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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第10章 穏やかな日々
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勇者正樹、大敗北

皆伝がランク4になりません。難易度マスターのフルコンがキツイです。

だから私は、モンスターをハントする旅に出ました。


初めての3乙は爆弾松ぼっくりです。よろしくお願いします(涙)

 




 ピンポーン!



 家のインターホンが鳴る。それは正樹の来訪を示していた。


 インターホンに出ると、ドアのカメラから入力された映像がホログラムとなって映し出される。


 どうやら正樹は、大きなリュックサックに荷物を入れて来たようだ。



「はい」


『月斗。来た』


「鍵開いてるから入ってくれ」


『りょ』






「お、初めてのお客さんだね」


「だな。何をすれば良いのか分からんから、陽菜頼りになる」


「残念ながら私にもお泊まりをする、されるの経験がございません。旦那様のご要望にはお答え出来ません」


「まだ旦那じゃねぇよ......全く」



 椅子に座って微笑む陽菜が、少し先の未来の話をしていた。


 俺は少しテンションが上げながら、玄関まで行ってドアが開くのを待った。



 そして数秒後にガチャリと音が鳴り、玄関のドアが開けられた。



 俺からはドアを開けてあげない、鬼畜スタイルだ。




「お邪魔します」


「いらっしゃい正樹。荷物はリビングに置いてくれ」


「おう」



 正樹が靴を脱いだのを確認してから、リビングへ先導して歩いた。


 さぁ、陽菜との対面だ。



「いらっしゃい田中君。ゆっくりしてってね」



 陽菜は軽く微笑みながら正樹に挨拶をした。



「あ、あぁ。鈴原か......なんか、お前、こう」


「「こう?」」




「──人妻感がすげぇ」




 確かに。言われて見れば陽菜のポジションが妻だ。

『同僚が泊まりに来た時に対応する妻』的な?知らんけど。



「さぁ月斗君! プロポーズするなら今です!!!」


「まだしねぇよ。ってか出来ねぇよ。知ってるか? 日本の法律では結婚するには18歳以上じゃないとダメなんだぞ?」


「女性は16から出来ますぅ」


「男性は18からですぅ」


「......次の月斗君の誕生日......期待してるね?」


「勝手に期待していてくれ。ただ誕生日プレゼントに指輪はやめろよ」


「チッ」



 正樹が荷物を降ろし終えるまでの間、陽菜と怒涛の会話を繰り広げていた。



「お前らさ、会話してる内容が一般高校生のモノじゃないんだわ。普通にぶっ飛んでんだわ」


「そうか?」


「あぁ。パンピーな高校生はそこまで結婚について考えないはずだし、もっと欲まみれなはずだ」

 


 ん? 正樹よ。俺にだって欲はある。具体的には......考えてみよう。パッと出ない。



「欲......欲......ゲーム欲?」


「アホか。物欲、食欲、性欲だろ」



「「へぇ〜」」



「『へぇ〜』って、お前らマジで......はぁ」



 荷物を降ろしたと言うのに、正樹は重そうな物を背負ったように溜息をついた。



「でも私、性欲はあるよね?」


「あるな。時たま襲われてる」


「え?」


「昨日もお風呂に突撃したし、結構危なかった」


「あぁ。陽菜には一気に欲を解放するより、少しずつ小出しに解放してもらいたいもんだ」


「は?」


「え〜、でも小出しって......スッキリしなくない?」


「スッキリすんな。ある程度のラインで()めるんだ」


「はい?」


「でもそのラインを超えると、昨日みたいに爆発しちゃうんだよ? 月斗君や、もっと私に触れてくれぇ」


「触れたら逆に性欲ゲージ溜まるだろ。でもまぁ、触れるのは賛成だな。幸せゲージが溜まるから」


「......」


「ふふっ、じゃあ早速私を抱きしめて?」


「いいぞ」



 俺はそっと陽菜の前に行くと、陽菜は立ち上がり、両腕を俺の脇の下に入れて抱きしめた。



「どうだ? 俺の幸せゲージはグングン溜まってくが」


「私も。でもね、やっぱこれじゃあ性欲は収まりませんわ」


「......そっか。頑張れ」




「嫌だぁぁぁぁぁ!!! 俺もう帰りたいぃぃぃぃい!!!!!!!! こんな空間居られないってぇぇぇぇぇ!!!!!!」




 突然正樹が頭を抱えて叫び出した。非常にうるさい。



「うるさいぞ。近所迷惑だ」


「うるさいよ。月斗君を堪能出来ない」


「お前らぁ゛ぁ゛ぁ゛! いや、特に鈴原ァ!」


「......何?」



 正樹の言葉に、少々の怒気を含ませた声で陽菜が答えた。



「ッ!......何でもない」


「そう?」


「......はい」



 魔王陽菜に挑んだ勇者正樹、大敗北!


