その銀狼、満月に笑う 3
例の木ですね。
俺達は今、アルトム森林の100mほど手前にある、少し開けた空間にいる。ここは、マネーレトレントがいた場所だ。
「よし、森に入る前にもう1回殺っとくか」
森に入ろうと思ったのだが、この空間が気になり、近づいてみると
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エリアボス『マネーレトレント』と戦いますか?
『はい』 『いいえ』
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と、出てきたのでソルと少しお話しを。
「2人で弓だけで倒さない?」
そう言われたので乗ってみた。楽しそうだもん。
「今回はソルが主体だな。俺は補助で動き回るとしよう」
そう言って俺が、『はい』を押すと、あのビキビキバキバキ音を鳴らしながら、マネーレトレントが出てきた。
『グォォォオオ!!』
「じゃあソル、頑張れよ。ダメージソースはお前なんだからな」
「うん! ルナ君こそ、私の射撃に合わせるの頑張ってね?」
「問題ない。お前の事は9年も一緒にいたから知っている」
その言葉を皮切りに、戦闘が始まった。
「じゃあまず、ヘイトもらうぞ」
俺はそう言ってトレントに弓を構える。
気づいたトレントが俺に枝を伸ばすが遅い。
バシュン!!!
「本邦初お披露目、『セクスタプルショット』だ」
そう言って放った矢の数は6。マルチショットの限界数だ。
バキバキバキバキバキバキ!!
枝が砕け散る音を出しながら命中した。
「ソル!」
そう名前を呼ぶとトレントに3本の矢が飛んでくる。
ズガガガン!!!
『グォオ!!』
トレントがその矢の勢いで怯んだ。......えげつな。
「おいおい矢の勢いで怯むってなんだよ。ショットガンか?ソルが使ってるの」
そう口に出るほどの威力だった。
そしてソルに向かって枝を2本伸ばすトレント。
俺がそれを見逃すわけが無い。
「落ちろ!」
2本の矢をソルに向かった枝の根元の方に放つ。
バキバキッ!
2本の枝は完全に砕けた。
「おっほ! 今のクリティカル入った?」
今、2本の矢が小さく赤く光った。クリティカル攻撃の証明だ。
「いや〜いいねいいね! 誰かを守る攻撃にクリティカルが乗ると気持ちがいいよ! さぁこいトレント!」
挑発をしてマネーレトレントのヘイトを集める。
知能が高いって酷いもんだ。人の言動を理解出来るからこそ、挑発に乗れるようになってしまった。
「ははは!怒ってるな! そんなに俺ばかり見てると痛い目に逢うぞ?」
そう言ったらトレントに矢が飛んできた。
飛んできた矢は1本だけだったが速度が段違いだった。
バンッ!!!
もはや破裂音とも言える大きな音を立ててトレントに矢が刺さった。
「わぁお。今のを銃に例えたら、さしずめスナイパーライフルってか?」
とてつもない速度と威力を持った矢だった。
「あと1ソル分くらいだろうなぁ、トレント君。頑張りたまえ」
1ソル分というのは『ソルの攻撃1回分』という事だ。
これから使ってみようかな?いや、やめとこ。
『グォォォォォォォオ!!』
「おいおい、瀕死になったら大暴れするのか?頭が悪いぞ」
ソルの一撃から建て直したトレントは大暴れして枝を振り回す。
「ソル! もうやっちまえ!」
そう声を上げると──
ズガンッ!!!
と言う音と共にトレントに矢が刺さった。
刺さったのは2本だ。
『グォォ......』
そう鳴き声を上げてトレントはポリゴンとなって爆散した。
「お疲れ、ソル。良い矢だった」
「お疲れ様、ルナ君。良い立ち回りだったよ」
お互いに労った。
「さぁ、良いウォーミングアップになったんじゃないか?」
「そうだね! マルチショットも大分慣れてきたし、この森のモンスターならボス以外は大丈夫そうだよ」
そういえば俺達はもう既に、ボスが居そうなとこを把握している。
アルトム森林を北に真っ直ぐに行くと半径100mくらいの、開けた場所がある。あそこはボスがいそうだったので、迂回してマッピングしたのだ。
「そういや、あの池のとこには何かモンスターが出るかな?」
「どうだろうね、分かんないや。あの池もあの池で、ボスがいそうな雰囲気はあるけど、何か違う気がするよね」
『あの池』というのは、アルトム森林の西側にある、半径80mくらいの池だ。その池の周り、大体100mくらいは木が生えてなく、草地になっている。
「そうなんだよなぁ。......よし、狩りを始めるか。どうする? 昼になったらフレンドチャットで一旦ここに戻るか?」
「そうしよっか。じゃあ私は森の東側を倒してくるね!」
「じゃあ西側を」
そうして、アルトム森林での狩りが始まった。
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―独りだった......寂しかった。そんな我を.......
今は、甘えたい......――は――に甘えたいのだ―
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ウォーミングアップに使われたマネーレトレント君可哀想。扱いがゴブリン以下でしたね。
次回から本格的な狩りが始まりますね!




