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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第10章 穏やかな日々
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頭の悪い開拓作業

体調悪化しました☆

 



 12月に入り、最初の日曜日。遂に魔境の島(仮名)の開拓作業がスタートした。


 作戦としては、ドラゴン組にモンスターの掃除をさせ、その間に開拓組が木を切り倒し、回収、草刈りなどの作業を行う。


 これでリアルで1週間。ゲーム内時間で8週間以内に終わらせる予定だ。



 そうしないと、クリスマスに陽菜とデートに行ったり、そもそも学校の終業式やら年末年始やらで、ゲームをする時間が取れなくなるからな。



 何があっても開拓作業を直ぐに終わらせる。それぐらいの意気込みでやるぞ。



「ラースドラゴン組は地上のモンスターを。カラフルドラゴン達は空中のモンスターを倒してくれ」


『『『は〜い!』』』


「次。アースモール達は土壌の見極めを。ゴブリン達はその補助。1人につき2人で良い。後は出番が来た時に呼ぶから、それまで待機!」


『『『了解!』』』



「お〜、指揮官やってるね〜ルナ君」


「テイマーだからな。指揮者の様にならなきゃだから」


「そうだねぇ。でもこの指揮、頭悪いと思う。疲れない?」


「ぼくあたまわるいからわかんない」


「ぐふっ......幼児化ルナ君......破壊力の塊......」


「ま、ここで細かく指揮を出さない事で、個々の能力差を埋めようとしてるんだよ。ドラゴン達は得意な空中戦で群れとして戦えるし、その中でも、黒龍なんかは地上でドッシリと構えられるからな」


「なるほど。種族的な向き不向きを、敢えての甘い指揮で纏めてる、と」


「うん」



 本音を言えば指揮するだけの力が無いのだが、どうせ全部ソルに筒抜けだろうしな。体のいい言葉でこの場は締めくくろう。



「そう言えばルナ君」


「はいはい」


「お家を建てる場所......もう決めてるの?」



 愚問です。それは魔境の島(仮名)を見付けたら時点で頭にぶち込んでいますから。ブフフフ!


 ......気持ち悪いな。



「決めてる。海からそれ程遠くもなく、かつ近すぎず。それでいてある程度自由の効きそうな場所を見付けてある」


「早いなぁ。そこまで直ぐに分かるものなの?」


「知らん。でも、『ここにソルと暮らしたい』って気持ちがありゃあ、俺はどんな所でも最高の場所にするぞ」


「んま〜! す〜ぐそうやって私を落とそうとする。これ以上落ちたら、マグマでドロドロに溶けちゃうよ?私」


「ははっ、ならば溶かし尽くしてやろう。気の済むまで俺のマグマ風呂に浸かるといい」



 俺の胸に抱きついてきたソルを優しく包み込み、数秒ほど堪能した後に軽く頭をポンポンと叩いて解いてもらった。



「んじゃあ、先に木こりの人生を歩んでいるリル達の所へ行ってくれ。俺はドラゴン達にバフを掛けてから行く。『フラカン』」


「分かった! 位置はミニマップの所で良いんだよね?」


「あぁ。それで良い。気を付けてな」


「ルナ君こそ。頑張ってね!」



 防衛隊のドラゴン達にバフを掛けておけば、いざという時にドラゴン同士での連携にプラスになるだろう。


 あまり細かい指揮は出ていないが、ドラゴン程の知性となれば『戦略』を立てる。それ故に、個々が異常に強い者が集まった群れというのは恐ろしい力になる。



「ドラゴン達〜! 防衛頑張れ〜! 『鼓舞の光』!」



 事前に仕込んでいた月の光を全て解放し、島じゅうに散ったドラゴン全員にバフを掛けた。



「更に更にぃ! 出血大サービス! 『オールアップ』『エクステンシオ』」



 これは全ステータスを10分間1.1倍にする魔法と、自身に掛けられている全ての効果の作用時間を5倍にする魔法だ。


 効果が強い代わりに消費MPも大きく、今ので俺のMPが尽きかけたくらいだ。


 通常は単体付与で消費MPが2,000と8,000。そこをケリドウェンやマナ効率化の効果で限界まで軽減し、何とかドラゴン達全員にバフを掛ける事が出来た。



『『『ありがとう〜!』』』


「はいよ。敵は強いから、絶対に1対1で戦うなよ〜!」


『『『は〜い!』』』



 ドラゴン達、テイムしたら可愛くなったな。なんと言いますか、お茶目な雰囲気を感じるようになった。


 いいね。厳格な『ドラゴン』より、可愛い『どらごん』も俺は好きだ。



「さ、バフのお仕事終了。『転移』」


 


 仕事が終われば何が待っている?



