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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第10章 穏やかな日々
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力を入れた建築(笑)

昨日はドタバタしていて、更新出来ませんでした。

決してヌシモンスターと戦っていたワケじゃないですよ?

松ぼっくりとか、装備作ったりしてませんし。えぇ。



重ね着装備の実装に涙を流しました(白状)

 




 リグナさんに建築を依頼してから2日後。デザインが決まり、本格的に建築する......為の木材加工をしていた。




「ルナ、その木の樹皮を剥げ。ソルはあっちの細い木を縦に斬れ。リルちゃんとメルちゃんは2人の手伝いをしてやんな」


「「「「はい!」」」」



 リグナさんから指示を貰い、俺はクトネシリカで樹皮を剥いでいく。


 剣をショーテルの様な形に変形させ、更に刃の部分を変えるという、形状変化君の限界ギリギリを突いた形に変形させる。



『お兄さん、3ミリ右』


「了解」



 シリカは斬れ味が良いので、樹皮を剥ぐついでに、木の大きさの整形もする。


 樹木本来の味が薄れるが、リグナさんが『耐久性を考えりゃあ整えた方が良い』と言うので従う。



 俺、モンスターに家を壊されたくない。



「よし、メル。リグナさんの所にこの木運んでくれ」


「うん」

 


 STRの高いメルが丸太を担ぎ上げ、リグナさんの方へ歩いて行った。


 表情1つ変えずに運んで行く姿は、まるで歴戦の猛者だ。

 幾度の丸太運びを経験する事で鍛え上げられたかの様なその力。

 重いという言葉を発する前に、目的地へ運ぶその志。


 メル......お前、職人だったのか......



「ルナさん。手が止まってますよ」


「ごめん」



 次の丸太を持ってきてくれたフーに注意された。


 流石にアホみたいな事を考えてばかりはいられない。俺も作業に没頭しよう。




 それから3時間ほど樹皮剥ぎと整形の作業をして、お昼休憩に入った。

 ご飯はギルドハウスで食べるので、リグナさんを連れて家に帰る。




「何度見ても思うが、立派な城じゃな。ルナ、ここを捨てるのか?」


「捨てませんよ。島の方は別荘です。......別荘というか、暮らす専用の家? みたいな」


「まぁそうじゃな。ギルドハウスは本来、仮眠を取る程度に使うものじゃし、住むにしてはうるさすぎる」


「そうですね」



 そうですねとは言ったが、俺のギルドは俺とソルしか居ないので全くうるさくない。


 寧ろ今の状態が1番住みやすいだろう。


 付喪神達を含め1人1つの部屋があり、大きなキッチンに調薬に使える設備。裁縫用の部屋など、満遍なく最高の設備があるからな。


 城の裏は農場が広がっているし......文句のつけようがない。



 だが、将来を考えればここに住み続けるのは宜しくない。



 ギルド単位で行うイベントが開かれた時や、ギルドメンバーを増やす時。


 そんな時に、プライベートに溢れているギルドハウスでは相手に失礼だ。



 そう考えると、俺とソル、プラスでこのゲームでの家族で暮らす家を建てるのが良いと考えたんだ。






 ◇2日後◇






「よし、木材はこんなもんじゃろ。ここからは組み立てじゃな」


「お願いします」



 合計4日の時間をかけ、ようやく木材加工の工程が終了した。



「手順を説明するぞ。儂の近くに集まれぇい」



 俺達はリグナさんの元へ集まり、話を聞いた。だが、その内容に強烈な印象を受けた。




「まず屋根を作るぞ。それから壁を作り、組み立ててから土台に乗せる。土台はこれから作るが、ルナのオークとゴブリンで出来るからの。先に屋根を作る」




 うん。疑問点しかない。まず、骨組みはどこへ行った?

 建物どころか、全ての物事に於いて重要な骨組みをどこへ投げ捨てた?


 これ、建築って言うより、本当に『組み立て』の説明なんだが......大丈夫だろうか?



