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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第10章 穏やかな日々
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悪魔の笑い声

投稿出来てると思ってたら夢の中の話でした。

 



 ◆???side◆



「フフフ......また人間がやって来ましたか」



 真っ赤に染まった玉座に座り、足を組んで笑う悪魔が1匹。



「おやおや、珍しい人間が迷い込みましたね。まさか、こちら側の人族とは......フフ、話すのが楽しみです。ゆるりと待ちましょう」



 悪魔は笑みを浮かべ、深紅のワインを口に含み、香りを堪能した。




「私の宴に酔いしれなさいな。人間共」






 ◆ルナside ◆





「だぁ! なんでフェンリルが2体もいるんだよぉぉ!!」




 ダンジョンの1階層目の探索が終わり、地下への階段を閉ざす扉の前に、目が真っ赤なフェンリルが2頭、おすわりをして待っていた。


 幾ら難易度が高いダンジョンだからって、幻獣を2体も配置するとか運営は正気か?



「な? だから勝てないんだよ」


「おっかしいだろここ! 明らかにプレイヤーに攻略させる気ないじゃん!」


「大丈夫。お前なら勝てるさ」



 また根拠の無い事を......でも、やるしかない。



「はぁ、面倒臭ぇ。マサキ、デバフ頼むわ。あの番犬は俺がやる」


「ヨシきた! 任せろベストフレンド!」


「はっ、隙さえあればマサキにフェンリルぶつけてやるからな。覚悟しとけよ?」


「ぼくにほんごわからない」


「物理的に会話しようや兄ちゃん。ん?」


「......取り敢えずバフ掛けるわ。『闘魂』良し。行け!!!」



 やべぇコイツ。バフ掛けた瞬間に俺をフェンリルの前に投げ飛ばして来たんだけど。



『『ガォォォン!!』』


「先手必勝確殺戦法!『クロノスクラビス』『戦神』」



 クロノスクラビスで一瞬の足止めをし、その瞬間に神月の桜の花弁を使って糸と刀を錬成した。


 そして俺から見て左側のフェンリルの足に糸を巻き付け、行動詠唱で呼び出した蔦と絡め、完全にうごけなくした。



 さぁ、まずは拘束していない方のフェンリルから倒そう。



「『魔刀術:紫電涙纏(しでんるいてん)』」



 これは電磁魔法を習得したら使える魔刀術。紫色の雷を、まるで涙を零すかの様に剣先から滴らせるスキルだ。


 実は初めて使うが、いつもと変わらない感覚でやっても問題ないだろう。



『ガル!』


「『(かみなり)』」



 フェンリルが噛み付く瞬間、現状の最速の抜刀術を繰り出した。


 その時、足が地面にめり込み、俺のHPの8割を代償にしてフェンリルを消滅させた。



 ◇━━━━━━━━━━━━◇

『最弱無敗』が発動しました。

 ◇━━━━━━━━━━━━◇



「うぅ......自傷ダメあるのか、これ」


『う〜ん、違うと思うわよ?』


「そうか? まぁ、後日フーに習うとしよう」



 さて、後は拘束された哀れなフェンリル君のみだ。


 相方がポリゴンも残さずに消えたのを見たせいか、恐怖心で尻尾を巻いている。



「すまんな。『魔刀術:雷纏』『(らい)』」



 せめて楽に逝かせてあげようと、首をお馴染みの魔刀術で断ち切った。



 ◇━━━━━━━━━━━━━━━━━◇

『暗黒フェンリル』×2討伐しました。


『刀将』スキルレベルが3上がりました。

『操帝』スキルレベルが1上がりました。

 ◇━━━━━━━━━━━━━━━━━◇



 リザルト画面が出ると、フェンリル達が守っていた扉がゆっくりと開いた。


 そしてマサキに先に行くように合図を出し、階段を降りながら話す。



「お疲れさん。マジでルナがいると楽だわ〜」


「俺をお助けキャラ扱いするな。それで、2階は何がいるんだ?」




「こっからはオーガが出てくる。あと、フェンリルが通常湧きして、他にも猿とかイタチが出てくるぞ」




「......マサキ、よくそれだけ情報集められたな。公開されてるのか?」


「されてる訳ないだろ。これは俺達が命懸けで手に入れた情報だ。敵を1体確認する毎に仲間が1人ずつ死んでいく感覚......分かるか?」


「分からない。でも、頑張ったんだな」


「あぁ。超超超頑張った」



 相当頑張ったという事は伝わる。何せ、情報は武器だ。出てくる敵が分かれば相応の対応が出来るし、何よりも心構えが違う。


 何が出てくるか分からない、一種の恐怖心を取り除けるのは攻略においてとても大きい。






 ◇◇






「ふぃ〜......階段、来たな」


「ルナってマジでバケモンだな。なんで俺を守りながら相手出来るんだよ......」


