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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第10章 穏やかな日々
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頭を使え、脳筋さん

短めdeath

 



「うわ、何アレ」


「アイツは『イラベア』ってモンスター。気色悪い外見だろ?」


「あぁ。SAN値がすり減りそうな見た目だな」



 マサキと共に、霧の森を歩くこと数分。白と緑の混じった、ドロドロとしたスライムのような物を体に纏っている、気味の悪い熊に遭遇した。



『あらあら、厄介な奴を引いたわね』


「え、厄介なん?」


『えぇ。ま、気になるなら私を使わずに物理で行きなさい。私が言いたい事を理解出来るはずよ?』


「了解」



 どんな風に厄介なのか、身をもって知るとしよう。



 俺はステラを右手に顕現させ、左手はフリーにしてイラベアの前に立った。



『ジヂュルヂュルヂュル!』


「気持ち悪い声で鳴くな!」


『ヂュルルル!』



 うわぁ、熊の体から触手を生やして来たんだけど。何なのコイツ、熊に寄生してんのか?


 ロイコクロリディウムみたいなキモさがある。



「よっ! ......触手は斬れるな」


『ヂュルッ!』



 続けて伸ばしてくる触手をぶった斬りながら近付くと、イラベアの表情が一気に変わった。



『ギュギャァァァ!!!』


「イラベアって...... 憤怒(イラ)って事か?」



 激おこプンプン丸の熊さんって、結構怖い。


 さて、そろそろ首チョンパさせてもらおう。厄介と言われる所以を教えて貰わないと。



「そいっ!」



 バスッ......



 素早く繰り出した振り下ろしの一撃は、イラベアに当たった瞬間に全ての衝撃が吸収された。



「何この感覚......気持ち悪いな!」


『ね? 厄介でしょう?』


「あぁ。物理無効の熊さんという訳か」


『正確には違うわね。『強い力を吸収する』という事よ』


「そうなのか......イラベアって、もしかして『ダイラタンシー』からも取られてるのか?」



 コイツ、名前の由来が複数の『イラ』の組み合わせなんじゃないか?


