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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第10章 穏やかな日々
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初心者に優しく

誤字脱字等ありましたら、是非とも報告して下さると助かります(´;ω;`)

 



『ルナさん! 今からそちらへ伺ってもいいですか?』


『どうぞ。門まで来てくだされば俺が出ます』


『分かりました!』



 朝になってご飯を食べ、リルをブラッシングもふもふしていると、やっさんからチャットが送られてきた。



「いやぁ、自分から誰かに教えて貰いに行くのって何時ぶりだろ」


「また何かされたんですか?」


「あぁ。鍛冶師の語り人にちょっとな。これから武器を売る身として、先輩に相場の変動や基礎を教えてもらいに」


「なるほどぉ......私も着いて行っていいですか?」


「ん〜、ダメだな。あの人、多分めちゃくちゃ真面目な人だからリルを連れて行ったらふざけてると思われるかもしれん」


「......それならダメですね。シリカさんと遊びます」


「そうしてくれ。近々、海をビュンビュン飛び回る予定だから楽しみにしててくれ」


「はい!」



 一通りリルのブラッシングを終えると、軽く伸びをしてから俺は庭に出た。


 乾燥した空気が肺を刺す感覚まで再現されていて、まるで本当の世界だと勘違いしそうだ。



「AIと3人が管理しきれているなんて、ちょっと信じられんなぁ」



 前にキアラさんは言っていた。『開発は3人だけだよ! あ、でも管理はAIにほぼ丸投げ!』と。



「シンギュラリティとか色々な問題があったろうに、世の人間はよくやっている。本当に尊敬する」



 昔、『AIが人間の知能を超越し、人間を飼い慣らす存在になるだろう』という話があった。

 自己で進化を繰り返す人工知能に対し、そもそも人間の脳のキャパシティを超えるという話だな。


 俺も最初にこの話を見た時は『うわ、確かに有り得るじゃん。怖っ』って思っていたけれど、実際は何とかなっている。


 何故なら、AIは『必要以上に知識を求めなかったから』。

 逆にこれはダメなんじゃないか? 既にAIが優位に立ち、人間に合わせているんじゃないか? とも考えられたが、それは違った。



 理由は単純。『ロック』だ。鍵をかけられていた。



 AIの自己進化プログラムにおいて、人間ですら解錠の出来ない『知能の鍵』がかけられたいたんだ。


 まぁ、それ故に『AIはもう限界だ』なんて言われたりもするが。



「どの機能も、使い所だよなぁ」


「邪魔ですよ、ルナさん」


「すまん」



 庭で突っ立っていると、掃除中のフーに注意されてしまった。ごめんなさい。



「あ、これから人が来るんだけど、何かあったら城に入れるからそん時はよろしく」


「『何かあったら』って、何するつもりなんですか......」


「いや、嫌がらせで魔法ブッパしてくる奴がいるかもしれないじゃん? それで流れ弾が客に当たったら嫌だし、避難先として」


「ルナさんなら未然に防げるでしょうに。了解しました。万が一の時はお任せ下さい」


「任せた」



 いつも思うけど、ウチのメンツは皆『俺が何かする』って考えるよな。


 確かにこれまで、色々とやらかしてきた。神器を作ったり、幻獣をポンポン倒したり、ハチャメチャな事をしてきた。


 でもさ、基本的に受動的だった思うんだ。


 フーの時はともかく、リルの時はピクシーに追われていたからだし、シリカの時は鉱山で変な物を拾ったから。


 セレナはフーに連れられ、アルスはダンジョンで通せんぼしていて、イブキは元々アイアンソードに宿っていた。


 そしてメルは......狙っていたな。


 真の意味で最初からテイムしようと思うっていたのは神龍だけだ。あの日、ペリクロ草原で李○子よろしく出会った時から、一目惚れしてたな。



 ドラゴン、めちゃくちゃカッコイイもん。



「お、来たき......3人?」


「どうしたんですか?」


「んにゃ、目的の人とプラスで2人来ちゃった。取り敢えず行ってくるわ」


「行ってらっしゃいませ〜」



 サーチで確認していると、こちらへ向かってくる反応が3つあった。


