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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第10章 穏やかな日々
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おべんきょう

遅くなりました( ˆᴘˆ )

 



「ただ〜いまんっ」


「おか〜えりんっ」



 本屋に行って、建築学や木材について、更には建築に適した環境の選び方なんかも書いている本を買ってきた。


 たかがゲーム。されどゲーム。陽菜と暮らす家なら、俺は全力で取り組むぞ。



「陽菜は将来、どんな家に住みたい?」


「う〜ん、そうだねぇ。あまり大きくなくていいから、2人で幸せに暮らせる家......かなぁ」


「......そうだな。そうしたいな......で?」


「やっぱ和風建築でしょ!」



「だと思った。ウチの実家みたいな、お稲荷さんハウスか?」


「お稲荷さんハウスのネーミングセンス凄いね......ふふっ、ふふふふっ、あっダメかも......ツボ......ふふふっ!」



 やってしまった。陽菜のツボを千枚通しでブッ刺してしまった。


 いや〜、陽菜を笑顔にしてしまうとは、我ながらグッジョブ。さっきの自分に『よくやった』と言ってあげよう。


 あぁ、陽菜の笑顔は癒される。可愛すぎて俺がつらい。



「はぁ......はぁ、えっと、お稲荷さんハウスなんだけど、一軒家なら私は何でも良いな、って思ってる。マンションだと周りへの気遣いとかで、ちょっと不安だから」


「なるほど」



 それもそうだ。そして分かったぞ。ゲームでの家はここで聞けないな。


 デザイン諸々、完全な1からのスタートを切らなくちゃいけないようだ。



「教えてくれてありがとう。今後を楽しみにしててくれ」


「うん!」




 さて、では早速勉強を始める......前に、ルナちゃん特製アイテムを売っておこう。


 今回はリアルの方で勉強するので、8倍の時間で進むゲーム内の時間を有効活用したい。






 ◇ ◆ ◇






「はいはい。1本3,000リテで、イニティにも出品......っと」



 ここは王都に点在する、プレイヤーオークションが行える掲示板の前だ。


 この、いかにも『町内掲示板』の様な設置物に触れると、アイテムを売りに出したり、他プレイヤーが出品してるアイテムを買うことが出来る。


 売りに出す時は販売価格も自由に設定出来て、最低支払いリテ最高支払いリテを設定する事で可能な、『オークション』をする事も出来る。



 俺は今回、普通に出品するだけだな。そこそこの性能の武器を売りに来たんだから。


 これが神器となれば、俺は迷わずオークション機能を使う。


 お金......欲しいもん。



 それとソルの情報では、プレイヤーが何かしらのアイテムを売る方法が、大きく分けて3つあるらしい。




 1つが冒険者ギルドで雑貨屋に並ばせる方法。


 これなら盗みに入るプレイヤーも居ないし、現地人も盗むような事はしない。

 何故なら、それだけ冒険者ギルドという存在が大きいからだ。




 2つ、プレイヤーが屋台などの店を出し、そこに並ばせる方法。


 こちらは運ゲーらしい。そもそも人の目に付かなかったら、アイテムどころか店の存在自体知られないからな。

 これは俺には到底出来ない。だって、そもそも店を出すような場所が無いんだもん。


 ただ、成功すると確実に客が入ってくるという大きなメリットもある。これなら、品質を最低限にして価格を安くすれば、金策前の初心者プレイヤーを狙いやすくなるからな。




 3つ。プレイヤーオークション機能で売る方法。


 俺が取った手段だな。

 今のところ噴水でワープの出来るイニティ、ロークス、ディクト、狐国の街にある設置物の機能だ。


 こちらは1番利用者が多いらしく、イニティでも『初心者の武器はとりあえずオークション』というテンプレもあるらしく、上手くいけばボロ儲けも狙えるとの事。


 ただ、それは性能に対して値段が安い場合の話だ。


 だって、フェルさんの所と同じ性能のアイアンソードがあるとしよう。



