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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第11章 星塔の輝石
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実力確認!(後編)





「構え!」



リルの合図でミアは杖を構え、俺は何も持たずにリラックスした。



「始め!」



「『ウォーターボール』!」



どうしたものか。リルに剣を使えと言われているが、本当に剣を使って良いものなのだろうか。


ま、いっか。手加減スキルに命を賭けて、接戦を演じよう。



俺はウォーターボールが着弾する瞬間にアイアンソードを出し、ギリギリで被弾を回避した。



「おっと」


「『ファイアボール』『ウィンドアロー』」



衝撃で剣を弾き飛ばされた瞬間、ミアは2つの魔法で俺を追い詰めた。


しかも上手いことに、ファイアボールの後ろにウィンドアローを飛ばし、俺からはファイアボールしか見えないようにしている。


でも残念ながらサーチ君には全て筒抜けだ。対処しよう。



「よっ、はっ!」



俺は予備のアイアンソードでファイアボールを弾き、続くウィンドアローが俺に当たる前に予備の予備であるアイアンソードで防いだ。



「嘘......」


「剣は盾にもなるんですよ。じっちゃんが言ってました」


「はい?」



さぁ、そろそろ攻撃に転じよう。リルの言っていたように糸を使って、ギリギリで攻撃が当たった演出で終わらせるか。



俺は裁縫用の糸を左手に巻き付け、先端を俺の体の後ろから伸ばし、地面を這うようにして操作する。


そして右手には弓を出し、糸を巻き付けた左手で矢を番えた。



「よいしょっ!」



バシュン!



俺はミアの『頭の少し上』を通るように矢を放った。


ミアさんとの距離はそこそこ遠いので、矢がヒットするまでに1つは魔法を使うだろう。




「んっ、『ファイアウォール』!」



ミアさんが呪文を唱えると俺の矢は炎に飲み込まれて焼失し、炎の壁が消えた瞬間に裁縫用の糸が足元に辿り着いた。



プスッ!



糸の先端を足に刺し、1ダメージを与えた。



「勝ちました!」


「え?」



「そこまで!勝者、テスカちゃん!」



俺は周囲に散らばる剣を片付けてから、ミアに種明かしをする。



「ねぇ、私は一撃貰ってないんだけど」


「当てましたよ?足を見て下さい。小さな穴があるでしょう?」


「え?......うわ、ホントだ。いつの間に?」



ミアの右足の外側、(くるぶし)の少し上辺りに、小さな小さな穴が空いていた。その穴からは極小サイズの血のポリゴンが滴っている。



「弓を取り出す前から糸を伸ばしていましたよね。その上、あの矢は完全に当てる気がありませんでしたよね?テスカちゃん」


「そうだね。リルは目が良いね!」


「えへへ〜」



近寄ってきたリルの頭を撫で、左手の糸をミアとリンカに見せ付けてから仕舞った。



「まぁ、一撃当てるくらいならどんなにセコくてもどんなに小さくても、勝利は勝利です。頑張りました」


「ねぇテスカ」


「はい何でしょう」


「貴女、Fire Shootってゲーム知らない?」



ヒィィィィ!!!この青髪女、気付きやがったのか!?



「知りません......と言えば嘘になりますね。配信を見るくらいはします」


「......そう。私的に今の糸、ワイヤートラップに感じたのだけれど......」



おいおいミアさん。アンタ思い込みが激しいぜよ。そんな事言ったら世の糸使いは全員FS経験者って事になっちまうぜ?



「それは思い込みよ、ミア。第一、テスカちゃんがFS経験者で何になるって言うの?」


「何にもならないね。テスカ、さっきのは忘れて」


「あ、はい」



ナイスアシストだリンカ。世間は狭いと言うが、本当に狭いみたいだからな。そういう小さな助けが、テスカトリポカの正体を遠ざけてくれるんだよ。




「では、ギルドで依頼完了の報告をしてから帰りましょうか」




やはり今日のリルは先頭に立つスタイルだな。頼りがいがある。



「そうしましょうか。テスカちゃん達は明日もやるの?」


「そうですね。少しだけレベルを上げてから、ダンジョンにでも行こうかと思っています」



ちゃんとした戦闘をしに......ね?



「あら、それなら私達も一緒に行っていい?」



終わった。テスカの体でダンジョン攻略は99パー無理だ。それこそ、メルでも連れて来ない限りはボス前で死ぬだろう。


いや、多分死なないけど。俺とリルだけ生き残ると思うけど。



「あ〜......リ、リルはどう思う?」


「私、明日は母様と遊ぶ約束をしているので参加出来ません」




終わった。【テスカ・オブ・ジ・エンドの死】だわ。




「ね、テスカちゃん。明日もやろ?」


「......は、はい」


「お姉ちゃん。めちゃくちゃ嫌そうだけど」


「い、嫌なの?」



嫌です。俺は『ノー』を言える人間だ。陽菜の猛烈な誘惑に全て『ノー』で返した人間だぞ。




そんな俺が、この程度の誘いくら「嫌じゃないです。明日もやりましょうか」




バーーーーーカ!!!!!




「ほらね?じゃあ、ギルドで別れましょうか。明日の朝、チャット送るから」


「ハ、ハイ......」




そうして俺がしょんぼりした顔で歩いていると、リルは無言で頭を撫でてくれた。


俺、もうイニティで活動したくない......自分の行動がアホすぎて笑えんのだ。うぅ......

あのSTRで弾かれるっておかしくね?って思った方、大丈夫です。


ルナ君がミアさんの魔法を防いだ時、ルナ君は魔纏を使っていない(使えない)ので魔法の方が強力なんですよ。


というか、魔法攻撃を物理で受ける事自体、中々おかしいですからね。本来は盾の役割ですから。



では次回、『第1回ギルド戦 〜星塔の輝石〜』お楽しみに!

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