とか、アイツらはまだ未所属だったはずだから誘うぞ」


『おぉ〜!人が増えたらお城が賑やかになるね!』


「そうだな」



マサキはギルド作ってたはずだし、誘えるのはニヒルのメンバーくらいか。そうなると、ヴェルテクスの殆どのプレイヤーがFS経験者となるな。


世界最高峰のFPSゲーの、それもランカーが集まるとは......FSで出会ったら泣いちゃうぞ。




◇◇




「ルールは私が決めていいかしら?」


「どうぞ」


「お姉ちゃん。ちゃんと負けてね」


「嫌よ!勝つ為にここに来てるんだから!」



ダンジョンを出てから少し話したのだが、どうやらミアはギルド加入に積極的なようだ。


別に俺が負けたところで、ミアは別に誘えばいいので、ここでリンカの敗北を祈る程の事ではないのだがな。



◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇

『リンカ』から決闘申請が届きました。


<ルール>

・相手のHPを1にした者の勝利


<制限>

・第1種族『人間』のレベル30のステータス制限

・全称号効果の無効化

・全装備品の付与効果、及び特殊技の無効化

・魔法の使用不可

・使用可能武器は2つまで

・全スキルレベルを1に固定

・HPが0にならない


申請を受諾しますか?『はい』『いいえ』

◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇



「これでいいわよね?」


「いいんじゃないですか?殆どプレイヤースキルの勝負になりますし」


「じゃ、早速やりましょ」


「分かりました」



使用可能武器に関しては......セレナとシリカでいいかな。

レベル30ならHPは確か......400か?それならセレナで一撃で倒せるだろう。


ただ、必中効果も無しに矢を当てられるかは分からない。


スキルレベルの補正も無いし、十中八九外すだろうな。



そう考えると、布都御魂剣とクトネシリカの方が良い気がしてきた。こっちなら、俺の経験がフルに活かせるだろうし。


うん、そっちの方が楽しいだろう。



「来い、フー」


『は〜い......って決闘ですか。何したんです?』


『安心して!ただの勧誘だよ!お兄さんが勝ったらあの2人がギルドに入るから、その為にフー姉ちゃんは呼ばれんだよ!』


『あ、そうなんですか。説明ありがとうございます』



俺はいつものように腰の左側に布都御魂剣を、右側にクトネシリカを差した。今着ている服も和服だし、見てくれは様になっているんじゃないか?



「二刀流?」


「そうですよ。手数って大事ですからね」


「そうね。高レートの武器の方が、近接戦はやりやすいものね」



全くだ。それだからアテナはサブマシンガン大好きっ子になったんだぞ。



「私も言っておくわ。剣と弓よ」


「そうですか」



別に相手の武器を聞いたところで、実物を見ていないのに信用する訳が無い。俺が予想するに、レンカは剣と糸だろう。


俺の背後に糸を設置して、罠として使うんだろう。多分。



「じゃあ、私が開始の合図を出しますね」


「お願い、ミア」


「お願いします」



「はい。では、構え!」



リンカは右手で剣を持ち、左脚を前に出した。これは見え見えのブラフだな。初手で決めにくるのだろう。


対する俺は布都御魂剣の鯉口を切った。スキルレベルを超えた、プレイヤースキルで勝負しようじゃないか。





「始め!」

ミア、急変。



次回『畑違いの挑戦者』お楽しみに!

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