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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第10章 穏やかな日々
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冬の温もり

ゆずあめです。ゴールデンデン・ウィーウィークにより、テンションが上がりながらゲームをしています。

お陰で皆伝の星が3になりました。やったぁ。



あ、本編はイチャイチャ回です。

 


「月斗君。私ゃ思うのです。『寒い』と」


「はい。まぁ、12月ですからね」


「そして思うのです。最近月斗君を抱いていないと」


「抱くの意味が違うが、確かにスキンシップが減ったな」


「ですから、こうして月斗君を抱くのです。この冬に1番温かいものは何かと考えた時、真っ先に月斗君の事が思い付いたからね」


「......」


「......」


「......」


「......嫌?」


「何を。大好きだよ」



 ユアストで木こり作業に一段落ついた俺達は、一旦家に戻ってからログアウトした。


 それから昼ご飯を作り、午後ののんびりタイムで陽菜さんが俺のもとにやって来たのだ。『寒い』と言って。



 そして今現在、俺はソファと陽菜に挟まれている。



 先程まで『ラフな格好の陽菜、可愛いなぁ』と思っていたのだが、それに勘づいたのか、俺を見るなり直ぐに抱きついてきた。


 やはり陽菜の思考察知能力は凄い。考えてる事が筒抜けかもな。




「温かい。陽菜は寒くないか?」


「うん。ずっとこうしてたら寒くない」


「それなら今日は、ずっと抱きついているといい。最近はお出かけもしていないし、ストレス溜まってたろ」


「うん......」



 俺が言った事が当たっていたのか、陽菜抱きしめる力が弱々しくなった。


 それに対して俺は、陽菜を絶対に離さんと、強く抱きしめながら言った。



「よし、なら明日。日曜日だし出かけようか。適当にブラブラ〜っと散歩に行くだけでもいいから、陽菜と出かけたい」


「うん!」



 そう答えて笑う陽菜は、いつもの太陽の様な笑顔だった。



 やはり外が寒いからと言って、家に籠ってばかりではストレスが溜まる。

 例えゲームでストレス発散が出来ていようと、本物の太陽光が齎す力には到底及ばない。


 太陽には力がある。人を元気にする力。生物を育む力。その者の道を明るく照らす力。


 これは人間の創った物では再現出来ない、自然の神秘といえる物だろう。



「なぁ、このタイミングで聞くのも何だが......『後で陽菜からもあげる』って、どういう意味だ?」


「あっふぁ〜ん! ええと、その......わすれてくださいぃ」



 変な声を上げながら俺の胸に顔を埋めて来たが、今の俺にはあの言葉が何を示していたのかがとても気になる。


 イブキやシリカに武器をあげた後にソルが言ったあの言葉......俺は何を貰うところだったのだろうか。



「教えて」


「だめ!」


「お〜し〜え〜ろ〜!」


「だ〜め〜だ〜め〜!」


 

