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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第10章 穏やかな日々
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人に好かれても動物には好かれない

貫通弓と貫通ライト、両方とも作って思ったのですが、護石を持ってませんでした。


そもそも弱特の護石すら持っていないので、色々と論外でした。つらい。

 






「......なんで......俺の何が悪かったと言うんだ」




 ドゥルム鉱山にてアースモール君を探す事3時間。殲滅とリポップを繰り返し、何とか出会えたアースモールに今、逃げられた。




「主。流石に出会い頭に四肢を落とし、『テイムされてくれ』はないかと。相手の知性を考えるに、ただの恐怖の対象です。ですから死んだのです」


「いや、ちゃんと『手加減』したから! アイツ生きてるからな!? 『服従か死か、好きな方を選べ』って言っただけじゃん!」


「確かに、肉体は生きていましたね。ただ、第3の選択肢である『逃亡』を選びましたが......アレでは精神は死んでいるかと」



 アルスが然もありなんと言った表情で頷き、アースモールの居た場所を見つめた。



「はぁぁぁもうやだ。次のエリアにしない? ここ無理〜!」


「そうですね。季節柄日没も早いですし、明日にしますか?」


「いや、帰らん。夜行性のモンスターもいるだろうし、第一ここで帰ったら俺のやる気が虚しく感じる」


「承知しました。お供します」


「ん。ありがと」



 そうして1度ペリクロ草原を経由し、次の目的地であるニクス山へ転移した。


 環境適応魔法(仮)のサーキュレーションを使って体温を保ち、俺とアルスは雪山を歩く。



「なぁ、何かモンスター少なくね?」


「今宵は満月ですから、モンスターも凶暴化するはずですが......」


「なぁ、ここの満月って宵斬桜が出るって事と同義じゃね?」


「あぁ、確かに。盲点でしたね」


「それ気に入ってんなぁ」



 最悪だ。折角モスマンモスを狙って来たのに、み〜んな桜にビビって出てこなくなってやがる。


 俺、世界に嫌われているのかもしれん。いや、俺が世界に適応出来ていないのかもしれん。


 本来『こうあるべき』動きに、俺は自由気ままな猫の如く、フラフラと歩いているのだろう。それ故に得た物もあるが、失った物......見付けられなかった物が多い。



「アルス。桜斬り倒すぞ」


「御意に」


「ま、他の語り人が居なければ、だがな」


「はっ」



 突発的な思い付きで俺達は山頂を目指し、日が落ちてから宵斬桜の出現を待った。




「──お、一番乗りィ!......ってあれ、人いる」




 2人で適当に作ったかまくらでお茶を飲んでいると、他のプレイヤーの声がした。


 今回は色々とダメそうだ。宵斬桜も諦めようかな。



「あの〜、すんません。桜待ってましたか?」



 かまくらの外から6人の足音が聞こえ、その内の1人が中にいる俺達に声をかけてきた。



「いえ、そちらに譲りますよ。俺達は誰も来なければ斬り倒す予定でしたので」


「あ、そっすか〜。では遠慮なくもら......ってアンタ、もしかしてルナ!?」



 声をかけてきた茶髪の男が、俺の顔をしっかり見るなり叫び出した。



「はい。ルナです」


「マジ......え、嘘......あ、初めまして。俺はユウキっていいます。よろしくお願いします!」


「あ、はい。別に偉い人間でもないので、さっきと同じように喋ってください」



 急にペコペコとしだすユウキ君に何事かと他のプレイヤーが集まると、皆ユウキ君と同じような対応をしてきた。



「主。主は語り人から好かれているのですね」


「これを見て好かれていると思うか? 明らかに畏怖の念だろ」



 アルスの突拍子もない発言に答えると、ユウキ君が首をブンブンと横に振った。



「そんな事ないですよ! 俺達は皆、ルナさんに憧れてこのゲームを始めたんですから! ですから俺達、ルナさんの事が大好きっすよ!」


「お、おう。それはどうも。でも俺、婚約者いるから......」


「そういう意味じゃないです! 天然ですか!?」


「いや? 全部理解した上でボケてる」


「えぇ......タチ悪ぅ......」



 ごめんユウキ君。初めましてなのにエンジン全開で。本当にごめんね。



「ステラ、『鼓舞の光』。さぁ、宵斬桜戦頑張ってくれ。あと数分で出るからバフ掛けといた」


「ありがとうございます!」


「じゃあ俺達は行くよ。ユウキ君達の勝利を祈ってる。『転移』」



 そうして今回は親エリアを経由せず、ディクトを経由してからフォラス鉱山へ転移した。



「いや〜、まさか俺に憧れた語り人とは。嬉しい限りだねぇ」


「それをあの語り人達に言えば良かったのでは?」


「正論あざす。でもな、俺、あんまり知らない人間に心の内を話したくないんだ。それが語り人なら尚更な」


「何故ですか?」


「そりゃあ、アイツら心の内で何考えてるか分かんねぇもん。アルスは経験ない......いや、出来ないと思うんだけどさ、『貴方のファンです!』って言われて、喜んで仲間にした奴に後ろから殺された時、どんな感情になるか分かるか?」


