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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第10章 穏やかな日々
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様々な問題

ごーるでんうぃぃぃく?


 



「オーク達、アースモール達、ここまでありがとう。これから先は仕事が少ないから、先に休んでいてくれ」


『『『『『『はい!』』』』』』



 木こりと丸太の確保を終えた俺はテイムしたモンスター達を戻し、1人思考のプールを泳ぎ始めた。



「ここら先は魔法で土を何とかするとして、肝心な建築をどうしようか。ゴブリンやオーク達に手伝ってもらうにしても、そもそもの知識量の問題もある」


「そんな事よりまずは家のデザインを決めよう。どんな家にするか考えてないと、始めるものも始まらない」




 口に出した言葉の数倍以上の密度の思考をし、まず1と10......始まりと終わりを考えた。



「ゴールは外装の完成。スタートはデザインの決定。よし、この流れだ」



 内装は後から考えられるので、外装をゴールにして動いていこう。



「パパ。オーク達が消えたけど、動くの?」


「あぁ。おかえりメル。取り敢えず家の外観を決めたいから、メルも一緒に考えようぜ」


「うん」



 龍核覚醒した状態でメルが帰ってきたので、デザインを決めるのに協力してもらおう。



「俺はログハウスが良いと思うんだけど、リルはどう思う?」


「私メル」


「ごめん間違えた。メルはどう思う?」


「ん〜......パパが作りやすいので良いと思う。魔法で作るのが楽ならそっちの方が良いし、手作業で拘りたいのなら最初からパパが1人でやればいい」


「言葉の棘、痛いっす」


「私をリルちゃんと間違えた罪」


「すみませんメルさん」



 口調が大人びているとリルと混じっちゃうんだよな。


 あの幼い口調こそ、メルのアイデンティティというか、最初に触れる個性だと思ってる。



「でも、パパ次第だよね。どんな家に住みたいかって言うより、元の家をどんな風にしたいかだし......もう少し軽く考えなよ」


「......うむ。でもさ、最低限見た目を気にしたいじゃん?」


「見た目って、こんな魔境の島に誰か来ると思うの?」


「痛い、痛いって。メルの言葉全部刺さってるから!」


「現実を見よ? パパ」


「............はい」



 メルの言うことも一理ある。こんな、空を飛べる移動手段を持った上に、高レベルモンスターがうじゃうじゃ湧く島に来る人間なんて居ないだろう。


 ただ、招待した場合は別なんだよな。


 ギルドハウスである城を開けて、別荘の方に本格的に住むとなれば、マサキやアテナとか、こっちの別荘に呼ばないとならない。



 そうなった場合、ボロボロの家だった時に悲しくなる。



「メル。木と石ならどっちが好き?」


「木」


「じゃあ、屋根のある一軒家と豆腐みたいな四角い家ならどっちが良い?」


「屋根のある一軒家。そもそもそれが分からないけど、多分こっちの方が良い」


「ありがとう。取り敢えずログハウスで決定だな」


「わぁい」



 元々予定していたログハウスで良さそうだし、次はどんな見た目にするかだな。



「アレだな。どうせやるなら、夢のハンドカットログハウスにしたいな。あんな家なら、ソルとずっと暮らせる」


「ハンドカットって何?」


「ん? あぁ、言葉の意味のままだ。手作業で加工した丸太を使ったログハウスだな」


「へ〜。大変なの?」


「大変だと思う。だってアレ、職人の技で出来ているからな。俺みたいなペーペーもいい所、ただの紙の知識を得た奴が作れるものじゃない」


「じゃあどうするの?」


「そりゃあ、職人の技なら職人を呼ぶしかないだろう。城の小屋建設で練習しようと思って出来なかったんだが、すっぽ抜けたな。

 まぁ、語り人やら現地人やら、何かしら技術を持った人がいるはずだ」


「ふ〜ん」



 俺がそこまで語ると、メルが俺の体をよじ登ってきた。

 仕方がないのでメルが落ちないように抱っこすると、龍核覚醒を解いてから寝始めた。



「自由だなぁ。子供みたいだ」


「こども......だも......ん」


「そうだな。おやすみ」


「......うん」




 それから少しの間、メルを抱っこしてたら思い出した。




「ゴーレム達、おいで」


『『『マスター。命令ヲ』』』


