戦闘リズム
激唱のフルコン取れました。これで未フルコンが27、28、29が1曲ずつとなりました。
ゆずあめさんの音ゲー力が鍛えられるのが先か、ユアストが完結するのが先か。乞うご期待
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『ラースドラゴン』を討伐しました。
レベルが2上がりました。
『剣帝』スキルレベルが3上がりました。
『弓帝』スキルレベルが8上がりました。
『闘帝』スキルレベルが11上がりました。
『刀将』スキルレベルが5上がりました。
『盾術』スキルレベルが42上がりました。
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「「はぁ......疲れた」」
5時間にも及ぶ激闘の末、黒龍ことラースドラゴンの討伐に成功した。
「もう帰ろう」
「おい」
「俺は疲れたんだ。だから帰ってソルと遊ぶんだ......!」
「おい」
「じゃ、さらばだマサキ。お疲れ様。『テレポート』」
俺は暖かいお家に帰るべく、空間魔法を発動させた。
パリン!
俺の出した魔法陣は、ガラスが砕けるが如く、綺麗にポリゴンとなって散った。
「ウ゜ァッ!!!!」
「帰れねぇって言ったろ?」
『おバカさんねぇ。そんなんじゃソルに笑われるわよ?』
「フッ、これでソルを笑顔に出来るのなら安いもんさ」
『......くっ、選ぶ言葉ミスったわね』
はぁ。もう引き返せないしやるしかないじゃん。次に黒龍出てきたらどうしよう。不死鳥化使って暴れようかな。
「ほら、行くぞ。ゴールは近いだろ......多分」
「はいはい。神でも魔王でも、何でも倒してやりますよ〜だ」
『ヤケクソね。もっと単純に考えればいいのに』
「単純?」
『そう。貴方は今の状況を『楽しめていない』のよ。だから、楽しめばいいの。それでこの先、苦戦しても圧勝しても『帰りたい』なんて思わないわ。ね? 単純でしょ?』
「......」
俺はバカだ。大バカだ。
ゲームを楽しめていないなんて、ただのバカだ。
俺はこれまで、『このゲームを楽しむ為に』全力を尽くしていて、肝心な『ゲームを楽しむ』ことが出来ていなかった。
アホだ。アホすぎる。過去の自分に会えるなら、顔を合わせた瞬間にぶん殴りたい。
「はは......はははははっ!」
「お、どうした。遂に壊れたか?」
マサキが心配そうな顔をしながらからかってきた。
「逆だ。壊れてたのは前までの俺さ。セレナの言葉で直されちゃったよ」
『ふふん。どうよ!』
はいはいすごいすごい。セレナちゃんはすごいでちゅね〜。
『うわ......今、ルナにすっごいバカにされた気がする』
「してないしてない。セレナちゃんはすごいでちゅよ〜」
「う〜ん、死刑☆」
「ちょおま、何出てきてんだ! あ、待って! やめて!」
「さらばね。可愛いルナ」
「ルナ。今までありがとう」
「お前らぁぁ!!!」
とまぁ、セレナに首を折られかけたりしたが、何とか俺の本質を見出せることが出来た。
セレナには感謝だな。
「ありがとうセレナ」
「ま、まぁ......分かればいいのよ。それでこそ、私の知っている可愛いルナだから」
「さいですか」
可愛いとセレナはよく言うが、どの辺が可愛いのだろうか。本人に聞くのは少し恥ずかしいし、今度ソルやフーに聞いてみようかな。
「よし。ここからは桜器頼りで行こう。全身全霊で遊ぼう」
「そうか。んじゃ行くぞ。この先はマジで未知だから、ルナも気を付けろよ?」
「あぁ。前は任せたぞ、相棒」
「任せろ相棒」
俺はセレナを弓に戻し、新月の桜の花弁で矢を大量に錬成し、インベントリにぶち込んだ。
この矢は魔力矢より強い上に、弾数がほぼ無限だ。何せ、新月の花弁はチェリがよく落としてくれるからだ。
血をあげに行った時、お礼として数百枚を一気にくれるからな。これで矢には困らない。
『いいわね。さっきと面構えが違うわ』
「そうか?」
『えぇ。子供っぽくなったわね』
「......そうか」
それが良いのか悪いのか分からないが、俺が本心から楽しめているなら良い事だと思う。
そしてマサキを先頭に、真っ黒な城の中の様なダンジョンを進むと、大きな扉の前に来た。
「おいおい、接敵1回でボス部屋とかマジ?」
「マジっすよマサキさん。宝箱1つ無い、ひでぇダンジョンっすよ」
「本当にな。ウマウマな宝箱くらい、用意しておいて欲しいな」
「あぁ。でもクリア後の箱はウマウマなんじゃないか? 勝てるかは知らんけど」
「そう信じるしかないよな~。よし......行こう」
珍しくマサキが盾を持って扉を開けると、巨大な空間の中心に、ポツリと1頭の黒馬が立っていた。
筋肉が浮き出て、体から少量の水蒸気を発している。
まるでレース後の競走馬の様な見た目だが、他の馬とは決定的に違う要素を持っていた。
「「ユニコーン......」」
黒馬の額には、およそ1メートルにも及ぶ、真っ黒な螺旋状の『角』が生えていた。
『............』
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『魔神馬・ユニコーン』との戦闘を開始します。