「いえ。分かりません」


「それで良かった。経験して欲しくないしな。ちなみに答えは『無』だ。全ての人間が信じられなくなるぞ〜」


「そう、ですか」



 FSの地獄のエピソードランキングで7位くらいの話だな。


 当時はニヒル以外の人間とも遊んでいたから、俺の事を知っている人間も知らない人間も混じって、良い経験になったもんだ。


 ファン裏切りはビビったけど。



「人間、あまり有名になりすぎるもんじゃない。ある意味で人の闇に深く触れるからな............さぁ、こんな話は辞めて、とっととオートマタやらゴーレムやらテイムするぞ!」


「御意に」



 自分語りはそこそこに、今はテイムに没頭しよう。




『ヂュヂュヂュ!』




「アダチェウスか。要らないな」


「では我が。『(いかずち)』」




『ヂュ......』



 アルスの無慈悲な雷撃により、ハリネズミ君ことアダチェウスはポリゴンとなって散った。



「素材のストックあるし、経験値もショボイ。出会うだけ時間を取られるな、これ」


「はい。ドゥルム鉱山とモンスターの出方が違います故、効率もガクンと落ちるでしょう」


「せやな。ま、のんびり行こうや」


「はっ!」



 綺麗にお辞儀をするアルスを横目に、俺はマサキやコキュートス君に開拓向けのモンスターを聞くべく、チャットを送る。



『2人に聞きたい。島の開拓向けのモンスターを』


『ルナ、島取ったのか?』


『どこの島を取ったんですか? 行ってみたいです』


『いや、まだ取れてない。でもソルに一任したから問題ない。それと来ない方が良いぞ。全モンスレベル500超えの化け物がウジャウジャいるから』


『『怖っ!』』



 だよな。俺も怖い。しかも見た目も気持ち悪い虫だらけだし、SAN値もゴリゴリと削られていくからな。



『んで、ソルが取った島の開拓に必要なモンスターをテイムしようと思うんだけど、プレイヤー視点で何かオススメない?』


『ソルが取れる事を信じてやまないのな。モンスターに関しては土属性使う奴なら何でもイけるだろ』


『俺も同意です。細かい分類とかは分かりませんが、前に犬子(わんこ)さんが『オートマタ、農業も戦闘も掃除も出来て便利で良いよ』って言ってましたよ』


『ありがとう。やっぱオートマタかぁ。今、オートマタとゴーレムをテイムしようとフォラス鉱山に来てるんだよね』


『草。とっととテイムしろよ』


『マサキくぅぅぅん? そう簡単にテイム出来ないのがこの世の理だよぉぉぉ? 君、理解出来るぅぅぅ???』


『ウザすぎて草枯れました』


『砂漠化ですね』


『俺の心は潤ってるけどな。取り敢えず、2人ともありがとう。俺はオートマタをテイムするよ』



 そうしてウィンドウを閉じようとすると、新たにマサキから書き込まれた。



『あ、オートマタはテイムじゃないぞ』


『ん? どゆこと?』


『オートマタは倒した部品を組み立ててテイムするんですよ。オートマタ側からはデベロッパーと言われるので、そのまんま開発者ですね』


『なるほど。なら殲滅してくるわ。改めてありがとう』


『ガンバ!』


『頑張ってください!』



 いや〜、まさかの情報だった。オートマタはテイムじゃなくて組み立てなのか。


 確かに以前倒した時も、歯車か何かがドロップしてたが、それを使うんだろうな。



「アルス。嫌な予感がする」


「どうされましたか?」


「オートマタの組み立てに必要な部品。軽く数千個は必要な気がしてきた」


「......盲点でしたね」




 流石に今回の気付きは面倒だと知ったのか、少し引き気味の『盲点でしたね』だった。



 ここは1度、オートマタの組み立てについて調べるべきか。



 流石に数千数万と素材が必要になれば、年内にオートマタの開発すら終わらない、悲しい結果になってしまう。


 でも調べたくないんだよな。こういうコンテンツって、最初から調べずに、初見で壁にぶち当たるのも醍醐味だから。



 う〜ん、どうしたものか。



「取り敢えず実行してから考えよう。オートマタも一応テイムを試して、無理そうなら部品集めだ」


「御意に」

 

「あ、それと実験もしたいから、オートマタを見付けたら倒す前に俺に渡してくれ」


「何を実験するので?」


「生きてる状態で部品を取り外す」


「............」



 ちょっと色々とグロテスクに思えるが、相手は機械的な人形だ。お人形さんだ。

 ちょっと中の部品を頂いて、最後に首チョンパする、悪逆非道プレイをするだけだ。



「じゃ、行くぞ〜」


「......はい」




 少し引き気味のアルスを連れて、俺はフォラス鉱山の奥へと足を運んだ。



300話まで完成しているので、予告しておきます。


次回『シテ.....コロ...シテ.....』お楽しみに(?)



???<あらあら、これは楽しみに出来ませんこと。

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