 だって、もしもコイツがスライムみたいな奴に操られているとしたら、『傀儡(かいらい)』という言葉からも取られていそうだ。




『ギュァァァ!!!』




「マサキ先生。大人しく魔剣術使って良いですか?」


「許可する」


「ッシャ! 来い、ジュエルブレス!」



 俺はステラを仕舞い、代わりに7色に見える宝石から作られた短剣を取り出した。


 コイツは狐国の時に使うか迷った、魔剣術に命を懸けた短剣だ。



 そしてコイツの威力を簡単に表現するなら、この辺りの木が全部灰になる感じかな。



『「何それ」』


「魔剣術用秘密兵器。その名も『核石剣:ジュエルブレス』ッ!」


「わーすげー」


『宝石の祝福ね』



 その通り。この剣は宝石一つ一つに込めた気持ちが、それぞれの属性の魔剣術を強化してくれるのだ。


 火属性なら、『ルビー』に『燃えるような情熱』みたいな、その色にあった気持ちで強化していったからな。




「イラベア、頑張って耐えろよ。『魔剣術:嵐纏』」



 まず魔剣術を発動させる。これだけで極小規模の災害が起きる。


 ジュエルブレスの周りに空気の塊が剣状に形成されていき、短剣があっという間に長剣に変わった。



『ヂュル!』


「いきますよ〜! ふんっ!」



 サッとイラベアに近付いて剣を突き刺すと、スライムの粘性をもっと高めた様な、グチョグチョとした感覚を手に感じながらHPを削った。



『ヂュルッヂュ!!』


「オメェさん、HP高いな。トレーニングでもしてるのか?」


「弱肉強食」


「おぉ、それは良いトレーニングだ。一歩間違えたら死んでしまうが、ハイリスクハイリターン。君はどんどん強くなるだろう」



 マサキの的確なツッコミを受け止めながら、イラベアの足を切ってから後ろに下がった。



『ルナ、それでアイツは倒せないと思うんだけど』


「勿論。まずは相手の力量を知らなければ打つ手が多過ぎて困るからな。小手調べってやつだ」


『ふ〜ん』



 だって、最初から倒す気なら『戦神』も使ってるもん。


 初めてのフィールドで初めてのモンスターとの戦闘だ。感覚を掴んでおかなければ、他のモンスターと戦った時に経験不足になってしまう。



 よし、ここからはイラベア討伐にチェンジだ。



 イラベアの攻撃は触手攻撃しかないはずなので、ある程度の距離を維持しながら魔剣術をぶっ刺すとしよう。



「『戦神』『魔剣術:海纏』......ここ!」



 イラベアが俺に振り向いた瞬間、藍色に輝く海の塊を右目に突き刺した。


 その瞬間、イラベアの内部から一気に水が噴き出し、イラベアだった物はポリゴンとなって散った。



 ◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇

『イラベアLv218』を討伐しました。


怒熊(ドグマ)の心核』×1入手しました。

『怒熊の剛体粘液』×8入手しました。


 称号『天災・剣』を獲得しました。

 ◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇



「天災......せめて違う字が良かったなぁ」



 甜菜とかで良いと思うんだ。俺は身内に対しては激甘だからな。上手く表現出来ただろう。


 ただ、天災はなぁ......俺が駆除されそうだ。



 ◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇

『天災・剣』

 ・一定以上の攻撃力を持つ魔法攻撃に1.1倍の補正

 ・悪天候の時、STRに1.2倍の補正


 超高威力の魔剣術を放つ事で獲得。

 ◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇



「取り敢えず、お疲れさん。アイツはルナくらいのステータスならほぼほぼ無効化するだろうから、今後も気を付けろよ?」


「ありがとう。まぁ、次に出会ったら初手で魔法使って灰にするから大丈夫だな」


「違いない。じゃ、進むぞ〜。この先は面白いダンジョンがあるからな」


「ダンジョンか......久しぶりだな」



 最後にダンジョンに入ったのは、アルスと出会った時以来か。っていうかマサキの言う『面白いダンジョン』って、凄く嫌な予感がする。


 大丈夫かな?





 ◇◇





「で、ここがダンジョンってワケ」


「木じゃないですかヤダー」




 マサキにダンジョンだと言われた場所は、根から葉まで赤い木か1本生えている、少し開けた場所だった。




「触ってみろ」


「へいへい......マジかよ」



 ◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇

『罪の宴・憤怒の調べ』に入りますか?


『はい』『いいえ』


 ※当ダンジョンは途中で帰還出来ません。

 ◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇



「帰還出来ないって、死んだらどうなんの?」


「普通に街にリスポーンだ。ただ、徒歩や魔法で抜け出せないよ〜って事だな」


「なるほどなぁ......未クリア?」


「モチモチのロン。2階層目でパーティ瞬殺された」


「マサキのパーティで全滅とか、俺ら無謀じゃん。アホでしょ」



「いや〜、君にかかってますよ? ルナ先輩っ!」



「やめろ気持ち悪い......う〜ん、フー達を呼ぶべきか?」


『そこはルナの判断次第ね。刀を使うか使わないか、ってだけだし。私は呼んだ方が良いと思うけど』


「じゃあ呼びません。手持ちの武器で抗おうじゃないか。マサキ、行くべ」


「あいよ〜」



 セレナの助言を完全に無視して俺はダンジョンに入った。


 名前が実に意味深なダンジョンだが、それはクリア後に知れると信じよう。



 ◇━━━━━━━━━━━━━━━━◇

『罪の宴・憤怒の調べ』に入ります。

 ◇━━━━━━━━━━━━━━━━◇

さぁ、中身はどんなダンジョンなのでしょうか?



次回『悪魔の笑い声』お楽しみに!


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