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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第11章 星塔の輝石
325/492

第1回ギルド戦 〜星塔の輝石〜

投稿したと思い込んでたバカは私です。

それと、9章『狐国編』10章『穏やかな日々』の修正やらなんやらが終わった喜びが大きいです。ぱんぱん。





◇魔境の島の別荘・寝室にて◇



「ソソルソルソル・ソソルソル!」


「んなぁ〜にぃ?」


「こ、これ。これ見ろ!」


「んぇ?」



まだ朝日が昇ってすぐの頃。運営からお知らせが届いた。



◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇

『Your story運営チームです』


第1回ギルド戦【星塔の輝石】を開催します!


日時:12/24〜1/1

場所:ペリクロ草原

詳細▼

◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇



「......読めない。ルナ君読んで」



詳細欄を開くと、自分で読むのが億劫になったソルがもたれかかってきた。全く、どれだけ可愛い行動を取れば気が済むんだか......



「はいはい、読みますよ。

『ギルド戦とは、ギルドメンバーがイベントポイントを稼ぎ、その総合ポイント数を競うイベントです。ポイントの稼ぎ方はイベント毎に異なる場合があります』

──というのが1つな」



「あい」



「で、次は......

『今回のイベントは【星塔の輝石】と称して、特殊ダンジョン【星塔】内にて入手出来るアイテム、【終末の星屑】を1つにつき1ポイントで換算されるイベントです。


注意:イベント終了時、【終末の星屑】は消滅します。


また、当ダンジョン内では様々なイベント限定アイテムが入手でき、それらはイベントが終了しても消滅しません』

──ここまでOK?」



「おk......」



寝そうだな。まぁ、リンカ達に呼ばれるまではイチャついても別に良いだろう。ここに居るのは睡眠中のリルとメルだけだし、今なら思う存分ソルを甘やかし、甘えられるり



「ほら、ここにおいで」


「うん......」



俺はベッドの背もたれの前で胡座をかき、その上にソルを乗せた。



「あったかいよ〜」


「もっと俺に(もた)れ掛かっていいぞ?」


「ん〜」



ソルは背中から全体重を俺に預け、一緒にウィンドウを見た。



「続けるぞ。

『今回のギルド戦では上位3つのギルドに称号、リテ、限定品を贈呈します。奮ってご参加ください』

だってさ。称号と金はともかく、限定品は何だろうな」


「私......ルナ君がいい」


「もう持ってるだろ?まだ足りないのか?」


「うん......もっと欲しい」


「仕方ないなぁ」



そっとソルを後ろから抱きしめ、頭を撫でてやった。寒い冬の中の大きな温もり。俺はこの温もりを手放さないように、優しく、大切に抱きしめた。



「うへへぇ、最高〜」



俺のお腹に当たる尻尾が激しく動き、耳も触る度にピコピコと反応を示した。



「俺も最高だよ」



この可愛さを、ただ享受したい。



「今回のギルド戦、2人でやれるか?」


「多分、無理?」


「だよな。まぁ頑張れるだけ頑張ろう」


「うん。いざとなったらメンバー増やせばいいからね」


「勧誘か......やった事ないな」


「知らない人、怖いもんね」




「あぁ。知ってる人でも怖いさ」




俺の言葉を受けったソルは尻尾の動きを一瞬止め、また直ぐに扇風機のように動き出した。


今の一瞬で色々と考えたのだろう。



「じゃあ、そろそろ呼ばれそうだから行ってくる」


「うん。行ってらっしゃいのチューする」


「はいよ」



ソルにゆっくりとキスをして、俺は『神衣:花鳥風月』に着替えた。


今回は浴衣テスカで行こう。装備の性能的にも花鳥風月は断トツに強いし、リンカ達を上手く誤魔化せると信じてる。






◇◇






「おはようございます。リンカさん、ミアさん」


「おはようテスカちゃん。今日は浴衣なの?」


「おはようテスカ」



「はい。とっても可愛い浴衣を貰ったので、着てみました。金髪ショートに浴衣は、似合うのでしょうか?」



ソルが用意したテスカ用浴衣を取り込んだ花鳥風月は、様々な柄の浴衣に変更できる。


今回は雪のうさぎが描かれている、紺色の浴衣だ。



「可愛いわよ。その浴衣を作った人、ハッキリ言ってセンス抜群ね。テスカちゃんにピッタリだもん」


「確かに。オーダーメイドで作ってもらったの?」


「いえ。『これあげるから、機会があったら着てね』って言われたのでオーダーメイドとは言えない......と思います」



ソルがポイポイと浴衣を作ったからな。男用も女用も女児用も、かなりの数の浴衣を取り込んでいるぞ、コイツ(花鳥風月)



「へぇ。ま、話をダンジョンに変えよ。今日はリルが居ないし、前衛はお姉ちゃんだけで大丈夫?」


「大丈夫な訳ないでしょ?行ける所まででいいわ」


「あっ、それなら私も前衛やります」



「「出来るの?」」



「出来るかどうかじゃないです。やるんです」



殺らないと殺られるからな。インフィル草原のダンジョン程度なら大丈夫だと思うが、罪の宴クラスになるとやらなければ死ぬだけだ。


魔法も物理もヘイト管理も回復も......全部1人でやらなきゃならん。



......ソロの場合は。



「頼もしいわね。武器は何を使うの?」


「刀です。昨日の内にリルからスキルを習いました」


「本当に頼もしいわね。じゃあ前を私とテスカちゃん、後ろからミアの援護で進みましょうか」


「うん」


「はい!」



「じゃあ、リンカ探検隊、ダンジョン攻略スタート!」




絶妙にダサいな、リンカ探検隊。正直言って弱そう。




ま、ンな事はどうでもいいんす。今はギルド戦の動き出し方を考えないと。


そもそも25日に陽菜と神クソゲーをやる予定なので、ちゃんとイベントに出れるのは24日と26から元日までだ。


それから24日は終業式があるから昼からの参戦として、大体6時間が限界か。



ゲーム内で2日。どれだけやれるかな?