 正樹はそのままソファに倒れ込み、陽菜は椅子に座り直した。



「取り敢えず正樹、手を洗って来い。それと陽菜、少し早いが晩ご飯にしよう」


「「分かった!」」



 元気の良い返事をし、2人はそれぞれ洗面所、台所へと歩いて行った。


 正樹、あと10数時間だが頑張れよ。お前の精神なら、俺と陽菜の生活に耐えられるはずだ......多分。




 ◇◇




「ねぇ、今日何食べたい?」


「ん〜、おまかせは陽菜がしんどいだろうし......ハンバーグかな。合い挽き肉と玉ねぎあるし、パン粉もストックあったろ」


「あるね。よし、なら月斗君はハンバーグ以外を頼むね」


「あぁ」



 今日作るメインの料理が決まったので、俺はその他の料理を担当する。



 まずはお米を炊こう。ピッタリ3合をカップで計り、炊飯器のお釜に入れて洗米する。


 そしたらお釜を炊飯器に戻し、1時間かけて美味しく炊ける設定で炊くようにした。



「ハンバーグか。となればレタス辺りが食べやすいか?」


「そうだね。ハンバーグと一緒に食べるか、ドレッシングで食べるかはおまかせするね」


「分こうた。儂にまかせぇい」


「任せぇた」



 材料を捏ねる陽菜に軽く質問しつつ、サラダの内容を決めた。


 取り敢えず俺はレタスを千切り、サラダボウルに入れていった。



「あ〜月斗君。捏ねるの交代してくれない?腕疲れた」


「分かった。ちょっと休息しときな」


「うん。ありがとう」



 調味料などは既に入れられてあるので、後は捏ねて成形する流れだな。陽菜はよく頑張った。偉い。


 すると椅子に座って待っていた正樹が、俺の方を見て言った。



「もう夫婦じゃん。逆に何でまだカップルなんだ?」


「だから年齢が足りねぇんだって。それにな、陽菜とは事実婚という状態だから、正直俺にも何が何だか分からん」


「へぇ〜。事実婚なんて聞いた事無かったな。ちょい調べてみるわ」


「そうかい」



 事実婚と内縁という言葉がある。


 意味は、どちらも結婚届を出していないカップルだったはずだ。



 今の俺と陽菜の関係は、どちらかと言えば内縁と呼ぶのが適切だと思うが、語感的に事実婚の方が陽菜と近く感じるからな。そう呼ぼう。



「そういや月斗君、家具は買えたの?」


「ん? あぁ、ユアストか。買えたぞ。正確には貰ったが」


「貰った?」


「あぁ。家代として神器を払ったら、値段が釣り合わないとかなんかで、めちゃくちゃ良い家具とか無料で貰った」


「......それ、ゲームとしてアリなの?」


「知らん。だが助かったんだよな。俺の手持ち800万くらいしか無かったから、そのままだと殆ど揃わなかった」


「少ないねぇ。私に言えば4000万は出せたのに」


「どんだけ稼いどんねん。まぁ、戦闘も生産も捨てて娘達と遊んでたのが金欠の原因だろうし、陽菜には何も言えんな」



 仕方がないんだ......! リルやメルが近くに居ると、ついつい構っちゃうんだ!




「............ねぇ月斗君。子供は何人欲しい?」




「2人かな。両方女の子がいい」



 理由は言わん。言わなくても伝わってしまうからな。



「何故か2人の顔が鮮明に浮かぶけど、そうじゃないんだよねぇ......はぁ。前から言いたくても言えなかった事が、こんなにアッサリ返されるなんて......」


「前から聞きたかったのか?」


「うん。前の時は恥ずかしすぎて暴走しちゃったけど」


「えぇ?......っと、ほい。捏ねるのこんなもんか?」



 陽菜に聞いている最中で俺も腕が疲れ、良い感じに肉を捏ねられた。



「うん、バッチリ。ありがと」



 陽菜と場所を交代するタイミングで、軽くキスをされた。



「はいよ。またいつでも呼んでくれ」


「うん!」



 あと少しで手を洗う前に陽菜に抱きつきかけた。危なかったぜ。


 俺は表面上では冷静でいるが、やはり内側では不意打ちに弱い事を自覚した。


 時々陽菜がくれる、ちょっとした事の後のご褒美キスに俺はめっぽう弱い。ハートのビートがエキサイティンするぜ!




「俺も彼女、作ろうかなぁ」




 そんな正樹の声を耳が拾いつつ、料理が進んでいく。


次とその次が正樹パートです。ふふふ。



次回『魔王城に囚われの勇者より』お楽しみに!

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