「リグナさん。骨組みなどは必要ないのですか?」


「必要ない。儂の木工スキルに、骨組み不要の効果があるからの。組み立ての最後の工程を儂がやれば、簡単に骨組みの要らない建物が出来るぞい」


「そ、そうですか」



 思い出せ。これはゲームだ。我々の知っている建築技法や物理法則など、無いに等しいと考えろ。


 ......無理なんだよなぁ。VRでリアルから完全に切り離すって、脳が拒否するんだよなぁ。


 じゃあ魔法って何だ? スキルとは? ステータスって何だよ。



 待て、その思考はマズイ。ゲーマーである事を忘れるな。ゲームはゲーム。『この世界を楽しむ』事を忘れるな。よし。



「ルナ君? お〜い、ルナく〜ん?」



 やっとの思いで危ない思考から抜け出すと、ソルが俺の目の前で呼んでいた。


 とても顔が近い。可愛い。



「あ、え? どうした?」


「オーク達を出して〜って、リグナさんが」


「あ、あぁ。分かった」


「大丈夫? 目が死んでたけど、何か悩んでない?」


「ん〜、多分大丈夫。考え方がぶっ飛んだだけだ」


「もう。私にだけは、隠さなくてもいいからね? ちゃんと受け止めるし、一緒に考えるから」


「あぁ。ありがとう」



 ソルさん。貴女は良い子すぎやしないか?

 その包容力を見習いたいものだ。とても。


 ソルみたいな、誰かを優しく......いや待て。これ、ソルは『俺だから』こう言ってるんじゃないか?

 それに対して、俺が誰にでも包容力マシマシの発言をするのは何か違うな。



 う〜む。人間って難しい。



「ねぇ、本当に大丈夫? めちゃくちゃ考えてるでしょ?」


「あぇ? あぁ、ソルの事だから大丈夫。じゃあ行ってくる」


「うん......あんまり考え込まないでね? 心配するから」


「分かった」



 心配はさせても迷惑はかけたくない。悩みが出来たらソルに相談しよう。




「リグナさん。皆を出しました」


「おぉ、やっと来たか。それじゃあ儂が指示を出すから、それを聞いて動いてくれるようにしてくれるかの?」


「分かりました。皆、リグナさんの指示に従って、家の土台を作ってくれ」



『『『『『はい!』』』』』



「これで大丈夫です。じゃあ、俺はソル達の方へ行きますね」


「待て」



 オーク達をリグナさんに預け、俺はソル達の方......屋根作りのチームに入ろうとしたが、リグナさんに止められた。



「はい? どうしましたか?」


「ルナも土台作りの方に入れ。ルナの魔法が必要だ」


「魔法ですか?」



 俺、建築関係に役立つ魔法なんて持ってないぞ。



「空間認知、持っとるじゃろ?」


「......はい」


「それで水平かどうか調べてくれ。土台作りのキモじゃから、手を抜くなよ」


「はい」



 今、背中に変な汗が流れたよ? 唐突に魔法を覗いてくるの、ビビるから辞めてくれ。


 ......やっぱり辞めないでくれ。使えない奴だと思われるのは少し悲しいから。



「そう言えばサーチは三人称視点で認識可能だもんな......水平も測れるのか」



 盲点だった。


 あぁ、ここにアルスが居れば『盲点でしたね』と言ってくれたのに、残念ながらソル達のチームに行ってしまっている。




 俺、ひとりぼっちかぁ。




『マスター、そこの土が出っ張っているんですけど、木を置いても大丈夫ですか?』


「ダメだ。直すから待っときな。『アースコントロール』......はい、置いていいぞ」


『ありがとうございます!』



 1人じゃなかった。俺にはオーク君達が居た。


 この子達、見た目こそモンスターそのものなんだけど、中身は結構可愛い性格をしている子が多い。


 例えば今話しかけて来た『ぴぐる』君。彼は誰にでも優しい上に、きちんと自分の意見も言える、真のイケメン君だ。



 人間でその性格なら、絶対にモテているよ?ぴぐる君。マジで。



「俺も運ば『マスターはそこで確認をお願いします』待て。それだと俺の仕事が無くなる」


『マスターにこんな重い物を持たすのは、見ていて忍びないです。どうかご容赦を』


「......その程度の木なら余裕で持てるんだが」



 一応、STRは2万を超えているんですよ、ぴぐる君。

 ステータスは君より大幅に(まさ)っているんだよ?