◇1時間後◇






「リンカさん、左です」


「了解!」


「ミアさん、ギリギリまで魔法のストックして下さい。この先の6匹の群れにぶち当てましょう」


「分かったわ」



ダンジョンに入ってから、大体20分が経った頃。何故か俺が指示を出してダンジョン攻略が進められた。


理由は分かっている。



俺が常に発動しているサーチ君でミニマップより正確に情報が伝わるからだ。

そしてその情報を元に指示を出せば、チーム行動のプロフェッショナルである2人は簡単に動いてくれる。



この2人、普段FSで指示を出す、出される事が多いから、正確に伝えたら凄まじい速さで順応してくれるんだよな。



ハッキリ言って、めちゃくちゃ楽に攻略出来る。




「ふぅ......群れは経験値良いね」


「そうね!ミア、今ので幾つ上がった?」


「2」


「私も!テスカちゃんは?」


「えっ、あ〜......0ですね。殆ど戦闘に参加していないので」



「「えぇぇぇ!!」」



嘘だ。レベル差のせいで得られる基礎経験値が1しかないんだ。そこから『最弱無敗』の効果で1540パーセント増しになるが......15程度じゃあ、まぁ無理だ。



このダンジョンでレベルを上げるなら、多分20時間は潜り続けないと1も上がらないだろう。



「でもテスカちゃん、ちゃんとゴブリン斬ってたよ?」


「確かに」



あ、バレた。でもトドメは刺してな......いや、それを言っても戦闘不参加の矛盾が生じるか。何か良い感じに有耶無耶にしないと。



「貢献度が低過ぎたんじゃないですか?ほら、ただ敵の位置教えただけですし」


「絶対に当たっている情報を伝える事が、貢献度が低いとは思えないけどなぁ。ミア、このゲームってそこまで正確に判断するの?」


「する。でも今のテスカの話だと、ちゃんと経験値は入るはず。なのに入らないって言う事は、何か裏がある」



ミアよ。妙に鋭いのは辞めておくれ。テスカちゃん維持計画に支障をきたすんだよ、その思考能力。


いや、逆にリンカが鈍すぎる可能性もあるが、こと世界に名を刻む人間が、この程度の事に気付かないとは思えない。

しかもこの2人は姉妹だ。考え方も似るだろう。



ま、バレたら謝ろう。土下寝だ土下寝。



「まぁまぁ。取り敢えず今は進みませんか?ちゃんとボスと戦うのって初めてですから、楽しみなんです!」


「「ちゃんと?」」


「......ちゃんと」



テスカ、お前何やらかしてるか分かってるのか?



ぼくわかんない。こころのままにしゃべった。



アホだ。そのせいで特大級のボロが出ちまった。普通、テスカの様な弱小プレイヤーが、まともなレベリングもせずにボスに挑むと思うか?



おもう。だってゲームだもん。



全くもってその通りだ。よし、ここはそれで乗り切ろう。



「ボスと言えば、マネーレトレントって結構強いですよね」


「そう?私としては次のボスの方が難しいと思ったけど」


「私も。アイツで2回死んでるし」


「あ〜、フォレス......トンカツ食べたいな〜」


「「ねぇ」」



待て、待つんだ。俺は一言も『フォレストウルフ』とは言っていない。フォレストンカツと言ったんだ。お肉だ。森のお肉だ。大豆の塊だ。豆腐なんだ。



「テスカちゃん、本当は王都まで行ってるでしょ?」


「レベルの話も、そこそこ強いから上がらなかったんじゃない?」


「違います」


「嘘ね。裁縫用の糸って、スキルを使っても普通は0ダメージだって情報があるんだけど」




「それは切ろうとしたからでしょう?刺すだけなら簡単にダメージ出ますよ」




「はい、これでテスカは初心者じゃない事が分かった」


「いやいやいや、それなら冒険者ランクはどう証明するんですか!まだEランクですよ!?」


「う〜ん、それを言われると否定出来ないのよねぇ。今調べた感じ、多重登録とか出来ないみたいだし、そのランクは正しい物と考えられるわね」



マズイ。いつの間にか俺の嘘を暴く会話になっている。

このままでは色々と聞かれた上に矛盾点を突き、一気に俺を仕留める気なのだろう。


さぁ、考えろ俺。彼女らを傷付けずに言いくるめろ。



「ねぇテスカちゃん。テスカちゃんの本当のレベル、教えてよ」


「い、嫌です」


「嫌と言う事は、私達よりも高いという事でしょう?別に貴女が高レベルでも、私達は貴女を嫌ったりしないわ。ただ真実が知りたいだけなのよ」



......こ、答えるべきか?隠すべきか?



「よ......」


「「よ?」」


「よんじゅうに......です」


「「42?」」



中途半端に嘘をついた。本当は442だ。だが俺は、百の位を言わずに答えた。

流石に初心者を名乗るプレイヤーが3桁レベルでは、リンカ達も白い目をするだろう。


俺は自分の行動を反省している。


最初から、リンカ達には本当の話をすべきだったのかも知れない。




「42ってあまり私達と差はないじゃない」


「142なら色々と驚いたけど、42なら......ね」




「あはは......すみません」




俺は大きな罪悪感を抱えつつ、ダンジョン攻略を進めた。

ソソルソルソル・ソソルソル!(鳴き声)



次回『テスカであってテスカでない』お楽しみに!

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