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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第10章 穏やかな日々
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生産職のお友達 前編

もしかしたら3本投稿です。過去話の修正とかあるので、もしかしたら2本ですが.....もう既に出来ちゃってる部分は出しますよ!


では、お楽しみください!

 



「では、ごゆっくり」



「「「ありがとうございます」」」



「フー、ありがとう。また何かあったら呼ぶよ」


「はい。頑張って下さいね〜」



 鍛冶小屋にやっさん達を案内して、フーにお茶を淹れてもらった。


 そして俺はお茶を口に含み、金床の前の椅子に座って3人と目を合わせた。



「では作りますか。素材の要望や武器のジャンルはありますか?」


「はい! あります!」



 やっさんが真っ直ぐに手を挙げたので、手の平を差し出して答えを聞いた。



「素材は問わず、聖剣でお願いします! 装飾等のこだわりはありません!」


「分かりました。では1時間くらいで作れると思うので、ハイドロさんも細かい部分を考えながら録ってください」


「おう!」



 よし、聖剣を作るとなれば月鉄(げってつ)がいいな。


 魔剣や聖剣に変化しやすいクセに、元々の金属として強いから、今後の王道の素材になるかもな。



「では始めまス......始めます」



 おっと、『す』の音が高く上がってしまった。すんごい間抜けな声だったけど、皆暖かい目で見てくれている。




 つらい。




 そんな俺の心情を知らないこの世界は、無情にも時間が進む。


 正直、今すぐにでも逃げ出したい気持ちもあるが、ちゃんと奥まで飲み込んでから月鉄を熱し、魔力と明るい感情を注いでいく。



 どんなに苦しい状況でも、表面上は明るい感情をしていれば聖剣は出来てしまうのだ。それ故に、多少の狡さを感じるが......仕方ないよね!


 大体、心の奥底から思っていることを反映したらゲームが楽しめなくなってしまう。



 つまらない事が嫌いな俺は、楽しむ事を1番に、ゲームをプレイしていくぞい。




「ルナ、その鉄はなんだ? 普通のヤツじゃねぇよな?」



 甲高い金属を鳴らし続ける事15分。ようやくハイドロさんが鉄の違いにツッコんでくれた。


 まぁ、叩く度に火花と宝石の欠片が散っていたら気になるよな。



「はい。これは完全にオリジナルの金属ですね。例のやらかしたアイアンソードにも使われている物でして、多分誰にも作れません」



 ホープダイヤモンドの作り方を知っていれば可能性はあるがな。



 今更だけど、金属に宝石を混ぜて錬成するとか、相当頭がイカれてるよな。『そこでそれ使う!?』みたいな感じだ。



「それは作り方を公表するのか?」


「ん〜......別に公表してもいいですけど、材料が材料ですし、分量も決まってますよ?」


「え、分量決まってんのか?」


「当たり前じゃないですか。刀だって、玉鋼に使う砂鉄と炭の分量がある程度決まってるんですから」


「マジか......知らなかったな。これから気を付けてみるわ」


「それが良いです」



 最初に鉄の品質に差があった事から、分量......いや、純度がモノを決めることは察していた。


 それでも中々踏み込めないのがゲームってもんだ。


 失敗しても全然問題ないのに、後先の事を考えて実行出来ずにいる。

 ちょっとしたチャレンジ精神さえあれば、どのゲームも3倍は楽しめるんじゃないかな。知らんけど。



 知らんけど...ど......ど.........ど............



 つまらんセルフエコーの心の声を投げ捨てて、集中していこう。




 ◇10分後◇




「──はい、これで完成ですかね。本当なら色々と装飾したり剣先に細工をしたりしたいですが、ハイドロさんの分もあるんでこれで」



 30分程度で聖剣が完成した。月剣(げっけん)より少し弱いが、これ1本でフェンリルがギリギリ倒せるくらいの強さだ。


 ......プレイヤースキルは知らん。



「わ〜! ありがとうルナさん!」


「どういたしまして。じゃあハイドロさん、要望はありますか?」



 さぁ、ドワーフのお兄さんは何を求める?




「刀を作ってくれないか? 出来れば魔剣で」




 やべぇ、とんでもねぇ要望が来てしまったぞ。俺、魔剣に相当する刀を作った事がない......気がする。


 だって、基本的に神器を作っていたから魔剣......魔刀の作り方が分からないし、そもそも原理が魔剣と一緒なのかすら怪しい。



「やった事が無いですが、チャレンジしてみます。失敗したら普通の魔剣で良いですか?」


「いや、ルナの最高傑作の魔剣が良い」



「ちょ、ハイドロ! アンタそれ「いいですよ」......えぇ?」



 ハイドロさんの言い分をワガママだと思ってヒメヒメさんが止めてくれたが、俺としてはどうでもいい事だ。



「ヒメヒメさん、最高傑作って言葉は罠だらけなんですよ。この日この一瞬の俺の最高傑作を作り出す事なんて、ちょっと頑張れば出来ます」


「......変な考え方。まぁ、私は何も言わないわ」


「えぇ。それに魔刀を作り上げれば心配する必要も無いですからね」



 軽く笑いながらインベントリを漁り、作り置きしている玉鋼を5個ほど取り出した。



 今から1回ずつ魔力打ちをして、魔刀に良さそうな玉鋼を選ぼう。

 本格的な魔刀というのは作った事が無いから、真剣にやるぞ。


 これはスカーレッ刀とか木刀とは訳が違う。全力を尽くそう。



 カーン! キーン! キーン!