『いいえ。それでも『ぴぐる、マスターがやりたいなら別にいいじゃないか』......フィレさん』



 あ、ぴぐる君の後ろからフィレ君が来た。

 この子はぴぐる君の次にテイムした、2番目のオークだ。


 ぴぐる君は1番目で、フィレ君は2番目。3番目のロイン君は......せっせと木を運んでいるな。


 皆、器のデカい優しいオークだ。



「ま、何かあったらその時はぴぐる君が助けてくれ。君の優しさは誰かの挑戦を止める為でなく、誰かを助ける為のものだろう?」



 知らんけど。ごめんよぴぐる。



『は、はい! おっしゃる通りです!』


「なら俺にも運ばせてくれ。ロイン君達が運び終わってしまう」


『......分かりました。では、共に頑張りましょう』


「おう」



 うむ。最初のフィレののサポートもあり、何とか仕事を貰えたな。


 オーク達には、後でお詫びとして白銀マンゴーを差し入れしよう。






 そうして6時間が経ち、日も沈んで月が辺りを照らす時間になった頃。


 遂に家の土台が完成した。


 リグナさんに言われた通りに、木を組み合わせた頑丈な造りで枠を組み、更に宵斬桜の枝を混ぜたリグナさん特製の木材で枠の中を敷き詰めた。


 そうする事で、断熱や衝撃に耐える効果が生まれるとの事。



「土台、出来たな。ここからは儂がやる。見ておけ」



 俺はリグナさんに頷き、ソル達の方へと下がった。



 そして次の瞬間、俺は目玉が飛び出そうな程驚く光景を目の当たりにする。




「よっこいせ」




 リグナさんがインベントリから壁、屋根、天井など、土台以外の部分が出来ている物を出した。


 それから1度、インベントリに仕舞ったかと思うと、土台の上に綺麗に設置した。



「ほれ、完成じゃ。(みな)、よう頑張った」



 ニカッと歯を見せて笑うリグナさんに、俺は思考が追い付かなかった。


 アレだけ時間をかけて作った木材と土台に、たった数秒で壁や屋根が乗せられ、綺麗なログハウスになる?


 ちょっと意味分かんない。



「ルナ君、念願のマイホームが出来たよ?」


「......」



 ソルの言葉に答えられず、俺は口がポカーンと開いている。



「お〜い」


「......」



 2度目の声にも答えられずにいると、ソルは俺の顎を持ち上げて口を閉じさせ、そのままキスをした。


 この時にようやく意識が戻り、気付いたらソルにキスをされているという状況だ。


 止めさせるのも嫌だし、何よりも俺がしたいから続けよう。あと、フー達の反応は敢えて見ないことにしよう。




「──お目覚めかな?」




 たっぷりと味わった後に、満足気な顔で聞いてきた。



「起きてるよ......はぁ、ソルが可愛すぎる。頭おかしくなりそう」


「おかしくなっちゃっても、ええんやで?」



 からかう様に言ったソルだが、俺の言葉に驚くといい。



「じゃあ後でおかしくなるわ。よろしく」


「エ゜ッ」



 潰れたカエルみたいな声だな。絶妙に可愛くない。



 俺はソルの頬をムニムニと遊んでから、リグナさんの方へ歩いた。




「若いのぉ。儂は気にせずともいいんじゃぞ?」


「俺が気にするのでダメです。取り敢えず、家の完成のお礼を言おうと思いまして......ありがとうございました」



 頭を下げてお礼を言う。


 代金となるアクセサリーはまだ作っていないが、家を建てて貰ったんだ。お礼は言わなきゃ。



「ほっほっほ、よいよい。儂がした事は、指示を出して最後にスキルを使っただけじゃ。寧ろ、あれだけ働いてくれたルナ達にお礼を言おう。ありがとう」



 リグナさんは目を細め、小さく頭を下げた。



「こちらが頑張るのは当然ですからね。さて、1度城に戻ってご飯にしましょうか。それから代金となるアクセサリーを作るので、明日か明後日までに完成するかと」


「む? そんなに早く出来るのか?」


「はい。早い時は数時間で。長い時は数日かかりますね」


「......昔、タルは『魔具のアクセサリーは一月(ひとつき)』『聖具なら1年はかかる』と言っておったのだが......」


「逆にそれだけ時間をかけられる方が凄いです。タルさんの作るアクセサリーは、使った時間の分だけ効果も高いのでしょう」



 タルさんはきっと、一つ一つ、アクセサリーに込める気持ちの量が膨大なのだろう。


 アクセサリーを売る事で生きているんだから、俺なんかとは比べ物にならない想いだろう。



「そうじゃな。その分、タルの技術を受け継いだルナにも期待しておるぞ?」


「えぇ。驚きすぎて若返るぐらいの物を作りましょう」


「ほう? では楽しみにしておる」






 ニヤリと口角を上げるリグナさんに、俺は内心でアクセサリーの心配をしながらも、城に帰ってきた。

さてさて、まだ家の外観の描写が無いのですが、夜だからね仕方ないねうん。


ということで、ちゃんと日が昇っている時に言うでしょう。ルナ君が。



次回『職人には職人を』お楽しみに!

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