その銀狼、満月に笑う 2
さぁ、まだ朝ですよ。
アルトム森林に向かうために、インフィル草原を通る。今日はその道中でウォーミングアップだ。
「じゃあルナ君、歩きながら、遠くにいるモンスターを弓で狙わない?」
「歩きながら、か。良いなそれ。やろうか」
「うん! じゃあ私は右側で見つけたら撃つね?」
「あぁ。なら俺は左側だな」
そう言って俺は剣をしまい、弓を取り出す。
「もうこの操作も完璧だなぁ」
「ん? ......あ、インベントリ操作? どれくらい早くなったの?」
「そうだな、早さは大体、0.2秒あれば武器の持ち替えはできるな。100回やってもミスする事はないぞ。完璧に武器の場所を覚えた」
まぁ、武器ってアイアンソード2本と弓1本だけだがな。
「凄いね! 早さと正確性、両方あるならそれはもうその技術は武器になるね!」
おお~面白いな。なら俺は4つの武器があることになるな。
「ありがとう。巫女服を買ったらフェルさんの弟子になるし、その時に俺の武器も増えるだろうからな。これからも練習していくよ」
「本当に巫女服の押しが強いね。そんなに着て欲しいの?」
なに!?
「当たり前だ! ソルは分からないか? 狐っ娘の美少女が巫女服を着ている良さを!? あれはもう、最高だぞ!? ......クッ! 俺の語彙力では伝えきれない!」
「ふふっ、そこまでか〜。なら着るよ。ちゃんと感想を言ってね? もし貰えなかったら、泣くよ?」
「もちろんだ! 巫女服じゃなくても可愛いんだ! 巫女服を着たらそれはもう! もう! 大変な事になるぞ!」
ダメだ......狐っ娘の巫女服の話になると俺の語彙力は一気に落ちる。
「えっ!? ......ほんとに? ほんとに可愛い?」
「もちろんだ!」
あの素晴らしさは元々の良さに巫女服を足した物だ。確かに、巫女服を着るだけでも可愛いだろう。だが、巫女服『だけ』が良いんじゃない。巫女服を『着る人』も良くないと。『良』と『良』が合わされば、それはもう、素晴らしいものだ。
そんなことを考えていたら、俺の目に敵が映る。
「あっ、おいソル。東側140mくらいのとこにボアいるぞ」
「ほんとだ! えいっ!」
可愛い掛け声で弓を射った。
ドパンッ!
弓からとんでもない音が聞こえた。弦を力強く引きすぎだろう。弓が壊れるのでは?
ドスッ! ドスドスッ!
1本目が先に命中し、その0.1秒程後に残りの2本が命中した。
「お見事。とんでもない音と命中率だな」
「えへへ〜、凄いでしょ?」
「あぁ、凄いよ」
駆け寄って来たので思わず撫でちゃった。う〜ん、もふもふで素晴らしい耳だ。最高!
「なぁ、その耳ってどんな感覚なんだ?」
ふと疑問に思ったので聞いてみた。
「耳? えっとね〜、人間本来の耳の5mmくらい上にもう1つ感覚がある......みたいな?」
うん、分からん!
「分からないな。触られている感覚はあるのか?」
「あるよ。気持ち的には頭を撫でられている時と同じだね」
そうなのか。私、気になります!
「なぁ、耳モフっていい?」
もう俺はおバカモードに入っている。なんでも口に出しちゃうぞ~
「いいよ? ほら」
頭を出してきたのでモフってみた。
「あるがとう!............こ、これは!!!」
これは素晴らしい!! 柔らかすぎないでもなく、硬すぎない。この、絶妙な力強さ! 毛のもふもふさと耳の柔らかさが奏でるハーモニーが美しい!
「最高だ......!!!!」
「えへへ〜そんなにいいの?」
「あぁ。これまで触ってきたもの全ての中で一番だ!」
「そんなに!? そっか、ありがとう!」
んま〜可愛いこと。
「ずっとモフっていたいが今日は狩りだ。気持ちを切り替えるとしよう」
「そうだね、頑張っていっぱい倒そう!」
「あぁ!! 巫女服の為に!!!」
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―いいなぁ。――が羨ましいなぁ。
「あぁ、また夢か。2度寝してしまったな。――達は......まだ起きてないか。なら、3度寝するか」
――は3度寝を決行した。次はあの夢が見たい...services.mscそう思いながら―
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道中、かなり遠くても撃たれるモンスター君可哀想ですね。しょうがない。相手が悪い。リアルで弓が扱える上にわDEXが草原のモンスターに必要な数値の数十倍なんだもん。
次回もお楽しみに!