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「来た」
マサキに向かって猛スピードで突進したユニコーン。
それをマサキは、簡単に盾で防いでいた。
「上手いな」
「そりゃあ、あのガーディ大先生に教えてもらったからな。パリィ失敗率は5パーセントくらいだ」
「人間相手か?」
「いぇ〜す。因みに今のはパリィミスってる」
「ほぇ〜」
「......はよ攻撃してくんね?」
「今準備中。15秒待ちな」
「りょ」
マサキがジリジリと押されているが、俺も何もしていない訳では無い。
今は床の中に、蔦ちゃんと茨ちゃんを蜘蛛の巣状に張り巡らせ、天井付近でサンダーの魔法陣を出し、チャージしまくっている。
限界まで溜めてから攻撃したいので、もう少しマサキには頑張ってもらう。
「マサキ、3秒後に突き飛ばせ。さ〜ん、に〜い、い〜ち、はい!」
「はいっ!」
『ブルルルッ!』
マサキがユニコーンを1メートル程突き飛ばした瞬間、床からおぞましい量の蔦がユニコーンに絡み付き、床に埋めようと下に押し下げていった。
今はユニコーンの4つの足が床に埋まり、完全に身動きが取れなくなっていた。
「『戦神』『マグナ』『サンダー』」
お手軽3倍バフの戦神を使い、マグナで確実にサンダーを命中させた。
『ビヒィ!!!』
「う〜わ、えげつねぇ」
「アイツ生きてるじゃん。セレナ頼む」
『火2本。風3本』
「了解」
セレナの指示通りに魔弓術を使うと、ユニコーンの背後から丸太の様な大きさの炎の矢が飛んできた。
「次は?」
『......水をばらまいて。それから雷』
「了解。『アクアスフィア』『パラライズボイス』」
セレナの注文にサービスとして、麻痺の状態異常も付けておいた。
それから雷属性の魔弓術を使うと、矢を6本使えと言われたので久しぶりのマルチショットを使った。
「おぉ、外しても感電するから水をばらまかせたのか」
「ウチのセレナは優秀だなぁ」
『ふふん♪』
本当に有難い。マルチショットってどうしても外れる時があるからな。外したとき用の対策をしてくれてるのは本当に助かる。
『ブルルゥ......』
「ありゃりゃ。やり切れんか。マサキ君、ワンモアファイト!」
「えぇ......しょうがねぇ。ガーディ程上手くねぇから、文句は受け付けない......ぞ!」
そうして1時間ほど、マサキがユニコーンを受け止めては俺が魔法で攻撃し、魔弓術を使う。この攻撃工程を繰り返した。
「ほい、イッチニーサンハイッ!」
「ポンポンポンポーン!」
『3、2、3はい!』
「ポポポン、ポポン、ポンポポーン!」
今ではもう、完全なリズムゲーとなってしまった。
マサキが3秒耐え、その間にサンダーを弱チャージし、サンダーと蔦ちゃんをテンポよく撃てばセレナが魔弓術の指示を出す。
そうだな......今の俺達を一言で表すなら、『三位一体』と言った感じか。
ユニコーンが可哀想に思えるくらい、作業となってしまった。
そしてユニコーンとの戦闘が始まって2時間後。
『ブルル......』
遂にユニコーンのHPが0になり、ポリゴンとなって散った。
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『魔神馬・ユニコーン』を討伐しました。
『神馬の肉』×15入手しました。
『神馬の尻尾』×1入手しました。
『魔神馬の神角』×1入手しました。
称号『神馬の蹄鉄』を獲得しました。
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『「「お疲れ〜!」」』
俺はマサキと拳をぶつけ、勝利を喜んだ。
「いやぁ、お疲れ様です。中々に良い余興でしたよ?」
謎の声が聞こえた瞬間、俺とマサキは一瞬で距離を取った。
「おぉ、怖い怖い。お2人......いや、3人の勇姿、確と目に焼き付けましたよ。フフフ」
そう言って笑う男は、黒い貴族服に身を包み、金色の眼をしていた。
「誰だお前」
「おやおや、確か貴方はマサキさん......でしたね?」
「......そうだ」
「あぁ、良かったです。私、人の名前を覚えるのが苦手でして......それで、私が誰かですが......」
男は右手に黒い魔法陣を出現させると、自身の身長ほどの杖を取り出した。
「私の名は『サタン』この憤怒の調べを奏でる、1人の奏者です」
そう言った瞬間、杖から出た真っ黒な雷がマサキに直撃し、マサキはポリゴンとなって散った。
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パーティメンバー『マサキ』が死亡しました。
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「フフフ......では、踊りましょうか。ルナ」
「フフフ......宜しいですわよ?」
俺はサタンの提案に乗り、刀を持って向き合った。
次回『悪魔と踊る狂想曲』お楽しみに