「経験だ。誰かを守りながら戦うのは慣れている。ま、あの時は守っても負けたけど」



 あの時とは道場時代だな。陽菜と一緒に師匠と戦った時によく守ったもんだ。


 師匠は気持ち悪いくらい強かったからなぁ。守っても一瞬で2人とも当てられて負けるんだ。懐かしい。



「異常な経験だな。でも助かった。これで3階の敵が分かるべ」


「せやな。ほれ、先行きな。盾として頑張れ」


「残念。敵を通してしまうフィルター付きだ」


「ガバガバじゃねぇか」



 盾として一切機能しないとは、中々に酷いもんだ。




 そうしてオーガやフェンリル、後は小さなモンスターを殲滅した俺達はダンジョンの3階層目に足を踏み入れた。




「うわぁ、人工物感が一気に増したな」


「だな。ウチの城を黒くしたらこんな感じだな」


「うわ、城マウント取ってきた」


「マウントと感じるなら、それは心が汚染されてるぞ。自分を磨き続けていたら相手なんか気にならないからな。常に向上心を持て」


「え〜」


「え〜じゃない。暇があるなら戦い続けるしかないぞ。どの世界も、平和そうに見えてその実はただの戦闘だ」



 人間は何かと順位を付けたがる。大会の順位やランキング。

 他にもテストの結果や好きな事にすら順位を付ける。


 順位とは恐ろしいものだ。1度上がってしまえば落とす事に恐怖を感じる。そして順位を上げる為に努力をすれば、頂きに立った時に虚無感に襲われる。



 この世で頂点に立って虚無感を感じない人は、本当にひと握りだろう。


 何故なら、その人には『向上心』があるから。



「『(うえ)(うえ)』を目指すなら、向上心が全てのモチベーションとなる。それは頭に入れた方が良いぞ」


「お、おう。試してみるわ」


「あぁ......で、次の敵はドラゴンらしいぞ」


「うへぇ」




『グオォォォォ!!!』




 この真っ黒な空間に良く似合う、真っ黒な鱗のドラゴンだ。


 強さも何も分からないが、あの鱗は欲しいと思った。



 ま、このダンジョンの敵って、何もドロップしないんだけど......今のところは。




「『戦神』『魔糸術:明鏡糸水』『遅炎』『クロノスクラビス』『蔦よ』『イグニスアロー』『サンダー』」



「よくMP足りるな、それ」




「スキルとアクセサリー、それからコーヒーとゼリーのお陰だな」


「は?」



 ケリドウェンの力が大きい。魔法で無双出来そうだもん。



 さて、ドラゴン......見た目からそのまんま、黒龍と呼ぼうか。


 黒龍をガッチガチに拘束した後、数十本のイグニスアローとサンダーをぶちかましてみたが、黒龍の鱗は傷ひとつ付いていなかった。



「硬いな。マサキ、頑張れ」


「あいよ!」


『そして私の出番、と』


「そういう事だ」



 防御力が高い奴はセレナで貫通する。黒龍は見事に高防御モンスターに当てはまるが、黒龍のHPの問題がある。


 ここで少し、黒龍君を鑑定してみよう。



 ◇━━━━━━━━━━━━━━━◇

 名前:『ラースドラゴン』

 レベル:714

 HP:19,851,312 / 20,000,000

 ◇━━━━━━━━━━━━━━━◇



「............逃げないか?」


「な〜に怖気付いてんだ。高々HP2000万、時間をかければ余裕だ!」



 それはマサキが黒龍の攻撃を喰らってないから言えるんだぞ。っていうか、黒龍はそもそも動けてないからな。


 黒龍の攻撃次第じゃ、光の速さで街へ帰る事になるんだぞ。



「はぁ......硬くなければ神龍戦の再来だったんだがなぁ」





 ボヤいていても仕方がない。頭を使って黒龍を倒すとしよう。







 ◆???side◆




「あぁ......近いですねぇ、元天使」



 悪魔はうっとりとした表情で、手に持つ大きな水晶を眺めた。



「ほうほう。背理の天使の経験もある、と......これは、想像以上に面白くなりそうです。聖剣でも出されたら、私が滅んでしまいます」



 悪魔は着ている服を整えると、玉座から立ち上がった。



「勇者なんて塵芥とは違う、語り人の美しさを魅せてください。ですが、もしそれが目に余るものであったならば......私は怒ってしまいますよ?」




 そうして悪魔は再度玉座に座ると、今度は自身の身長と同じ大きさの杖を取り出した。







「フフ......フフフ! この『サタン』貴方との戦いを楽しみにしておりますよ?語り人ルナ」





黒龍強し。



次回『戦闘リズム』お楽しみに!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 鑑定ではラースドラゴンのhpが2000万ですが、ルナはhp9億と言ってます。 どちらかが間違ってますよ。 [一言] なんだかんだ楽しく読ませて貰っています。
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