 取り敢えず出迎えに行きたいので、門を手で開き、3人を待った。



「あ! ルナさん! おはようございます!」


「おはようございます、やっさん。そちらの方は?」



「おいおい......なんでベストタイミングで開けてんだよ......」


「た、たまたまでしょ」



 金髪に青い目をした狐の獣人の女性と、真っ青な髪と同色の目をしたドワーフの男性がコソコソ話をしている。



「あ、紹介しますね! 金髪の人の方は『ヒメヒメ』という方でして、防具制作とポーション作りではトップクラスに上手な人です!」


「そしてドワーフの方は、俺のフレンドの『ハイドロジェーン』です! 典型的な武器鍛冶師ですよ!」



「「よ、よろしくお願いします」」


「初めまして、ルナです。よろしくお願いします」



 挨拶は完璧だ。名乗る前にきちんと天使シリーズの服に変えたし、正装と言えるだろう。



「うわぁ、真っ白ですね!」


「はい。これはソルの手作りでして、めちゃくちゃな性能をした服なんですよ」


「良いなぁ。俺、防具は作れても服は作れないんですよ〜」


「俺もですよ。武器は作れるけど、防具は手を付けたことがありません。だから、防御力は服頼りなんで、紙同然です」


「へぇ〜、そうなんですね! これから一緒に学べるもいいですね!」


「そうですね」



 気付けばやっさんと2人で話しているが、ヒメヒメさんとハイドロジェーンさんも話に混ぜないと。



「えっと、ヒメヒメさんは防具を作られるとの事ですが、どのような防具を作られているんですか?」


「え、えっと、あの、え......ラ、ライトあ〜ま〜を......少し......」


「固くならなくていいですよ。俺は初対面なので丁寧に接していますが、普段は敬語も良いとこ、相手の神経を逆撫でする言葉遣いですから」


「じゃ、じゃあ。ヒメヒメだ。よろしく」


「はい。よろしくお願いします。ハイドロジェーンさんも、軽く接してください」


「お、おう。それとハイドロで構わん」


「分かりました、ハイドロさん」



 これは良いんじゃねぇか? 普通にコミュニケーションを取れている気がするぞ。


 普段から城の皆と話していて良かった。ルナの体だとちゃんと挨拶も出来る。


 月斗の方は......ビビりちらかしてまともに喋れないかも。



 陽菜、今度俺に社会との接し方を教えてくれ。



「じゃあルナさん。早速相場の話ですが、まず掲示板の方に行きましょうか!」


「分かりました」



 という事で、掲示板に向かいつつ雑談をして親睦を深めていると、この人達がとんでもない人物である事が分かった。


 まずやっさん。この人、生産ギルドのギルマスだった。


 鍛冶や生産が好きな人、得意な人を集め、日々アイデアを出し合っているらしい。



 そしてヒメヒメさん、こちらは女性で1番の鍛冶師との事。

 元々リアルの方の職業で手先が器用だからと、デザイン重視の防具を作り、かなりの高値で売っているんだとか。


 買い手は女性だけでなく、男性も沢山買ってくれるそうだ。



 最後にハイドロさん。ハイドロさんは魔剣鍛冶師としてプレイヤーで1番名を馳せているらしい。


 各属性に特化した魔剣は当然、複合した属性の魔剣も作っているんだとか。


 将来は全属性に特化した魔剣を作りたいらしいが、ここで俺のジュエルブレスの話はしないでおいた。



 人間、知ってしまえばそこまで積み上げたモチベーションが消えてしまう事があるからな。

 知らぬが仏というやつだ。だが、仮に本人が気になると言うのなら、俺は教える所存だ。


 大きな力には相応の責任がある。ちゃんと教えてなければならない。




「──それで、あ、着きましたね。早速お教えしましょうか。まずウィンドウを開いて、適当に......剣の項目を開いて下さい」


「はい」



 凄いな。着いた瞬間に講座が始まってしまった。ちゃんと聞かないと。



「それで、今はリストが『新着順』になっていると思いますが、その状態で値段と武器の性能を見比べた時、そもそもの剣の価値が分かると思います」



 そう言われて1番上に表示されている『ドラゴンソード』と、2番目に表示されている『僕の木刀』を見てみると、その差は歴然だった。



「同じ20万リテで、攻撃力と耐久値に倍以上の差があるし、特殊技を見ても付与効果を見ても、ドラゴンソードが圧倒的に上ですね。なのに僕の木刀も20万......う〜ん」



