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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第10章 穏やかな日々
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開拓の要

ラスボスを倒しました。そして私はランスにハマりました。

 



「主。何をやっているんですか?」


「ん? アルスか。これはな、斧とか鎌とか鍬......島の開拓に使う道具を作ってんだ」


「なるほど」



 ソル達が魔境の島(仮名)に向かってから15分が経った頃、俺はリビングで道具の組み立てをしていた。


 完全にソル達が島を取れる事を前提にして動いているが、取らぬ狸の皮算用にならないと信じている。



「なぁアルス〜」


「何でしょう」


「人手、足りると思うか? あの島ってさ、かなり大きいじゃん?」


「島ですからね。ですが我々9人ならば問題ないでしょう」


「いやさ、確かに9人でも出来ると思うよ? でもさぁ、それ、何時間......いや、何日何ヶ月かかると思う?」


「......短期間では無理でしょうね」


「じゃろ? そんで儂ゃ思った訳さ。『人手を増やそう』とな」



 島が広い。んなこたぁ分かっていた。島に湧く全てのモンスターを殲滅するくるいなら広さは気にならない。


 でも開拓するとなれば話が変わる。


 そして俺達は9人だ。男3人、女6人の集まりだ。


 そんな人数でD○SH島の数倍はありそうな大きさの島を開拓するのは途方に暮れる。つまり、何が言いたいかと言うと──






「俺、テイマーになります」






「おぉ......着いて行きます」


「ありがとう。だけどそこら辺のモンスターをテイムする訳じゃないぞ。俺がテイムするのは、飛びっきり強くて、飛びっきりカッコイイモンスターだ」


「強くてカッコイイ......となると、やはりドラゴンでしょうか」


「んにゃ〜それもアリっちゃアリだが、もっと色んなモンスターを知らないとダメだ。ドラゴンだけが強くてカッコイイ訳じゃないだろ?」


「仰る通りです」



 っていうかドラゴンが開拓作業に役立つのかどうか、まずそこから考えないとダメだ。


 移動手段やモンスターからの防衛策としてなら良いかもしれないが、木こりや土地ならしの作業には一切向かないだろう。


 メルみたいに人になれるならまだしも、ドラゴン形態だけだとすれば、ドラゴンのテイムは愚策だろうな。



「開拓の要はテイムモンスターだ。ソルの式神のモグラ君みたいな、一点特化したモンスターを探さなきゃならん」


「う〜ん......もしかしたら、ですが、イブキ様やシリカ様なら何かご存知かもしれません」



 およよ、それは良いアイディィィアではなァァァいか。



「お〜い、イブキ! シリカ!」



 早速2人を呼ぼう。この世界の先輩として、プレイヤーである私に知識をお恵みくださいな。



「ここに」


「来ったよ〜!」


「ありがとう。2人に聞きたい事があるんだ。漠然としていて申し訳ないが、何か強くてカッコ良くて島の開拓に向いてそうなモンスターはいるか?」



「「いない! / いません」」



「オーケーありがとう」



 今のは検索候補が酷すぎる。ただでさえ2つの項目で見つかりにくいのに、3つ目が更に見つかりにくくしている。



「じゃあ質問を変えます。開拓に向いてるモンスターは何かいますか?」


「いるよ! それこそ、ドゥルム鉱山の『アースモール』とか、フォラス鉱山の『オートマタ』とか良いね!」


「他にも、『ロックゴーレム』も畑作業に向くでしょうし、ニクス山に生息する『モスマンモス』も、整地作業に向くかと」



「ありがと〜うございます」



 なるほど。やはり土系統のモンスターが開拓向きか。となると今2人が言ったモンスターの他に、王都防衛戦にも出てきたステラアントとか良さそうだ。



「本当にありがとう。道具作りが終わったらアルス連れてテイムの旅に出るわ」



 俺の言葉にアルスは無言で頭を下げ、それを見ていたシリカはサムズアップをしてから口を開いた。



「分かった! 狐ちゃん達には伝えておくよ!」


「もし何かあれば、直ぐに私達をお呼びください」


「あぁ。年内には開拓を終わらせたいから、早め早めの精神で行くぞ。2人はいつでも顕現出来るように心の準備だけしておいてくれ」