 そう。次の仕事だ。




「あ、父様。ドラゴンさん達は大丈夫でしたか?」


「勿論。レベリングこそしていないが、そこら辺は群れの強さで何とかなる。だから、より安全に戦えるようにバフを掛けてきただけだ」


「お〜つ〜か〜......れぇぇ!!!......さま」


「メル、斧は剣じゃないからコツコツ叩く物だぞ。一応メル仕様のヤツに変えているけど、それでも壊れない訳じゃないから気を付けてくれ」


「わかった」



 リルとメル、ソルやメイドと執事の皆が木を切り倒している場所に転移し、俺も斧を片手に森と向き合った。


 そして1回、また1回とオリハルコン製の斧で木に傷を付け、思った。



『面倒臭い』と。



「うむ......でもここでフーを使ったら何か負けた気分になる......よし、作戦を変えよう」



 しょうもないプライドの為に、手伝ってくれる人物を呼ぼう。



「オーク組、それからゴブリン組の残りの子達。おいで」


『『『はい!』』』



 オークが8体とイビルゴブリン10体を呼び出し、俺は皆の前に立って言った。



「今から木を切り倒してもらう。皆に斧を支給するから、これで辺りの木を切り倒してくれ」


『『『はい!!』』』



 俺はチャチャッとオリハルコンのインゴットを取り出し、先程まで使っていた斧のコピーを作り、一人一人手渡しで支給した。




「では、頑張りたまえ」




「何が『頑張りたまえ』ですか。ただ面倒臭がってるだけでしょう!」




 最後のオーク君に斧を渡したところで、後ろからお小言を頂いてしまった。



「フー、どうした?」


「どうしたもこうしたも、何でゴブリン達を呼び出してるんですか!」


「そりゃあ、この作業は人手が多い方が良いからな。何も切り倒した木の運搬だけが彼らの役割じゃないぞ?

 そもそもの木を切る作業も、彼らの仕事1つだ」



 俺は真っ当な意見を述べつつも、内心では冷や汗をかいていた。


 まさか面倒臭がっている事がバレるとは思わなかったからな。ちょっとだけ饒舌になってしまった。



「よくもまぁ、いけしゃあしゃあとそんな事が言えますね」


「いいじゃん。っていうかさ、魔法でボコッと地面をひっくり返して木を取り除く事って出来ない?」


「......よくそんなの思い付きますね。まぁ、やれるだけやってみたら良いんじゃないでしょうか」



 フーが俺の目の前の木に手のひらを上にして、『どうぞ』とジェスチャーしてきた。


 待ってくださいよぉ。俺、そんなご都合魔法習得してねぇよぉ。



『あるじ! あるじ!』


「お、モグラ君。どうしたんだ?」



 これからどうしたものかと考えていたら、足元からアースモール君が這い出てきた。


 アースモールは爪が非常に大きくて鋭い、ドゥルム鉱山のレアモンスターだ。



『ここらへんのつち、いいかんじ!』


「オッケー、それは良かった。お疲れ様。他のモグラ君達にも、もう帰っていいよ〜って伝えてくれる?」


『うん!』



 そうして地面に帰って行ったモグラ君を見て、フーが小さく呟いた。



「オークと扱いが違う......」


「そりゃあ、可愛いからな。爪は怖いが他は結構可愛いぞ? モグラ君」


「えぇ......それだけの理由で扱いが変わるこの開拓現場、相当酷いですね」


「まぁまぁ。取り敢えず斧で切る作業はオーク君やゴブリン君達に任せて、俺達は作戦の練り直しをしよう」


「はいはい。皆さんを集めてきますよ」


「ありがとう」



 言葉の中の隠れた意図を読み取り、フーは即座に皆を呼んできた。


 そして皆が集まる前に俺は、土属性魔法の進化系である大地魔法と、開拓作業に向いてくれると信じている自然魔法の魔法陣を出し、眺めていた。



「この文字、絶対に意図があるよなぁ」



 このゲームの魔法陣は円と円の組み合わせで出来ているのだが、その円に刻まれている文字が魔法によって違うのだ。


 例えば、サーチに使われている文字は丸い字体に対し、イグニスアローに使われている字体はカクカクとしている。



 印象だけで見れば『攻撃用』と『補助用』で取れるが、多分違うんだろうな。




 そんな小さな疑問に思考を巡らせながら、皆が集まるのを待った。

露骨な伏線に私、興奮してまいりました。


次回も完成しているのですが、番外編を現在書いてます。


もしかしたら今話の投稿日中に出せるかも...です。

本編と番外編、両方とも楽しんで頂けると嬉しいです!

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