「おい、ペトラムはいるか?」


『ここに居ますよ』



 ゴーレム軍隊の中から、俺が唯一『ちゃんとした名前』を付けたロックゴーレムが出てきた。



「ん。じゃあペトラム。お前をゴーレム隊のリーダーとして、この辺りの地面を踏み固めてくれ。具体的には、この広い空間を中心に20メートル四方くらいで」


『分かりました』


「あ、魔法が使えるなら使ってくれてもいい。魔力切れには気を付けてな」


『はい!』


「じゃあ皆、よろしく頼む。俺は職人探しをしてくる」



『『『イッテラッシャイマセ』』』


『お気を付けて、マスター』



「ほいほ〜い」




 メルを抱っこしたまま指示を出し、俺は1度城に帰ってきた。




「おかえりなさいルナさん。メルさんは......寝てるんですか」



 庭の芝を1歩踏むと、掃除中のフーとばったり会った。



「ただいま。メルはモンスター狩りでお疲れだ」


「なるほど。あ、引き止めちゃってすみません」


「気にしないでくれ。じゃあ俺は行くから」


「はい」



 そうしてリビングを素通りして俺の部屋へ行き、メルをベッドに寝かせた。


 小さく寝息を立てるメルに、暖かい毛布を掛けてから部屋を出た。



「メルちゃん、寝た?」


「うぁぁぁい!!......タイミング怖すぎだろ!」



 部屋を出て扉を閉めてリビングの方へ行こうとした瞬間、後ろからソルに話しかけられた。



「あはは、ごめんね?」


「マジでビックリしたわ......ってか珍しいな、ソルがそっちの部屋から出てくるなんて」


「あ〜、作った小物を置いてたの。私の部屋の現状って、ただの物置小屋なんだよね。インベントリに入れても邪魔だし、使わない部屋に置いちゃおうと思って」


「そうなのか。売ったりはしないのか?」


「う〜ん、小さな人形とか木製の食器だから、売れない事は無いと思うけど......めんどっちいから」


「めんどっちいか」


「うん。めんどっちい」



 めんどっちい......可愛いな。ソルが言うと可愛さが10割増だ。ついつい頭を撫でてしまうぞ。


 目を細めて喜んでいるソルを見ながら、木工職人の問題をどうしたものかと俺は考えた。



 まず、生産職のリーダーと言われているやっさんに頼る方法。


 あの人なら絶対に優秀な職人を知っているだろうから、これは有力だ。



 次に、現地人に聞きまくって職人を見つけ出す方法。


「あの〜」


 こちらは職人と出会えるかは運によるが、出会えた場合は語り人なんかと比にならない技術を持つはずだ。


 何故なら、外部の人間であるプレイヤーに対し、現地人はこのゲームの世界の住人だ。基礎として持っている知識の差がとても大きい。


「ルナく〜ん」


 俺としては現地人に聞きまくる方法を取りたい。大好きな人と暮らす家なら、出来る限り拘りたいからな。



「ルナ君?」


「ん?」


「『ん?』じゃないよ。どれだけ撫でるの? 私の頭、禿げるよ?」


「おっとすまん。考え事してた」


「もう、しっかりしてね。もし悩みがあるなら私に相談してね? 何でも解決しちゃうから!」



 ソルは、えっへんと言いたげに胸を張って宣言した。



「大きく出たな。でもまぁ、少し時間をかければ出来ることだからなぁ。あんま気にしないでくれ」


「そう? ならいいんだけど......それでメルちゃんは寝ちゃったの?」


「あぁ。魔境の島の防衛をしてもらっていた」


「あ〜、アレね。あの問題って何とかならないのかな? 毎回毎回手で倒してるけど、そろそろめんどっちいよね」



 ここでも来たか。めんどっちい。



「それについても考えるか。マサキ達の情報だと、島を取ったらモンスターは湧かないはずなんだけどなぁ」


「私、島の取り方間違えたのかな」



 少し暗い顔をして答えるソルに、俺はまた頭を撫でながら答えた。



「それは無いだろ。ちゃんとウィンドウで出てるし、何かしらの仕様かバグがあるんだろう」


「うへぇ、何とかしないとダメかぁ」


「まぁ、その時は俺もやるから安心してくれ。家の為に頑張るからさ」


「うん! 一家の大黒柱として、頼りにしてるよ!」



「......はい」




 そこまでドッシリと構えられないが、出来る限り頑張ろう。

これからはメルが流暢に喋る機会が増えるかもしれませんね。

一種の成長として捉えて頂けたら嬉しいです。


次回『忘れられた木工職人』お楽しみに!



誤字報告や星評価、ありがとうございます!とても嬉しいです。

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