 これがプレイヤーAが1本100リテで売った時と、プレイヤーBが500リテで売った時、どちらが買われるかなんて一目瞭然だ。


 故に鍛冶師のプレイヤーは、同じ性能の物が出来てしまったら、相場を見て、数百リテの差で売りに出すらしい。



 少しでも売る為に頑張っている、というのが伝わってくる。




「よし、出品完了。同じ性能どころか似た性能の武器は売りに出されて無かったし、これくらいの値段でも売れる......よな?」



 俺はそもそも、魔剣の値段を知らない。

 何故なら魔剣は弱いから。だから、そもそも買おうと思わない。


 これが聖魔剣となれば話は別だ。あれは相当運が良いか、バカみたいに時間をかけて、ようやく作れるかもしれないな......ってレベルの品物だからな。


 そんでもって聖魔剣は売られて無かったので、こちらも値段を知らない。



「こっちも値段の勉強だな。高すぎるようだったら安くしないと」



 リアルでは建築学、ゲームでは相場と、やはり勉強はしなければ世界は生きていけないらしい。






 ◇ ◆ ◇






「ん〜......よし。こっちでもお勉強タイムだ。陽菜よ、今日の家事は任せたまえ」



 ユアストからログアウトし、学校で使う鞄に入っているノートと筆箱を取り出した俺は、リビングで勉強を始めた。



「買って思ったが『小学生でも分かる!建築の基本!』って、中々に攻めたタイトルだな〜」



 ぼく、りかいできるかな?



 そうして20分もかからずに、第1項目の『家の起源』を読み終えた。



「家の起源が約1万年前とはな......中学の社会で習った記憶がある」



 これ、もしかして小学生のうちに中学生の授業内容を知れる巧妙な売り方をしているのか?



「んな訳ない。ただの歴史だ」



 物事を違う観点から見るのは良いが、変な意味で捉えようとするのは辞めよう。誰の利益にもならない、つまらない行為に成り下がる。


 よ〜し、真正面から内容を捉えて読もう!




 ◇◇




「う〜ん、この本は実に『子供向け』な印象が強いな。こっちの本にチェンジしよう」



 ちょっと......ちょっと内容が曖昧すぎたんだ。俺はもう少し本格的な建築学について知りたかったんだ。



「『建築基礎』実にシンプルなタイトルだ。俺に知識を授けておくれ」




 ◇◇




「──ふぃ〜。木材か。木材を選ばないけんのか」



 重要そうな単語をノートに取り、意味を調べては注釈を入れて分かりやすく纏めた。


 今回の建築で重要な『環境』だが、これは魔法で何とかできるので、木材の質と家の構造をよ〜く練らないといけないようだ。



「あ、月斗君。ログアウトしてたんだね」


「陽菜。お疲れさん。昼ご飯何がいい? 俺が作るよ」


「え、いいの!? え〜っとね〜、アレがいいなぁ。オムライス!」


「オムライスか。分かった。椅子に座って待っていてくださいな、お嬢様」


「あら、それならそうさせてもらおうかしら」



 おっほほぉ。可愛すぎるだろその表情は。お嬢様スタイルの陽菜も凄くタイプだ。尽くしたくなる。




 そしてチキンライスを作り、これから卵を焼こうと言う時──




「お嬢様。卵の焼き加減は如何なされますかな?」


「シェフの気分でよろしくてよ? まぁ、半熟でも完熟でも、私は貴方の作る料理が好きですから、如何様でも構いませんわ」


「......もう少々お待ちを」


「えぇ」



 そして陽菜に背を向け、俺は両手で顔を覆った。



「なんだアレ可愛すぎるだろチクショウ!」



 なんと言いいますか『氷の中の温かさ』の様な、気品のある笑顔ってこんなにも人を魅力するんだな。


 あ〜最ッ高。やる気が120パーセントチャージされた。



 そうして陽菜の笑顔パワーによる、完璧な半熟卵のオムライスを作成した。



「お待たせ。大きく作ったから2人で食べよ」


「やった〜! じゃあ食べさせて〜......あ〜ん」



 大変だ。俺の彼女が可愛すぎる問題が発生した。このままでは俺がオーバーヒートを起こし、ぶっ倒れてしまう。


 でもなァ......男には『引けねぇ時』ってのがあるんだよォ......!