「......ダメだ」



 1つ目の玉鋼を3度ほど魔力打ちで叩いてみたが、イマイチ音が綺麗じゃない。


 次はどうだ?



 キーン! キーン! カーン!



「ボツ」



 手応えが1番目と全く同じだ。これはよろしくないので、次だ。




 パァァン!!!!!




「「「「え......」」」」



 1回叩いた瞬間に爆発し、ポリゴンとなって散った。



 怖すぎるだろ今の! なんで爆発するんだよ! アレか? 刀の神様のイタズラか? イタズラで玉鋼を爆発させるのか!?



「ごほん。では次『パァァァン!!!』......最『パァァァン!!!』」



 もうやだ帰りたい。このゲームの鍛冶、怖いよぉ。



「ル、ルナさん。失敗は誰にでもありますよ!」


「そうですよね。逆にこの2つでやれば良い魔刀が出来そうですし、今の経験を元に、これから気を付ければいいんですよね!」


「おぉ......そ、そうです!」



 切り替えは迅速に。刀作りとなりゃあ時間がかかる。


 ポーション作りも教えなきゃだし、早め早めの精神でいこう。





 ◇◇




「そして出来たのがコレ、と」



 2時間程でハイドロさんの刀が完成した。


 これは神器未満の刀で考えれば、1番の性能を誇っているだろう。



 ◇━━━━━━━━━━━━━━━◇

『魔軍刀:疾風迅雷』


 Rare:33

 製作者:ルナ


 攻撃力:1,990

 耐久値:∞

 特殊技:【疾きこと風の如く】

 付与効果:『瞬刀』【不壊】

『風刃』『魔力増強:2,000』

『DEX補正:特大』『AGI補正:特大』

『刀術補正:特大』『顕現』

 ◆----------------------------------------◆

【疾きこと風の如く】

 ・風属性の魔刀術を使用する際、

 装備者に風の如き素早さを与える。

 ・魔刀術に1.5倍の威力補正。

 ◆----------------------------------------◆

『瞬刀』

 ・金属であろうとも一刀両断する

 速度で斬撃を繰り出せる効果。

『風刃』

 ・MPを消費せず、本体の攻撃力の

 10分の1の威力を持つ斬撃を飛ばす。

 ◇━━━━━━━━━━━━━━━◇



 予め魔力打ちで鍛えた月鉄と玉鋼の合金を使い、神器にも並ぶ化け物性能を誇る軍刀が出来た。



「どうぞ」


「いや『どうぞ』じゃねぇだろ! 何だこれは!」


「強すぎでしょ......えっぐぅ」



 1番近くにいたハイドロさんとヒメヒメさんに武器詳細のウィンドウを出し、ハイドロさんに差し出そうとしたが......受け取ってくれなかった。



「あ、俺も見たいです!」


「はい、やっさん」


「ありがとうござ......え?」



 おぉ、やっさんが見事にフリーズした。


 刀を持って硬直するその姿は、まるで歴史上の偉人の銅像とも言える貫禄があるな。



「とまぁ、初めてちゃんと意識して魔刀を作ったのはこれが初めてだと思います。神器相当の刀ですが、微妙に弱いので魔刀の範疇でしょう」


「なぁルナ......神器ってこれより強いのか?」


「強いですよ。正直、ゲームバランスが壊れるぐらいの物です。ですが、俺を含め、装備者であるプレイヤーがその力の全てを扱える訳じゃないので、『バカみたい強いけど使い手次第』って感じです」



 俺の持つ神器の中で1番強いのは、多分クトネシリカだろう。


 その気になれば大剣にも短刀にもなれるシリカは、戦闘に於いて痒いところに手が届きすぎる存在だ。



 でも実際はどうだ? 俺は本差か脇差でしか使わない上に、咄嗟に形状を切り替える事が出来ない。



 武器の性能だけは強いので敵が解けるように死んでいくが、それは武器を扱う身としては情けなく感じる程だ。



「この刀を生かすも殺すもハイドロさん次第です。ドワーフとの適性は悪いでしょうが、使える人が使えば化けるでしょう。さ、ほら。受け取って下さい」



 固まっているやっさんから疾風迅雷をもぎ取り、ハイドロさんの胸の前に持ってきた。



「......ありがとう。鍛冶師として、これ程までに強い奴がいるとは思わなかった......ありがとう」


「いえいえ。さて、最後は美味しいポーションの作り方でしたね。皆さん城に入ってください。生産する設備がありますので、そこでお教えします」



 すると『待ってました!』と言わんばかりにヒメヒメさんが飛び上がり、その瞬間に鍛冶小屋の扉が開き、フーが出てきた。



「案内致します」




 メイド力ぅ......上がりすぎてません?

パァァァン!!!(迫真)


次回は後編です。楽しんで頂けると嬉しいです!

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― 新着の感想 ―
[一言] この生産職の人ら、相場教えるだけで現在最高の装備貰おうってずうずうしくない?明らかに寄生じゃないかねぇ。対価と報酬が釣り合っていないのは仕事人としてダメだと思うよ
感想一覧
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