 ゆらゆらと体を動かしながら聞いて見ても、強く俺を抱きしめて答えてくれない。


 あ〜、陽菜の持つ柔らかいお山をとても強く感じる。

 ちょっと恥ずかしくなってきたな。



「う〜ん、なら質問を変えよう。あの言葉が指していたものは、いつか俺に渡るものなのか?」


「そ、それなら......まぁ」



 ちょっぴり恥ずかしそうにしながら抱きつく力を弱め、顔を上げた陽菜とバッチリ目が合った。


 長いまつ毛と綺麗な二重の瞼が魅せる、宝石の様な目に俺の視線は自然と吸い込まれていった。



「で? どっちなんだ?」


「いつかは絶対に月斗君のものになるよ。それも、一生ものに」


「一生ものか......うん、候補が多すぎて分からない。取り敢えず、『楽しみにしとけ』って解釈でいいか?」


「うん。それでいいよ」



 そう言って微笑む陽菜は、どこか寂しそうで、でも嬉しそうな気持ちで溢れていた。


 俺は一体、何を貰う事になったんだろうか。






 ◇翌日◇






「陽菜さんや。少しくっ付きすぎではありませんか?」



 久しぶりのデートで手を繋いでいたら、次第に陽菜が腕を組んできた。これでは歩きづらい上に、通行人に見られている気がして落ち着かない。



「ふふっ、恥ずかしい? 恥ずかしいですかな〜?」


「恥ずかしいのもあるが、結構歩きづらい」


「え〜、じゃあ辞める? 辞めちゃう? 大好きな人に腕を組まれるの、遠慮しちゃう?」



 イタズラをする小学生の様な顔で言われた。


 う〜む。正直に言って辞めたくない。陽菜も言うように、大好きな人に腕を組まれているのに、わざわざ辞めさせるというのは自分に辟易する。



「いや、いい。続けてくれ。俺は陽菜だけを見てるから、大丈夫だ。それに、そもそも周りの評価を気にする必要は無いからな。このぐらいの行為なら喜んで受け入れよう」


「ん? 周りの評価とは?」


「それはアレだ。自分を客観的に見た結果、三人称視点の自分の評価すら『他人の評価』と感じているから生じる思考だな。

 例えば、そうだな......俺は陽菜ではない。これは分かるな?」


「うん。私は私だし、月斗君は月斗君だもん」


「そう。それは『一人称視点』だから出る答えなんだ。相手の思考も感情も分からない、だけどそこに居る存在。ハッキリ言えばそんなもん」


「ほうほう」


「そして俺の言う『他人の評価』は、ただの客観的視点だ。自分が何かの行動を起こし、その先にどんな未来が待っているかを考える......要は『通行人の気持ち』だ」


「なるほどね。今の私達を他の人が見た時に考える事を、月斗君も考えていると......見られてる側なのに」


「そうだ」


「へぇ〜、面白い考え方してるね。もっと好きになってきちゃった」


「ありがと」




 周囲の目を俺の変な思考と陽菜との会話で遮って歩き、大体30分くらいで目的の場所に着いた。




「やっぱデート言えばデパートでしょ!」


「そうか? ......そうか。定番か」


「うん! それに12月だし、そろそろ新年の用意もしなきゃでしょ?」


「そうだな。師走と言うくらいだし、俺達も忙しくなるよな」




 あの『師走(しわす)』って言葉、語源とか由来が沢山あるんだよな。


 一言に『師が慌ただしく走る』様子と言っても、そもそも『師』は何を指すのか、何故慌ただしく走るのか分からない。


 ただ、今は『年末の大掃除や正月のおせちの準備で忙しい』と取れるから、そこまで気にする事じゃないのかもな。




 そんな事を考えながら歩いていると、陽菜が腕を優しく叩きながら聞いてきた。




「ねぇ、クリスマスって何か予定ある?」


「ある」


「嘘ぉん!」


「陽菜と過ごすって言う、超重大イベントがある」


「おっほぉ......下げて上げるスタイルか〜」


「で? クリスマスの予定を聞くって事は、どこか遊びに行きたいのか?」




「ううん。月斗君が何か計画してるなら、私も一緒に考えたいな〜って思ったの。1人じゃ出来ない事ってあるでしょ?」




 何だこの生き物は。優しさの塊で出来ているのではないか?


 そんなに優しくされちゃったら俺、惚れちまうよ。



「惚れたわ。クリスマスは家でゆっくりするか」


「えへへ、分かった。お家デートだね!」


「そうだな。あ、俺さ、何個か絶対に1人でクリア出来ないゲームがあるから、それクリアしたい」


「お、いいねぇ。月斗君でもクリア出来ないゲームがある事にビックリだけど、やりたい!」


「あぁ。楽しみにしててくれ」




 俺の未クリアゲーを陽菜とやるなら、アレが良さそうだ。



 あのゲームは、見方を変えれば神ゲーなのだが、そのまま純粋に楽しもうとするとクソゲーに成り果てる。



 そのゲームの名前は『プロ・ガン 〜至高の射手〜』



 TPS(三人称視点)に分類される、アクション要素のあるスナイパーゲームだ。


 プロガンはVR技術が進歩してから作られたコンシューマーゲームなのだが、その中でもコイツは一際異様だった。


 まず、発売してから1週間で100万本も売れたのだが、その1週間、インターネット上にラスボスのクリア報告が1件も出なかった。


 流石におかしいと思い、色々と調べてみると原因が分かった。



 それはこのゲームのコンセプトにある、とある単語だ。



『君の手で作り上げたライフルでターゲットを倒そう!

 モンスターを倒して得られる部品を装着して、モンスターの親玉や、悪の組織を狙撃しよう!』



 これの何がおかしいか。それは『モンスター』の要素だ。このゲームは製作陣の頭がおかしいのか、部品を『入手』するモンスターは弱いクセに、部品を『強化』するモンスターがアホほど強いのだ。


 ま、そこら辺は実際にやる時に復讐......復習しよう。




「いや〜楽しみだ。2人なら絶対にアイツを倒せるはずだからな」


「月斗君、脳がゲームに侵食されてるよ」


「大丈夫大丈夫。俺の頭は5割ゲーム、5割陽菜だから。まぁ、最近は陽菜の方がよく考えるんだけど」


「そう? それなら嬉しいな」




 よし。今日は陽菜とのデートに全ての力を入れよう。

 来る大戦争に備えて、今日からクリスマスまでは心の準備期間だ。


 開拓作業と並行して、あのゲームの攻略法を考えよう。

お家デート回をお楽しみに!



次回はリルとお話をする回です。降り積もった疑問の解消や、よりリルが好きになれたらなと思います。


次回も宜しくお願いします!

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