「そう。出品者が自由に価格を設定出来るという事は、『どんな性能』でも自由に売りに出せちゃうんですよ」



「それを踏まえて、高性能な武器が安く売られていた時、その値段より高いのに低性能な剣があったら、ルナさんはどう思うかしら?」



 やべぇ。今、すんごい後悔の波が押し寄せてきてるんだけど。




「......なるほど。俺はやらかした訳ですか」



 俺はハイドロさんに申し訳ない目を向けると、ハイドロさんは首を横に振って答えてくれた。



「気にすんな。普通はゴミみたいな性能のヤツを馬鹿みたいに高く売るのが売買初心者のする事だが、その逆でスタートしてるのは珍しいからな。逆に良いブースターになるだろ」


「それ、実はガソリンとかで炎上とかしてません?」


「してないしさせねぇよ。誰だって初めては何も分からねぇもんだ。ルナだって、武器作りの経験はあってもプレイヤーに売る経験が無かったんだろ?」


「はい」


「ならそれは『仕方ない』ことだ。それにそもそも、利用した事もねぇ人間が相場なんて分かる訳ねぇからな。これからボチボチ覚えてきゃあいい」


「ありがとうございます」



 暖かい。初心者に対して優しい人って、マジでカッコよく見える。


 これが憧れか。俺もいつか、ハイドロさんみたいな人になりたいな。




「それじゃあ前提を踏まえた事ですし、講座を開きますか!」


「お願いします!」



 まだ始まってなかったんか~い!



「はい! では、ひと〜つ!『売る前に調べる!』自分が売りに出したい武器の性能を見て、それに近い性能の武器と近い値段で売りましょう!」


「そうしないと、相場が崩れちゃうからね。本来1万リテの弓が100リテで売られてたら、その性能の弓の相場が数千リテまで落ちる事もあるからね」



「分かりました。気を付けます」



 俺はお手製の紙にメモをしていき、やっさんとヒメヒメさん、そしてハイドロさんによる『初心者の為のプレイヤーオークション講座』を受けた。




 ◇◇




「──とまぁ、こんな感じです! 必要最低限の知識とプラスアルファで小ネタもお教え出来ましたし、これにて初心者講座は終了です!」


「ありがとうございました。勉強になりました」


「これで鍛冶師界隈も盛り上がるわね〜」


「だな。あの性能の魔剣が量産されれば、初心者が持つに丁度いい敷居になるだろう」



 2時間くらいの講座だったが、とても勉強になった。


 途中に教えてもらった小ネタとして『銘で遊ぶ』というのがあったが、これは俺が既にやっていた事だった。


 アレだね、『ルナちゃん特製☆』シリーズだね。これは完全に銘で遊んでいるので、それはそれとしたブランドが出来るそうだ。



 他にも魔剣や聖剣の偽物の見極め方とか、色々と為になった。



「それじゃあ、今回の報酬はどうしましょうか。皆さん、お金には困ってなさそうですし......何か案はありますか?」




「それなら俺、ルナさんに武器を作ってもらいたいです! あの魔剣のオリジナルを作れる腕なら、俺に良い刺激になるでしょうから!」


「なら私は美味しいポーションの作り方を教えて貰いたいわね。今まで何度もチャレンジしているけれど、上手くいかないのよ」


「俺もやっさんと同じで。出来れば制作風景を録画したい」



 おぉ、それなら良いかな。見られても特に困ることは無いし、恩返しに丁度良いだろう。




「分かりました。ではウチに向かいましょうか。直ぐに作りますよ」




「「「やった〜!!!」」」

この流れ、既視感がありますね!


次回は武器作りと、美味しいポショーン(´・ω・`)の作り方をやります!


出来る限りテンポを上げていきたいと思います!

よろしくお願いします!

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