「待て待て......はい、あ〜ん」


「あ〜む。美味しい!」



 室内なのに、太陽より明るい笑顔の花を咲かす陽菜。永遠に見ていられる。



「それは良かった。じゃあ俺も......あ、美味しい」



 良い完成度だ。卵とチキンライスのバランス、焼き加減、舌触りと、完璧と言ってもいいくらい美味しいオムライスだ。



「ねぇねぇ、あ〜ん」


「はい、ど〜ぞ」


「ん〜! 美味しい! あ〜ん」


「ほい」



 そうして『もう1回もう1回』と言う陽菜は、お腹いっぱいになるまで食べたい雛鳥の様だった。



「ははっ、これじゃ雛鳥だな。流石にもう1本スプーンを持ってくる」


「え〜......しょうがないなぁ」



 残念がる陽菜も可愛いが、流石にこれだと食べ終わる頃には冷めきっているからな。




 ◇◇




「「ごちそうさまでした」」


「じゃ、俺は洗い物するから、陽菜はご自由にどうぞ」


「手伝うよ?」


「お皿とスプーンだけだし、別にいいよ」


「え〜......う〜ん。分かった。じゃあ晩ご飯は私が作るね?」


「あぁ。楽しみにしてる」


「まっかせな! 月斗君をメロメロにするご飯を作っちゃうも〜んねっ!」


「お願いしま〜す」



 もう既にメロメロだけど、これ以上メロメロにされるとは、この先が楽しみだな。


 さぁ、洗い物が終わったら建築学の勉強だ。


 俺、これから甘々デロデロ生活の送れる別荘を作るんだ......!




 ◇◇




「で、こうなったと。可愛いねぇ、月斗君」


「うっさいです」



 今、ソファで陽菜に膝枕をしてもらっている。


 一見ただイチャついてるように見えるが、ただイチャついてるだけだ。勉強に疲れた俺を陽菜が癒してくれている。



「ふふっ、こうして彼氏を甘やかすのも、彼女の役目なのですよ」


「そうかい」


「そうですよ〜。だから甘えてくださいね〜」


「......うん。甘えるよ」


「ふふっ」



 陽菜のすべすべぷにぷにの膝枕を堪能していると、優しく頭を撫でながら質問を投げてきた。



「月斗君が一段落つけてるって事は、もう別荘建てれるの?」


「一応、知識は一通り頭にぶち込んだよ。でも、肝心な土地が無ぇんす」


「あ〜、土地ね。んじゃあこれから土地探しの旅?」


「そうだ。良い感じの島があるといいな。転移で楽々行けるし、プレイヤーにも見つからない。良い感じじゃろ?」


「そうじゃのぉ。私ゃ楽しみじゃよ」




「って言うかさ、この季節に半ズボンって寒くないのか?」




 このすべすべぷにぷにを堪能するに当たって、気になっていたのだ。


『めっちゃ寒い中、半ズボン着る?』ってな。



「それは家が暖かいからだよ? ......本音は月斗君を悩殺出来るからだけど」


「ごちそうさまです。でも流石に冬はちゃんと着ろ。風邪引いたらほぼ確実に俺にも伝染(うつ)るんだから」


「う〜ん、やっぱり? なら仕方ないや、今日までだね」


「あぁ。今日までだ。つまり、今日は陽菜の膝枕を100パーセント堪能出来る訳だ」



 陽菜の膝枕は誰にもやらんぞ。俺だけのものだ。そして夏になるまではこの、生膝枕ともいえる行為は行えない。


 だから、俺が全部頂くもんね。独占だ〜い!



「ふふっ、大いに楽しむがよい。そして私に膝枕をし返すがよい」


「あぁ。取り敢えず、今は最高の癒しをくださいな」


「もっちろん!」




 そうして建築学の勉強と陽菜の膝枕を堪能した次の日、本格的に別荘建築......の前の土地探しがスタートした。


 目指すは『プレイヤーが寄り付かない』かつ、『最低限の資源』のある島だ。


 陸地は確実にプレイヤーが来る上、島は島でも最低限の木材や土が無ければ農作業も大変だからな。



 それらの条件を満たした島を見付けるのは、一体いつになるのやら。


メンタルブレイク・サードフィーバーが起きていたので書く時間が減っていましたが、16時間睡眠と2時間の日向ぼっこにより回復しました。


友人に『寝ろ、そして陽光を浴びろ』と言われて実践したところ、一瞬で回復出来たので皆さんにもオススメします。



さて、次回は『初心に帰って』です。お楽しみに!

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