「「は〜い! / はっ!」」



「以上、解散!」



 そうしてシリカはスキップをしながら戻って行ったが、イブキはそのままリビングに残った。


 俺は不思議に思ったので、イブキの目をガン見しながら聞いてみた。



「どしたん?」


「ルナ様の作業をお手伝いしようかと」


「おぉ、ありがとう。なら頼むわ。こっちの鍬を組み立てたくれ。金属の部分と木材の部分を、魔道具で熱しながらくっ付けてくれ」


「承知しました」



 イブキは気遣いのプロである。人手不足を補う前の作業で生じる人手不足問題に気付くとは、流石だ。



「では我も。我はこちらの、鎌の部分でよろしいですか?」


「おう。鎌は鋭いから気を付けてな。全部神鍮鉄で出来てるから、めちゃくちゃ痛いぞ。ちなみに俺は3回切ってる」


「......大丈夫ですか? 主」


「大丈夫。指が落ちただけだ」



「「............」」



 俺も驚いたよ。ちょっと斧の部品を取ろうとして当たっただけなのに、指がポリゴンになったんだもん。


 いやぁ、あの場にソルが居なくて良かったよ、本当に。見られたらどうなっていた事か......考えたくない。



「ほら、手を動かしな。今なら腕が落ちても直ぐにくっ付けてやるぞ。アフターケアまでバッチリだ!」


「気を付けます」


「私も」


「頑張れ頑張れ」




 そうして10分が経つ頃には組み立て作業が終わり、俺とアルスはテイムの旅の準備を始めた。




「イブキ。もしソル達が早いようなら、先に道具一式持たせてやってくれ。後から渡すのは効率が悪い」


「お任せを。道具に関しては1人1セットでよろしいですかな?」


「あぁ。よろしく頼む。じゃあ行ってきます」


「行ってらっしゃいませ」



 テイムに使えそうな料理や保存食を持ち、俺はアルスを連れてペリクロ草原に来た。


 この草原は沢山のエリアと接しているエリア......言い方を帰れば、『親エリア』だ。そしてそこからドゥルム鉱山やアルトム森林など、『子エリア』に繋がっているから、取り敢えずでここに来た。



「さっ、まずはドゥルム鉱山へ行こう。アースモールなるモンスターがいるとの事だが、俺はこれまでに見た事が無い」


「相当に珍しいモンスターなのでしょう。これは長丁場になるでしょうね」


「だな。じゃあ行くか。『転移』」




 アルスを光に戻してから転移を使い、瞬時にドゥルム鉱山まで移動した。


 庭から直接行くよりも草原を経由して転移した方がMP効率が良いので、毎度親エリアを経由してから子エリアへ移動するぞ。



「よし。『サーチ』全開!」


「見つかりましたか?」


「いや、まだ使っただけで見てないから。2秒で全部見れたら化け物だろ」



 アルスが間髪入れずに聞いてくるので、思わずまともなツッコミを入れてしまった。



「う〜ん......それらしい反応は無いな。他の語り人の迷惑にならない程度に殲滅するか」


「再度出現するのを狙う訳ですね。分かりました。このアルス、主の右腕として敵を消しましょう」


「よろ」



 それから少し作戦会議をして、プレイヤーに出会ったらそれ以上は前に出ず、引き返しながらアースモールを探す事にした。


 多分、裏ドゥルムの方ではアースモールの代わりにララバジ先輩が出るからな。表でやり......ん? ララバジ?



「おいアルス。やべぇ事に気付いちまった」


「どうされましたか?」


「裏鉱山でララバジテイムした方が良くね?」


「あぁ、確かに。盲点でしたね」


「いや待て。ララバジの主食って石とか鉱石だったよな。だとしたら、実は作業には向かないんじゃね?」


「確かに。盲点でしたね」


「うん。今モンスターリストを見たけど多分ダメだわ。アースモールでいこう」


「はっ」



 凄まじい速度で空回りし、何とか元の地点に帰ってこれた。


 ここからはアースモール......モグラ探しの始まりだ。


 レアモンスターだろうが何だろうが、絶対に見付けてテイムしてやるぞ!

ツインテールではありません。


次回はチマっと書いてるので、気長にお待ちを!



進捗や適当なお話は作者Twitterにて、こぼしてます。

@yuzuame_narou_2


では、次回もよろしくお願いします!

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